更新日:2022/04/14
生命保険業界への転職と聞くと、営業職への転職をイメージする方が多いのではないでしょうか。確かに営業が代表的な職種ですが、営業管理やアクチュアリーなど、キャリアや資格を生かせる職種もあります。
今回は、生命保険業界に関する基礎知識のほか、転職で得られるメリットや求められるスキルなどを幅広くまとめました。生命保険業への転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
生命保険業界とは、人の生死に関わる保険を扱っている業界のことです。養老保険や個人年金保険、学資保険を販売している会社もあります。偶然の事故や天災などで負う金銭的リスクを補償する保険は損害保険のフィールドで、生命保険業界では請け負いません。医療保険やがん保険、介護は中間に位置し、生命保険でも損害保険でも扱っています。
生命保険業界では多職種が働いていますが、メインとなるのは営業職です。したがって、生命保険業界への転職は、一般的には営業職の募集が多いでしょう。
日本はアメリカに次ぐ保険大国だといわれてきました。しかし近年では少子高齢化の影響により、国内市場の伸び率はそこまで期待できないとされています。結果、「海外企業の買収」が進み、「合併による再編」が進んでいるのが生命保険業界の現状です。
一方で、AIやloTといった最新技術の導入で新しい商品が生まれたり、業務の効率化が進んだりと目まぐるしい変化も起きています。ここでは、生命保険業界の主な動向や現状をまとめました。
近年、国内の生命保険会社は海外の保険事業を積極的に買収しています。中でも活発なのは、新興国市場と呼ばれる東南アジアや中南米、ロシア、中国といった地域です。
新興国市場は保険普及率が低く、今後は需要が高まると予想されています。そのときに備え、日本の生命保険業界は新興国市場への進出を図っている構図です。
国内大手の生命保険会社による買収・合併が活発になっており、生命保険業界の再編が進んでいるのも近年の特徴です。たとえば2015年の日本生命と三井生命との経営統合は大きなニュースになりました。
合併や買収が進むのは国内市場の成長を見込みにくいからであり、新たな成長を目指すにはより厚く大きな経営基盤が必要だからです。刻々と変化する時代の中で生き残り、なおかつ世界トップクラスとなるために各社がまい進しているゆえの動向といえるでしょう。
ただ商品を売るのではなく、AIやloTを取り入れたサービスを付帯するなど、生命保険業界でも最新技術の導入が進んでいます。たとえば顧客の情報をもとにAIが適切な保険を紹介するサービスや、顧客の健康診断データをビッグデータとしてまとめ、商品の開発や企画に役立てるといった利用方法です。
保険(Insurance)とテクノロジー(Technology)とを掛け合わせた「インシュアテック(InsurTech)」という造語も生まれ、サービスの効率化や収益性を高める技術が続々と取り入れられています。
生命保険業界は営業のほかにもさまざまな職種が存在します。また、営業ひとつ取っても、業務内容は職場や担当部署によって異なるのが一般的です。生命保険業界への転職を考える際は、希望の職種以外の業務内容も把握し、業界の理解を深めておくことをおすすめします。
外務業務とは、個人保険の営業を行う業務です。訪問先は飛び込みのほか、既存の顧客を回る場合もあります。配属となる支店や営業所はありますが、業務時間中は主に訪問先にいるため、時間の使い方が自分次第なことが多いでしょう。
マイペースで仕事ができる一方で、基本的には成果主義であり、自己管理は必要です。営業時間外でも情報収集したり、セールスについて勉強したりと、結果を出すための継続的な努力は欠かせません。
営業管理業務とは、営業職員の業績・案件・顧客・行動などを管理する業務です。配属された支店や営業所にて、営業職員が働きやすく、利益を出しやすい環境を作るための仕事に従事します。
全体を俯瞰し、必要とあれば環境改善や指導を行う必要があるため、経験や実績に伴う能力がないと難しい職種といえるでしょう。転職後、すぐに営業管理業務に任命されるのは相応のキャリアがある方です。
事務管理業務とは、保険加入者の情報管理や書類の作成など、事務全般を担当する業務です。業務内容が幅広いため、企業規模によっては担当部署が細かく分かれています。
一般的に、生命保険業界の転職で募集しているのは外務業務(営業)と事務管理業務です。ただ、事務管理業務は求める人材像が高めで、経験者向けの求人が多い傾向にあります。
アクチュアリー業務とは、生命保険商品を設計する業務です。設計といっても、ニーズのある保障や特約のアイデアを出すなどではありません。取扱商品を数理とリスクマネジメントといった観点から分析し、健全な収支計画の策定やその仕組みづくりを任されます。
アクチュアリー業務に就くためには資格が必要で、合格率は平均10%台と難易度は高めです。求人数も営業職と比べると少ないため、アクチュアリー業務への転職は狭き門だといえるでしょう。
生命保険業界ではさまざまな職種を募集していますが、メインとなるのは営業職です。保険という金融商品を扱うため、生命保険業界にいるうちにお金の知識や社会制度の知識が自然に身につくでしょう。
他にも、生命保険業界へ転職して得られるメリットはいくつかあります。ここでは、中でも代表的な4つをまとめました。
保険は人生を豊かに、安心に生きるためのツールです。しかし金融商品であるほか、公的保険や国の制度とも深く関わりがあるせいか、生命保険に関しては6割以上の方が「ほとんど知識がない」と回答しています。
生命保険業界に身を置くことで、お金に関する身近な知識や社会保障制度の知識全般を学べるでしょう。それらは家族や友人など、大切な人のためにも役立てられる知識です。
生命保険業界の営業部門は、インセンティブ制度を取り入れていることが多い傾向にあります。頑張った結果が給与に反映されるため、やりがいにつながりやすいでしょう。
また、営業という業務柄、やり方に正解はありません。言われたことをこなすといった業務スタイルよりも、自身で考えて動くのが好きな方にとっては向上心をくすぐられるでしょう。
営業職は基本的に成果主義です。成果さえ出せるなら業務時間の使い方はある程度自由が利きます。効率を追求し、短時間で多くの契約を取ることも工夫次第で可能でしょう。
業界再編が進み、1社の規模が大きくなっていることから、手厚い福利厚生に期待できるのも特徴です。産休や育休後の復帰もしやすく、女性も働きやすい傾向にあるのは大きなメリットといえるでしょう。
生命保険業界の営業は業務範囲が幅広いことから、さまざまなスキルアップが見込めます。商談を通して得られるコミュニケーションスキルをはじめ、効率よく業務を進めるためのスケジュール管理能力も身につくでしょう。
そうして習得したスキルの数々は自分の糧となります。生命保険業界でさらなるステップアップを目指す他、転職や起業など新たな道に進む際にも役立てやすいでしょう。
生命保険業界に向いている人とそうでない人には、ある種の特徴があります。応募するかどうか迷っている場合は、自身が「向いている人」の特徴に当てはまるのかチェックしてみるとよいでしょう。
ここでは、生命保険業界の向き・不向きを紹介するとともに、転職活動でアピールができるスキルや資格も解説します。
生命保険業界に特に向いているのは、向上心が高い方や、やりがいが大きい仕事を求めている方です。人の心に寄り添い、役に立てることが好きな方も向いています。保険商品という性質上、顧客の不安に寄り添うことが大切だからです。積極的に人と関われる社交性も必要ですし、そのうえで相手の気持ちをくみ取ることに長けているとなおよいでしょう。
訪問販売が主な業務となるため、体力・精神力ともにタフであることも重要です。商談が駄目になっても、めげずにすぐ立ち直れる精神力もあると重宝されるでしょう。
生命保険業界で営業として働くなら、「生保一般課程試験」という資格に合格する必要があります。転職後に受験するケースが一般的ですが、求職時の時点で合格・保有していると有利に働くかもしれません。その他、生命保険業界で強みとなる資格やスキルは以下のとおりです。
これらは転職活動時のほか、転職後の昇給や昇進に関わる可能性もあるため、積極的に身につけることをおすすめします。
生命保険業界は保険という金融商品を扱うため、相応の専門知識は必要です。未経験者を求む募集もありますが、本当にゼロからでも応募し、採用してもらえるのでしょうか。ここでは、生命保険業界に転職できる可能性と、採用を勝ち取るための道のりを紹介します。
生命保険業界への転職は、営業職なら未経験でも募集しているのが一般的です。「生保一般課程試験」という資格が必要ですが、転職後に働きながら取得すれば問題ありません。転職前に慌てて試験勉強しなくてもよいでしょう。
ただし、アクチュアリーや査定業務といった専門性が高い職種は話が別です。不可能ではありませんが、やる気やポテンシャルで採用を勝ち取るのは難しく、相応の準備が必要といえます。
生命保険業界に転職をするのなら、転職エージェントの利用をおすすめします。取り扱う保険商品、給与形態、ノルマ、勤務時間など、さまざまな点が会社によって異なるためです。それでいて求人数は比較的多い業界のため、自分に合った会社は転職エージェントの力を借りたほうが見つけやすいでしょう。
転職エージェントを使うと、給与の交渉や入社日の調整など、転職者本人が言いにくい条件もサポートしてくれるのも強みです。転職活動の負担が減るため、働きながらでも転職先を探しやすいでしょう。
生命保険業界への転職は、特別な資格やスキルを必要としない職種もあります。特に営業職の門戸は広く、未経験でも十分チャレンジしやすいといえるでしょう。ただし、生命保険業界といっても、会社ごとに特徴が違います。合わない社風や業務スタイルの会社を選んでは、心身共にすり減ってしまいかねません。
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