更新日:2026/08/25

この記事のまとめ
転職時には、マイナンバー(個人番号)の確認書類、雇用保険被保険者証、基礎年金番号通知書(または年金手帳)などとともに、前職から受け取る「源泉徴収票」の提出を求められることがあります。
源泉徴収票は、単に前職の年収を示す書類ではなく、同じ年に複数の勤務先から給与を受け取った場合に、所得税を正しく精算するための重要な資料です。本記事では、源泉徴収票の基本的な見方、転職先へ提出する理由、受け取る時期、提出できない場合の対処法まで分かりやすく解説します。
目次

源泉徴収票は、年末調整や確定申告に用いる税務書類です。年の途中で転職した場合には、前職分の給与を転職先の年末調整に反映させるために必要となることがあります。まずは、源泉徴収票の役割や種類、確認すべき項目を押さえておきましょう。
給与所得の源泉徴収票は、会社が従業員へ交付する書類で、その年中に支払うことが確定した給与・賞与等の金額や、給与から源泉徴収した所得税および復興特別所得税、社会保険料等の金額などが記載されています。年末調整を行った従業員だけでなく、年の途中で退職し、年末調整を受けていない人にも交付されます。
なお、源泉徴収票の対象となる期間は、原則として1月1日から12月31日までの暦年を指します。ただし、1枚の源泉徴収票に記載されるのは、その会社が支払った給与等のみです。そのため、同じ年に転職した場合は、前職と転職先からそれぞれ源泉徴収票が交付される場合があります。
源泉徴収票は、主に転職先で年末調整を受けるときや、自分で確定申告をするときに必要です。年の途中で転職し、年末まで転職先に勤務している場合は、前職で受け取った同じ年分の給与を転職先が合算して年末調整するのが原則です。その際、前職の給与額や源泉徴収税額、社会保険料等の金額を確認するために必要なのが、前職の源泉徴収票です。
給与の年間収入金額が2,000万円を超えるなど年末調整の対象外となる人や、前職分の源泉徴収票を提出できず転職先で年末調整を受けられなかった人は、原則として自分で確定申告を行います。また、副業等の所得が一定額を超える場合なども確定申告が必要です。
現在は、所得税の確定申告書に源泉徴収票を添付・提示する必要はありませんが、記載内容の入力や確認に使うため、申告後も保管しておきましょう。
源泉徴収票は一定の要件を満たせば電子データによる交付も可能であり、正式な源泉徴収票です。転職先への提出方法は会社ごとに異なるため、PDFデータ、印刷した書面、紙の原本のいずれを求めているかを確認してください。紙での交付を希望する場合は、電子交付を受けた後でも前職へ書面交付を請求できます。
退職に関連して受け取る源泉徴収票には、主に「給与所得の源泉徴収票」と「退職所得の源泉徴収票」があります。給与所得の源泉徴収票には給与・賞与等、退職所得の源泉徴収票には退職金や退職手当等の内容が記載されます。退職金の支給がない場合、退職所得の源泉徴収票は交付されません。
転職先の給与に関する年末調整で通常必要となるのは、給与所得の源泉徴収票です。退職所得は給与所得と別の方法で課税されるため、退職所得の源泉徴収票を転職先へ提出する必要は通常ありません。ただし、確定申告で退職所得を申告する場合などに必要となることがあるため、大切に保管しましょう。
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給与所得の源泉徴収票で、転職時に特に確認したいのは次の項目です。
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なお、「所得控除の額の合計額」が空欄でも、給与から実際に控除された健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などは、別の「社会保険料等の金額」欄に記載されます。
転職先が前職分の年末調整で特に確認するのは、支払金額、源泉徴収税額、社会保険料等の金額、前職の退職日などです。氏名、支払金額、退職日等に誤りがあるときは、自分で書き直さず、前職へ訂正した源泉徴収票の再交付を依頼してください。

源泉徴収票を受け取る時期と、転職先へ提出する時期を把握しておくと、年末調整の手続きがスムーズです。退職後に旧勤務先の人事・給与システムへアクセスできなくなることもあるため、電子交付の場合は保存方法も確認しておきましょう。
在職中の人には、給与所得の源泉徴収票が原則として翌年1月31日までに交付されます。一方、年の途中で退職した人については、所得税法上、退職後1ヵ月以内に交付することとされています。実務上は、最終給与の計算後に郵送または電子交付されることが多いため、退職時に交付方法、送付先、交付予定日を確認しておくと安心です。
電子交付の場合、退職と同時に社内システムの利用権限がなくなるケースがあります。退職前にダウンロードできるのか、退職後はどの方法で受け取るのかを確認し、紙で必要な場合は書面交付を依頼しておきましょう。
源泉徴収票の提出期限は全国一律に決まっているわけではなく、転職先の年末調整スケジュールに従います。多くの会社は10月から11月頃に年末調整書類を回収しますが、入社時期や給与計算日によって締め切りは異なります。前職の源泉徴収票を受け取ったら、できるだけ早く人事・給与担当者へ提出しましょう。
特に11月から12月に転職する場合は、入社後すぐに提出期限を確認し、前職にも早めの交付を依頼することが大切です。年末調整に前職給与を含める必要があるか分からない場合は、自己判断せず、前職の給与支給日と源泉徴収票の年分を転職先へ伝えて確認してください。
前職分の源泉徴収票が提出できず、支払金額や源泉徴収税額等を確認できない場合、転職先は前職分を含めた年末調整を行えません。まずは前職へ交付または再発行を依頼しましょう。転職先には到着待ちであることを伝え、翌年の年末調整の再計算に対応できるか相談しておくと安心です。
退職後1ヵ月以内の交付期限を過ぎても交付されないときは、本人の納税地を所轄する税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます。最終的に転職先の年末調整に間に合わない場合は、前職と転職先の源泉徴収票をそろえ、本人が確定申告で精算します。
転職先から前職の源泉徴収票を求められるのは、前職の年収を採用条件の確認に使うためではなく、原則として年末調整を正しく行うためです。ここでは、提出が必要となる税務上の理由を確認します。
年の途中で転職し、年末まで転職先で勤務している人は、一定の要件を満たせば転職先で年末調整を受けます。前職に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出し、年末調整の対象となる給与を受け取っていた場合は、転職先でその前職分を含めて年末調整を行う必要があります。
そのため、転職先は前職の源泉徴収票によって、前職が支払った給与、源泉徴収税額、給与から控除した社会保険料等の金額を確認します。年末調整では原則として源泉徴収票による確認が必要となるため、給与明細だけでは正確な年末調整を行えません。
毎月の給与から差し引かれる所得税および復興特別所得税は、年間の税額を見込みで計算したものです。給与額や扶養人数等に応じて概算で源泉徴収しています。年末調整では、1年間の給与総額と所得控除を基に本来の年税額を計算し、源泉徴収済みの税額との差額を還付または追加徴収します。
前職の給与を含めるべき人が源泉徴収票を提出しないと、1年間の給与総額や源泉徴収税額を確認できないため、転職先で年末調整を完了できません。その場合は、本人が確定申告を行い、前職分と転職先分を合わせて正しい税額に精算する必要があります。

提出の要否を判断するときは、単に退職日と入社日だけを見るのではなく、「前職給与が何年分の所得になるか」「前職で年末調整の対象となる給与を受け取っていたか(扶養控除等申告書を提出して主たる給与として扱われていたか)」「転職先でその年の年末調整を受けるか」を確認することが重要です。
たとえば、3月に前職を退職し、4月に転職先へ入社して年末まで勤務する場合、前職で年末調整の対象となる同じ年分の給与を受け取っていた場合は、原則として前職の源泉徴収票を転職先へ提出します。転職先は、前職分と自社分の給与、源泉徴収税額、社会保険料等を合算して年末調整を行います。
ただし、退職後に支給期が到来する最終給与は、乙欄で源泉徴収されることがあり、転職先の年末調整に含められない場合があります。同時並行の副業先から受け取った給与も通常は年末調整の対象外となるため、取扱いが分からない場合は給与担当者へ確認し、必要に応じて確定申告しましょう。
年をまたぐ転職では、給与が「何月勤務分か」ではなく、原則として給与の支給日など、給与を受け取る権利が確定する日によって何年分の所得になるかを判断します。たとえば、12月勤務分の給与を翌年1月の所定支給日に受け取る場合、その給与は通常、翌年分の給与所得です。
年末調整は、1月1日から12月31日までの「同じ年分の給与」をまとめて、所得税の過不足を精算する手続きです。前年分の給与と翌年分の給与を一緒に計算することはありません。この場合、前職からは「退職した年分」と、翌年1月支給分を記載した「翌年分」の2枚の源泉徴収票が交付されることがあります。
転職先の年末調整で必要になるのは、転職先から給与を受け取った年と同じ年分の源泉徴収票です。源泉徴収票の上部に記載された「○年分」を確認すると、提出する書類を判断しやすくなります。
12月に前職を退職し、翌年1月に最終給与を受け取り、その後、同じ年に転職先へ入社したとします。1月に受け取った最終給与は、転職先の給与と同じ年分です。前職分が年末調整の対象となり、転職先の年末調整に含められる場合は、前職から交付された「翌年分」の源泉徴収票を転職先へ提出します。
一方、退職後に支給される最終給与は、前職で「乙欄」により所得税が計算されることがあります。乙欄とは、扶養控除等申告書を提出していない給与などに使われる税額計算の区分です。源泉徴収票の「乙欄」に○が付いている前職給与は、通常、転職先の年末調整には含めません。
確定申告が必要となる場合や、源泉徴収された税金の還付を受けたい場合は、前職分と転職先分を合わせて本人が申告します。取扱いに迷う場合は、源泉徴収票を転職先の給与担当者へ見せて確認しましょう。
最終給与を12月中に受け取り、転職先への入社が翌年であれば、前職給与と転職先給与は別の年分です。この場合、前年分の源泉徴収票を翌年の転職先へ年末調整のために提出する必要は通常ありません。前職で前年分の年末調整を受けていない場合は、その前年分について確定申告(還付申告を含む)で精算します。なお、12月に支給されるべき給与を受け取った後に退職した人は、一定の要件を満たせば前職の年末調整の対象となります。
年内に複数回転職し、年末時点の勤務先で年末調整を受ける場合は、その年に前職各社から受け取った源泉徴収票をすべて提出します。最後の勤務先は、それぞれの支払金額、源泉徴収税額、社会保険料等の金額を合算して1年間の税額を計算します。
1社分でも不足すると年間の金額を確認できず、原則として年末調整を行えません。その場合は、各社と年末時点の勤務先から交付された源泉徴収票をそろえ、本人が確定申告(還付申告を含む)で精算します。
アルバイトやパートであっても、雇用契約に基づく給与は給与所得です。同じ年に受け取った給与の源泉徴収票は、雇用形態にかかわらず保管してください。アルバイト・パート先を退職して正社員として転職し、アルバイト・パート先に扶養控除等申告書を提出して主たる給与を受けていた場合は、前職分として転職先の年末調整に含めるのが原則です。
一方、転職後も続けている副業先など、扶養控除等申告書を提出していない勤務先からの給与は、通常、転職先の年末調整には含めません。年末調整されなかった給与収入と給与・退職所得以外の所得の合計額によっては確定申告が必要です。所得税の確定申告が不要となる場合でも、個人住民税の申告が必要となることがあるため、住所地の市区町村へ確認しましょう。

源泉徴収票を提出できない理由には、前職から交付されない、紛失した、転職先へ提出したくない、年末調整の締め切りに間に合わないといったケースがあります。それぞれ取るべき対応が異なるため、放置せず早めに動くことが大切です。
まず前職の人事・給与担当者へ連絡し、源泉徴収票の交付を依頼します。電話だけでなくメールや書面でも依頼し、依頼日、相手方、回答内容を記録しておくとよいでしょう。中途退職者の交付期限は退職後1ヵ月以内です。
期限を過ぎても交付されない場合は、国税庁の「源泉徴収票不交付の届出書」を本人の納税地を所轄する税務署へ提出できます。給与明細の写しや、前職へ交付を求めたことが分かる資料があれば添付します。
届出を受けた税務署は前職へ交付を促す行政指導を行いますが、届出を出せば直ちに源泉徴収票が発行されるとは限りません。倒産等で連絡が取れない場合も、給与明細、給与振込口座の履歴、雇用契約書などを保管したうえで税務署へ相談してください。これらの資料だけで転職先が年末調整できるとは限らないため、最終的には税務署の案内に従って確定申告を行います。
一度受け取った源泉徴収票を紛失した場合は、前職へ再発行を依頼します。「源泉徴収票不交付の届出書」は、そもそも交付されていない場合の手続きであり、紛失した書類の再発行を求めるためのものではありません。電子交付であれば、旧勤務先のシステムやメールから再度ダウンロードできるか確認しましょう。
再発行の申請方法や所要日数は会社によって異なり、法律上の一律の再発行期限はありません。年末調整の締め切り直前では間に合わないおそれがあるため、人事部や経理部へ早めに依頼し、転職先にも再発行を依頼中であることを伝えてください。
前職の給与額を転職先に知られたくないなどの理由で源泉徴収票を提出しない場合、転職先は前職分を確認できないため、原則としてその年の年末調整を行えません。何も伝えずに提出しないのではなく、「前職分を含めて自分で確定申告する」旨を人事・給与担当者へ早めに伝え、転職先から年末調整未済の源泉徴収票を受け取ります。
その後、前職と転職先を含むすべての給与所得を確定申告書に記載し、所得税および復興特別所得税を精算します。申告が必要な人の確定申告期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。還付だけを受ける還付申告は、通常、翌年1月1日から5年間行えます。個別の申告義務や記載方法に迷う場合は、税務署または税理士へ相談しましょう。
年末近くに転職した場合など、源泉徴収票が転職先の締め切りに間に合わないことがあります。年末調整の再計算にも対応してもらえない場合は、年明けに自分で確定申告を行います。前職分と転職先分を含む、その年分のすべての給与所得の源泉徴収票を用意してください。
確定申告では、医療費控除や寄附金控除なども併せて申告できます。ふるさと納税のワンストップ特例を申請していても、確定申告をすると特例は適用されないため、その年のふるさと納税をすべて寄附金控除に含める必要があります。
初めて転職活動を行う場合はとくに、源泉徴収票の提出をはじめとした事務手続きの多さに戸惑うかもしれません。転職活動の期間はもちろん、内定を得てから新しい職場で働き始めるまでの期間も不安や疑問を感じたら、マイナビ転職エージェントのキャリアアドバイザーへ相談することができます。
希望に沿った転職先の紹介、応募書類の作成や面接対策の支援に加え、転職に伴う手続きに関する疑問についても、専門知識を持つキャリアアドバイザーが丁寧にサポートします。転職活動をスムーズに進め、納得できるキャリアを実現したい方は、マイナビ転職エージェントへご相談ください。

転職時の源泉徴収票について、重要なポイントを整理します。
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源泉徴収票は、前職の給与額を証明するだけの書類ではなく、同じ年に複数の勤務先から給与を受け取った人の所得税を正しく精算するための重要な資料です。年内に転職したから必ず提出する、年をまたいだから必ず不要と単純に判断するのではなく、給与の年分や、前職で年末調整の対象となる給与を受け取っていたか(扶養控除等申告書の提出状況)、転職先で年末調整を受けるかを確認しましょう。
前職から届かない、締め切りに間に合わないといった場合でも、交付依頼、転職先への相談、不交付の届出、確定申告で対処できます。早めに状況を整理し、必要に応じて税務署や税理士へ相談しましょう。転職活動の不安は、マイナビ転職エージェントにも相談できます。
大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会(東京商工会議所練馬支部、中央支部、各都道府県社会保険労務士会)講師及び各種WEB記事執筆、日経新聞、読売新聞、女性セブン等に取材記事掲載、NHKあさイチ2020年12月21日、2021年3月10日にTVスタジオ出演。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
https://oka-sr.jp/
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