更新日:2025/04/07
この記事のまとめ
転職による入退社の際にはさまざまな手続きが発生します。その中のひとつに「雇用保険被保険者証のやりとり」がありますが、2回目の転職の場合にはどのようにすればよいのかが分からずにお悩みの方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、2回目の転職における雇用保険被保険者証の扱いや使い道、再交付の方法について解説します。どのタイミングで雇用保険被保険者証を使う必要があるのかを押さえておけば、転職活動を焦らずに進められるようになるでしょう。
目次
入社・退社時に雇用保険被保険者証をどのように扱えばよいかを解説します。雇用保険の加入条件や、雇用保険被保険者証を発行・交付する目的もセットで見ていきましょう。労働者が直接目にする機会が少ない書類であるため、ここで基本的な仕組みを詳しく確認しておくことをおすすめします。
雇用保険に加入した方に対して発行される書類が、雇用保険被保険者証です。雇用保険は従業員が何らかの理由で失業した場合に備えて、当面の生活を安定させるため、また再就職に必要な資金を援助する目的で運営されている社会保険のひとつです。
法令によって定められている加入条件を満たせば被保険者となり、雇用保険被保険者証が発行されます。企業で働く労働者であれば、雇用保険に加入するのが一般的です。雇用保険の被保険者と雇用している企業は、それぞれ厚生労働省が定める料率に基づいた保険料を納める必要があります。
雇用保険の加入条件は以下のとおりです。
上記の条件を満たす労働者を雇用した場合、企業は会社所在地を管轄するハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出します。この手続きを経て、労働者は雇用保険に加入します。
雇用保険被保険者証には、事業者・被保険者に関するさまざまな情報が記載されています。具体的な記載内容は以下のとおりです。
退職する際に雇用保険被保険者証を受け取ったら、記載事項に間違いがないかをチェックしましょう。
法令に定められた加入条件を満たして雇用保険の被保険者になった場合、事業所の所在地を管轄するハローワークから雇用保険被保険者証が交付されます。
ただし在職中は企業側で保管する形が一般的であるため、実物を目にするのは転職などで退職するときが多いといえます。退職後の手続きに必要となるため、大切に保管しておきましょう。
転職などの理由で退職した場合、その後の手続きで雇用保険被保険者証が必要になるケースがあります。具体的には、どのようなときに必要になるのでしょうか。
以下では雇用保険被保険者証が必要になるシーンを3つ紹介します。各種手続きを進めるときは、忘れずに持参しましょう。
転職した場合、新たに入社した企業側が雇用保険の引き継ぎ手続きを行う際に、雇用保険被保険者証が必要です。企業側はあなたが入社した月の翌月10日までに手続きを済ませる必要があります。
そのため、指定された期日までにきちんと原本を提出することが大切です。提出方法や提出先は企業によって異なるため、入社時のアナウンスを確認しましょう。
離職期間中に、ハローワークで失業給付金を受け取る手続きをする際に雇用保険被保険者証原本の提出を求められます。
失業給付金を受け取るには、まず住所地を管轄するハローワークに離職票と受付票を提出し、7日の待機期間後に雇用保険説明会へ参加する必要があります。その後は、4週間に一度失業の認定を受けて失業給付金を受け取る流れです。
ただし、自己都合退職の場合は、受給手続きをした日から7日を経過した日の翌日から数えて原則2ヵ月間(2025年4月以降は原則1ヵ月に短縮)は失業給付を受け取れません。これを給付制限と呼び、すぐに失業給付を受けられるわけではない点に注意しましょう。会社都合退職であれば給付制限がないため、求職を申し込んでから7日が経過すればすぐに受け取れます。
離職期間中に教育訓練を受ける際には、教育訓練給付金(一般教育訓練の教育訓練給付金)の支給申請手続きに雇用保険被保険者証が必要です。教育訓練の受講が終了したら、必要な書類をそろえて住所地を管轄するハローワークで申請します。雇用保険被保険者証ではなく、雇用保険受給資格者証でも代用が可能です。
なお、専門実践教育訓練の教育訓練給付金を受給する場合は、雇用保険被保険者証ではなく教育訓練給付金受給資格者証が求められます。
教育訓練給付金を受ける場合は、ほかにも離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であるなどの条件があるため、事前に自分が該当しているかチェックしておきましょう。
実際に転職する場合は、雇用保険の取り扱いに注意が必要です。状況によっては法令違反になる場合もあります。以下では、特に注意が必要なポイントを3つ紹介します。労働者にとっても、雇用保険に関する手続きが適正に行われているかは重要なポイントです。必要な手続きがきちんとなされているか確認するためにも、ひととおりチェックしておきましょう。
雇用保険は、労働者が法令によって定められた条件を満たす場合に加入が義務づけられています。企業側が手続きを怠って労働者が雇用保険に加入していない場合、雇用保険法第83条に基づき6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
加入資格を満たしていれば、正規雇用・非正規雇用を問わず雇用保険に加入しなければなりません。労働者側も、自分が雇用保険に加入できるか正しく判断するために加入条件をきちんと確認しておきましょう。
なお、何らかの理由で雇用保険未加入になっていた場合、基本的に2年以内の期間であればさかのぼって加入できます。また、未加入状態にもかかわらず雇用保険料を納付していた場合は、2年を超えていてもさかのぼって加入できます。
雇用保険に関連するデータの管理は、ハローワークが担当しています。雇用保険の被保険者でなくなった場合、再度加入することなく7年が経過するとハローワークのデータベースから当該被保険者の情報が削除される仕組みです。
そのため、家庭の事情で長期間再就職できなかったときや退職後にフリーランスとして活動していたときなど、次に雇用されるまでに7年以上空いた場合は被保険者番号が無効になります。被保険者番号が無効になったときは、転職した企業で再度加入の手続きが必要です。
状況によっては、雇用保険に加入していないパターンもあります。具体的な例を挙げると、以下のとおりです。
雇用保険に加入していない方には、雇用保険被保険者証は交付されません。また、失業給付の受給も不可能です。
退職したなどの理由で雇用保険被保険者証を自宅で保管していると、いつの間にか原本を紛失してしまうことがあるでしょう。そのようなときは、所定の再交付手続きを済ませる必要があります。
雇用保険被保険者証は失業給付金を受け取るときや、転職した企業で引き継ぎ手続きをする際に使用するため、紛失に気づいたら早めに手続きすることをおすすめします。
紛失・盗難などの理由で雇用保険被保険者証が手元にないときは、ハローワークかデジタル庁が運営する「e-Gov電子申請」で再交付の手続きを済ませましょう。ハローワークの開庁時間は平日8時30分~17時15分(地域によって異なる)のため、事前に確認したうえで訪れましょう。
一方、「e-Gov電子申請」からは、メンテナンス時間を除いて24時間申請できます。オンライン申請を利用する場合は指定された形式の添付ファイルと電子署名が必要なため、あらかじめ準備しておきましょう。
再発行の手続きでは、ハローワークの窓口に以下の書類・情報を提出します。書類不足などの不備で出直さなくても済むように、事前に準備しておきましょう。
ハローワークの窓口で上記の書類をそろえて手続きした場合、雇用保険被保険者証は即日交付されます。「e-Gov電子申請」からオンライン申請した場合は、交付までに時間がかかる点に注意が必要です。
労働者にとって雇用保険被保険者証はあまり目にするものではなく、ほかの書類と勘違いしたり扱いに悩んだりするものです。ここでは、雇用保険被保険者証に関して疑問に思いやすい3つのポイントを解説します。転職するときに不安に感じやすい要素についても見ていきましょう。
雇用保険被保険者証は健康保険証・資格確認書とは異なるものです。具体的な違いを以下にまとめました。それぞれの使用目的を正しく理解しておきましょう。
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上記のように利用するシーンが異なります。ハローワークでの手続きや入社・退社の際に必要なのは雇用保険被保険者証です。予定している手続きでどちらの書類が必要なのかをきちんと確認しておきましょう。
なお、健康保険証は2024年12月2日以降、新規交付や再交付はされていません。また、マイナ保険証を保有していない方には、資格確認書と呼ばれる書類が無償で交付されており、これにより自己負担割合で保険診療を受けることが可能です。一方の雇用保険被保険者証は現役の書類であり、再交付も可能です。
雇用保険被保険者証に記載されている情報に職歴・経歴は含まれていないため、転職先にこれまでの経歴を知られることはありません。ただし、雇用保険被保険者資格等確認通知書とセットで提出すると前職の企業名を知られるため注意しましょう。
前職の企業名を伝えたくない場合は、雇用保険被保険者資格等確認通知書を切り離し、雇用保険被保険者証のみを提出します。なお、雇用保険に加入した際に付される番号は転職しても変化しません。しかし、データを管理しているのはハローワークのみで、転職先の企業が情報を調べることは不可能です。
退職するときには、企業から離職票が交付されます。離職票の正式名称は「雇用保険被保険者離職票」で、雇用保険被保険者証とは異なる書類です。離職票には、雇用保険の資格を喪失した事実と被保険者であった期間・退職理由(自己都合・会社都合)が記されています。
離職票を使用するのは失業給付の受給をはじめとした行政手続きがメインで、転職先の企業に提出するものではありません。各種手続きで書類の提出を求められた場合は、何を準備すればよいのかをきちんと確認しましょう。
転職に伴う入退社では、雇用保険関連以外にもさまざまな手続きが必要となります。転職を成功させるには、事務手続きをスムーズに済ませたうえで、企業選びや選考対策などに使う時間を確保することが大切です。
ここでは、2回目の転職を成功させるためにできる3つのことを紹介します。
2回目の転職では、1回目の転職に比べて自分のスキルや経験をより魅力的にアピールする必要があります。特に短期離職した経歴がある場合は、企業側が不安を感じやすいため重要といえるでしょう。自分が前職や前々職でどのような業務を担当し、何のスキルを習得したのかを伝えます。
さらに、応募した企業でスキルや経験をどのように発揮できるのかに言及し、長く働きたいことをアピールできるとよいでしょう。1回目の転職に比べて、選考における評価基準が上がる傾向にあるため、時間を取って徹底的に準備しましょう。
キャリアの一貫性を厳しく評価されるのも、2回目の転職の特徴です。2回目の転職では、一貫したキャリアプランを持っている転職者のほうが高く評価される傾向にあります。もし、転職理由からキャリアの一貫性が感じられないと、「将来のキャリアプランがよく分からない」「目的がなく短期離職するのではないか」と思われるリスクもあるでしょう。
そのため、2回目の転職では1回目の転職理由の延長線上にあり、前職では実現できなかったことを伝えるとよいでしょう。1回目の転職で「経験を積んで上位職種を目指したかった」と考えていたのであれば、2回目の転職では「前職では経験を積めたものの、上位職種へのキャリアパスがなかった。しかし、応募先企業にはそれがある」と伝えられると一貫性が出て効果的です。
2回目の転職は1回目に比べて難化するため、早い段階で転職エージェントに相談することをおすすめします。
プロのキャリアアドバイザーと二人三脚で転職活動に取り組むことで、自分の経験やスキルを活かせる企業を探しやすくなるでしょう。非公開求人を保有していることも多く、転職エージェントを利用したからこそ出会える企業があるのも魅力です。
また、書類添削や面接練習などの選考対策も受けられ、より自分を魅力的にアピールする方法を学べます。転職を成功させるうえで必要なサポートを受けたい方は、転職エージェントを活用しましょう。
2回目の転職を検討している方にとって重要なのは、自分の転職目的を実現できる企業に入社することです。そのためには、各業界の転職事情に精通した転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進めることをおすすめします。
マイナビエージェントでは、転職サポート経験が豊富なキャリアアドバイザーが一人ひとりのキャリアプランを実現する手助けをします。メーカーやITといった各業界に特化した転職サポートも提供しているため、ぜひご利用ください。
2回目の転職であっても、雇用保険被保険者証のやりとりは1回目の転職と変わりありません。転職後の引き継ぎだけでなく失業給付や教育訓練給付金の手続きにも使用するため、もし紛失・盗難などで手元にないときは早めに再交付を申請しましょう。
転職する際には、事務手続き以外にもキャリアの振り返りや求人探し、選考対策など、やることが多岐にわたります。より時間を有効に活用するためにも、転職を考えている方はぜひマイナビエージェントにご相談ください。
マイナビエージェントには各業界のことを熟知したキャリアアドバイザーが在籍しており、一人ひとりのスキルや経験を活かせる企業への転職をサポートします。
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