更新日:2022/12/26
この記事のまとめ
ITアーキテクトはクライアント企業の経営・業務課題を解決するためのIT戦略とグランドデザインの策定を担う仕事です。IT業界が発展していく現代にあって注目されている職種のひとつですが、具体的にどのような仕事をするのか知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ITアーキテクトの仕事内容や専門分野について解説します。また将来性や年収、やりがいについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
ITアーキテクトはIT系職種のひとつで、企業の目的やビジネス課題に沿った最適なITシステムを構築するための設計図を作り、開発をリードする役割を担います。ここでは、ITアーキテクトの仕事内容や役割について詳しく解説します。
グランドデザインは直訳すると「壮大な図案・設計」という意味です。すなわちITグランドデザインとは、システム開発におけるプロジェクトの全体的な設計図を意味します。ITアーキテクトの仕事はITの専門的かつ幅広い知識を活かし、プロジェクトの骨組みを作ることです。
具体的にはシステム開発における共通仕様、仕組み、方向性などを決定・指示する業務を行います。規模の大きいプロジェクトになるほど多くのエンジニアが携わるため、開発メンバーを束ねるスキルが必要です。
ITアーキテクトは、クライアント企業の抱えるビジネス課題を解決するためのシステムを設計しなくてはいけません。しかし、システムとしての理想像とクライアント企業が求めるものは同じではないケースがほとんどです。
そのためクライアント企業と入念に打ち合わせをし、ビジネスとシステムの両方の観点でうまく落としどころを見つけていく必要があります。
経済産業省の定めるITスキル標準によると、ITアーキテクトには3つの専門分野があります。ITアーキテクトへの転職を目指す場合は、これら3つの分野の知識やスキルを身につけましょう。ここでは、ITアーキテクトが担う3つの専門分野について詳しく解説します。
アプリケーションアーキテクチャとは、アプリケーションを構築するためのパターンや手法のことです。クライアント企業が求めるニーズを満たすためには、「どのような機能が必要なのか」「どのくらいの頻度でリリースする必要があるのか」などを考える必要があります。
インテグレーションは直訳すると統合や統一、一体化といった「まとめること」を意味する言葉です。すなわちインテグレーションアーキテクチャとは、企業間の情報システムの連携と統合に関する構造・設計を担う分野を指します。情報システムの統合には情報漏洩やデータ消失などのリスクがあるため、安全かつ確実にシステムを統合するためには専門的な知識とスキルを持ったITアーキテクトが必要です。
インフラストラクチャは「下部構造」や「社会基盤」を意味する言葉です。ITにおけるインフラストラクチャアーキテクチャとは、情報システムの基盤となる構造の設計に携わる分野を指します。企業システムの根幹を支えるサーバーやストレージ、セキュリティといったITインフラを支える役割を担います。
転職先を決める際には「将来性があるか」「年収が希望に近いか」といった観点で選ぶことも重要です。ITアーキテクトとして長く働き続けるためにも、ここで紹介するITアーキテクトの将来性と年収を押さえておきましょう。
IT業界は年々成長しており、ITアーキテクトに限らずIT系職種は今後も将来性が高いといえます。その中でも専門性の高いITアーキテクトはシステム開発における重要なポジションを担っており、企業のIT化が進むにつれて市場価値やニーズも増加していくでしょう。
ITアーキテクトの平均年収に関して明確なデータはありませんが、マイナビエージェントに掲載されている求人情報によると、企業が提示している年収は300万円~1,500万円と幅があります。経験やスキル次第では年収1,000万円も夢ではないでしょう。
仕事に熱意を持って取り組めるかどうかは、「やりがいを感じる」「魅力がある」といった部分が大きく影響します。やりがいを感じない仕事は長く働き続けるのが困難といわざるを得ません。転職後のミスマッチを防ぐためにも、ここで紹介するITアーキテクトのやりがいや魅力を参考にしてください。
思い描いたシステムが試行錯誤をしたうえで形になった際に、大きなやりがいや達成感を得られます。新たな技術やシステムを開発する際にはさまざまな障害が発生するものです。しかし、クライアントや開発メンバーと話し合い、その障害を一緒に乗り越えていくことに面白みを感じるでしょう。
ITアーキテクトはクライアント企業の業務効率化やコスト削減など、経営に直結する重要な仕事を行います。自分が提案・設計したシステムがクライアント企業の役に立った際には直接感謝の言葉がもらえるでしょう。プロジェクトが完了するまでに多くの壁にぶつかることもありますが、努力が実ったときの達成感はひとしおです。
ITアーキテクトの仕事にはやりがいも魅力もありますが、大変なところもいくつかあります。転職後に後悔しないよう、あらかじめITアーキテクトの仕事でどのような部分が大変なのかを把握しておきましょう。ここでは、ITアーキテクトの大変なところを2つ紹介します。
ITアーキテクトは、クライアント企業の経営に大きな影響を与える責任重大な仕事です。規模が大きいプロジェクトは完了するまでに長期間かかることもありますが、その分仕事をやり遂げたときのやりがいや達成感も大きいでしょう。
ITアーキテクトはシステム上の問題だけでなく、ビジネスとしての課題を踏まえたうえでシステムを考えていく必要があります。障害が多く発生したり、クライアントとの交渉やメンバーとの連携といった難しさを感じたりする場面もあるでしょう。しかし、それらの問題をひとつひとつ乗り越えていくことで、ITアーキテクトとしての経験値が上がります。
ITアーキテクトは専門性の高い職種であるため、まったくの未経験からITアーキテクトへ転職するのは難しいでしょう。プログラマーやシステムエンジニアとしてIT企業で経験を積んでからITアーキテクトになるのが一般的です。ここでは、ITアーキテクトに転職するための必要なスキルや資格について解説します。
ITアーキテクトになるためには、一定のスキル・知識を身につける必要があります。経済産業省が定めるITスキル標準によると、ITアーキテクトには以下11つのスキルが必要とされています。
上記は全専門分野で共通のスキル項目であり、そこからさらに「アプリケーションアーキテクチャ」「インテグレーションアーキテクチャ」「インフラストラクチャアーキテクチャ」の3つの専門分野固有のスキル項目が存在します。まずは自分の得意分野を確立させることが大切です。
参照:スキル領域とスキル熟達度(4)ITアーキテクト|経済産業省、独立行政法人情報処理推進機構
ITアーキテクトになるために必要な知識・スキルを、資格の試験勉強を通じて身につけるのもおすすめです。資格を取得すれば専門性をアピールでき、転職で有利になります。ITアーキテクトへ転職するにあたって取得しておきたい資格は以下の2つです。
いずれも経済産業省が認定する国家資格です。システムアーキテクト試験(SA)では、システム開発における設計や開発の上流工程に関する知識が問われます。プロジェクトマネージャ試験(PM)は、プロジェクト遂行における予算・スケジュール・品質管理といった知識が要求されます。
ITアーキテクトはITの専門的な知識を活かし、クライアント企業の経営課題・業務課題を解決するためのIT戦略とグランドデザインの策定を行う職種です。責任の重い仕事ですが、思い描いたシステムが形になったときは大きな達成感を得られます。
ITアーキテクトへの転職を目指している人は、ぜひマイナビITエージェントにご相談ください。将来のキャリア形成を踏まえた求人のご紹介や転職を成功に導くアドバイスをいたします。
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