更新日:2024/08/06
この記事のまとめ
転職は人生の大きな転機であり、新しいキャリアへの第一歩です。しかし、転職に伴う手続きや準備はいろいろあり、特に社会保険の手続きは見落としがちな部分といえるでしょう。
そこでこの記事では、転職時に必要な社会保険の手続きや、注意したいポイントについて詳しく解説します。健康保険や年金、雇用保険など、転職時に必要な社会保険の手続きを正しく理解し、転職準備をスムーズに進めましょう。
目次
社会保険とは、病気やけがなど社会生活上のリスクへの備えを目的とした公的な保険制度です。子どもから高齢者まで生涯にわたって生活を支えるための社会保障制度のひとつとして、国や都道府県、市町村が主体となって実施しています。
会社員として働いている場合には、基本的に社会保険への加入が求められます。毎月の給与から保険料が差し引かれていることが、給与明細で確認できるでしょう。
社会保険には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5種類があります。転職時の手続き方法を知る前に、まずはそれぞれの保険がどのようなものなのか、確認しておきましょう。ここでは、社会保険の種類について、詳しく解説します。
健康保険は、病気やけがをした際に医療費の負担を軽減してくれる制度です。健康保険に加入することで、医療費の1割~3割の自己負担額で医療サービスを受けられます。会社員の場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)や、会社の健康保険組合に加入するのが一般的です。一方で、自営業や学生、無職の人は国民健康保険への加入が義務づけられています。
厚生年金保険は、高齢期の生活を支える年金の保険料を積み立てる制度です。一般的に70歳未満の会社員や公務員は、厚生年金保険への加入が義務づけられています。個人事業主の場合も、常時従業員を5人以上雇用している場合は、加入を求められるケースがあるでしょう。厚生年金保険には、老後に支給される年金以外にも障害年金や遺族年金といった種類があり、受給要件を満たすと受け取れます。
厚生年金保険の加入対象者以外は、国民年金に加入します。そのため、退職してから転職するまでに期間が空く場合は、国民年金に切り替える必要があることを覚えておきましょう。
介護保険は、介護が必要になった際に利用できる制度です。要介護認定や要支援認定を受けた場合など、給付対象になった際に、介護サービスを受けられます。40歳になると、介護保険の被保険者となり、保険料の徴収が始まります。会社員の場合は健康保険と一体化されているため、健康保険の加入に合わせて介護保険の手続きも行われるのが一般的です。
雇用保険は、失業した際に生活の安定を図るための制度です。雇用保険に加入することで、失業時や収入が減った際に一定条件を満たすと就職支援や給付金の支給を受けられます。受け取れる給付金には再就職を支援する基本手当のほか、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付、育児休業給付などの種類があります。受給を希望する際は、ハローワークでの手続きが必要です。
労災保険は、仕事中や通勤途中に事故に遭った際などに、治療費や休業補償を受けられる制度です。業務との因果関係が認められた場合は、けがだけでなく疾病も給付の対象です。労災保険は、正社員、パートタイマー、アルバイトなどの雇用形態に関わらず、すべての労働者の加入が義務づけられており、保険料は事業主が負担します。
転職時には、社会保険の手続きを自分で行う必要があるのでしょうか。ここからは、自分で手続きが必要な場合と不要な場合をケース別に解説します。自分で手続きが必要な場合、失念することなくスムーズに手続きができるよう、きちんと確認しておきましょう。
転職時に自分で社会保険の手続きが必要なケースとしては、前職の会社を退職してから次の会社に入社するまでに期間が空く場合が挙げられます。退職後14日以内に、健康保険を「国民健康保険」に切り替えたり、厚生年金を「国民年金」に切り替えたりといった手続きが必要です。家族の扶養に入る場合にも、同じく14日以内に手続きを済ませましょう。
また、離職期間中の生活費を補うために、希望する場合には失業手当の受給手続きも早めに行うことをおすすめします。
前職を退職してすぐに新たな会社に入社する場合は、社会保険の手続きを自分で行う必要はありません。この場合は、前職の会社から次の会社へ社会保険の資格が継続されます。退職時に渡される源泉徴収票や年金手帳、雇用保険被保険者証などを、入社後に担当部署に提出しましょう。また、前職の健康保険証は退職日までしか使えません。退職時に忘れずに返却しましょう。
転職に伴う離職期間中の健康保険はどうすればよいのでしょうか。ここでは、任意継続、国民健康保険への加入、家族の扶養に入るという3つの選択肢を解説します。自分に合ったプランを選んで、転職までの間も安心して過ごせるよう準備を進めましょう。
離職後もこれまでと同じ健康保険に加入し続けたい場合は、任意継続被保険者制度を利用できます。これは、退職前の健康保険を最長2年間継続できる制度です。保険料は全額自己負担となりますが、病気やけがの際に安心です。手続きは退職日から20日以内に、前の勤務先の健康保険組合などに申し出る必要があります。転職までの期間が短い場合や、次の会社の健康保険に加入するまでのつなぎとして活用するのがおすすめです。
離職期間が長引きそうな場合は、国民健康保険への加入を検討しましょう。国民健康保険は、職場の健康保険に加入していない人が対象です。手続きは、市区町村の国民健康保険担当窓口で行います。必要書類は、離職票や雇用保険受給資格者証などです。
保険料は前年の所得に応じて決まります。収入が減るなどの理由で支払いに不安を感じる方には、保険料の減免制度もあるため、担当者に相談してみるとよいでしょう。
家族の健康保険に扶養として入るのもひとつの選択肢です。扶養に入ためには、「被保険者の3親等以内の親族で、被保険者に生計を維持されている」「年収が130万円未満かつ被保険者の年収の1/3未満」など、いくつかの条件を満たす必要があります。手続きを行う前に、事前に条件を満たしているか確認しておきましょう。手続きは、扶養者の勤務先の健康保険組合などで行います。
健康保険証の切り替えには一定の時間がかかります。入社後や切り替え手続き後、すぐに健康保険証が手元に届くわけではありません。ここからは、健康保険証到着までの期間や、到着前に受診する際の手続きについて、具体的に見ていきましょう。
新しい健康保険証が届くまでの期間は、健康保険の種類によっても異なりますが、加入手続きを行ってから数週間~1ヵ月程度かかるのが一般的です。3月や4月などの繁忙期には、通常よりも手元に届くまでに時間がかかる可能性があります。そのため、自身で手続きが必要なケースでは、退職後速やかに手続きを済ませることをおすすめします。
もし健康保険証の到着前に病院にかかる必要がある場合は、「健康保険被保険者資格証明書」を医療機関の窓口に提示することで保険診療を受けられます。健康保険被保険者資格証明書は、事業主や年金事務所などに申請書を提出することで発行が可能です。
健康保険被保険者資格証明書がない場合は、病院の窓口で事情を説明して、いったん自費で受診します。後日健康保険証が届いてから医療機関で還付手続きを行うと、支払った自己負担分の払い戻しが受けられます。
社会保険の手続き以外にも、税金や失業手当など、転職時にはさまざまな手続きが必要になる場合があります。ここでは、転職時に発生しうる3つの手続きについて詳しく解説します。転職のタイミングによって必要な手続きが異なるため、しっかりと確認しておきましょう。
転職時の住民税の納付方法は、特別徴収と普通徴収の2種類があります。特別徴収は、勤務先の会社が毎月の給与から住民税を天引きして納付する方法です。一方、普通徴収は、自分で納付書を使って納付する方法です。年の途中で転職する場合、退職前に所定の手続きを行えば、特別徴収を継続できます。
しかし、退職してから入社まで空白期間がある場合は、一度普通徴収に切り替わります。ただし、年末に転職する場合は、前職の会社が1年分の住民税を特別徴収で納付するため、自分で納付する必要はありません。転職のタイミングによって、住民税の納付方法が変わることを覚えておきましょう。
所得税の申告は、通常1年間の所得に対して行います。しかし、年内に転職した場合は、新しい勤務先で年末調整をしてもらえるので、自分で確定申告をする必要はありません。一方、離職期間のまま年を越してしまった場合は、自分で確定申告の手続きを行う必要があります。
確定申告が必要になるのは、12月30日以前に退職した場合や、複数の会社から給与を受け取っていて、年末調整だけでは所得税が過不足になる可能性がある場合です。
失業手当の受給手続きは、離職票を受け取ってから行います。離職票は、退職日の翌日から起算して7日以内に、前の会社から交付されるのが一般的です。
離職票を受け取ったら、住所地を管轄するハローワークに出向き、失業手当の受給手続きを行いましょう。このとき、離職票以外にも、本人確認書類などが必要です。受給手続きが完了すると、失業認定日が指定されます。指定された日に、ハローワークで失業の認定を受けることで、失業手当を受給できます。
転職時の社会保険手続きを円滑に進めるためには、離職期間をできるだけ短くすることが重要です。ここでは、離職期間をなくすための具体的なポイントを3つ紹介します。スムーズな転職と保険の切り替えに役立つ情報なので、参考にしてみてください。
転職活動を在職中から始めることで、離職期間を短くできます。現在の仕事を続けながら、空き時間を使って求人情報をチェックしたり、応募書類を準備したりしましょう。面接日程も有給休暇を活用するなどして調整すれば、スムーズに転職できるでしょう。
ただし、転職活動には思った以上に時間がかかるものです。余裕を持ったスケジュールを立て、焦らず着実に進めていきましょう。
転職までの逆算スケジュールを立てる方法もおすすめです。まずは、転職希望日から逆算して、内定獲得目標日を決めます。そこから面接日や書類応募など、具体的な日程を設定します。この際、採用選考の期間は企業によって異なることを念頭に置きましょう。
スケジュールどおりに進むためには、複数企業への応募がよいでしょう。万が一、志望していた企業から不採用通知が届いても、ほかに選択肢があれば心に余裕を持てます。
転職エージェントを活用するのも賢明です。転職のプロであるエージェントに相談すれば、スキルや経験、希望条件に合った求人を紹介してもらえます。また、応募先企業が決まった後も、書類作成のアドバイスや面接対策といった手厚いサポートが期待できます。面接日の調整などのスケジュール管理も任せられるため、在職中の転職活動の心強い味方になってくれるでしょう。
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社会保険には健康保険や厚生年金保険などがあり、転職の際には自分で手続きが必要になるケースがあります。また、社会保険以外にも住民票や年金の手続きが必要な場合があるため注意が必要です。スムーズな転職のためには、離職期間をなくすことがポイントといえます。
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