更新日:2025/06/30
この記事のまとめ
退職後に離職票がなかなか届かず、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。離職票は雇用保険の手続きに必要な重要書類ですが、さまざまな理由で届かないケースがあります。
そこで本記事では、離職票が届かない主な原因と具体的な対処法を詳しく解説します。離職票が届かなければ失業給付の受給開始が遅れるなどの影響が出るため、適切に対応しましょう。
目次
離職票は失業給付の受給に必要な書類です。「離職票が届かない」という問題に直面した際の対処法を理解するために、まず離職票そのものの基本を押さえておきましょう。ここでは、離職票の定義や役割、記載内容、手元に届くまでの標準的な期間などを解説します。
離職票は正式名称を「雇用保険被保険者離職票」といい、失業給付を受け取るために欠かせない公的書類です。退職者が次の職に就く前に失業給付を受けたい場合、居住地を管轄するハローワークに提出します。離職票の発行手続きを行うのは、前職の会社です。会社が必要書類を提出し、ハローワークから会社を経由して退職者の手元に届くか、マイナポータルを通じて受け取ります。
離職票は「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」の2種類から構成されています。離職票-1は失業給付金の振込先情報を記入する書類、離職票-2は給与や離職理由などが記載された3枚つづりの複写用紙です。
これらには離職年月日、離職理由、雇用保険被保険者番号などの重要情報が記載されているため、手元に届いたら内容に誤りがないかきちんと確認しましょう。また、雇用保険被保険者番号は転職先の会社に伝える必要があるため、メモしておくことをおすすめします。
離職票が郵送で届くまでの標準的な期間は10日~2週間程度です。法律上、企業には退職者の離職日の翌々日から10日以内に手続きを行う義務がありますが、ハローワークでの処理後に会社を通じて退職者の手元に届くまでにはさらに数日かかると考えておいたほうがよいでしょう。
なお、2025年1月以降は、マイナポータルを通じても離職票を受け取れるようになりました。この場合、事業所が電子申請で離職手続きを行った後、ハローワークでの処理が完了しだい、マイナポータルに送信されます。
ただし、マイナポータルでの受け取りには、事業所側が電子申請を利用していること、マイナンバーのハローワークへの登録、マイナポータルと雇用保険Webサービスの連携設定などいくつかの条件があります。また、マイナポータルのお知らせ容量が上限を超えていると送信エラーになる場合もあるため注意が必要です。
参照:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|厚生労働省
参照:2025年1月から、「離職票」をマイナポータルで受け取れるようになります!
参照:雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス
離職票が届かない原因にはいくつかのパターンが考えられます。具体的には、会社側の対応遅延、ハローワークでの処理の遅れ、自身の申請漏れなどです。ここからは、離職票が届かない主な原因を5つのケースに分けて解説します。
離職票が手元に届かない原因のひとつは、会社側の対応が遅れていることです。企業は、退職者の離職票を作成し、ハローワークで手続きを行います。しかし、繁忙期と重なって事務作業に遅れが生じたり、給与計算などの処理に時間がかかったりすることもあるでしょう。また、会社側が手続きに必要な添付書類の取得に時間を要している可能性もあります。
ハローワークでの手続きに時間がかかっているケースもあります。会社側が必要書類を提出しても、ハローワーク内での手続きが滞ると退職者の手元に離職票が届くまでの期間は長引きます。特に退職者が多くなる時期などの繁忙期には、通常よりも処理に時間を要するでしょう。また、ゴールデンウィークなどの連休と重なると、さらに遅延が生じやすくなります。
退職時に会社に離職票の交付を申し出ない場合、手元に届かないケースがあります。雇用保険法上、会社は離職票発行の手続きが義務づけられていますが、実際には申請者だけに交付する企業も少なくありません。
次の就職先が決まっている場合は離職票が不要と考えられるため、会社側が離職票の必要の有無を確認してくることもあるでしょう。「不要」と答えた場合は、手続きが行われない可能性があります。
自分から離職票希望の意思表示をしていなかった場合、会社が発行手続きを行わないこともあるため、離職票が必要な場合は退職時に人事担当者に明確に伝えておくと安心です。
離職票は雇用保険に加入している方にのみ発行される書類です。週の労働時間が20時間未満のパートやアルバイト、または31日以上の雇用見込みがない短期契約社員などは、雇用保険の加入対象外となるため、離職票は発行されません。
雇用保険への加入状況は給与明細書で確認できます。毎月の給与から「雇用保険料」が控除されていれば加入していますが、引かれていなければ未加入です。離職票が届かない場合は、まず自分が雇用保険に加入していたかを確認しましょう。加入していなかった場合、離職票の発行対象外となるため、失業給付を受けることはできません。
離職票が届かない原因として、郵送トラブルも考えられます。配達の遅延や不在による持ち戻り、宛先不明による返送などが起こる可能性があります。特に退職後に引っ越しをした場合、住所変更の手続きが適切に行われていないと、前の住所に送られてしまうことがあるでしょう。また、郵便物の紛失というケースもまれにある点にも注意が必要です。
退職後2週間以上経過しても書類が手元に来ない場合は、前職の会社に問い合わせたり、ハローワークに直接相談してみたりするとよいでしょう。ここからは、状況に応じた効果的なアプローチ方法を解説します。失業給付の申請に不可欠な離職票をスムーズに入手するためのポイントを押さえておきましょう。
離職票が手元に届かない場合は、まず前職の会社に問い合わせて手続き状況を確認しましょう。人事部や総務部などの担当者に連絡を取り、自分の氏名、退職日、住所などの基本情報を伝えると、スムーズに対応してもらえるでしょう。
すでに手続きが済んでいる場合は、いつごろ発送されたかを確認します。会社が手続きを済ませている場合は、会社からハローワークに進捗状況を確認してもらうことも効果的です。
会社側が必要書類をハローワークに提出済みの場合は処理状況をハローワークで確認できるため、ハローワークに直接問い合わせる方法もあります。会社に直接連絡を取りづらい、会社から離職票を発行してもらえないといったケースも、ハローワークに相談してみるとよいでしょう。管轄のハローワークに相談すれば、ハローワークから会社に連絡してもらえる可能性もあります。
離職票が届かないと、失業給付の受給手続きを進められません。離職票が手元にないとハローワークでの手続きが完了せず、結果として受給開始時期が遅れてしまいます。
退職してから転職活動を始める場合や、退職してから次の会社に入社するまでの期間が長くなる場合は、計画していた資金繰りに支障をきたす恐れがあるでしょう。そのため、離職票が届かないと感じたら、早めに会社やハローワークに確認することをおすすめします。
離職票が届かない場合でも、退職後に行ういくつかの手続きは進められます。ここでは、離職票がなくても進められる手続きを4つ紹介します。それぞれの手続きにおける注意点も押さえて、スムーズに次のステップに進みましょう。
離職票がなくても、退職日の翌日から数えて12日目以降であれば、ハローワークで失業給付の仮手続きができる場合があります。ただし、初回の失業認定日までには離職票が必要となるため、並行して会社への確認やハローワークへの相談を続けることが重要です。仮手続きの詳細は管轄のハローワークの窓口や公式サイトで確認してみましょう。
国民健康保険への切り替え手続きは、離職票がなくても進められます。手続きは退職日の翌日から14日以内に行うことが法令で定められており、遅れると保険料をさかのぼって納める必要があるため、早めに手続きを済ませましょう。
手続きに必要なのは、健康保険資格喪失証明書などの退職日が確認できるものと、マイナンバーカードなどの本人確認書類です。必要書類や手続き方法は自治体によって異なる場合があるため、事前に確認することをおすすめします。
国民年金への切り替え手続きは、離職票がなくても基礎年金番号が分かれば可能です。市区町村の年金窓口で第1号被保険者への種別変更手続きを行います。国民年金への切り替え手続きも、退職日の翌日から14日以内に行いましょう。
基礎年金番号は、年金手帳や基礎年金番号通知書、マイナンバーカードなどで確認できます。手続きの際は本人確認書類も持参しましょう。
転職先が決まっている場合は失業給付を受給しないため、離職票の提出は必要ないケースがほとんどです。ただし、転職先の企業に雇用保険被保険者番号を伝える必要があるため、事前に確認しておきましょう。もし転職先で離職票の提出を求められることがあっても、通常は雇用保険被保険者番号だけ伝えれば問題ありません。
参考:Q、会社を退職して(又は被扶養者ではなくなったので)国民健康保険に加入したいのですが。|横浜市
参考:国民年金に加入するための手続き|日本年金機構
離職票に関するよくある質問とその回答をまとめました。離職票を紛失した場合の再発行方法や、転職先が決まっている場合でも離職票が必要な理由、失業手当を受給するための提出期限など、実務的な疑問に対する具体的な解説を順に見ていきましょう。
離職票を紛失しても再発行は可能です。再発行手続きを行う方法には、管轄のハローワークでの窓口申請や郵送申請、e-Govでの電子申請などがあります。離職票の再発行には制限がないため、何度でも手続き可能です。ただし、会社経由での再発行は離職証明書の保管期間を過ぎると対応できなくなる可能性があるため注意しましょう。
転職先が決まっている場合でも、離職票は発行してもらうのがおすすめです。理由は主に2つあります。まず、転職先で雇用保険の手続きをする際、被保険者番号の確認に離職票が役立ちます。雇用保険被保険者証やマイナンバーカードでも確認できますが、離職票があれば手続きがスムーズです。
また、転職先をすぐに退職した場合に必要になるケースもあります。前職の雇用保険加入期間と合算して12ヵ月以上あれば、失業給付を受給できるためです。万が一に備えて、転職先が決まっていても離職票は受け取っておきましょう。
失業給付を受給できるのは、原則として離職日の翌日から1年以内です。この期間を過ぎると受給資格を失うため、受給資格期間内に提出しましょう。また、すでに失業保険の仮手続きを済ませている場合は、初回の失業認定日までに離職票を提出しなければなりません。提出が間に合わないと、失業手当の支給が遅れてしまいます。
離職票の提出が遅れると受給開始が遅れるだけでなく、受給資格そのものを失う可能性があるため、早めの手続きを心掛けましょう。
離職票が届く前にアルバイトをしても基本的に問題はありません。ただし、失業給付の受給に関しては注意点があります。ハローワークで受給資格を取得した後の7日間の待期期間中にアルバイトをすると、失業中とみなされず、待期期間が延長されたり再手続きが必要になったりする可能性があります。
参照:~失業保険は、いつから、いくら、いつまで~|神奈川ハローワーク
退職後に転職活動を始めるなら、転職のプロへの相談がおすすめです。応募書類の添削や面接対策などの適切なサポートがあると、転職活動を効率的に進められるでしょう。転職に関する不安やお悩みは、ぜひマイナビエージェントにご相談ください。専任のキャリアアドバイザーが、あなたのスキルや希望条件に合った求人の紹介から選考対策まで一貫してサポートいたします。
離職票は雇用保険被保険者離職票の略称で、失業給付を受けるために必要な書類です。退職後10日〜2週間程度で手元に届くのが一般的ですが、さまざまな原因で届かないケースもあります。2週間を過ぎても届かない場合は、会社やハローワークに問い合わせてみましょう。
これから転職先探しを始める方は、ぜひマイナビエージェントにご相談ください。希望条件に合う転職先探しから選考対策、内定獲得後の条件交渉まで一人ひとりに寄り添いながらサポートいたします。
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