更新日:2024/02/05
この記事のまとめ
転職先から内定が出たら、「後は現職の有休を消化しながらゆっくり入社を待つのみ...」といきたいかもしれませんが、現実はそういうわけにはいきません。
多くの場合、内定が出た後は退職や入社の手続きをする段階へと進んでいきます。退職や入社に関しては返却する書類や提出する書類も多く、初めてだと戸惑ってしまいがちです。心機一転、新しい会社で働き出した後に、「すみません、○○の書類の件ですが...」と、前職に問い合わせるのは避けたいものです。
ここでは、転職時に返却する書類と提出する書類をまとめてご紹介します。
目次
退職を決めたら退職に必要な手続きを進めていきます。
以下の流れを参考に、抜け漏れがないよう実際のスケジュールに落とし込んでいきましょう。
転職先の内定を承諾したら、直属の上司に退職の意思を伝えます。
退職希望日より2ヵ月前~1ヵ月前に申し出るのが一般的ですが、引き継ぎ期間や人員補充期間が必要になることも考えて早い段階で申し出るべきです。就業規則で別途定めている会社も多いので事前に必ず確認しましょう。
退職の申し出は、法令上では2週間前までと定められています。
ただし、円満退社を目指すならば上記のように2ヵ月前~1ヵ月前、もしくは就業規則で定められた時期に申し出ることを徹底しましょう。「立つ鳥跡を濁さず」ということわざもあります。「言い出しにくい」「次の転職先の準備で忙しい」などさまざまな事情はあるかと思いますが、責任ある行動を心がけましょう。
上司との話し合いのもと退職日が確定されたら退職願を提出します。受理され次第、業務の引き継ぎに取りかかりましょう。
最終出社日から逆算し、後任者の状況も考慮しながら、引き継ぎスケジュールを作成します。
引き継ぎはOJT形式でおこなうのが望ましいですが、別途資料も用意しておくと退職後に後任者が見返すことができるので喜ばれるでしょう。
退職願のフォーマットや記載方法は会社で定められている場合もあります。あらかじめ就業規則を確認しておきましょう。
また営業職の場合は、担当者の人物像や取引の経緯などを詳細に記しておくと、後任者はスムーズにクライアントとの関係を築くことができます。
取引先へ順次退職のあいさつに回ります。
ただし、訪問するかメール送付にとどめるかなど、取引先との関係性に応じてあいさつの方法を変える必要があるかもしれませんので、会社や上司の意向を確認しましょう。
あいさつ回りは、いままでお世話になったことへの感謝の気持ちを取引先へ伝える場ですが、目的はそれだけではありません。取引先と後任者が良好な関係性を継続できるよう後押しする場でもあると認識しましょう。後任者の人柄や責任感の強さがうかがえるエピソードなどを伝えると、取引先も安心してくれるはずです。
自らが退職したら終わるわけではなく、2社間の関係性は今後も継続していくということを忘れてはいけません。
退職当日は、退職後に必要となる書類を受け取ったり、会社から貸与された備品などを返したりします。
加えて、社内の関係部署への退職のあいさつも忘れずに行うようにします。その際は、なるべく迷惑がかからないよう、立て込んでいる時間を避けましょう。簡単なメッセージカードのようなものを用意しておくと離席中の人にも気持ちを伝えることができるのでおすすめです。
取引先や社外で特にお世話になった方々には、退職日前後に挨拶状を送りましょう。
会社に返却すべき備品を退職日に返却し損ねると、後日届けに会社に出向いたり宅配便で送ったりしなければなりません。漏れがないよう事前に人事担当者へ確認しておきましょう。
退職後は、転職先への入社準備を本格的に進めます。
必要書類の提出を求められるため、抜け漏れのないよう確実に用意しましょう。
入社日に関しては、前の会社の退職日が決まった時点で転職先の人事担当者や配属先の上司と調整しておくようにします。
退職時に受け取る書類の中には転職先へ提出すべきものも含まれています。受け取り忘れや紛失があると再発行を依頼することになり、前の会社と転職先の双方に迷惑をかけることになりますので、十分に注意しましょう。
退職したら、前の会社から支給・貸与されたものだけでなく、業務上作成した資料などについてもすべて返却しなければなりません。
逆に、前の会社から返却または発行してもらったうえで新しい会社に提出しなければならない書類もあります。
一つでも抜け漏れがあると担当者の手を煩わせてしまい退職手続きも遅れてしまうため、それぞれ忘れずに行いましょう。
退職時に返却する書類のリストは以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
社員証や入館証、社章、IDカードなど、その会社の社員であることを証明するものです。
会社で作った名刺です。会社によっては、取引先などから受け取った名刺についても返却を求められる場合があります。
電車やバスなどの通勤定期券です。これは現物支給されている場合に限ります。
病院などで提示を求められるいわゆる「保険証」です。退職により、所属していた会社の健康保険組合を離れることになるので返却します。企業が健康保険組合を組織していない場合は、全国健康保険協会(愛称「協会けんぽ」)の保険証を返却します。
以上の書類のほか、業務上作成した企画書や図面、顧客リストなども、紙の資料・データともに返却することになります。もちろん、貸与されていたパソコンやタブレット、携帯電話なども同様です。
前の会社から返却してもらうものについては、退職の際に受け取り忘れないように気をつけましょう。
受け取る書類のリストは以下の通りです。
それぞれ詳しく確認していきます。
離職票は、雇用保険の失業給付を受給するのに必要となる書類のため、転職先が決まっている場合には必要ありません。
しかし、企業によっては「確実に前の会社を退職した証明」として提出を求められる場合もあります。入社前に必要な書類を確認し、提出を求められれば退職時にもらっておきましょう。
再就職先まで間が空くときに退職理由によって失業給付の開始時期が異なりますので、退職理由が正しくチェックされているかどうかも確認しましょう。
雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していることを証明する書類です。雇用保険は、失業したときや雇用の継続が困難になったとき、生活や雇用の安定を図るために必要な給付を得られる制度です。
正社員や契約社員なら必ず加入しているはずです。雇用保険の加入手続きは、新卒で入社した会社が手続きを行い、雇用保険被保険者証を保管しているため、転職経験がなければ雇用保険被保険者証を目にしたことがないという方も多いかもしれません。
退職の際には雇用保険被保険者証を忘れずに受け取り、新しく勤める会社に提出して引き継ぎましょう。
アルバイトの場合も就業期間や働く頻度によって雇用保険が適用されることになりますので、いまの自分の状況を確認しましょう。また、派遣社員の場合は、派遣元企業から受け取りましょう。
源泉徴収票とは、「会社から支払われた給与の総額」と「会社が労働者に代わって納税するために、あらかじめ給与から差し引いた所得税額」が記載された書類です。
「年末調整」を会社に行ってもらうために提出が必要となります。
退職のタイミング、もしくは退職した年の12月に発行されます。ほとんどの場合、転職先の会社から「前の会社の源泉徴収票を提出してください」と言われますので、あらかじめ手配しておきましょう。
年末調整とは関係のないタイミングである12月31日で前職を退職し、1月1日から新しい職場に勤務するような場合であれば、提出は必要ありません。しかし、その場合は自分で確定申告をしなければなりません。
いずれにしても源泉徴収票が必要となりますので、必ず退職時に受け取るようにしましょう。
年金手帳は、厚生年金加入手続きのために必要になります。
以前は年金手帳の原本を社会保険事務所に提出することが義務付けられていましたが、2006年(平成18年)以降は原本の提出が不要となったため、コピーなどで基礎年金番号が分かれば差し支えないとする会社も増えてきています。
就職する際に企業に提出し、退職の際に返却してもらい、新しい会社に提出することになります。大切な個人書類という観点からも、辞めた会社に残さずに受け取るようにしましょう。
ここまでご紹介してきた書類の中には、公的な手続きが必要な物もあります。
必要な公的手続きは大きく分けると以下の4つになります。
出産や病気などを機に退職した場合や転職先を決めずに退職した場合など、退職から再就職まで2週間以上の間が空くと公的手続きが必要なケースが増えます。
失業保険手当を受給するための手続きです。
退職時に受け取る「離職票」を持って、住所を管轄するハローワークへ行き、手続きを行います。
退職すると、それまで所属していた企業の健康保険からも外れるので、健康保険の変更手続きが必要となります。
変更後も保険には加入しなければならないので、以下の3つのいずれかを選ぶ必要があります。
それまで入っていた健康保険を任意継続したい場合は、退職日の翌日から20日以内に加入していた健康保険組合に保険者に申請を行います。
国民健康保険に加入したい場合は、退職日から14日以内に居住市区町村役場の窓口で手続きをします。
家族が加入する健康保険の被扶養者になる場合は、被保険者である家族の会社を通して手続きをします。
退職すると年金保険料を100%自分で支払うことになりますが、年金についても2つの選択があります。
国民年金の第1号被保険者に切り替えたい場合は、退職日の翌日から14日以内に居住地の市区町村役場で手続きをします。
配偶者の扶養(第3号被保険者)になりたい場合は、配偶者の会社を経由して年金事務所で手続きを行います。
住民税の支払手続きは、退職月によって多少変わります。
退職月が6~12月だった場合は退職月分までの住民税は給与から天引きされますが、その後は徴収票に従って自分で納めることになります。
一方、退職月が1~5月だった場合は、最終月に5月までの住民税を一度に天引きされることになります(たとえば1月に退職する場合は、1月分の給与から1~5月分の住民税が天引きされます)。
続いて、転職先に提出する必要がある書類について見ていきましょう。
前の会社から忘れずに受け取っておかなければならないものもありますので、最終出勤日までに提出するもののチェックをしておくことをおすすめします。
多くの会社では、以下の3つを提出する必要があります。
年金手帳は、国民年金や厚生年金の被保険者であることを証明する物で、年金加入手続きのために必要になります。1997年(平成9年)以降の加入者については青色の表紙で、20歳以上の方に対して国から1人1冊交付されます。
転職時には、転職先の会社に忘れずに渡すようにしましょう。会社によっては確認後に返却される場合もありますが、いずれにせよ厚生年金保険の加入手続きのため、一度は提出が必要です。
「雇用保険被保険者証」で説明したように、雇用保険は、万が一の失業に備え、雇用の安定を図るための保険制度です。
会社を辞めたとしても、雇用保険を受給せず1年以内に転職などをして別の会社に入社すれば、雇用保険の期間が通算されます。前職の被保険者証を転職先の会社に提出することで、万が一の失業などに備えられますので、忘れずに提出しましょう。
前述のとおり、源泉徴収票は、転職先の会社で年末調整をしてもらうのに必要です。
年末調整の計算は転職前・転職後の給与も含めて計算されるため、退職時に手続きをしてもらえるように手配し、転職先に忘れず提出しましょう。退職の際に渡される源泉徴収票を新しい職場に提出すれば問題ありません。
以下は、転職先の会社で受け取った後、記入・提出が必要な書類です。
扶養控除等申告書は、扶養している家族がいるかいないかを会社に申告する書類で、個々の事情に合わせて税金の軽減を受けるために必要になります。
会社から給与を受けている方は提出する義務があるので、たとえ扶養家族がいなくても「いない」という旨を記入して提出しなければいけません。転職すると新しい会社から申告書を渡されるので、記入して提出します。
健康保険の被保険者の家族(被扶養者)に氏名変更や入れ替わりがあった際に、健康保険被扶養者異動届を提出します。
入社するとその会社の健康保険に入ることになりますので、提出が必要になります。ただし、扶養家族がいない場合は提出不要となります。
給与の振込みに必要な口座を届け出るための書類が必要となります。中小企業などでは、振込手数料節約のために銀行を指定される場合もあります。
会社で専用の用紙を渡されますので、記入・捺印して提出しましょう。
転職先の企業によって、提出を求められる書類とそうでない書類もいくつかあります。
一般的に、下記のような書類は必要に応じて求められることが多いです。
病院などが発行する、健康状態を記載した健康診断書が必要になる場合があります。
会社によっては、指定医療機関の健康診断を受け、健康診断書を提出することを義務付けている場合もあります。
入社誓約書(入社承諾書)は、就業規則に関することや履歴書の記載事項に嘘偽りがないこと、就業条件、損害賠償に関する取り決めなどが記載された文書です。
会社から渡された場合は、内容をよく確認したうえで署名、捺印して提出します。
身元保証書は、その人の素性を担保すると共に、もしものことが起きた際に賠償責任を負うことを保証する書類になります。
法的に提出が定められているものではありませんが、多くの企業で提出を求められます。
住民票記載事項証明書は、現住所を証明するための書類です。
求められた場合は住んでいる市区町村の役所などで発行してもらい、提出します。自治体によってはコンビニエンスストアなどで取得できる場合もあります。
ここまで退職、就職に関わる書類をご紹介してきました。
書類は数多くありますが、事前に把握し、一つひとつしっかり押さえていけば混乱することはありません。スムーズに書類の手続きを行い、気持ち良く新しい会社での仕事をスタートさせてください。
以下、特に注意しておきたいポイントを3点紹介します。これらは意外と忘れがちなので、しっかりと確認しておきましょう。
現在は、会社から貸与されたパソコンで仕事をする方がほとんどだと思います。
そのため、退職時にはパソコンに保存していたデータの整理も忘れずに行いましょう。会社にとって今後も必要となるような重要なデータなどをうっかり消去しては大変ですから、必ずバックアップをとっておきましょう。
また、個人的なデータは、必要なものを私用のUSBなどに保存したうえで消去しましょう。
退職の際には、それまで担当していた業務の引き継ぎなども行いますが、その際に必要な書類、資料なども引き継ぎ、不要なものは処分しておきましょう。
退職後、持ち帰った荷物の中に前職で用いた書類などが混ざっていると、再度書類を受け渡したり連絡したりと二度手間になる可能性があります。返却の抜けや漏れがないよう、しっかりと確認してください。
退職時に会社から受け取る書類の多くは、転職先での入社手続きや役所への届出、確定申告などの際に必要になります。
いざ手続きをする段階になって、受け取ったかどうか、どこに保管したかがわからなくなっては大変なので、必ず最終確認しておくことが大切です。うっかり紛失したりして前の勤務先に再発行してもらうことなどないよう、本記事を参考にしてチェックリストを作っておくといいでしょう。
今回は転職の際の必要書類についてご紹介してきました。
前の職場から新しい職場に気持ちよく移動できるよう、チェックしながら進めてみてください。
転職について分からないことがあれば、転職エージェントにご相談ください。
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