更新日:2024/10/11
この記事のまとめ
「資格を持っていると転職に有利になる」という話を耳にした方も多いのではないでしょうか?
確かに資格を保有していれば、専門的な知識やスキルの証明にもなりますし、企業からも信頼されやすくなるでしょう。
とはいえ、一口に「資格」といってもその種類・種別は多岐にわたります。
例えば、中小企業の経営課題を解決する「中小企業診断士」や、暮らしとお金に関するアドバイスやサポートを手広く行う「ファイナンシャルプランナー(FP)」など、現代には様々な資格が存在します。
「転職に必要な資格とはいったいどういったものなのか?」「どの業界にはどの資格が求められているのか?」など、今回は転職と資格に関する情報をまとめました。これから転職活動を検討している方も、現在転職に向けて資格勉強をしている方も、ぜひご覧ください。
目次
保有しているだけで漠然と「転職活動に有利になる」と思われがちな資格ですが、必ずしも有利に働くとは言い切れません。というのも、様々な資格が存在する昨今、保有している資格が転職先で求められているものと一致するとは限らないためです。
人事職を目指す方が「社会保険労務士(社労士)」の資格を取得したり、日商簿記検定を取得したりする場合は転職に有利に働くでしょう。一方で、資格を持っていても、就きたい職種と関連していなければ、転職に有利に働くことは少ないです。
このように、資格を取得する際には、「なぜその資格が必要なのか」「転職先の企業で求められているものなのか」ということを見極めるのが重要です。
業界別におすすめの資格をご紹介する前に、まずは資格の役割を大きく2種類に分けて説明します。
資格は以下の2種類に大別されます。
まず一つ目は、職業に就くのに必ず求められる「必須資格」と呼ばれるものです。
国家資格に多く、「業務独占資格」と呼ばれるものがこれにあたります。必須資格を持つ代表的な職業には、医師や薬剤師、弁護士などがあります。
いずれの職業も専門性が高く、資格を持っていないと業務が成り立たないものです。
二つ目が「転職に有利に働く資格」です。
なかでも、「必置資格」と呼ばれるものは就職に有利に働きやすいといわれています。
必置資格は企業や事業を行う際、最低一人の資格保有者を必要とする資格のことです。そのため、資格を保有しているだけで有利に働きやすいのです。
例えば、不動産業界における重要事項の説明には有資格者が必要なため、「国土交通省令で定める数の宅地建物取引士を置かなければならない」とされています。その他の資格においても、国家資格・公的資格・民間資格など、資格発行認定者によって、地位や影響力にも差があります。
応募先の企業でどのような資格が求められているか分からないという方は、転職エージェントなどのサービスを利用し、情報取集をするのも一つの手です。また、業種や職種に捕らわれにくい、語学などの汎用的な資格を取得するのもおすすめです。
転職に有利に働く資格はどのようなものがあるのでしょうか。今回の記事では汎用性が高い「有利に働く資格」に焦点を当ててご紹介します。
まずは業界別に、医療・福祉関連、建設、法律、食品関連の職種それぞれに有利に働く資格をご紹介します。
まずは、医療・福祉関係の職種についてです。医療系資格の取得には、専門の学校における履修の上、国家試験合格による資格取得が前提となっているものがほとんどです。
今回、医療・福祉関連の職種については、一般の学校や大学の学部を卒業した方向けの資格をピックアップしました。
(1) 生活相談員
[資格:社会福祉士]
生活相談員は、老人ホームや病院、地域包括ケアセンターなどで利用者やそのご家族の相談を受けます。「ソーシャルワーカー」とも呼ばれ、高齢者の方やご家族の悩み相談を受け付け、専門家につなげる重要な役割を担っています。
特別養護老人ホームや病院、デイサービスを行っている企業などが主な勤務先になります。
生活相談員になるには資格要件があり、東京都の場合、以下のいずれかの資格を取得していることが必須です。
なかでも社会福祉士は、福祉系の大学や短大、専門学校以外に、他学部の大学を卒業した方も受験資格があります。
通信教育での専門教育の履修で、国家試験受験資格も得られるため、働きながら資格を取得することも可能です。2022年2月の試験では受験者数34,563 人に対して合格者数10,742 人、合格率は31.1%の結果となっています。
(2) 介護施設専門スタッフ
[資格:介護福祉士]
介護施設で働くために必要な資格の中で、代表的なものに介護福祉士の資格があります。介護福祉士は高齢者や障碍者をサポートする、介護職のスペシャリストです。歩行や入浴の介護といった日常的なお世話から、日用品の買い出し、利用者の話し相手になることもあります。
主な勤務先は特別養護老人ホームや有料老人ホ-ム、通所介護施設、グループホーム、在宅介護支援センター、身体障碍者療養施設、老人保健施設などです。
厚生労働省の資料によると、介護職の必要数は年々、増加傾向にあります。
第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について - 厚生労働省
介護施設で働くためには、必ずしも福祉関連の資格が必要というわけではありません。しかし、国家資格である介護福祉士の資格を取得すると介護の仕事だけでなく、「訪問介護会社の管理者」や「老人福祉施設長」などのマネジメント職に転職する際にも、有利になる傾向があります。介護職のエキスパートを目指して、また介護業界で更なるキャリアアップを目指す方におすすめの資格です。
介護福祉士は、実務経験3年以上+実務者研修修了で受験資格を得られます。2022年に実施された第34回介護福祉士国家試験の受験者数は83,082人、合格者数は60,099人となっており、合格率は72.3%です。
(3) 福祉用具貸与・販売スタッフ
[資格:福祉用具専門相談員]
福祉用具貸与・販売スタッフとは、心身の機能が低下した高齢者や障碍者の日常生活の補助をはかる用具の貸与や販売を行う職業です。指定居宅サービスとして福祉用具貸与事業を行う場合、福祉用具専門相談員の資格が必要で、各事業所に2名以上の専門相談員を配置することが定められています。
都道府県が指定する「福祉用具専門相談員指定講習(合計50時間)」などを受講することで取得できます。講習の受講を修了した段階で得られる資格なので、取得難度がやさしい資格といえるでしょう。
2つ目は建設関連の職種にまつわる資格です。
(1) ショベルローダー等運転技能者
[資格:ショベルローダー等運転技能者]
ショベルローダー等運転技能者は、ショベルローダーの運転や操作をするために欠かせない資格です。資格を取得すると、最大荷重1t以上のショベルローダーを扱うことができ、作業現場で働くうえで選択肢が増えるでしょう。
一定時間の講習を受講し、修了試験と実技試験を経て資格を取得できます。18歳以上であれば誰でも講習を受講できますが、所有資格などにより講習時間が異なります。
(2) 防災管理者
[資格:防災管理者]
防災管理者は大規模な建築物や高層の建築物において、地震その他の「火災以外の災害」による被害を抑えるため、防災上必要な業務を遂行することができる資格です。
各会社の警備スタッフをはじめ、ビル管理の責任者として必要とされることがあります。講習を受講することで資格を取得できます。
(3) インテリアコーディネートスタッフ
[資格:インテリアコーディネーター]
インテリアコーディネーターはインテリアに関する幅広い知識で、商品選択のアドバイスなどを行う仕事です。
インテリア関連企業、ハウスメーカー、住宅リフォーム会社、住宅設備会社、百貨店などに勤務し、顧客の依頼に基づき、住宅設備、照明、収納棚、家具、カーテンなどの住宅全般の内部に関わるコーディネートを行います。
資格には民間資格のインテリアコーディネーター(インテリア産業協会認定)があります。2021年度の第39回インテリアコーディネーター資格試験は、一次試験の受験者数が9,640人、合格者数が3,166、二次試験の受験者数は3,951人で、合格者は2,334人でした。二次試験の合格率は59.1%となっています。
法務関連の仕事は職種を問わず、幅広い業界・職種で活用することができます。
汎用的な資格のため、取っておいて損はないですが、試験内容が難しく取得までに時間がかかる資格も少なくありません。
(1) 労務職
[資格・社会保険労務士]
労務職では、主に雇用者の健康保険・労災保険・雇用保険の加入給付手続、年金給付手続、賃金管理・就業規則・従業員教育についての相談指導、雇用関係の各種助成金申請など、人事管理にまつわる仕事を行います。
人事管理にまつわる代表的な資格として社会保険労務士(社労士)があり、企業内部の雇用管理のみならず就労支援など行政協力の仕事もできます。法務・人事関連の資格は、雇用者を抱えている企業ではどこでも必要とされます。
2021年度の社労士試験の受験者数は37,306人なのに対し、合格者数はわずか2,937 人で、合格率は7.9%という結果になっています。合格率からわかるように、社労士は最難関の資格に位置付けられています。
(2) 重要書類の作成スタッフ
[資格:行政書士]
官公署に提出する書類の作成や、それに伴う手続きの代理、契約書類の作成などを行うためには、行政書士の資格が必須です。
行政書士の仕事は多岐にわたり、上記の業務以外にも自動車登録・車庫証明申請書・各種法人設立申請、各種営業許認可申請書(建設業許可、廃棄物処理業、風俗営業)、入管申請書、帰化申請書などの仕事があります。
2021年度の行政書士試験では、受験者数47,870人の内、合格者数は5,353人で合格率は11.2%という結果になっています。
なお、行政書士試験は年齢、学歴、国籍等に関係なく誰でも受験することができます。
仕事の特性上、法務関係全般に関する幅広い知識が求められます。試験科目は、「行政書士の業務に関し必要な法令等」が憲法、行政法、民法、商法及び基礎法学の5科目、「行政書士の業務に関連する一般知識等」が政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解の、計8科目となっています。
(3) 法務スタッフ
[資格:ビジネス実務法務検定試験]
法務スタッフは、主にビジネスコンプライアンスに関わる仕事をしています。具体的には、各種契約や取引に関する法務、コンプライアンスや社内規定の整備・作成、法律に関する社内相談窓口、子会社設立などの法的手続き、トラブル・紛争対応などになります。
ビジネスコンプライアンスに関係する資格としてはビジネス実務法務検定試験があります。この資格は、営業・販売・総務・人事などビジネス全般に関する法律知識が求められ、法務分野だけでなく多くの職種で活用可能です。
資格には1級から3級まであり、2級試験の合格者のみ1級の試験が受験可能になります。2021年の第50回試験では、2級の受験者数が4,733人、合格者数が2,977 人で、合格率は62.9%という結果になっています。
食品や調理に関する資格は受験資格が定められているものが少なく、他の資格試験と比べるとチャレンジしやすい資格が多いです。今回はその中でも取得しやすく、幅広い場面で活用できる資格を3つご紹介します。
(1) 調理師
[資格:調理師]
調理師の仕事は、レストランや料亭、ホテル、企業内の食堂などで料理を作ることです。調理師免許を持っていなくとも料理の仕事をすることはできますが、調理師を名乗れるのは調理師免許を取得している方のみです。
調理師試験は都道府県別に実施され、一般受験では実務経験2年以上が受験資格になります。食堂、飲食店などの調理アルバイトも、週4日以上かつ1日6時間以上の勤務であれば、実務経験に換算されるため、門戸が広く設定されている資格試験といえるでしょう。2021年度の受験者数は24,230人、合格者数は15,896 人で、合格率は合格率65.6%です。
「公益社団法人全国調理師養成施設協会(調理師試験・免許統計)」
(2) ワインソムリエ
[資格:ワインエキスパート]
ワインソムリエは、ホテルやレストランで料理や客の好みに合わせて、最適なワインを提供する仕事です。関連する資格には、ワインエキスパートソムリエ、があります。ソムリエは関連業界の実務経験が必要なため、これからワイン関連の業界へ転職を考えている方はワインエキスパートの資格から取得してみましょう。
ワインエキスパートは日本ソムリエ協会が認定する資格です。20歳以上であれば誰でも受験できます。上級資格としてワインエキスパート・エクセレンスという資格もあります。
ワインエキスパートは、1次試験(CBT試験<コンピューターによる知識試験>)に通過後2次試験(テイスティング実技)に合格することで資格取得できます。2021年のワインエキスパートの合格率は40.7%でした。
(3) フードコーディネーター
[資格:フードコーディネーター]
フードコーディネーターは主に食の開発や食の演出、食の運営に携わります。具体的には、食品開発メーカーの商品企画、飲食店・給食サービス会社のメニュー開発、小売業のPB商品開発、弁当企画、食品の演出、飲食店などの空間コーディネート、食のイベント運営、食品の陳列手法の提案、食育プログラムの企画などになります。
資格は民間資格で1級から3級まであり、3級は義務教育を修了していれば受験可能です。2級の受験資格は3級資格認定登録者、1級の受験資格は2級資格認定登録者となっています。2019年度の2級1次試験合格率86.49%と高水準です。
次に、職種別に転職が有利になる資格についてご紹介します。
ここでは営業職、事務職・管理部門、IT、技術、金融、流通・サービス関連の6つの職種について紹介します。
(1) ビジネス・キャリア検定
ビジネス・キャリア検定とは、職務を遂行するうえで必要となる知識の習得や、実務能力の評価を行うことを目的とした試験です。係長やリーダー職、課長やマネージャー、ディレクター職を目指す方々に幅広く活用される資格で、営業、人事など8分野44試験から選択して受験できます。
等級は1級・2級・3級・BASIC級と分かれていて、3級は企業での実務経験が3年程度あるリーダー職を目指している方、2級は企業での実務経験が5年程度あり、マネージャー相当職を目指す方が受験対象の目安とされています。ちなみに、受験資格は設けられていません。
2021年度後期ビジネス・キャリア検定の受験者数は12,681人、合格者数は6,843人となっています。
(2) リテールマーケティング(販売士)検定
販売士は商工会議所が実施する検定資格で、デパート・専門店・スーパーなど、大規模小売店の販売員、売場責任者などを目指す方におすすめです。取扱商品に関する専門知識、売場や店舗を管理する能力などが身につき、合格者は「販売士」の称号を使用することができます。
資格は1級から3級まであり、どの級からでも受験できます。2021年2月に実施された2級統一試験の受験者数5,149 人の内、合格者数3,778 人で合格率は73.4%です。
(3) 中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家で、国が認める唯一の経営コンサルタント資格です。企業のコストを削減する改善法を提案したり、利益を上げるためのアドバイスをしたりと、コンサルティング業務に役立ちます。
試験は1次、2次とあり、1次試験は筆記試験です。1次試験は科目別受験方式になっており、科目は、経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理(オペレーション・マネジメント)、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策の7科目です。
経営に関する幅広い知識と、深い見識が求められる非常に難しい内容の試験です。民間の通信教育や通学講座も多数開催されているので、検討している方はチェックしてみましょう。
2019年度、1次試験の受験者数は24,495人で、合格者数は5,839 人、合格率は23.8%となっています。
(1) 秘書検定
秘書検定は、主に会社の役員や経営者の秘書として必要な能力について知識及び技能を問う検定試験です。試験では秘書業務にとどまらず、ビジネスマナー、言葉使い、電話の対応、接客、ファイリングや文書の作成といった事務能力に関する問題が出題されます。
2級試験結果は、受験者数27,708人、合格者数12,523人、合格率48.9%(2019年11月実施)となっています。学習は独学可能で標準テキスト1,300円 問題集1,200円など。(2019年度)
(2) TOEIC(トーイック)
専門的な知識を必要とする機会が少ない一般事務職では、汎用的な資格を取得しておくことで転職に有利になるケースもあります。TOEICは英語のコミュニケーション能力や知識を判断する世界基準の試験です。外資系や海外との連携が多い業界はもちろん、グローバル化が進んでいる現代ではどの業界でも持っていて損がない資格です。
合格点はなく、試験を受けた結果が証明書として使用できます。990点満点中、600~700点以上から履歴書に記載するのが一般的です。
(1) 基本情報技術者
基本情報技術者とは、ITに関する必要な専門的な知識や技能、実践的な活用能力を問う資格です。主な仕事先は、コンピューターメーカー、ソフトウェア開発会社、ソフトウェア受託開発会社、Web系会社などで、業務では技術関連業務・システム設計・開発・運用などを行います。
2022年5月実施の試験は、受験者数37,574人、合格者数14,399人、合格率は38.3%となっています。
(1) 危険物取扱者
危険物取扱者は、一定数量以上の危険物を貯蔵し、取り扱う化学工場、ガソリンスタンド、石油貯蔵タンク、タンクローリーなどの施設で必要とされる必置資格です。
危険物取扱者の資格は甲種・丙種・乙種の区分があり、甲種・乙種は取扱作業及びその立ち会い、丙種は乙種第4類危険物のうち指定された危険物に限り取扱作業をすることができます。また、甲種は化学に関する課程履修が必要で、丙種・乙種は化学に関する課程履修が必要なく、誰でも受験できます。
2022年度の乙種の試験状況(2022年5月現在)は、受験者数14,740人の内、合格者数は7,451人、合格率は50.5%となっています。
(2) 第3種冷凍機械責任者
第3種冷凍機械責任者は、冷凍機や空調に関する資格で、ビルメンテナンスの関連資格の1つです。
2021年の試験結果では、受験者数 11,437名に対して合格者数5,357名、合格率46.8%%となっています。
「令和3年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)」
(3) CADオペレーター(CAD利用技術者試験)
CADとは「Computer Aided Design」の略で、自動車や建築物、服飾などの設計・製図をする設計支援ツールのことです。CADオペレーターは、建築設計会社、機械設計会社などに勤務し、建築設計、機械設計の図面化作業を行います。
最近ではCADの普及によって、建築、機械とオペレーター業務も専門化しています。CADに関する民間資格には、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する2次元CAD利用技術者試験と3次元CAD利用技術者試験があります。
2次元CAD利用技術者試験・3次元CAD利用技術者試験ともに、準一級および一級試験以外は受験資格がありません。準一級と一級試験のみ、該当する試験の2級資格が必要になります。
2次元CAD利用技術者試験2級と3次元CAD利用技術者試験2級はそれぞれこのような試験結果になっています。
(1) 税理士
税理士とは、個人や企業の税金に関わるサポートを行う職業です。税理士の業務には、税務関係(個人確定申告、税務書類作成、税務相談)、会計関係(財務諸表作成、会計帳簿記帳代行、財務関係)、経営相談などがあります。
試験は、会計学に関する科目2科目(簿記論及び財務諸表論)と、税法に関する科目3科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税から選択)の5科目です。なお、所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。科目合格制のため、1科目単位で受験ができます。
合格基準点は60%で、2019年の試験結果は、受験者数27,299人で、5科目到達者数は585人、一部科目合格者数は4,554人です。
(2) DCプランナー
DCプランナーの「DC」とは「確定拠出年金」のことです。DCプランナーは年金制度全般にまつわる専門的な知識に加え、年金に関わるライフプランのアドバイスなどを行う企業年金総合プランナーです。この資格を所持していると、銀行や証券会社など金融機関の企業や一般企業の人事課などの転職に役立つでしょう。
2020年の9月に実施された2級の試験では、受験者数が2,028人のうち、合格者が合格者数1,069人となっており、合格率は52.7%となっています。
(1) 旅行業務取扱管理者(総合旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者)
旅行業務取扱管理者は、旅行業界でただ一つの国家資格です。国内と海外どちらの旅行も取り扱う総合資格と、国内旅行のみを取り扱う国内資格の2つがあります。
旅行会社では、営業所毎に1名以上(従業員がおおむね10名以上の営業所は2名以上)の資格保有者を必要とするため、旅行代理店など旅行業界の就職には有利になるといえるでしょう。
総合資格と国内資格の試験結果はそれぞれ以下の通りです。「全国旅行業協会/国内旅行業務取扱責任者」
(2) 通関士
通関士は、貿易に関わる国家資格です。貿易に関する税関の申請手続きが主な業務内容です。通関士の資格を活用する主な仕事には、商社、メーカーの通関部門、専業会社、大手倉庫会社、大手運送会社などでの業務があります。
筆記試験は「通関業法」「関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る)」「通関書類の作成要領その他通関手続の実務」から出題されます。
2021年度の試験結果では受験者数6,960人中、合格者数1,096人、合格率15.7%となっています。
(3) 登録販売者
登録販売者とは、医薬品販売の専門資格、及びその資格保有者のことです。現在、一般用薬品の販売は登録販売者が担っており、薬局・薬店・ドラッグストアはもとより、スーパーやコンビニ、デイサービス、スポーツ用品店などでも必要とされる職種です。
登録販売者は、第2類及び第3類の一般用医薬品の販売に従事することができます。試験は都道府県単位に実施され、東京都の2021年度試験状況は受験者数4,888人中、合格者数2,112人、合格率は43.2%となっています。
次に、数々ある資格の中でも転職に有利に働きやすく、取得しやすい資格を6つご紹介します。
日商簿記検定とは、日本商工会議所が実施する簿記に関する試験・資格のことです。等級には1級から3級まであり、会計の仕組みや習熟度を測ることができます。
資格を取得すれば、企業経理会計スタッフ、金融関係業種、会計事務所スタッフなどの転職に有利になります。会計スタッフの主な仕事としては、日常企業会計業務、決算業務、財務分野の業務などがあります。
合格基準は1級が70%以上の正答率(※ただし、1科目ごとの得点は40%以上)、1級も70%以上の正答率が必要です。2級以上であれば転職する際に強みとして使えるでしょう。2022年6月の2級試験では受験者数13,118人の内、合格者数が3,524人、合格率は26.9%となっています。
宅地建物取引士、通称"宅建"は不動産に関する資格で、土地や建物の売買、斡旋、詳細な説明ができるようになります。
宅建資格が主に必要とされる職業は、不動産流通会社、ディベロッパー、ハウスメ-カー、建設会社、工務店、金融関係、一般企業不動産部門、その他施設・店舗展開事業の企業などがあります。
仕事内容としては、土地建物の売買、及び売買、交換、貸借の代理・仲介が中心になります。宅建業を営む会社では、事業所ごとに一定の割合で有資格者が必要です。
2021年(12月実施分)の試験結果は、受験者数24,965人に対して合格者数3,892人、合格率は15.6%となっています。
「令和3年度宅地建物取引士資格試験 (12月実施分)結果の概要」
介護職員初任者研修は、在宅や施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識や技術を習得する研修です。短期間で取得できるため、介護職を志す方は初めに受講することをおすすめします。
資格を取得していると、訪問介護サービス会社・グループホーム・デイケアセンター・通所介護関連施設、高齢者サービス付き住宅、ケア付きマンション、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム等への転職に有利になりやすいです。この資格を入口にキャリアアップをし、実務者研修や介護福祉士などの資格を目指すと、キャリアアップにつなげることができるでしょう。
講習修了で資格認定されるため取得難度は比較的やさしいといえます。受講資格の制限はありません。資格取得にかかる時間は通学講座で約1カ月、通信講座で約3カ月程度のものが多いです。
医療事務とは、主に病院の受付や会計、レセプト(診療報酬明細書)作成業務を担当する仕事です。
医療事務の仕事をするのに資格は必須条件ではありませんが、医療費・診療報酬の計算や早い処理能力を証明できます。医療事務の資格には例として次のようなものがあります。
診療報酬請求事務認定試験は、公益財団法人日本医療保険事務協会主催の資格試験です。
試験内容は、医療保険制度や診療報酬請求事務、医学・薬学に関する基礎知識、医療関係法規などに関することが問われ、医療費などの計算をする実技試験もあります。試験は年2回で、合格率は医科が約30%、歯科で約38%(2021年2月現在)となっています。
試験は医科と歯科に分かれていて、2021年12月に実施された第55回試験の結果は以下の通りです。
MOSとは、マイクロソフト オフィス スペシャリストの略で、Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlookなど、マイクロソフト社のソフトの利用技術を証明するものです。事務関連では汎用的な資格で、転職の際にスキルを証明する基盤となるでしょう。
Word、Excel、PowerPointなどはどの職種においても使用頻度が高く、特に事務職では仕事の基本ソフトになります。
ツールの習熟度に関する認識は人や企業によって異なります。MOS試験に合格することで、スキルや習熟度を正確に証明でき、面接時のアピールにも役立つでしょう。
ファイナンシャルプランナーは、お金に関する知識を証明する資格です。
ファイナンシャルプランナーを活かした仕事としては、資産運用、保険、投資のほか、金融商品販売のアドバイザー業務などがあります。金融関連での転職では有利に働くことが多いでしょう。
資格には国家技能検定資格のFP技能士と、民間資格のAFP、CFPがあります。
FP技能士は日本FP協会ときんざい(金融財政事情研究会)の2団体が試験を主催しています。試験日や受験資格などは同じですが、実技試験の出題範囲が異なります。
試験は1級~3級に分かれており、3級は誰でも受験できます。2級の受験資格は3級技能検定合格者及びFP業務2年以上の実務経験者が該当します。1級の受験資格はFP2級を取得し、FP業務に関して1年以上の実務経験を要する者、またはFP業務に関して5年以上の実務経験を有するものとされています。
きんざい(金融財政事情研究会)が主催する2022年5月のFP技能士3級の試験結果は、下記の通りです。3級はそれほど難易度が高くないので、初心者の方にも挑戦しやすいでしょう。
「一般社団法人 金融財政事情研究会 試験結果:2022年5月試験」
では、資格取得によって転職を成功させるためにはどんなことを意識すればいいのでしょうか?
順にみていきましょう。
転職ではお勤めをしながら資格取得するケースがほとんどです。
そのため、まず学習時間の確保と学習の習慣づけが重要です。
たとえ学習時間が短くとも毎日勉強をし、継続するようにしましょう。通勤時間や休憩時間など、スキマ時間を使って学習すれば、1日の学習時間は2時間程度確保できるのではないでしょうか。
あまりに資格の取得に時間が長引いてしまう場合は、今の労働環境だと自由に使える時間が少ないのかもしれません。今すぐの転職を考えている方は早めに転職活動をし、転職後の資格取得を目指すのも一つの方法です。
なお、自分の理想に合った職場を選びたかったり、自己研鑽の時間を取れる職場であるかどうかを事前に把握するためには、転職エージェントの活用がおすすめです。
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あなたが取得を検討している資格は、志望企業に挑む際に本当に必要なのか、改めて見直してみましょう。
企業のリアルな声を聴くためには求人票や会社説明会だけでは情報が不足してしまうケースは非常に多いです。企業がどんな人材を求めているのか、実際の業務ではどういったスキルが要求されているのか、よく情報収集したうえで必要な資格を取得しましょう。
興味・関心のある分野への理解を深め、資格を取得するのは大切なことですが、資格はあくまでもスキルの一部を証明するものであり、転職活動のメインとなるのはあなた自身です。仕事を通しての実力や、資格を活用して企業にどう貢献できるのかということを伝えるようにしましょう。
転職志望先の業種、職種を研究し、キャリアとなる実務経験があれば、あわせて伝えるとより効果的です。
転職で資格を活かすには、希望する職種にマッチし、実務経験と組み合わせたときに武器となるものを取得するといいでしょう。
例えば、経理であれば日商簿記検定、人事であれば社会保険労務士、営業職なら販売士などが挙げられます。もちろん、資格があればそれだけで有利になるわけではありません。選考にあたっては、実務の能力やスキルがどれだけあるかが重視され、資格があることはその裏づけとなるわけです。
また、資格を取得したことだけではなく、資格の取得に向けて努力を重ねたプロセスなどもアピールしましょう。仕事に対する意欲の表れとして、プラスに評価されるはずです。
職務経歴書の資格欄は、どのような資格でも全て書けばよいというわけではありません。職務経歴書に書く資格は、自分がどのようなことに興味があり、どのようなスキルがあるのかをアピールするためのもの。採用担当者は、応募者にどのような能力があるのか、また、どのような分野に興味があり得意なのかに注目しています。
ですから、転職を希望する仕事に役立つ国家資格や公的資格、仕事上有利になる資格を優先して書きましょう。
資格の名称は、「宅建」「社労士」「英検」など、略称で用いられることも多いです。ただし、職務経歴書に記入する際は、正式名称を用いるのが鉄則です。宅建は「宅地建物取引士」、社労士は「社会保険労務士」、英検は「実用英語技能検定」となります。
級や種など難易度によるランク分けがされている場合は、「2級」「乙種」といった具合に級数や種類も忘れずに書くようにしましょう。記入できる資格がない場合には、「資格なし」と記入してください。
もし資格の取得に向けて勉強中であり、それが応募する業務に活かせるものであれば、積極的に書くことをおすすめします。「資格取得に向け現在勉強中」「○月に取得の予定」など具体的な内容を書き、前向きさをアピールしましょう。
転職に役立つおすすめ資格は、基本的に大きな男女差がないと考えていいでしょう。
これまでに取り上げてきた資格は、男女を問わず、それぞれの業種、職種へ転職する際に有利になります。ただし、女性の転職に有利に働く可能性がある資格はいくつかあります。
女性の場合、結婚・出産などによってライフスタイルが変わり、転職を考える必要が生じることもあり得ます。その際、ニーズが高く、長く働くことができる職に就くためにも、ここに挙げたような資格がおすすめです。
結婚や出産で一度退職し、再び働き始める際、キャリアの空白を埋めるのにも資格が役立つことが少なくありません。資格を保有していれば、それだけ仕事に対する意欲があることの証しにもなりますから、将来も見据えてぜひこれらの資格を取得しておくといいでしょう。
資格を取得する大きなメリットは、これまでの仕事で積み重ねてきた実績を証明できるところにあります。
異業種への転職を目指している方でも、新たな業種への転職・就職を考える際に経験の少なさを補う材料となるでしょう。実務経験だけを重視される職場だと、未経験者はいつまで経っても専門的な仕事をさせてもらえない可能性もあります。
資格を取得していれば、業種現場で必要とされる最低限の知識・スキルを保有していることを証明してくれます。
資格は絶対的なものではありませんが、持っていて損をするものでもありません。自分が使える時間と相談し、積極的に学習に励んでみましょう。資格にまつわる分野の知識を体系的に身につけることにも役立つので、自身のスキルアップや自信にもつながるでしょう。
ぜひ、資格取得をゴールとするのではなく、「新たなキャリア」というスタートにつくための武器として活用してみてください。
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