更新日:2023/03/24
この記事のまとめ
退職後は返却の必要がある保険証ですが、方法としては退職日に直接手渡しするのが確実でしょう。しかし、被扶養者である子どもが遠方で暮らしていてすぐに回収できないケースや、退職日にうっかり返却し忘れてしまったケースなどもあり得ます。
ここでは、そのようなさまざまなケース別に保険証の返却方法をまとめました。また、返却後、新しい保険へと切り替えるための手順についてもご紹介します。これらを把握しておけば、よりスムーズに転職が進められるでしょう。
目次
会社を退職する際には健康保険証を返却する必要があります。しかし、都合によってはスムーズに返却ができないことがあるかもしれません。
その場合どう処理をすればいいのか、4つのケース別に説明します。
配偶者や子供、両親などが健康保険の被扶養者となっている場合があります。健康保険証は以前は一家で1枚の紙の物が主流でしたが、現在はカード式で一人につき1枚交付されるスタイルが主流となっています。そのため、被扶養者がいる場合は全員のカードを返却する必要があります。
家族と離れて暮らしているなどの理由で保険証の回収に時間がかかることが予想される場合は、早めに連絡をして受け取っておきましょう。
健康保険証を紛失してしまって返却できない場合はすぐに会社に相談しましょう。早めに申告することで後のトラブルを回避できます。退職間際になって慌てないためにも、日頃から健康保険証の管理は徹底しておくようにしてください。
なお、在職中に健康保険証の紛失があった場合は再交付を依頼することができます。
病気やケガはいつ起きるかわからないもの。そのため多くの場合、健康保険証は勤務の最終日に返却することになります。しかし、最終日に持って行くのを忘れたり、有給休暇を取得することから最終勤務日と退職日に開きがあったりすることもあるでしょう。そのような場合は後日郵送で返却することもできます。
健康保険の資格失効日は退職日の翌日です。つまり、退職日にはまだ健康保険を使用することができます。このような場合も、退職時に健康保険証の返却ができないため後日郵送で返却することになります。
転職先の会社で健康保険に加入するためには、前の会社から「健康保険資格喪失証明書」を受け取る必要があります。通常は退職時に交付される書類の中に含まれているはずですが、万一もらえなかった場合は請求するようにしてください。
健康保険資格喪失証明書を提出した後の手続きは転職先の会社の担当者が行ってくれるため、特に直接手続きをすることはありません。通常であれば一週間程度で健康保険証をもらうことができるでしょう。もしそれ以上経っても健康保険証が交付されない場合は確認するようにしてください。なお、フルタイムで勤務する一般的な従業員の場合は必ず社会保険に加入することになります。試用期間やアルバイト扱いなどの理由で社会保険に加入させないことはできませんので、必ず確認しましょう。
また、健康保険証が届く前に病院にかかりたいという場合は一時的に全額を立て替えることになりますが、この代金は健康保険証を受け取った後で返金してもらうことができます。会社に相談するか直接健康保険組合に申し出て、健康保険療養費支給手続きをしましょう。なお、受診日と同じ月内に健康保険証が届いた場合は、受診した病院の窓口で返金してもらえるケースもあります。受診する際に、保険証が後から届く場合の手続き方法について窓口で相談してみると良いでしょう。
退職後に再就職しない場合は自ら健康保険への加入手続きをしなければなりません。
その場合の選択肢は以下のとおりです。
任意継続健康保険とは、退職後2年間に限り退職前と同様の健康保険を継続できる仕組みです。退職により会社負担分が加算されるため重複して保険料を負担することになってしまいますが、上限額が設定されているため、人によっては単純に従来の金額の2倍とはならない可能性もあります。
多くの企業が加入する保険組合「協会けんぽ」の場合、任意継続保険に加入するには退職日から20日以内に各都道府県に設置されている協会けんぽ支部宛に手続きを行う必要があります。なお、退職日までの間に継続して2ヵ月以上の被保険者期間がない場合は加入できません。
加入後に注意しなければならないのは保険料の納付です。在職中は給与から天引きされますが、任意継続では自ら納付手続きをしなければなりません。1日でも納付期限を超過すると自動的に資格喪失となってしまうので、十分に注意しましょう。
また、任意継続健康保険は途中で解約できません。再就職先で新たな健康保険に加入するか、2年後に満了を迎えるかのいずれかでない限りはそのまま継続することになるため覚えておきましょう。
家族が加入している健康保険の被扶養者となる場合、保険料は被保険者である家族分に含まれるため、個人の負担を抑えることが可能です。
協会けんぽにおける被扶養者の認定範囲は以下のとおりです。いずれにしても被保険者が主に生計を維持する者であり、一部を除き同一世帯である必要があります。
【被扶養者の認定範囲】
上記を踏まえ、さらに以下の収入基準を満たしている際に被扶養者として認められます。
被保険者と同一世帯の場合
・年間収入が130万円未満、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満
・60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満
被保険者と異なる世帯の場合
・年間収入が130万円未満、かつ被保険者からの援助による収入額より少ない場合
・60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満、かつ被保険者からの援助による収入額より少ない場合
なお、加入手続きは家族の勤務先担当者が行うことになります。健康保険組合によっても条件が異なり、手続きにも準備や時間を要するため、被扶養者となることが判明した段階で担当者へ詳細を確認しておくようにしましょう。
退職後、すべての方がすみやかに次の就職先に入社するとは限りません。再び働き出すまでに日が空くケースも大いにあるでしょう。そのような場合は、一時的に国民健康保険に加入することになります。
国民健康保険の加入手続きは、退職後14日以内に行うことと定められています。そのため、「数日間空くものの14日以内に次の会社へ就職する」という場合は無理に加入する必要はありません。保険料は、医療分、支援金分、介護分(40~64歳のみ)を合算した金額となります。ただし詳細な計算方法は市区町村ごとに変動するため、同じ年齢、収入でもバラつきが発生します。
(例)東京都在住、30代、独身、年間所得500万円 の年間保険料
保険料は世帯単位で決定され、納付は世帯主が一括して行います。詳細については居住する市区町村に問い合わせてみましょう。
なお、健康保険の保険料が徴収されるのは「月末に加入している」場合のみです。たとえば、10月5日から10月15日まで国民健康保険に加入し、16日に新しい会社の健康保険に加入した場合、国民健康保険料を支払う必要はありません。これは、国民健康保険の加入期間中に国民健康保険を利用して病院にかかった場合でも同様です。
未加入期間中に不慮の事故に遭遇する可能性もゼロではありませんから、間が空かないように国民健康保険への加入をおすすめします。
任意継続保険と国民健康保険のどちらがいいかはそれぞれの状況により異なるため、一概には言い切れません。協会けんぽの任意継続保険の場合は保険料額表が定められており、在職中の標準報酬月額に一律の保険料率を掛け合わせ決定されます。一方の国民健康保険は、被保険者の年齢、収入だけでなく、家族構成などが影響するため、人によって大きく変動します。
任意継続保険は加入できる時期が限定されるため、あらかじめシミュレーションをしっかりを行ったうえで、どちらの選択が最適かを判断しましょう。
退職後すぐに再就職しない場合は国民年金の切り替えも必要です。
会社に在職中は第2号被保険者に属していますが、以下のいずれかに種別変更手続きを行わなければなりません。
退職日から14日以内に、年金番号を確認できるもの(年金手帳や基礎年金番号通知書)、退職日を確認できるもの(離職票、退職証明書)、本人確認書類を持参の上、最寄りの役所で手続きを行いましょう。
保険料に関しては、第3号被保険者の場合は個別で保険料を納付する必要はありませんが、第1号被保険者は自ら納めることになります。万が一収入が少なく納付がむずかしい場合は免除申請を行うことも可能です。なお、令和3年度の国民年金保険料は、16,610円 です。
転職に際しての健康保険の切り替え手続きは、少し面倒な部分があり、転職先で新しい保険証を発行してもらえるまでには2週間程度かかります。その間、万が一事故に遭ったり病気になったりした場合、健康保険が切れていると、医療費を全額負担しなければいけないのが原則です。
転職時期で保険証のない期間が生じる場合には、「健康保険被保険者資格証明書」を会社の人事課や総務課など、健康保険の手続きをする部署にお願いしてもらうようにしましょう。健康保険被保険者資格証明書は、通常の保険証にある記号や番号などが記載されており、原本ではないものの保険証の代わりになる書類なので、医療費を全額負担しなくても済みます。そして、保険証が届いてから、次の診察日などで確認してもらうのが一般的な流れです。
このように健康保険の移行手続きは面倒であるものの、代替する制度も整っています。常に資格が途切れることがないように注意しておきましょう。
転職について分からないことがあれば、転職エージェントにご相談ください。
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