更新日:2024/10/11
この記事のまとめ
職務経歴書の自己PRには、これまでの経験や具体的なスキルを書くとともに、それを活かして、応募する企業にどのように貢献できるのかをまとめる必要があります。
しかし、いざ自己PRを書こうと思っても、そもそもどんなことをアピールしたらいいかわからないし、うまく伝えられているか心配になり、手が止まってしまった経験がある方もいるでしょう。
ここでは、職務経歴書の自己PRについて概要を押さえつつ、どのようにまとめればいいのか、ポイントや注意点を解説します。また、「正しい例文」と「NG例文」も併せてご紹介しますので、職務経歴書を作成する際の参考にしてください。
目次
そもそも、なぜ職務経歴書に自己PRを書くべきなのか、その目的や必要性について解説します。
「履歴書にも自己PR欄はあるので、職務経歴書に別途書く必要はないのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、履歴書の自己PR欄はスペースが限られています。そこに書ききれなかった内容を補足し、自分自身をより効果的にアピールするために役立つのが、職務経歴書の自己PRです。職務経歴書の自己PRを書けば、これまで培ったスキルなどについて、自分の言葉で詳細に伝えることができます。うまく活用し、アピールの場を増やしましょう。
自己PRは、これまでのキャリアを踏まえて自分ができることをアピールするものです。応募先の企業で働きたいと思った理由を伝える志望動機とは異なりますので、混同しないように気をつけましょう。
自己PRでは、自分の実務能力について客観的にまとめる必要があります。
転職活動では、自己PRと長所の両方について聞かれる場合がありますので、その違いも明確にしておきましょう。自己PRは応募先の企業で活かせる応募者の強みですが、長所は主にその人の人柄や特性のことを指します。自己PRを求められたら実績をベースにした自身の強みを、長所について聞かれた際には自身の性格的な部分をアピールすると、質問の意図をよく汲み取っていると評価されるでしょう。
職務経歴書の自己PRを書く際には、採用担当者がどのような点をチェックするのかを把握して、意識して書くことが大切です。
採用担当者が職務経歴書の自己PRでチェックするポイントをご紹介します。
どのような業界、職種であっても、コミュニケーションスキルやパソコンスキルといった、ビジネスパーソンとしての基礎的なスキルは必須です。
たとえば、パソコンを用いて顧客管理を行った経験や、チームを組んでのプロジェクトを達成した経験など、具体的な業務内容・作業内容が書かれていれば、ビジネスパーソンとしての基礎的なスキルを持ち合わせていると判断してもらえます。
採用担当者は、応募者の具体的なスキルや実績、前職での成功体験などから、応募者が入社することで、自社にどのようなメリットがあるかを読み取ろうとします。
また、それをどのように活かしたいと思っているのか、活かす意欲があるかを知りたいと考えています。
採用担当者は、履歴書や職務経歴書、面接の中で応募者の人となりを見極め、社風にマッチするかを見極めようとしています。
どれほど優秀な人材であっても、自社の社風にマッチしない人が入社したのでは、会社の空気を乱してしまう恐れがあります。仕事は一人で行うものではありません。社風に合わない人がいると、これまでスムーズにできていた仕事がうまくできなくなるかもしれません。
そうした環境が生まれると、せっかく採用したのに社風に馴染んでもらえず早期に離職されてしまうリスクもあります。
ここからは、職務経歴書に自己PRを記載する際の、より具体的なテクニックをご紹介します。
自己PRを書くのが苦手という方は、以下の流れに沿って書き進めてみてください。
まずは、自分自身の経験や、仕事に関係するエピソードを書き出してみましょう。これまでの実績、身に付けたスキル、成功体験などをなるべく多く挙げてみてください。この時点では取捨選択せず、思い浮かんだものをすべて書き出していきます。
何も思いつかないという方は、これまでの仕事やサークル活動などで、何をしていたのかを考えてみましょう。
次に、応募する企業の事業内容や企業理念、業務内容などを調査し、どのような人材・人物像が求められているのか、理解を深めましょう。企業研究が進んだら、先ほど書き出した自身のこれまでの経験やエピソードと照らし合わせ、応募する企業に対してアピールできる内容をピックアップします。
応募する企業にアピールできる経験やエピソードが定まったら、次にそれをどのように活かしていけるのかを考え書き出します。自分が入社することで、応募する企業にどのようなメリットをもたらすことができるのか、採用担当者がイメージできるように明確にまとめましょう。具体的な数値を交えると、より効果的です。
「企業に自分のことをわかってもらいたい」と思うことは大切ですが、詰め込みすぎると、要点をまとめられない人であると判断されかねません。また、多くのことを書きすぎると、一番言いたかったことが何なのかがわかりづらくなってしまいます。
自己PRは300字を目安に、長くても400字以内には収まるようにまとめてください。
自己PRを書く際には、次に挙げる点を意識しましょう。
誤字脱字が不採用に直結するわけではありませんが、マイナス評価につながることは否定できません。応募書類上のケアレスミスは注意力が散漫な印象を与えるほか、「入社後の仕事でも同じような間違いをするのでは?」と疑われてしまうでしょう。
そうしたことを防ぐためにも、書き上げた自己PRは丁寧に見直し、誤字脱字を見つけたら必ず書き直しましょう。
自己PRの内容から採用担当者が読み取りたいのは、「入社後に活躍してくれそうな人材であるかどうか」です。「明るい」「優しい」といった性格的な強みを主張しても、それが仕事においてどのように活かされるかはイメージしづらく、自己PRとしては効果が低いため、具体性を持たせるように工夫しましょう。
また、「営業成績が高かった」とだけ書いてあっても、どのくらい高かったのかがわかりません。「入社後1年で営業成績トップを取った」「表彰されたことがある」「チームの売上を15%アップさせた」など、できるだけ具体的な内容を示すよう意識してください。
自己PRを書く際には一文をなるべく短くし、簡潔にまとめるよう心掛けましょう。一文があまりにも長いと、主語と述語が何なのかわかりづらく、読み手の負担になるためです。
併せて、句読点の位置や使い方にも配慮すると、より読みやすい文章に仕上がります。適宜改行したり、箇条書きでまとめたりすることも、効果的です。
「しかし」「そして」といった接続詞を使うと、その次にくる文章がどのような内容のものなのか、前もって相手に伝えることができます。一方であまりに多用しすぎると、くどい印象になってしまうことが難点です。
接続詞を使いすぎていると感じたら、いったん文章から抜いてみてください。思いのほかスムーズに読めるかもしれません。
前職・現職への不満が志望動機という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ネガティブなイメージの志望動機を記すことは避けるべきです。自己PRに限らず、応募書類作成や面接の際にはポジティブな表現を用いるように意識してください。
たとえば、退職理由が「社内の人間関係の悪さに嫌気が差したため転職したいと思った」ことであったとしても、そのまま書かず、「もっと周囲と協力しながらチームワークを活かした働き方ができる社風の企業に転職したいと思った」といったように、前向きな表現に言い換えましょう。肯定的な言葉の使用は、仕事に対してポジティブに取り組む姿勢をアピールすることにもつながります。
職務経歴書と履歴書で、自己PRに書かれている内容がまったく違うということがないように注意しましょう。職務経歴書と履歴書の自己PRに書かれたことが一致していないと、何をアピールしたいのか不明となり、場合によっては、採用担当者に不信感を抱かれてしまいます。
大げさに感じられる表現や、自慢のように感じられてしまう自己PRを書くと、コミュニケーション能力を疑われてしまう場合があります。いくら高いスキルや実績を有していても、書き方ひとつで採用担当者に悪印象を与え、逆効果となってしまうので注意しましょう。
自己PRの良い例文を、ケースごとにご紹介します。どういった点を参考にしたらよいのかも解説していますので、ポイントを押さえておきましょう。
<例文>
私は、周囲のさまざまな人と垣根なくかかわりコミュニケーションをとることを両親から学び、そのことを心掛けながら過ごしています。中学時代には学級委員長としてクラスメイトを、また高校時代は部活の部長として先輩後輩をとりまとめましたが、いずれにおいてもただ指示をだすのではなく、協調性を意識しながら、同じ目線で物事を考えることを意識してきました。社会人になり、営業部に配属されてからも、同期の仲間同士が共に成長できるよう、チームワークを意識しながら仕事を進めることで、チームは全国の営業チームで第2位の売上を達成できました。
貴社においても、これまでに培った協調性を活かし、貴社の成長に貢献できればと考えています。
<解説>
周囲のスタッフと協力しながら仕事ができる人か、場の空気を乱すような人ではないかは、多くの採用担当者が気にするポイントです。人とのかかわりの中でどのように過ごしてきたのか、また、それによりどのような成果を得たのかを、具体的なエピソードを添えて伝えるようにしましょう。ただし、いくら自分の評価を高めたいからはいえ、嘘のエピソードを書くことは絶対にNGです。あくまで自身の経験の中から協調性につながるエピソードを探しましょう。
以下の記事では、自己PRで協調性をアピール方法について、より詳しく解説しています。
<例文>
一つのことに集中し、真面目に取り組めることが、私の長所だと思っています。以前から、一度好きになったものや興味を持ったものを突き詰めたい性格でした。子供の頃は没頭するあまり自分の殻に閉じこもってしまうこともありましたが、成長し、同じ価値観の仲間や新しい価値観を持つ友人などと出会う中で、一つのことに没頭し積み重ねた知識が誰かの役に立つことの喜びを知りました。そうしてコツコツと身に付けたITの専門性を活かし、前職ではSEとして高度な案件も多く任され、クライアントからも高く評価していただけました。
今後はさらに技術を高め、いずれはプロジェクトマネージャーとして貴社の事業に貢献したいと思っています。
<解説>
アピールポイントとしての真面目さは、抽象的な内容になり過ぎないよう心掛ける必要があります。ただ真面目に黙々と何かをこなすことだけでなく、周囲の人々とのかかわりなどから評価されたことや、そのなかでの気付きを盛り込むことで、客観性のある自己PRにできます。真面目であることで何を身に付けられたかまで触れられればなお良いでしょう。
以下の記事では、真面目さをアピールの方法をより詳しく解説しています。
<例文>
私はこれまで営業成績を上げるために、顧客が抱える問題の分析や、市場分析を独自に行ってきました。その結果、一昨年は売上目標115%を達成することができました。しかし、これに満足することなく、さらに努力を続け、昨年は売上目標130%達成、約300人いる社員の中でMVPを取ることができました。
常に現状に満足せずに上を目指し、そのために努力を続けられることが私の強みです。大きな市場とニーズを有する貴社で、より高い成果を目指していきたいと思っています。
<解説>
「常に上を目指す」「努力を続ける」という自己PRの根拠として、営業成績を数字で提示することで、主張に説得力を持たせています。また、転職する理由と転職後のビジョンがつながっている点も、志望動機として有効です。
採用担当者が読んだときに、自社に貢献してくれるイメージが具体的にわくような内容になっています。
<例文>
WordやExcelなどのMicrosoft Officeのソフトはこれまで日常的に使っており、操作に支障はありません。特に前職においては、単なる操作だけでなく、部署の業務改善や効率化に向けて、既存のWordの書式の見直し、Excelのマクロの新たな構築などを率先しておこないました。その結果、毎月平均1人あたり10時間ほどあった残業時間が半分以下に減少するなどの効率化が実現しました。
今後、Office関連のソフトのスキルをさらに磨き上げることで、貴社のシステムの構築や業務環境に改善に貢献したいと思います。
<解説>
WordやExcelのスキルは、事務職を志望する人であれば保有していて当たり前という風潮もあります。しかし、この志望動機では、どんなことを課題と感じ、それに対してどのような対策をしたのか、業務改善の実績を提示できています。
スキルの面で、WordやExcelをただ使えるだけでなく、フォーマットをアレンジするなど使いこなして、作業を効率化できることを伝えている点も、自己PRとして有効といえるでしょう。
<例文>
新卒で不動産会社の営業職に就きました。オーナー様、管理会社、入居者様と、年齢も経験もさまざまな方々とお付き合いする中で得たのは、営業として一つの方法にこだわるのではなく、広い視野を持ち、言葉や接し方の引き出しを多く用意しておくことの大切さです。お相手の表情や声のトーンから、何を求めているのかを感じ取り、臨機応変に対応することを心掛けてきました。また、あらゆる世代の方とスムーズに会話ができるよう、ニュースサイトや新聞などから情報を得るようになり、知識の幅も広がりました。
この度、同じ営業職として貴社に応募しましたが、前職で得た営業としての基礎はきっと貴社において役に立つものと思っています。
<解説>
採用担当者は第二新卒者に対して、前職で大きな成果を残していることは期待していません。それよりも、前職で短いながらもどんな経験を重ねたのか、どんな心掛けで働いてきたのかを重視しています。自己PRでは、実績を誇張するのではなく、新しい仕事に活かせる経験や意欲を感じさせるアピール内容を考えましょう。
以下の記事では、第二新卒の自己PRについて、より詳しく解説しています。
<例文>
前職では、大手家電量販店でバイヤーを務めておりました。日々店舗にいらっしゃるお客様の動きや、最新のトレンド、店長や本部の方々との情報交換により、どんな製品が求められているかを見極めた入荷を心掛けていました。また、販売スタッフと協力し、どのようなレイアウトで品物を配置すればお客様の購買意欲に結びつくかも検討しました。その結果、他店の平均に比べ年間1.3倍の売上を実現できました。
営業職は初めての経験となりますが、顧客の理想を読み取り提案に反映するという点では、これまでの貴社の法人営業にきっと活かせるものと考えています。
<解説>
未経験の仕事への転職であっても、これまでの経験のなかに、新しい仕事に活かせる経験は何かしらあるはずです。その経験を見つけ出し、新しい環境でどのように活かせるのかをアピールしましょう。この例文のケースでは、ニーズを読み取る力を挙げ、バイヤーと法人営業の仕事に共通するスキルとしてアピールしています。
以下の記事では、未経験であることを有効な自己アピールに変える方法をより詳しく解説しています。
また以下の記事では、自己PRの方法についてより幅広く解説しています。
以下の記事では、職務経歴書をより効果的なアピールにするための方法を解説しています。
続いては、職務経歴書の自己PRにおける、悪い例文をご紹介します。
例文の問題点を挙げ、解説もしていますので、自己PRを書く際の参考にしてください。
<例文>
私は、学生の頃から友達が多く、明るい性格です。みんなでワイワイ盛り上がるのが好きで、ムードメーカーとして積極的に周囲の人とのコミュニケーションをとってきました。前職でも、社内イベントやチームの親睦会を主催することが多く、お客様からもかわいがってもらいました。人を笑顔にするのが大好きなので、自分も周りも笑顔になれるように前向きに働いていきたいと思っています。
<解説>
履歴書や職務経歴書の自己PRは、個人的な場での自己紹介ではありません。自分の魅力を仕事上どのように活かしていけるかを伝える必要があります。
「明るい」「コミュニケーション能力が高い」というのはビジネススキルとしてメリットになりうるものですが、それを具体的にどのように仕事に活かし、会社に貢献していくのかが伝わってこなければ意味がありません。
お客様からかわいがってもらった結果、どのような実績が残せたのか、チームの親睦を深めることでどのような成果が上がったのかについてもアピールしましょう。
また、転職後の仕事で具体的にどのようにスキルを活かしていきたいのかについても伝えることが大切です。
「前向きにがんばる」では、何をどのようにがんばるのかが伝わってきません。「今後も笑顔を大切に、地域で愛される営業としてお客様に寄り添い、成約件数を伸ばしていきたい」など、具体的なビジョンを伝えるようにしましょう。
<例文>
これまで営業マンとして、全国を飛び回って活躍してきました。メール、飛び込み営業、テレアポ、既存顧客営業など、たくさんの営業主婦を経験しています。どんなに難かしい目標を出されたときでも、ポジティブに成積アップを目指して達成してきました。
チームの成積はいつもトップクラスで、個人営業成積でも、居年1位を取っています。御社に転職した後も、営業としてトップセールスを目指していきます。頑張りますので、よろしくお願いします。
<解説>
「営業主婦」や「難かしい」「居年」など、誤字があるのが目立ちます。また、「テレアポ」や「頑張りますので」といった言葉使いは、稚拙な印象を与えてしまうでしょう。
日本語能力は、取引先にメールや手紙を出す際にも必要になるものです。日本語能力が低いと、ビジネスパーソンとしての基礎能力を疑われてしまう場合もあります。
また、文章の見直しをしていない、雑に書いているといった点で、「仕事を任せてもミスが多くなるのでは」という印象を持たれるリスクがあります。
職務経歴書の自己PRを書く際のポイントについてお伝えしてきましたが、採用担当者の評価がアップするような内容に仕上げられるか不安が残る場合は、ぜひマイナビエージェントにご相談ください。
マイナビエージェントでは、求職者の方に向け、職務経歴書の添削サービスを提供しております。キャリアアドバイザーがそれぞれの職種に合わせ、適切な職務経歴書を書くためのアドバイスをさせていただきます。ぜひご利用ください。
職務経歴書の自己PR欄は、自分のスキルを採用担当者に伝え、興味を持ってもらうためにあります。「会ってみたい」と思ってもらえるように、わかりやすく、説得力のある自己PRを書きましょう。文章を客観的に見直すためにも、書き終えた後は、ご紹介したポイントや注意点と照らし合わせて、問題がないか確認してみてください。
採用担当者の評価がアップするような職務経歴書が書けるか不安がある方は、マイナビエージェントにご相談ください。マイナビエージェントでは、求職者の方に向け職務経歴書の「添削サービス」を行っております。キャリアアドバイザーがそれぞれの職種に合わせて、適切な職務経歴書を書くためのアドバイスをさせていただきますので、ぜひご利用ください。
職務経歴書
職務経歴書は全て書かない?情報の取捨選択と効果的な省略テクニック
職務経歴書
職務経歴書はどこまでさかのぼる?効果的な作成方法を解説
職務経歴書
【例文あり】アルバイトのみの職務経歴書はどう書く?3つのポイント