更新日:2022/04/01
ITコンサルタントになるためには、特定の資格は必要ありませんが、さまざまな資格を取得しているほうが、顧客から信頼を得るためには有利であるといわれています。
しかし、関連する資格の数は多岐にわたり、「どの資格がより重要かわからない」と悩む人も多いのではないでしょうか。
そこで、ITコンサルタントへの転職が有利になる資格を5つにしぼり、それぞれのメリットと試験対策をご紹介します。
ITコンサルタントの仕事内容やキャリアパスなどの詳細については、こちらをご覧ください。
>>IT・エンジニアの職種図鑑
目次
ITコンサルタントの主な仕事は、企業の課題を把握しITを活用して解決する事です。
言ってしまうと「課題解決」ができれば良いので、資格がなくてもITコンサルタントに転職することは可能です。
しかし、解決する課題には、経営戦略に沿ったIT戦略の提案やプロジェクトの進捗管理などがあります。
他にも、導入するシステムの提案・開発や運用テストなど、とにかく業務の幅が広いです。
資格を取得していればその分野について頼ることが出来るという証明かつアピールになります。
ITコンサルタントには高いITスキルが必要とされるため、難易度が高い資格がほとんどです。
だからこそ、転職の際にも大きなアピールポイントになりやすいのです。
資格の勉強をすることで経営に関する知識も身についていくので、現職での働き方も良い方向に変わっていき、評価につながる事もあります。
転職で有利になる資格について、次の段落でご紹介します。
「ITコーディネータ(ITC)」は、2001年に国家プロジェクトの一環として設けられた経済産業省が推進する資格のひとつです。
内容は「ITストラテジスト」と重なる部分がありますが、ITコーディネータは毎年更新が必要な資格である点が大きく異なります。
ITコーディネータを更新するには、「実践力ポイント」(下記参照)を一定数獲得すること、実務活動報告書の提出、さらに3年ごとのフォローアップ研修の受講が必要となります。
ITコーディネータ試験では、経営やマネジメントに関する知識も問われるため、資格を取得することで「ITの知識に加えてビジネス知識にも明るい」人であるという裏付けになります。
さらに、毎年資格の更新が必要になるため、常に「最新のスキル」を持っている(勉強を続けている)という信頼も得られます。
ITコーディネータ試験の問題は、複数の選択肢から選ぶ「多肢選択式」を採用しています。
試験時間は120分ありますが、問題数が100問と多いため、熟考する時間はありません。
素早く、正確に答えていくスピードが必要になります。
なお、ITコーディネータ協会が認定する「公認会計士」「中小企業診断士」「PMP」などの有資格者は、一部の選択問題が免除された60問の試験(制限時間は80分)をクリアすれば資格が得られます。
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※受験料は2018年2~3月実施の試験募集要項による(2017年12月現在)
「ITストラテジスト」は、経済産業省が認定し独立行政法人情報処理推進機構が実施している国家資格です。
経営戦略に基づくIT戦略を立案、システム全体の計画を立てて開発プロジェクトを支援する役割を担うCIO(Chief Information Officer/最高情報責任者)やCTO(Chief Technology Officer/最高技術責任者)に最適ですが、ITコンサルタントを目指す人にとってもプロフェッショナルであることを示すにふさわしい資格といえます。
ITストラテジストの試験に合格するためには、経営戦略を正確にとらえ、課題を把握し分析する能力が必要です。
当然、ITに関する幅広い知識や経験も要求されます。
経営とITの両面を高いレベルで理解していることを客観的に示す資格ですから、これを取得しているITコンサルタントは企業から高い評価を得られます。
IoTやビッグデータ、AIなどITに関する技術は飛躍的に伸びているため、これらを活用できない企業は世界から取り残されてしまうという懸念があります。
ITの技術と経営の戦略を高次元で描けるITストラテジストの需要は、世界を相手に戦う大企業ほど重視しているのです。
試験は午前中に選択問題(30問・50分と25問・40分の2回)が出され、午後は記述・論述(最低2,000字・90分と120分)のテストが行われます。
市販の参考書で学習することが前提となりますが、試験ではIT関連の細かい知識は問われません。
また、論文では文章力が重要視されます。
ITの知識を踏まえた上で、物事を筋道立て、論理的な文章を書くことが重要になります。過去問を解くだけでなく、文章を書く訓練を積み重ねることが大切です。
難度の高い試験ですから、自己流の勉強だけでなく、専門学校や通信教育・講座などを受講することも視野に入れておきましょう。
なお、「応用情報技術者試験(AP)」「情報処理技術者試験(高度試験)」「情報処理安全確保支援士試験」の合格者、及び「情報処理技術者試験(高度試験)」もしくは「情報処理安全確保支援士試験」の午前I試験で基準点以上の成績を修めた人は、最初の試験(選択問題30問)を免除されます。
条件を満たしてから2年間は免除期間となるので、該当する人は必ず申請するようにしてください。
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※受験料は2017年12月現在のものです。
「中小企業診断士」は、中小企業支援法の第十一条に基づいた経営コンサルタントに関する、ほぼ唯一の国家資格です。
ここまでに紹介してきたものとは違い、ITに特化した資格ではありませんが、中小企業の経営診断や助言を行うことができるため業務の対象は幅広く、有資格者は大企業からも高く評価されます。
中小企業診断士の取得は、「企業経営に関するコンサルティングのエキスパート」である証明です。
経営課題の洗い出しや解決に向けた提案などの業務を行うITコンサルタントに人気の資格で、持っていると顧客から大きな信頼が得られます。
ちなみに、中小企業診断士の有資格者は、経営コンサルタントとして独立することもできますし、企業内診断士として働くことも可能です。
これにITの知識と技術が加われば、さらに多くの企業から求められる人材となることは間違いありません。
試験には、1次・2次試験通過後に15日以上の実務補習もしくは実務従事を行う方法と、1次試験通過後に指定の養成講座を受講する方法の2通りがあります。
ここでいう実務補習とは、国の登録実務補習機関である中小企業診断協会が実施する補習を受けることをいい、実務従事は、既定の中小企業の診断・助言を行い、その企業から証明をもらうことを指します。
なお、1次試験はマークシート方式、2次試験は筆記と口述になっていて、マーケティングや運営管理をはじめとする幅広い知識を問う問題が出題されます。
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※受験料は2017年12月現在のものです。
「PMP(Project Management Professional)」とは、PMI(米国プロジェクトマネジメント協会)が認定しているプロジェクトマネジメントの国際資格で、日本ではPMI日本支部が試験を実施しています。
法的な資格や免許ではありませんが、(資格の保有者は)プロジェクトマネジメントに関する経験、知識、教育を有している人材として、ITのみならず、さまざまな業界から注目されている資格のひとつです。
後述するプロジェクトマネージャ試験と重なる部分が多いですが、国際資格のため、海外や外資系企業への転職に役立ちます。
また、受験者は事前に「実務経験」及び「研修の受講」が必須となっていることも、より高いスキルを持っている証明として機能しているようです。
体系的な仕事の進め方を身に付け、効率良く業務を進められる人材として、あらゆる場面で高い評価を得られるようになります。
PMP試験の対策として、さまざまな参考書が発売されています。 PMPを受験するには、事前に下記の条件をクリアしている必要があります。
なお、実務経験は過去8年以内に限定されていますのでご注意ください。
試験のベースになるのは「PMBOKガイド」という書籍(電子書籍やPDF版もあり)なので、まずはこれを一通り読むことから始めます(試験を主催するPMIの会員になるとPDF版のPMBOKガイドがもらえます)。
しかし、PMBOKガイドに書かれている内容は難解なので、ほかの教材や参考書も利用しながら勉強していくことになるでしょう。
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※受験料は2017年12月現在のものです。
「プロジェクトマネージャ試験」は、独立行政法人情報処理推進機構が行う「情報処理技術者試験」の区分のひとつで、経済産業省が認定する国家試験です。
情報処理関連の応用知識やシステム戦略の知識が問われるもので、多くのITコンサルタント志望者が取得を目標とする資格になっています。
プロジェクトマネージャ試験に合格することは、プロジェクト全体を統括するプロジェクトマネージャーとしての資質の裏付けになります。
さらに、上位職といわれるITコンサルタントへのキャリアアップにもつながります。
情報処理技術者試験の中でも難度が高い試験として知られているため、合格者は転職活動においても高い評価を受けやすくなります。
特に、官公庁などのシステム開発において「合格者がいることが入札の条件」となっていることもあるため、歓迎されるでしょう。
プロジェクトマネージャ試験は、選択式2種類(30問と25問)と記述式の問題に加え、論述式の問題もあり、論理を破綻させない文章力が必要とされます。
論述式の問題は3つの設問から2つを選んで論文を書くことになりますが、800文字以内、800~1,600文字、600~1,200文字という制限がある上、試験時間はわずか120分。
設問に沿って論理的な文章を書き上げることは、普段から文章を書き慣れていない人にとっては高い壁になり得ます。
過去問のテーマに沿って模擬試験的に書いてみるなど、仕事の合間に論文を書く訓練をしておきましょう。
また、働きながら勉強をする場合、合格するために必要な期間は一般的に半年~1年以上といわれ、この間の孤独に打ち勝つ忍耐力も必要です。
もちろん、専用の講座や通信教育も多数開講されていますので、独学では無理と判断されたときは門を叩いてみるのもひとつの方法でしょう。
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※受験料は2017年12月現在のものです。
ITコンサルタントになるための資格はないものの、資格の有無は評価指標にもなります。
ただし、資格を持っていても仕事に活かせないと意味がありません。
専門分野の知識だけではなく、コンサルタントに重要なスキルをご紹介します。
「人見知りをしない」「初対面でも話が出来る」などの一般的に言われているコミュニケーション能力の事だけではありません。
質問攻めのような聞き方だと、答える方も疲れてしまい本音が出てきにくいです。 そのため、コンサルタントに必要なのは、相手の意図や要望を汲み取る能力です。
クライアントは課題や問題点を認識していない事の方が多いので、どれだけ状況を引き出して現状の課題を正確に把握できるかが、コンサルタントとしての核となります。
プレゼンテーション能力に通ずるところもあるので、コンサルタントにとって必須スキルです。
必要な状況でだけ論理的に考える事は不可能であるため、メール作成や議事録など、普段から論理的に考えている必要があります。
また、経験や状況によって言葉の受け取り方が異なるので、相手の立場に立って考えられる事も重要になってきます。
論理的に考えるためのフレームワークもありますので、必要に応じて学習しましょう。
「コンサルタントは、いとも簡単に答えを出していく」というイメージを持っている方もいるかと思いますが、多くのコンサルタントが直面する課題に同じものはありません。
では、なぜ解決に向かう判断ができるのでしょうか。
それは「どの方向からアプローチしたらよさそうか」を見つける方法を持っているからです。
「MECE」「仮説思考」「ロジックツリー」などのフレームワークがありますので、慣れていない方は考え方を知ることから始めていきましょう。
ITを使っていない企業を探す方が困難な時代になっているため、資格がなくてもしっかりと意思疎通が出来て、問題解決に導ける人が求められています。
資格を持っていると、専門分野も広がるためさらに需要が高くなる事は想像に難くないでしょう。
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