更新日:2024/09/10
この記事のまとめ
ITスペシャリストはIT技術の専門家として、システム開発における技術面をサポートする職種です。将来性があり年収も高めであることから人気の職業ですが、具体的にどのような仕事を行うのか詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ITスペシャリストの仕事内容や平均年収について詳しく解説します。また、転職する際の注意点やキャリアパスについても紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
ITスペシャリストはIT技術の専門家として、プロジェクトにおける技術面を支える職種です。具体的には経済産業省が定めているITスキル標準(ITSS)でレベル3以上のスキルをひとつでも習得しているエンジニアを指します。ここではITスペシャリストの仕事内容と、混同されやすいITゼネラリストとの違いについて解説します。
ITスペシャリストは自身の専門性を活かして、システム開発工程の技術的なサポートを行います。システムエンジニアのように全体の要件定義から保守・運用までプロジェクトの全体に携わることは少なく、自身の得意とする工程にのみ参加するケースがほとんどです。とはいえ、人によっては責任のある立場としてプロジェクト全体を管理することもあります。
ITスペシャリストがITの専門分野に特化した人材を指すのに対し、ITゼネラリストはIT分野において幅広い知識や経験のある人材のことです。ITゼネラリストはプロジェクト全体を指揮することもあるため、コミュニケーションスキルや統率力が欠かせません。
ITスペシャリストには6つの専門分野があり、いずれかの分野で7段階あるレベルのうち3以上を習得しなくてはいけません。レベル1は情報技術における最低限必要な基礎知識を有する者、レベル7はスキルの専門分野が確立したプロフェッショナルとして世界で通用する者を指します。ここでは、ITスペシャリストの専門分野とはどのようなものか、それぞれ解説します。
プラットフォームとは、ソフトウェアが動作するための土台(基盤)のことです。プラットフォームを担当するITスペシャリストは、OSやミドルウェアの設計・構築、導入を行います。また、システム開発の完了後は、保守・運用・トラブル対応なども行います。システム開発におけるスタート地点であるため、トラブルが発生しないよう慎重に進めることが大切です。
LANや企業間の通信回線といったネットワーク分野も専門領域のひとつです。ネットワーク全体の構成を選定し、設計・構築を行います。ネットワークシステムの一部変更や増設といった運用業務、システム障害に対する保守業務も担当します。安定したネットワーク環境が維持できるよう仕事を進めることが大切です。
企業情報や個人情報の流出を防ぐために、セキュリティシステムの設計・実装・構築を行います。具体的にはセキュリティ機器の導入や不正アクセスの制御、ウイルス感染、サイバー攻撃からシステムを守るための対策を講じます。サイバー攻撃の内容は日々進化しているため、最新のセキュリティに関する知識を身につけることが大切です。
データベースとは必要なデータを検索したり抽出したりする「倉庫」のようなものです。ITスペシャリストはデータベースの設計・開発・管理・運用を行います。企業が持つ重要な情報を管理する役割があるため、責任のある仕事です。データベースを利用する企業や業務への理解を深めて設計を進める必要があります。
システムの開発・設計から保守・運用まで、システム開発の全体をサポートする仕事です。クライアントのニーズに応えられるよう、プロジェクト全体を俯瞰しながら開発を進めていきます。システム管理では、プロジェクト全体をリードするための総合的なビジネススキルも欠かせません。
アプリケーション基盤はアプリケーションを稼働させるための土台のことで、フレームワークとも呼ばれます。ITスペシャリストは導入するシステムに沿ったソフトウェアやフレームワークの選定、ツールの開発・導入を行い、システムの枠組みを作るのが仕事です。企業全体の生産性を高めるためのフレームワーク構築が求められます。
転職先を決めるうえで大切なのは、「その仕事に魅力を感じるかどうか」です。魅力を感じる仕事であればモチベーションを高い状態で保ったまま働くことができ、日々充実感を得られるでしょう。ここでは、ITスペシャリストの3つの魅力を紹介します。
ITスペシャリストは専門性の高い職種であり、プロジェクトの上流工程を担う上場企業や大手企業などからの需要があります。とくに近年はIT業界の発展により、IT人材が不足しているのが現状です。ITスペシャリストとして自身が得意とする分野で高いパフォーマンスを発揮できれば、企業で欠かせない存在となれるでしょう。
ITスペシャリストは自分が興味・関心のある分野を極められるのが魅力です。ひとつのことを深く掘り下げたい研究熱心な人に向いている仕事といえるでしょう。また、培った知識や技術はシステム開発の現場で活かすことができ、企業の抱える課題を解決できたときは達成感や充実感を得られます。
比較的平均年収が高いIT業界にあって、ITスペシャリストはIT系職種の中でも年収が高い傾向にあります。能力によって年収は異なりますが、専門的な知識を磨けば磨くほど収入の増加が期待できるでしょう。高収入を目指したい人は、ITスキル標準(ITSS)の到達レベルを上げることを意識してみてください。
同じ企業で長く働き続けるためには将来性と年収が大事です。「社会的なニーズがなくならないか」「業界が継続的に成長しているか」「AIやロボットに代替されにくいか」といった観点から将来性の高さを見極めていきましょう。ここでは、ITスペシャリストの将来性と年収について解説します。
IT技術は日々進化しており、AIやIoT、ビッグデータなど次々と新しい技術が生まれています。しかし、それらの先端技術を担うIT人材は不足しているのが現状です。ITの専門家であるITスペシャリストの需要は高く、今後も技術進展が見込まれることから将来性は高いといえるでしょう。
ITスペシャリストの明確な平均年収のデータはありませんが、平成29年に経済産業省が行った「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、スキル標準レベル別の平均年収はレベル3で576万円、レベル4で726万1,000円です。レベル6・7に達すれば、年収1,000万円超えも夢ではありません。
ITスペシャリストはITスキル標準(ITSS)で高いスキルレベルが必要とされる専門職といえます。IT業界未経験で転職するのは難しく、他職種でIT業界の経験を積んでから転職するのがおすすめです。ここでは、ITスペシャリストへ転職するための方法やポイントを紹介します。
IT業界未経験者がITスペシャリストを目指すには、まず未経験でも転職が可能なITエンジニア職となって経験を積むことが大切です。プログラマーやテストエンジニア、ネットワークエンジニアなどへ転職し、ITスペシャリストの専門領域で得意な分野を見つけましょう。そしてITスキル標準(ITSS)でレベル3の到達を目指してみてください。
資格を取得して専門性を高めるのもおすすめです。IT関連の資格は多数あるため、自分のスキルや目的に合わせて取得するとよいでしょう。以下がおすすめの資格です。
試験勉強を通じて情報技術やセキュリティの知識を身につけられます。中でも基本情報技術者試験はITエンジニアの登竜門ともいわれる資格であるため、取得しておくとよいでしょう。
ITスペシャリストには将来性があり、かつ年収も高めで魅力的な職業ですが、転職する際にはいくつか注意すべきポイントがあります。ITスペシャリストを目指すにあたり、ここで紹介する2つの注意点を押さえておきましょう。
ITスペシャリストは特定の分野に特化した職種であるため、専門外の分野には基本的に関わりません。そのため行える業務の幅が狭く、未経験の分野へ転職した際には身につけたスキルが活かせない可能性があります。ITスペシャリストへの転職後は、「ひとつの分野を極め続けるか」「別の分野も学んでいくか」といった今後のキャリアについて考える必要があるでしょう。
ITスペシャリストは専門性を活かしてシステム開発の「現場」で活躍する職種であり、管理職へのキャリアパスを用意している企業が少ない傾向にあります。マネジメント業務が主流となる管理職では、ITスペシャリストの特性が活かせないためです。とはいえ出世が不可能なわけではなく、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルをアピールできれば管理職も目指せます。
ITスペシャリストとして働き続ける道のほか、「専門性を広げたい」「キャリアアップしたい」といった場合にはどのような選択肢があるのかを把握しておきましょう。ここでは、ITスペシャリストのキャリアパスを4つ紹介します。
フルスタックエンジニアとはシステム開発・運用において複数のスキルを持つIT人材のことで、マルチエンジニアとも呼ばれます。システム開発においては、サーバーエンジニアやネットワークエンジニアなどそれぞれの工程ごとに専門職を雇う分業制が一般的です。フルスタックエンジニアは設計から開発・運用まで全工程を手掛けられるオールラウンダーであることから、非常に需要が高いといえます。
フルスタックエンジニアの定義はありませんが、ITスペシャリストとして専門性を広げればフルスタックエンジニアを目指すことも十分可能でしょう。
ITアーキテクトは、企業の経営戦略に合わせてシステム全体の方向性や仕組みを設計する職種です。具体的には、システムに合ったフレームワークの選定やテンプレートの作成、エンジニアの統括などを行います。ITアーキテクトにはITとビジネスを結ぶ橋渡しのような役割があり、企業のビジネス課題をITの力で解決するための重要な仕事です。
ITアーキテクトになるために、「システムアーキテクト試験」や「プロジェクトマネージャ試験」などの合格を目指すのもよいでしょう。
プロジェクトマネージャーは開発プロジェクトにおける責任者です。開発計画に基づいてプロジェクト計画の作成、必要な人員の配置、予算管理などを行います。プロジェクトが開始されると、納期に間に合うよう進捗を管理します。
プロジェクトは数十人単位の小規模なものから数百人単位の大規模なものもあり、それらを束ねるプロジェクトマネージャーは責任の重い職種です。しかし責任が重い分、プロジェクトが完了した際の達成感は大きいでしょう。プロジェクトマネージャーになるには、開発現場で多くの経験を積む必要があります。
ITコンサルタントはクライアント企業のIT分野における課題の解決や、システムの導入をサポートする職種です。ITコンサルタントにはIT関連の知識と経験に加え、クライアント企業が抱える悩みやニーズをヒアリングするスキル、解決策を提示する提案スキルが求められます。
ITコンサルタントになるには、ITスペシャリストとしての専門分野以外にも多くの工程を経験することが大切です。企業の経営課題や業務改善のアドバイスができるよう、経営やマーケティングの知識を身につけておくとよいでしょう。
ITスペシャリストとは特定の分野に突出したIT人材のことです。その専門性を活かし、システム開発では技術面をサポートします。ITスペシャリストは将来性が高く、高収入を目指せる魅力的な職種であるため、興味のある人は目指してみるとよいでしょう。
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