更新日:2021/09/14
企業のお金を扱う経理や財務の仕事は、やりがいがある半面、ある程度の専門知識がないと務まらないものです。
経理や財務の仕事を務めるには、必要な知識や、役立つ資格・検定があります。これらの資格取得、または検定試験のための勉強で得られる知識は、これから転職を目指す方はもちろん、すでに経理や財務として働いている方のキャリアアップにも有効です。
ここでは、経理や財務の仕事に役立つ資格や検定の他、取得するための方法についてご紹介します。
目次
経理・財務の仕事で役立つ、おすすめの資格や検定を厳選して5つご紹介します。取得するための条件や、勉強を通してどのような能力を習得できるのか見ていきましょう。それぞれを比較して、自身のこれからのキャリアに役立つ資格が何であるのか検討してください。
日商簿記検定は、経理や財務、いずれの仕事においても役立つ資格です。経理の業務に関連する資格としてオーソドックスな資格であるため、すでに資格を保有している経理担当者も多いでしょう。
日商簿記検定には、1~3級と、初級の4つのレベルがあります。初級は3級をさらに簡易化したレベルの級として、2017年より導入されました。
それぞれの受験料は下記のとおりになります。
<日商簿記検定 受験料>
※2020年4月現在。受験料の他に、受験級ごとに事務手数料として550円(税込)が必要です。
日商簿記検定は、学歴・年齢・性別・国籍による制限がありません。
2級または1級から受験しても良く、1級と2級の併願受験も可能です。1級は公認会計士や税理士を目指す人が主に受験する級であり、合格率は10%前後と難度は高くなります。
一般企業における経理の通常業務に必要なスキルとしては、2級レベルで十分です。
なお、3級は経理担当者というよりも、社会人としての基礎的な経理知識が問われます。経理を目指した転職活動をする際のアピールポイントとしては、やや不足があるといえるでしょう。
ですが、3級の場合でも経理の仕事に就けないわけではありません。経理を目指すなら絶対2級と決め付けず、まずは3級に挑戦し、取得できたら次は2級という風に、ステップアップするのもいいでしょう。また、初級は、簿記の基本的な用語や仕組みを理解し、仕事に活かせるかどうかを確認するためのものです。
初級取得にあたり学ぶ内容は3級の範囲の半分強をカバーするといわれます。初級の試験の形式は、ネット試験となり、全国の日本商工会議所ネット試験会場において随時開催されるので、3級を取得する前の第一歩として気軽に挑戦してみてはいかがでしょうか?
FASS検定とは経理・財務スキル検定ともいわれ、経理・財務の、主に実務におけるスキルを証明するものです。経済産業省の委託を受けて日本CFO協会が主催する検定であり、近年、日商簿記検定と同様に、経理・財務の仕事に携わる人に注目されています。
経理、財務の仕事を目指す方や、すでに経理や財務として働いておりキャリアアップを狙う方、いずれにとっても役立つ検定です。
FASS検定は、合格・不合格ではなく、試験の得点を基に5段階のレベルでスキルが評価されます。一度受けて終わりではなく、定期的に受験することで、自分自身の現時点での実力やスキルアップの度合いを把握できる仕組みです。
次の段階のレベルに進むために勉強し続ければ、FASS検定でのレベルアップとともに、経理や財務としての実力を身に付けることができるでしょう。
FASS検定の受験料は下記のとおりです。
<FASS検定 受験料>
※2020年4月現在
出題範囲は、「資産分野」「決算分野」「税務分野」「資金分野」の4つです。試験結果は、FASS検定の公式ウェブサイトにて確認できます。試験結果ページのURLは、登録したメールアドレス宛に通知される仕組みです。
試験結果のページには、前述の5段階レベルの評価と、分野ごとの達成度合いが表示されます。
また、4分野に加え、任意で「オプション科目」を選んで受験することも可能です。オプション科目には「収益認識基準」などがありますが、期間ごとに内容が変更となることもあるため、FASS検定のウェブサイトで確認しておきましょう。
ビジネス会計検定試験は、財務諸表に関する知識や分析力を問うもので、ビジネスパーソンの会計知識のレベルを証明する検定です。財務諸表が表す数値を理解し、ビジネスに役立てることを目的とした資格であるため、経理・財務の仕事だけでなく、営業や企画など、幅広い分野で活かせるでしょう。
ちなみに、ビジネス会計検定試験に、簿記の知識は必要ありません。
ビジネス会計検定試験には1~3級があり、それぞれの出題範囲と受験料は下記のとおりです。
■ビジネス会計検定試験の出題範囲と受験料
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※2020年4月現在
受験資格は特になく、希望する級から受験することができます。自信がある方は、いきなり1級に挑戦することも可能です。
ちなみに、1級不合格者の中で、得点が120点以上の人は、準1級に認定されます。
公認会計士の資格は、公認会計士になるために必要な国家資格です。公認会計士は、財務諸表の監査業務に携わることが認められている、唯一の職種となります。ですから、資格取得のための勉強や得られる知識は、特に財務の仕事に役立つでしょう。
ただし、公認会計士の資格取得は非常に難度が高いため、試験に合格するまで、場合によっては数年間、勉強しなければなりません。
険しい道ではありますが、資格を取得した後は、企業の財務として活躍できるだけでなく、監査法人で監査の仕事を行ったり、会計士として独立したりと、幅広い選択肢から希望のキャリアを目指せるでしょう。
公認会計士は、4科目の短答式試験と、論文試験に合格した後、2年以上の実務経験を積み、さらに実務補習と修了考査を完了させることで、初めて資格登録が可能となります。
公認会計士の試験に受験資格はなく、学歴も必要ありません。誰でも受けることができますが、受験料として19,500円が必要です。
なお、公認会計士は日本の資格ですが、米国公認会計士(USCPA)の資格も、日本国内で取得できます。外資系企業や海外との取引が多い企業の財務として働きたい場合は、取得を検討してみてもいいでしょう。
税理士は、様々な税に関する専門家であり、世間に周知されている資格です。
税理士資格の試験には、簿記や財務諸表といった内容が含まれており、取得にあたり得られる知識は財務の仕事で活かすことができます。
税理士資格を取得することで、税理士事務所などに勤めたり、独立したりといった道が開けるため人気ですが、合格率は10%台で、司法書士と並ぶ難関資格のひとつです。
税理士試験の受験資格は、下記のとおり定められています。
<税理士試験の受験資格がある人>
試験内容は「簿記論」と「財務諸表論」の他、「所得税法、法人税法、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税」の中から3科目(所得税法か法人税法のいずれかは必須)の計5科目です。
すべてを一度に受ける必要はなく、受験料は受ける科目数によって決まります。
科目数ごとの受験料は下記のとおりです。
■税理士試験の受験科目数と受験手数料
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※受験手数料に相当する収入印紙代も、別途必要となります。
経理、財務に活かせる資格には様々なものがありますが、簡単には取得できない高難度のものも多くなっています。経理や財務として働きたいと考える方は、まず日商簿記検定2級を目指してみてはいかがでしょうか。
経理・財務として働く上で、簿記検定の知識は必須となります。2級までであれば、現職に勤務しながら勉強時間を確保し、独学で取得を目指すことも可能です。
さらに難度の高い日商簿記検定1級の取得を目指す場合は、スクールなどに通うのが無難な方法となります。難度に合わせ、適切な試験対策をとる必要がありますが、何よりライフスタイルに合わせ、無理なく効率よく学習することが大切です。
経理や財務の仕事に活かせる資格は、難度や分野別に複数存在しています。経理といえば日商簿記検定というイメージを持っている方がいるかもしれませんが、他にも役立つ資格はあるため、自分の業務範囲や就きたい仕事に合った資格の取得を目指しましょう。
そのためにはまず、経理や財務を募集する企業や業務内容、またどのような資格が求められるのかといった情報収集が大切です。
経理・財務の転職情報や求人情報に加え、取るべき資格や勉強方法についてアドバイスが欲しい方は、マイナビエージェントにご相談ください。
担当のキャリアアドバイザーが、経理や財務に転職する際に役立つ情報や資格をご紹介させていただくなど、求職者の志向や条件に寄り添ったサポートをさせていただきます。
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