更新日:2024/02/05
企業がサービス・製品を販売する方法は、必ずしも自社で直接売るだけではありません。
保険や通信回線、携帯電話などの商品でよく見かけるように、販売代理店と契約を結んで代理販売してもらう方法もあります。この販売代理店の開拓や既存店の売上アップのためにさまざまなバックアップを行うポジションが「代理店営業」という職種です。
代理店営業は、広い意味では営業職のひとつではありますが、その仕事内容は一般的な個人営業、法人営業とは別物で、業界ごとにも仕事内容に差があるため、「実際のところ、どんな仕事なのか?」がわかりにくい職種となっています。
ここでは、代理店営業の業界ごとの特徴や求められる知識と能力、仕事のやりがいなどについてご紹介します。
目次
代理店営業の仕事を一言で言うなら、自社製品を販売してくれる代理店の開拓やサポートをする仕事です。
一般の営業職との最大の違いは、一般の営業では自分が直接エンドユーザーに商品を販売するのに対し、エンドユーザーに商品を販売するのは自分ではなく、代理店だということです。
自分では直接販売は行わず、代わりに代理店を増やし、彼らが多くの商品の売上を上げられるようにサポートするのが、代理店営業の仕事です。具体的な仕事の内容としては、次のようなものがあります。
新規代理店の獲得です。販売をしたいと応募してきた代理店との面談などを行います。
代理店向けに、サービスや商品の知識や、ノウハウのレクチャーを行います。
代理店に寄せられている相談や苦情、トラブルへの対応をします。
売上を伸ばすために効果のある販売方法のコツを教えたり、代理店経営のアドバイスをしたりします。
代理店が顧客を訪問する際に同行することもあります。
販売代理店の中には一社の商品、またはサービスのみを取り扱う店舗もありますが、どの業界であれ、複数社の商品を扱っているのが一般的です。
そこで、代理店の経営者と対話を重ね、販促ツールや商品ノウハウの提供なども行って、数ある商品の中から、いかに自社の商品、またはサービスを多く販売してもらえるかが代理店営業職の腕の見せ所となります。
代理店営業の主な仕事内容は先にご紹介したとおりですが、業界ごとに少しずつ違いがあります。
ここでは、特に代理店営業の求人が多い、代表的な3つの業界についてご紹介します。
新規代理店希望者との面談や、既存代理店からの問い合わせについての本部への照会、代理店と顧客間のトラブルの仲裁、代理店を集めての定例会議の主催、各種キャンペーンの推進と進捗確認などが主な業務内容となります。複数社の保険を扱う代理店の立場が強い場合が多いので、いかに代理店との良好な関係を築くかが重要になります。
各地の販売ショップを回り、商品や契約に関するレクチャー、販売指導、イベントの企画・実施、クレーム処理を行うのが主な仕事です。ショップの店員と面談を行う場合もあります。
商材は、通信回線やソフトウェアなどさまざまなものがあります。特に通信回線の代理店は企業数も多く、大手企業も多く参入しているという特徴があります。企業によっては、新規代理店の開拓と既存代理店のサポートの担当者を分けている場合もあります。
企業が販売代理店を使うメリットは、自社で拠点を立てたり、人員を配置したりといった費用をかけることなく、販路を拡大できることです。一方、販売代理店からすれば、製品、サービスを販売する度に、企業に手数料を支払う必要はあるものの、自前の商材なしに利益を上げられるメリットがあります。
代理店営業の報酬は「基本給+成果給」という場合が多く、新規に開拓した代理店の数や担当する代理店の売上がどれだけ上がったかなどが評価基準となります。金額にすると、平均年収は423万円(2015~2016年、マイナビエージェント調べ)で、20代では393万円、30代では542万円と、営業職の中でもトップクラスとなっています。
代理店営業は、直接エンドユーザーと関わるわけではありませんが、販売代理店の経営者やスタッフとは頻繁に顔を合わせて、信頼関係を築くことが求められる仕事です。次のような知識や能力は、そんな代理店営業の仕事をしていく上で役立つでしょう。
新たな販売代理店を開拓する上でも、既存の販売代理店と信頼しあえる関係を構築する上でも、こちらの主張をはっきり述べるとともに、相手の立場に立ってものを考え、相手の思いに共感することができるコミュニケーション能力は非常に大切なスキルです。特に代理店営業は、商品の知識や営業ノウハウを説明する機会も多いので、わかりやすく相手に伝える能力は重要です。
代理店に寄せられる苦情への対処や代理店の悩みを聞いて、解決策を提示するのも代理店営業の大事な仕事です。相手の話をしっかり聞き、分析していく力も、代理店営業向きの能力だといえます。
業界などによっては、一人で広範囲の店舗を任されることも少なくありません。受け持ちエリア内で何かがあれば、すぐ現場に足を運ぶなどのフットワークの軽さは、代理店営業に向いているスキルといえます。
代理店営業の仕事は、代理店と人間関係を築き、信頼を得るところから始まります。約束はきちんと守る、受け持ちの代理店を細かくチェックして、うまくいかない時は激励し、売上が上がればすかさず称賛と祝福の声をかける、などの誠実さや細やかな気配りは、できる代理店営業に欠かせない要素です。
代理店向けの講習会やイベントを開くことも多い代理店営業の仕事。その場合、資料や報告書を作る機会も少なくありませんので、WordやExcel、PowerPointなど、一通りのPCスキルや文書作成力、語彙力を身に付けておくと役立ちます。語彙力は、販売店の営業に同行して、一緒に顧客に会う場合にも活用できます。
ここまで、代理店営業の仕事や、必要とされるスキルについてご紹介してきましたが、代理店営業は決して楽な仕事ではありません。しかしその分、やりがいや手応えを感じられる仕事でもあります。
まず、代理店経営者から相談を受けたり情報交換をしたりする時間が長く、経営者の視点を知ることができるのは、ほかの営業職にはないメリットです。また、代理店の営業に同行することで、エンドユーザーの欲求にも間近でふれることができますし、その業界の「プロ」である代理店相手に商品知識を伝える立場なわけですから、自社製品、サービスに対しても深い知識を得ることができます。
さらに、なかなか売上が伸びなかった店舗や代理店スタッフが大きな成果を上げたり、代理店と一緒に開いたイベントやセミナーが成功したりと、「自分で直接売った」のとはまた違った喜びがあるのは、代理店営業ならではの醍醐味です。
このように、人から頼られ、関わった人や店の成長を感じ、ともに喜びあえる代理店営業。がんばり次第で報酬が伸びるなど、やりがいを感じられる仕事であることは間違いありません。興味があればぜひ挑戦してみてください。
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