更新日:2024/02/07
この記事のまとめ
さまざまな技術やITに関する知見を活用し、クライアントの経営課題を解決する職がITコンサルタントです。キャリアアップ先としてITコンサルタントを目指しているものの、自分に向いているのか不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ITコンサルタントの具体的な仕事内容と向いている人の特徴を紹介します。転職してから後悔しないためには、適性の有無を事前に考えることが大切です。ITコンサルタントが自分に合っている仕事であると確信できれば、自信を持って転職活動に臨めるようになるでしょう。
目次
ITコンサルタントの主な仕事は、クライアントが抱えている課題に対してITを活用した解決策を考え、提案することです。具体的には以下のような仕事に取り組みます。
抱えている課題は企業によって多種多様なため、ITコンサルタントは幅広い業務を担当します。ITスキルだけでなく、経営スキルや課題解決力など広範なスキルが求められる職種です。
自分がITコンサルタントに向いているのか分からず悩んでいるのであれば、以下で紹介する5つのポイントに当てはまるか考えてみましょう。実務においては、IT以外の分野に関係するスキルや知識・興味・関心が求められます。
下記で紹介するポイントのうち、自分に当てはまるものが多ければITコンサルタントに向いている可能性が高いと判断できるでしょう。
ITコンサルタントはシステムを導入したりインフラを整えたりするのではなく、依頼を受けた企業の経営課題を解決することがメインの仕事です。クライアントが抱える課題に対して適切な解決策を提案するには、ビジネスや経営に関する知識・スキルが欠かせません。
そのため、ITだけでなくビジネスや経営・経済全般に関して興味を持てる人に向いています。自分から進んで情報を収集し、最新の知識を得ることも求められるでしょう。
技術が進歩するスピードは速く、次々に新しい技術が登場したり既存の技術が改良されたりします。ビジネスに関しても同様で、市場の動向やユーザーのニーズに対応するためにトレンドが急速に変化するのも普通のことです。
そのため、ITコンサルタントには常に最新の知識を取り入れることが求められます。これまで解決が難しいと考えられていた課題であっても、技術の進歩によって解決できるようになることもあるでしょう。
そのようなときは、最新の技術に基づいた対策を提示することでクライアントが抱える経営課題の解決を目指せます。クライアントの満足度と自分の市場価値の双方を高めるためにも、日頃から最新情報を取り入れるようにしましょう。
クライアントの期待を背負って業務に取り組むITコンサルタントには、常に目標達成を目指して前進することが求められます。最終的な目標は経営課題の解決による売り上げアップや収益力の向上ですが、そこにいたる道筋にはさまざまな困難が待ち受けているでしょう。
クライアントから依頼を受けた段階では、課題そのものが明らかになっていないこともあります。そのような状況の中で試行錯誤しながら業務に取り組んでいると、目標を見失うことがあるため注意しなければなりません。
クライアントからは売り上げアップを含めて明確な成果を出すように求められるのが通常です。したがって、難しい状況でも目標を見失わずに数字を追い掛けられる人はITコンサルタントの適性があります。
まだ明らかになっていない答えを探したり、課題に対してどのようにアプローチすれば効果的かを考えたりするには、柔軟な思考力が求められます。ヒアリングを通じて明らかになった断片的な情報や収集したデータから、根本的な原因を探らなければならないこともあるでしょう。
特定の理論や固定観念にとらわれず、さまざまな観点で物事を考えて解決策を探すためにはロジカルシンキングやラテラルシンキング・クリティカルシンキング・アナロジー思考といったさまざまな思考パターンを駆使する必要があります。ITコンサルタントを目指すのであれば、日頃から思考力を鍛える努力にも取り組むことをおすすめします。
クライアントとのヒアリングやシステム開発を担当するITエンジニアとの打ち合わせなど、ITコンサルタントとして働くと他者とコミュニケーションを取る機会が多くあります。誤解がないように意思疎通を図り、プロジェクトを前に進めるには高いコミュニケーションスキルが欠かせません。
そのため、ITコンサルタントは他者とのコミュニケーションが得意な人に向いています。日頃からスムーズにコミュニケーションを取ることを意識し、ヒアリングスキルやプレゼンテーションスキルをはじめとしたコミュニケーションスキルを磨きましょう。
以下で紹介する3つの条件に該当する人は、ITコンサルタントに向いていない可能性があります。適性がないのに転職すると、後悔する結果につながりかねません。
もし自分が以下の条件に該当しているのであれば、転職を決断する前に本当にITコンサルタントが望んでいる職なのか考え直してみることをおすすめします。
ITコンサルタントは自分で何らかの成果を出す職ではなく、クライアントが成果を出すことをサポートする職です。経営課題を解決したり売り上げの大幅アップに成功したりしたとしても、自分の成果は表に出ないことが多いでしょう。
そのため、「クライアントのために働く」という意識が求められます。他者をサポートすることが得意ではなく、自分で成果を出したいと考えている人には向いていない環境です。
自分の成果を追求したいと考えているのであれば、ITコンサルタントよりITエンジニアやプロジェクトマネージャーとして活躍する道を考えたほうがよいでしょう。
答えが明らかになっていない課題や容易に解決できない課題に向き合うこともあるのが、ITコンサルタントの仕事です。課題は明確になっていても、原因が分からないケースもあります。
そのようなときには、仮説立てや検証を繰り返して物事の本質にアプローチしなければなりません。立てた仮説が正しいとは限らず、何度も変更しながら試行錯誤することもあるでしょう。
なかなか答えにたどり着かないときでも、諦めずに取り組む姿勢が求められます。したがって、問題に直面したときにすぐに諦めてしまう傾向がある人には向いていない職です。
日々の業務では、常に最新の情報に基づいて解決策を考える必要があります。IT分野・ビジネス分野のいずれも、知識やスキルが日々アップデートされるためです。
そのような環境でITコンサルタントとして活躍し続けるには、日頃から学習に励んで最新の知識・スキルを習得しなければなりません。常に勉強することが求められます。
勉強が苦手だと感じる人には、厳しいキャリアになる可能性が高いといえるでしょう。自分がITやビジネス・経済について長期的に学び続けられるか考えてみることをおすすめします。
実際にITコンサルタントを目指してキャリアアップする場合、どのようなルートがあるのか見ていきましょう。以下では、ITエンジニアとして働いている人がITコンサルタントを目指すときのルートを紹介します。ITエンジニアのキャリアを活かしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
まずはITエンジニアとして開発経験を積み、さまざまな技術を使用したシステムに触れましょう。ITコンサルタントとして活躍するには豊富なIT知識が欠かせないため、ITエンジニアの経験は大きな強みになります。
Webエンジニアやシステムエンジニアなど、ITエンジニアといっても具体的な職種はさまざまです。中には未経験からでも目指しやすいITエンジニアもあるため、IT業界におけるキャリアの入り口としてもおすすめといえるでしょう。
ITエンジニアとして働いている間は開発経験を積むだけでなく、リーダーや企画・設計といった上流工程にも積極的にチャレンジすることが大切です。
ITエンジニアとしてある程度の経験を積んだら、プロジェクトマネージャーにキャリアアップしましょう。社内でキャリアアップする方法と、転職で目指す方法の2パターンがあります。スキルや経験・待遇などを考慮して自分が納得できる道を選びましょう。
プロジェクトマネージャーになったら、できるだけ多くのプロジェクトに参加してマネジメント経験を積みます。日々の経験を通じてIT技術がビジネスにおいて果たす役割が徐々に見えてくるでしょう。
プロジェクトマネージャーの経験をある程度積んだら、コンサルティングファームへの転職を目指しましょう。ITコンサルタントもプロジェクトを統括するケースが多いため、プロジェクトマネージャーとしてチームのマネジメントに携わった経験は大いに役立ちます。
開発現場のことや技術についても知っているため、クライアントに実践的な解決策を提示しやすくなるのもメリットです。
また、マネジメント経験を通じて培ったコミュニケーションスキルは、ヒアリングや提案・交渉の場で発揮できます。プロジェクトマネージャーからITコンサルタントを目指すルートのメリットは大きいといえるでしょう。
転職するにあたって、年収水準が気になる人もいるのではないでしょうか。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の結果」によると、ITコンサルタントの平均年収は660万4,000円です。
また同調査の「所定内給与額別の人数割合」を見ると、月に20万円台中盤・40万円台前半・50万円台前半の給与をもらっている方が多い傾向にあります。中でも多いのは、40万円~44万9,000円で全体の約16%です。年齢別にチェックすると20代前半から30代前半にかけて年収水準が上昇し、45歳~49歳の759万8,900円でピークを迎えます。
システムエンジニアの平均年収が550万2,000円であることと比較すると年収水準は高く、キャリアアップ先としておすすめの職種といえます。
参照:ITコンサルタント|職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag|厚生労働省
一口にITコンサルタントといっても、担当する仕事によっていくつかの種類に分けられます。ここでは、代表的な「PMOコンサルタント」「SCMコンサルタント」「ERPコンサルタント」の3職種の概要を見ていきましょう。
転職後にどのような働き方をするのかを知ることで、ITコンサルタントが自分に向いている職なのか、どの分野を目指すとよいかを理解しやすくなります。
プロジェクトマネージャーをサポートする組織「PMO(Project Management Office)」で活躍するのがPMOコンサルタントです。さまざまな企業で進行している多くのプロジェクトを成功にさせるには、適切なマネジメントが欠かせません。
PMOコンサルタントは、各プロジェクトに参加して企画や進行状況の管理・ステークホルダーとの交渉などの業務を担当します。これまでに培った開発経験やマネジメント経験を活かせる職といえるでしょう。
SCMは「サプライチェーンマネジメント」の略称で、さまざまな商品の生産者から消費者までをつなぐ物流システムの構築をサポートする経営手法です。
物流に携わる企業は数多く存在するため、全体を効率化するにはシステムを統合して最適化する必要があります。そのような場面で活躍するのが、SCMコンサルタントです。
SCMコンサルタントは、物流に関係する企業の経営課題を解決するための戦略立案・実行をサポートします。具体的には、ITシステムのひとつであるSCMシステムを導入することで解決を目指します。課題を解決するために必要なシステムがどのようなものかを考え、導入・運用をサポートするのがSCMコンサルタントの仕事です。
経営課題を抱える企業に対して、ERP(Enterprise Resource Planning)システムの導入を進めることで解決策を提示するのがERPコンサルタントです。ERPとは、企業が保有している経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を全社的に一元管理するための計画を指します。
ERPコンサルタントは、上記の目的を達成するためのITシステムであるERPシステムの導入をサポートする職です。各社が抱えている課題を解決するにはどのようなERPシステムを導入するとよいかを考えて提案し、導入・運用をサポートします。
ITコンサルタントとして経験を積むと、さらなるキャリアアップの道が開かれます。具体的なキャリアパスは多種多様で、その一例は以下のとおりです。
日々のコンサルティング業務を通じて経営やビジネスに関する知識・スキルを高めれば、さまざまなフィールドで活躍できるでしょう。働いていく中で自分が目指したい分野を見つけたら、積極的にチャレンジしてみることをおすすめします。
IT技術を活用して企業の経営課題の解決を目指すのがITコンサルタントです。IT関連のスキルや経営知識・ビジネススキルを活かせるため、ITエンジニアやプロジェクトマネージャーからのキャリアアップ先として向いています。
転職を検討している人は、自分に向いている職かを考えてから行動に移すとよいでしょう。転職先を探すときは、ミスマッチを防ぐために転職エージェントの力を活用するのもおすすめです。
マイナビITエージェントでは、IT業界に精通したキャリアアドバイザーが転職をサポートしています。自分のスキル・経験を活かせる転職先を探すためにも、ぜひ一度ご相談ください。
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