更新日:2022/04/11
営業において、ヒアリングは今後の営業方針を定めるために重要なプロセスの一つです。ヒアリング力を磨くことで顧客との信頼関係も深まり、提案の精度も高まります。
ここでは、営業におけるヒアリングの上達ポイントやフレームワーク、営業ヒアリングシートの活用方法について解説します。
目次
まず、営業においてヒアリングがなぜ必要なのか、その主な役割を3つに分けてご紹介します。
初対面やまだ十分に関係性が構築できていない顧客との商談ではお互いに緊張感があり、場の空気が暖まりにくいものです。ヒアリングで質問を投げかけながら現状の課題を把握するうちにお互いの緊張がほぐれ、顧客も気軽に疑問点を聞けるようになるでしょう。
ヒアリングによって顧客の現状の課題が言語化されるため、これまで気がついていなかった課題や問題点の可視化ができます。ヒアリングには営業が顧客の課題を知るという目的もありますが、顧客の頭の中を整理するという意味合いもあるのです。
丁寧なヒアリングをおこなうことで、営業自身が今後の課題解決の流れを把握しやすくなります。「顧客はこのような課題を抱えているから、自社の〇〇という商材を提案して解決しよう」といったように筋道を立てて考えられるようになるので、今後の営業活動がスムーズに進められるようになります。
業界のトレンドは常に一定ではなく移り変わるため、最新情報を常に収集することが大切です。どのような情報に関心が集まっているのかを把握し、トレンドに合わせた提案をする状況を整えましょう。
商材のメリットを一方的に伝えると押し付けられているように感じられてしまいます。あくまでも顧客目線のヒアリングを意識し、相手を主語とした課題解決型の営業を心がけましょう。
プレゼンテーションの際は、フレームワークを用いることで顧客の聞き漏らしを減らせる可能性が高まります。ここでは、有名な3つのフレームワークをご紹介します。
SPIN話法とは、
Situation Questions(状況質問)
Problem Questions(問題質問)
Implication Questions(示唆質問)
Need-payoff Questions(解決質問)
の4種類の質問の頭文字から名付けられたフレームワークです。顧客の現状を確認する状況質問では、相手の現状を客観的に確認、把握します。問題質問は、顧客がどのような課題や問題を抱えているのかを把握するための質問です。
一方、顧客はすべての課題を自分で認識しているとは限りません。そのため、「示唆質問」によって表面化していない問題を気がつかせることも重要になります。
そして最後に、これまでの質問で顕在化した課題を解決したときの状態を「解決質問」で確認します。課題が解決すると自社にとってどのような利益があるのかを具体的にイメージすることで、提案を受け入れやすくする効果を持っています。
BANT情報は、
Budget(予算)
Authority(決裁権)
Needs(必要性)
Timeframe(導入時期)
の4つの単語の頭文字から名付けられています。営業にとって特に重要な情報であるとされており、顕在化した課題に対してどの程度予算をかけられるか、決裁権は誰が持っているのか、課題解決の必要性はどのくらいか、いつ頃までに課題を解決するのか、の4つの情報を把握します。BANT情報の内容により提案や商談の進行方法も変化します。
3C分析とは、
Customer(市場・顧客)
Competitor(競合)
Company(自社)
の3つの「C」からなる分析方法です。自社の強みや弱み、顧客の特徴やニーズ、競合他社の現在のシェアや市場における立ち位置などを把握することで、自社がどのように事業を進めていかなければならないのかを明確にします。
営業ヒアリングシートを用意しておき事前に回答をもらうのは有効な方法です。ここでは、営業ヒアリングシートの必要性をご紹介します。
事前に準備した営業ヒアリングシートに沿って回答してもらうことで、情報の抜け漏れを防止することができます。口頭での商談では聞き忘れなどが発生する可能性がありますが、あらかじめ用意したシートを埋めてもらうだけで必要な情報を揃えることができます。
ヒアリングで必ず聞かなければならない質問はある程度決まっているので、一度ヒアリングシートを作りテンプレート化しておけば営業のたびに使い回すことができ、業務効率が向上します。
営業ヒアリングシートを元に気になった点を確認していくことで、より深い部分まで話を掘り下げられるようになり、顧客理解が深まります。信頼関係の強化にもつながり、さらに顧客に寄り添った提案がしやすくなります。
次に、営業ヒアリングシートに必要な項目の紹介をします。
顧客が展開している商品やサービスは誰に対して提供されているのか、ターゲットを確かめるための項目です。
顧客が現在感じている課題を明確にし、その課題を解決するためにどのような提案をしなければならないのか、その方向性を定めるための項目です。
予算や導入時期を知ることで予算感に合わせた提案が可能となり、金額の不一致による失注を防止できます。
競合他社の情報を知ることも重要です。顧客にとっての競合他社を把握することで顧客理解を促進し、より提案の具体性を深められます。
誰が契約の決定を下すのかを知ることは、プレゼンテーションからクロージングにかけての営業方針を定める上で重要です。決裁権を持つ人物を把握し、的確なアプローチをしなければなりません。
営業ヒアリング力を向上させるには、ロールプレイングや同行などさまざまな方法があります。ここでは代表的な3つの方法をご紹介します。
実際の商談を想定したロールプレイングを行うことで自分のヒアリングの方向性を確認したり、不足している部分を修正したりできます。うまくいかない原因はどこにあるのかを把握し、事前準備に漏れがないかどうかを確認できるというメリットもあります。
営業ヒアリングはある程度流れが確立している部分もあるので、決まった流れを慣れるまで繰り返すのも有効です。同じ流れを何度も繰り返すことで時間配分を決めたり省略したり応用したりできるようになり、ヒアリング力が高まります。
成績の良い営業マンのトークを真似するのは上達への近道です。上司や同僚にヒアリングの様子を見たいと交渉し、同行させてもらうのも手段の一つです。
営業ヒアリングの上達ポイントやフレームワーク、ヒアリングシートの活用方法などについてお伝えしてきました。顧客の課題を明確にして今後の営業方針を定める営業ヒアリングは、事前準備が非常に大切です。あらかじめ用意しておいたヒアリングシートで情報の抜け漏れを防いだり、フレームワークを駆使して筋道立てたヒアリングを行ったりして、効率的で効果の高い商談を行いましょう。
また、始めから「売りたい」という意欲を前面に出してヒアリングしたのでは相手の話す意欲を削いでしまうことにもつながります。まずは一人の人間として顧客と向き合い、商品やサービスよりも先にあなた自身を知っていただくような気持ちで話を進めましょう。
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