更新日:2024/04/12
この記事のまとめ
企業を相手にITシステムの導入・運用に関するコンサルティングを提供するのがITコンサルタントの仕事です。ITコンサルタントへの転職を検討しているものの、未経験でも転職が可能なのか不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、未経験からITコンサルタントに転職するルートを紹介します。ITコンサルタントの仕事内容や必要なスキルも解説するため、併せて参考にしてみてください。
ITコンサルタントについて正しく理解したうえで転職活動に取り組めば、ミスマッチに悩むリスクを減らせるでしょう。
目次
ITコンサルタントとは、企業の要望に応じてシステムのコンサルティングを行い、ITを通じて経営や業務の改善につながるシステムの立案・提案をして課題の解決を図る職業です。
具体的な仕事内容は、Webページの改善提案から課題解決のためのシステム開発まで、ITに関係するあらゆる部門(分野)にわたります。
どのようなシステムを構築すれば課題解決を図れるのかについて考える必要があるため、何かひとつずば抜けた能力を持っているプロフェッショナルというより、IT全般にわたる幅広い知識が求められます。
さらに、論理的思考力やコミュニケーション能力の高さも重要です。独立した場合は年収が1,000万円を超えることも多くあり、人気の高い職種のひとつです。
携わっているプロジェクトの数によって動きは変わりますが、ここでは1日のスケジュール例を紹介します。
<出社直後>
クライアントの就業時間に合わせて出社します。出社直後はメールのチェックや返信から始まり、その日のタスクを確認・準備します。
<午前中>
クライアント先で業務に従事することもあれば、午後の打ち合わせに向けて資料作成をしたり、自社内のミーティングに参加したりすることもあります。
<昼休み>
昼休みは業務時間ではないため、基本的には自由に時間を使えます。クライアントやプロジェクトメンバーとのコミュニケーションのためにランチに出かける人や自分の時間を過ごす人など、時間の使い方はさまざまです。
<午後>
クライアントとの打ち合わせやミーティングを行います。また、調べ物や翌日に使用する資料の作成、検討会議への参加など日によって業務内容は大きく変わります。
<退社後>
リフレッシュに充てるほか、社内の勉強会に参加したり資格取得に向けて勉強したりします。退社後もスキルアップに励む人は少なくありません。
下記の記事では、現役のITコンサルタント3名に対し1日の流れをインタビューした内容をまとめています。より具体的に仕事をイメージしたい人は、ぜひご覧ください。
ITコンサルタントとSE(システムエンジニア)はいずれも情報システム開発の上流工程を担当する職種であるため、混同されがちです。ITコンサルタントとSEそれぞれの役割と業務の流れを以下で詳しく紹介します。
ITコンサルタントの役割は、「ITツールを活用し、クライアント企業が抱える経営課題の解決方法を考えること」です。
システムの設計・構築に先立って、顧客企業とコミュニケーションを重ねながら経営課題を可視化し、どのようなシステムを導入すれば解決できるかを提案するのが主な業務です。
提案がクライアント企業に承認されたら開発を担当するSEに要望を伝え、開発現場は要望に沿ったシステムの開発に取りかかります。したがって、基本的にはITコンサルタントのほうが、SEより上流工程を担当する職種となります。
SEの役割は、「顧客企業が要望するシステムを開発すること」です。
SEはITコンサルタントが顧客企業に提案した内容に基づき、どのようなシステムが必要か顧客からさらに詳しくヒアリングします。ヒアリングした内容をまとめてシステムの基本的な要件や設計を決めます。
その後、具体的な開発をスタートするためにさらに細かく仕様を決めて要件定義書を作成し、開発に進みます。開発が終了したら動作テストを実施し、納品するという流れです。
上記のようにして、具体的なITシステムを開発するのがSEの業務です。
ITコンサルタントは豊富な知識に基づいてさまざまな提案をするため、未経験から転職するのは難しいのではないかと感じる方もいるでしょう。しかし、コンサルティング業界全体の市場が拡大してプロジェクトの数が増えていることも影響し、多くのITコンサルティングファームでは未経験者を積極的に採用しています。
別のコンサルティングファームから経験者として転職する人と競争する必要があるのは事実ですが、未経験から転職するのが不可能というわけではありません。
特にプログラマーなどITエンジニアとしてIT業界で活躍した経験があれば、より採用されやすいでしょう。したがって、ITコンサルタントはITエンジニアからのキャリアアップ先としてもおすすめです。
ITコンサルタントの仕事は企業のIT戦略の策定からシステムの見直し、新システム導入の提案、システムの最適化や動作検証まで多岐にわたります。具体的な仕事内容は以下の3つです。転職後のミスマッチを防ぐためにも、事前にどのような業務に携わるのかを明確にイメージしておきましょう。
最初の段階として、クライアント企業の経営者やITの統括責任者から、業務範囲や経営戦略、導入済みのシステム、業務のフローなどをヒアリングします。
ヒアリングを通じて知った内容を整理・分析し、解決を目指さなければならないクライアント企業の課題を洗い出します。
分析結果を踏まえて、新システムの導入など、企業の課題を解決するために何が有効かを提案します。クライアントに対していまの課題は何か、なぜ提案した方法で課題を解決できるのかをしっかり伝えられるプレゼンテーション力が求められます。
プロジェクトが本格的にスタートしたら課題解決を見据えてプロジェクト全体を統括し、必要な人材を集めてチームを編成したり予算を配分したりします。全体の進行状況やクオリティーの管理、必要な軌道修正を担当するのが主な仕事です。
なお、ひと口に「ITコンサルタント」といっても、顧客企業が抱える課題やアプローチ方法などによって業務内容や役割は異なります。
さまざまな仕事内容があるITコンサルタントは、その専門分野によって業種を3つに分けられます。それぞれの業種で求められるスキルも併せて見ていきましょう。自分の適性に合った転職先を見つけるためにも、この機会にひととおり確認しておくことをおすすめします。
「ビジネスアナリスト」はビジネス上の問題が起きたときに経営戦略や会社のあり方などを分析し、問題を解決するための改善案を提示します。
改善案を提示するには、顧客と向き合って要望や課題を聞き出す必要があります。そのため、十分なコミュニケーションスキルが求められる職種です。また、会社の数字や状況を基に問題点の仮説を立てていく論理的思考力も必要です。
「パッケージ導入コンサルタント」は、ERP・SCM・CRMなどのソフトウェアパッケージを提案し、システムの設計・構築から導入までを担当します。
パッケージ(ソフトウェア)を導入するときは、クライアントの状況や要望を正確に理解することが大切です。そのため、クライアントの立場から物事を考える力が求められます。
新しいパッケージを導入するには、クライアントの担当者や担当部署に納得してもらう必要があるため、粘り強く交渉できる熱意のある人が向いているでしょう。
「PMO」は「Project Management Office」の略で、プロジェクトの進行状況管理などのマネジメント業務を担当します。プロジェクトを円滑に進めるためには欠かせない存在です。
物事を俯瞰的に見て、プロジェクトの全体像を把握できる論理的な人が向いています。また、プロジェクトチームだけでなく、他社(企業)と関わる機会が多いため、IT関連のスキルだけでなくビジネススキルやコミュニケーションスキルも重要です。
ITコンサルタントはITを活用してビジネスの川上から川下まで俯瞰で捉えて企業経営を支援する職種のため、具体的な職種は多種多様です。
主な職種は経営戦略・ビジネス最適化・顧客戦略・サプライチェーンの効率化の視点から大きく4つに分類されます。ここでは、ITコンサルタントの代表的な4つの職種の業務をそれぞれ見ていきましょう。
顧客企業のCIO(最高情報責任者)などの悩みを解決するため、ITを経営戦略の一部として活用し、どう事業に貢献させるのかといったデジタル戦略の立案を担当します。
「企業価値を向上するためのツール」としてITを位置づけ、経営戦略に沿ったIT戦略の立案や具体的な計画の策定などを担う職種です。ITを活用して企業の業績アップや新ビジネスの開拓をサポートします。
IT戦略コンサルタントにはITの専門家としてだけではなく、マネジメントなど専門領域以外にも広く関心・興味を持つ積極的な姿勢が求められます。
企業の経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報をシステム化して統合的に管理・配分し、経営の効率化を図ります。
クライアント企業の経営課題を解決することが求められ、そのために必要なITシステムの要件定義、設計から開発までのマネジメントを担う職種です。
クライアントが抱える経営課題を把握して適切な対応を図るうえで、クライアントの業界や業務・ビジネススタイルに関連する幅広く深い知識が求められます。
また、クライアントの業務やニーズをまとめるため、社内外でのコミュニケーションスキルや高い論理的思考力が要求される職務といえるでしょう。
Webサイトやアンケート・コールセンター・セールスなどからもたらされる顧客情報を分析し、そこから個々の顧客のニーズを把握します。顧客のニーズに応じた商品・サービスをタイムリーに提供する仕組みを構築することで、顧客企業の売り上げ・利益の向上を支援するのがCRMコンサルティングの仕事です。
具体的には、顧客戦略の立案支援やソリューションの検討・提案、導入プロジェクトの設計・マネジメントなど、クライアントの状況や要望に応じたコンサルティングを行います。
CRMコンサルタントはクライアントのさまざまな部門と連携し、広い視野を持って顧客戦略の立案から導入・実行まで支援する職種です。日々の業務においては論理的思考力やコミュニケーションスキル、主体的に課題解決を目指す姿勢など、多様なスキルが求められます。
SCMコンサルティングは購買調達・製造・物流・販売・サービスを含め、供給者から最終消費者に至る情報の流れを整理・統合してサプライチェーン全体の効率化と最適化を図ることで、顧客企業の課題解決・収益改善を支援します。
ITコンサルタントを目指す人がまず知っておきたい職務内容や必要なスキル、働き方、やりがいを以下で詳しく説明しています。こちらも併せて参考にしてみてください。
未経験でITコンサルタントに転職する場合は、選考に突破するために必要なスキルを習得しておくことが大切です。以下では、ITコンサルタントとして活躍するうえで欠かせない3つのスキルを紹介します。いずれも短時間で習得できるものではないため、日頃からスキルアップを意識しましょう。
クライアントの課題解決に役立つITシステムを提案するには、IT全般の知識が必要です。十分な知識がなければ、技術を活用してどのようなことを実現できるのかが分からず、提案するのが難しくなるでしょう。
そのため、プログラミングやハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・セキュリティーといったIT分野の知識を幅広く身につけることをおすすめします。世の中でどのような技術が積極的に使われているかにも目を向けましょう。
技術が進歩したことで新しいことができるようになったり、よりよい開発手法が編み出されたりするケースもあります。最新技術を積極的に提案することで、クライアントからの信頼を得られるようになるのも大きなメリットです。
直面した課題の背後に隠れている原因を可視化し、適切な解決策を立案するうえでロジカルシンキングが求められます。ロジカルシンキングは複数の物事の関連性を適切に整理し、それぞれの間にある論理的なつながりを考える思考方法です。
課題解決を例にすると、抱えている課題と原因にはどのような関係性があるのか、提案した解決策がなぜ有用なのかを論理的に考える必要があります。説得力がある提案をすることにもつながるため、日頃からロジカルシンキングを意識しましょう。
特定のプロジェクトがスタートしたら、ITコンサルタントはマネージャーとしてさまざまな業務に携わります。スタート段階では必要な人員を調達して予算を割り当て、プロジェクトがスムーズに進むようにするのが主な仕事です。
進行中は作業状況を管理して予定どおりに完遂できるように必要な調整を行います。予想外のトラブルが発生したときは、必要に応じて調整したりクライアントと交渉したりすることも必要です。
上記の業務をスムーズにこなすには、課題設定力やヒューマンスキル・リーダーシップといったマネジメントスキルが求められます。
いくら知識があっても、顧客から要件や課題を引き出せなければ正しいコンサルティングはできません。また、自分の意見ばかり主張してほかの意見に耳を傾けないようでは、チームのメンバーはついてこないでしょう。
そのため、ITコンサルタントには顧客やチームとの信頼関係を築いて業務を円滑に進めるための高い「コミュニケーションスキル」が欠かせません。
ITコンサルタントはさまざまな制約がある中で、可能な限り顧客の要望に応えていく職です。メンバーや予算が少ない状況であってもプロジェクトを成功に導くことがITコンサルタントの仕事です。業務を成功に導く強い「精神力」が必要といえるでしょう。
ITコンサルタントには、ビジネスレベルで通用する英語力も必要です。
日本国内向けのビジネスを展開している外資系企業から依頼を受けることは珍しくありません。これまで国内展開を中心にしていた企業が国外展開するケースもあり、それに伴った相談を受けることもあるでしょう。このような案件を担当するときは、ビジネスレベルの英語力があれば話もスムーズに進み、仕事の幅が広がります。
どのような職種にも向き不向きがあり、ITコンサルタントも例外ではありません。未経験で転職しようと考えている人は、自分がITコンサルタントに向いているかをまず考えましょう。
ここでは、ITコンサルタントに向いている人に共通する4つの特徴を解説します。自分がそれぞれの特徴に当てはまっているか、時間を取って確認することでミスマッチのリスクを減らせるでしょう。
ITコンサルタントはビジネスの課題を解決するためにIT技術を活用する職です。ビジネスとITはいずれも急速に変化する分野であり、これまで主流だったことがすぐに時代遅れになるケースもあります。
そのため、最新の知識・スキルに基づいたコンサルティングを提供するには、日頃から勉強して常に自分の知識やスキルをアップデートすることが大切です。毎日短時間でも最新技術やトレンドについて学ぶ時間を設けましょう。
良質なコンサルティングサービスを提供するには、経済全般やビジネスに関する深い知識も求められます。コンサルティングの目的は、顧客企業の課題解決やビジネスの拡大をサポートする点にあるためです。
したがって、ITだけでなくビジネスや経営にも関心がある人に向いている職といえます。国際社会の動向や市場の様子、経済政策などに関する情報も日頃から収集するとよいでしょう。
ITコンサルタントとして働いていると試行錯誤しなければならない状況に直面しがちです。クライアントの課題を可視化しても原因が判明しなかったり、原因が判明しても有効な対策が分からなかったりするケースもあります。
ほかにも、提案した解決策を試しても思ったような効果が出ず、試行錯誤しなければならない状況にも陥りがちです。そのため、ITコンサルタントは何度も試行錯誤してさまざまな施策を試せる人に向いています。
プロジェクトを統括する立場で働くという都合上、強力なリーダーシップを発揮できることは重要なスキルです。リーダーシップは、チームメンバーと良好な関係を築きつつ目標を達成するために欠かせません。
途中でチームが分裂したり協力体制が失われたりしないようにするには、ITコンサルタントがリーダーシップを発揮して正しく導く必要があります。リーダーシップを培うには時間がかかるため、日頃から意識しておくとよいでしょう。
ITコンサルタントにはITやビジネス、経営などのさまざまな分野における豊富な知識と経験が求められます。ITコンサルタントとしてキャリアアップするには、資格を取得するのも有効です。
IT関係の資格は数多くありますが、ここでは代表的な3つの資格について紹介します。仕事の幅を広げるためにも、ぜひ挑戦してみることをおすすめします。なお、ここで紹介している資格試験の概要や対策方法などは、以下の記事に詳しくまとめています。
「ITコーディネータ」は特定非営利法人ITコーディネータ協会が認定する民間資格で、2001年に通商産業省(現・経済産業省)によって設けられました。資格を取得すると、ITと企業経営両方の知識を十分なレベルで有していて、経営者の立場から助言・支援を行い、IT経営を実現するスペシャリストであることを証明できます。
また、IT企業だけでなく製造業やサービス業・小売業・医療機関・教育機関など、ITを導入しているさまざまな企業(分野)でスキルを活かせます。
「中小企業診断士」は、経営コンサルタントとして活躍するのに役立つ国家資格で「日本版MBA」ともいわれています。
中小企業が抱える経営課題の診断や助言を行うプロフェッショナルで、企業と行政や金融機関のパイプ役を果たしたり、中小企業の経営課題を解決する施策を立案・提案したりするなど、業務の範囲が幅広いことが特徴です。
本資格を取得することで「経営全般の高度な知識を有している」ことを証明できます。
「プロジェクトマネージャ試験」は情報処理技術者試験のひとつで、日本のITコンサルタントの多くが最初に目指す資格試験といわれています。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの責任者として計画の立案や要員の確保、予算・納期・品質などを管理します。ITコンサルタントとして活躍するうえで欠かせないマネジメントスキルを証明するのに役立つため、ぜひ取得を目指してみましょう。
ここではITコンサルタントへの転職を考えている人を対象に、ITコンサルタントならではの面接対策を5つの項目に分けて紹介します。応募先企業の選考担当者に自分を魅力的な人材としてアピールするためにも、事前にチェックしておきましょう。
すでに具体的な要望があるSE(システムエンジニア)とは違い、ITコンサルタントは自ら率先してクライアントの課題を見つけ、改善策を論理的に提案することが重要といわれています。
面接の際も同様で、選考担当者の質問に対して理路整然と論理的に答えられるかがポイントです。正確な答えでなくても、回答へ至るプロセスが論理的であれば好印象を持たれるでしょう。
そのためには、「ポイントを押さえて端的に結論を述べる」「はっきりと話す」などの基本が大切です。また、じっくり考えて答えを導くタイプより、質問に対して即座に反応し、無理やりにでも結論を導き出す人のほうが「柔軟性がある」と好まれる場合もあります。
もちろん、じっくり考えて答えたほうがよいこともあるため、選考担当者とのコミュニケーションを通じてどちらが好まれるのかを探ってみましょう。
顧客をはじめ、多くの人と接する機会が多いITコンサルタントには、コミュニケーションスキルが不可欠です。そのため、面接のときに「人間性」や「面白さ」が問われる場合もあります。
そのような質問に対しては、どうすれば「一緒に働きたい」と思わせられるかを考えることが面接の突破口になるでしょう。
日々さまざまな業務を担当するITコンサルタントとして活躍するには、常に自らの腕を磨くこと(自己鍛錬)が大切です。
特に面接では「ITコンサルタントになるためにいまどのような勉強をしているか」「ITコンサルタントになるために不足しているものが何で、どのような対策を立てているか」などの質問に答えられるようにする必要があります。努力の成果を面接でアピールしましょう。
顧客からの理不尽な要求に応える必要もあるITコンサルタントは、ほかの職種と比べても激務であるといわれています。
そのため、長期的に活躍するには体力や精神力が求められる職種です。面接では基礎体力や精神力、これまで直面した苦難をどう乗り越えてきたかをアピールすることも重要といえます。
ITコンサルタントは顧客と接する機会が多いため、SE以上に第一印象が重要です。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによると、人の第一印象は「言葉や話の内容」よりも非言語である「外見・動作・表情・話し方・抑揚」などが大きく左右するとしています。
中でも影響力を持つのが、外見・動作・表情などの視覚情報です。ITコンサルタントの面接では、「服装」や「清潔感」はもちろん、話すとき(聞くとき)の「表情」を意識しましょう。
転職するにあたって、年収水準は気になるポイントのひとつです。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、ITコンサルタントの平均年収は660万4,000円です。SEやプログラマーといった開発を担当するITエンジニアの平均年収が約550万円であることを考えると、ITコンサルタントの年収水準は高いといえるでしょう。
そのため、ITコンサルタントはそれまでのITエンジニアとしての経験を活かしてキャリアアップしたいと考えている人におすすめの転職先です。年収アップを実現したいと考えている人も、ぜひITコンサルタントへの転職を検討してみてはいかがでしょうか。転職後に十分な成果を上げれば、さらなる年収アップも期待できます。
参照:ITコンサルタント|職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag|厚生労働省
参照:システムエンジニア(業務用システム)|職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag|厚生労働省
ITコンサルタントへの転職を図る人の中でも、IT業界経験があるほど勘違いしやすいことがいくつかあります。ここでは、代表的な勘違いを5つ紹介します。
ITコンサルタントになるために特定の資格は必要ありません。よくある勘違いは、「MBA」や「中小企業診断士」「ITストラテジスト」などの資格を取得すれば、一人前のITコンサルタントになれるというものです。
それらの資格を取得することで基本的な知識を持っていることは示せますが、ITコンサルタントとして十分な知識を持っている証明にはなりません。
また、有名なコンサルティング会社は高学歴の人を多く採用する傾向にあるものの、有資格者が多いということはありません。これは、資格は「働き始めてからでも取得できる」ことが理由のひとつといえるでしょう。
ITコンサルタントが活躍する現場には試験や教科書に書かれているようなステレオタイプな問題はほとんどないため、柔軟性が求められます。
ITコンサルタントに転職するうえでSEなど開発経験があったほうがよいのは事実ですが、開発経験がなければITコンサルタントに転職できないわけではありません。
未経験者を積極的に採用しているIT系コンサルティングファームは多く存在しており、理系ではなく文系の人もいます。IT業界未経験者であっても「マネジメント経験」や「ロジカルシンキング」などのコミュニケーションスキルが評価されるからです。
これは、ITコンサルタントに求められる主な仕事が「顧客企業の現状分析」「課題抽出」「解決に必要な企画提案」など、ITに関わる前段階のものが多いためと考えられます。
システム面に関連する事柄のうち、自身で解決できない問題については、SEやプログラマーなどのITエンジニアに相談すると専門的な助言を受けられるでしょう。
20代などの若手人材でなければ、ITコンサルタントに転職するのは難しいといわれることもあります。未経験で転職するのであれば、若いほうが有利なのは事実です。
しかし、ITエンジニアの経験があるなど一定のスキルを有していれば30代や40代でも転職を目指せます。コンサルティングに携わった経験がなくても、IT業界でプロジェクトマネージャーとして働いた経験があればより高く評価されるでしょう。
若手人材でなくてもチャンスは開かれているため、ITコンサルタントを目指したいのであれば積極的にチャレンジすることをおすすめします。
大手ITコンサルタンティング会社の中には外資系企業も多く、漠然と「英語が話せないと駄目」と勘違いしている人も多いのではないでしょうか。この疑問に対する正しい認識は「英語力は必須ではないが、できたほうがよい」です。
外資系のコンサルタンティング会社では上司が海外出身者である可能性が一般企業より高いだけでなく、海外に行く機会もあるため、英語が必要になるでしょう。しかし、応募の段階ではそこまで重視されないケースもあります。
英語力に関して重視されるのは、勉強する姿勢です。企業によっては支援金が用意されていたり、英語力向上のための研修体制が整っていたりするところもあるため、一度チェックしてみましょう。
自身のスキルアップのためによい機会と捉えて、英語を習い始めるのもおすすめです。また、外資系企業も日本国内のプロジェクトを多数抱えているため、まったく英語を使わないプロジェクトも存在します。英語力に自信がなくても、積極的に応募してみましょう。
コンサルティング会社はどちらかというとドライなイメージや個人の能力で仕事をしているイメージがあるかもしれません。しかし実際には、チームワークがないとうまく進められない仕事です。
それぞれのプロジェクトは、ITコンサルタントを含めた各分野のスペシャリストでチームを編成して実施されることが一般的です。プロジェクトの規模によっては、関わる人数も多くなります。
チームワークを発揮してプロジェクトを進め、顧客企業の要望に応えていかなければならない環境です。そのため、良好な人間関係を築いてチームワークを発揮することが求められます。
ITコンサルタントはITに関係するさまざまな技術を活用し、クライアント企業の経営課題を解決するために働く職種です。未経験者を積極的に採用しているコンサルティングファームもあり、コンサルティング業界の経験がない人でも転職できます。
ITエンジニアの経験がある人は、より有利に転職できるためキャリアアップ先としておすすめです。ITコンサルタントを目指したいと考えている人は、ぜひ積極的に検討してみましょう。
自分にとってどのように転職活動を進めるのが最適か分からずに悩んでいるなら、ぜひ一度マイナビITエージェントにご相談ください。マイナビITエージェントでは、一人ひとりに合った転職を実現できるようにプロのキャリアアドバイザーがサポートします。
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