更新日:2025/02/25
この記事のまとめ
転職時には、必要になる書類や手続きがあります。退職の際に受け取る書類のひとつが源泉徴収票です。源泉徴収票は、前職の会社から受け取り、転職先に提出するのが一般的です。しかし、「受け取った源泉徴収票を提出する理由が分からない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、源泉徴収票に関する基礎知識、もらえるタイミング、転職先に提出する理由などを詳しく解説します。もらえない場合の対処法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
年末調整や確定申告などに必要な源泉徴収票は、転職時にも必要な書類です。ここでは、源泉徴収票の基礎知識を分かりやすく解説します。まずは、種類や記載内容なども含めて、源泉徴収票についての理解を深めておきましょう。
源泉徴収票は、1年間の給与支払総額や源泉徴収された所得税額などを証明する書類です。毎年の給与支払額が確定すると、企業は従業員に対して「年末調整」(年税額の計算)を行います。その結果を従業員別に作成し、毎年年末に交付するのが源泉徴収票です。源泉徴収票を見れば、1年間で企業があなたに支払った給与額と源泉徴収(天引き)した税額が一目で分かります。
ただし、1年間の給与支払額が2,000万円を超える方などは、年末調整の対象外です。この場合は、年末調整をせずに源泉徴収票が発行されるため、個人で確定申告を行う必要があります。年末調整があった場合でも、副業などの収入が年間20万円を超えた場合や扶養控除内の勤務で所得税が源泉徴収されている場合は、源泉徴収票を申告書に添付したうえで確定申告を行えます。
源泉徴収票を電子交付する企業の場合、転職先に提出したり確定申告に利用したりするためには、原本をもらう必要があります。データをプリントアウトした源泉徴収票では、書類としての効力がないので注意しましょう。
源泉徴収票には、主に「給与所得の源泉徴収票」と「退職所得の源泉徴収票」の2種類があります。給与所得の源泉徴収票は、通常の給与に関する情報を記載したものです。一方、退職所得の源泉徴収票は、退職金や退職手当に関する情報が記載されています。
退職時には、この2種類の源泉徴収票を受け取るのが一般的です。しかし、転職先に提出するのは、通常給与所得の源泉徴収票のみです。退職所得の源泉徴収票は提出の必要がありません。
給与所得の源泉徴収票には、以下の内容が記載されています。
支払金額は年間の給与総額を示し、給与所得控除後の金額はそこから一定の控除を引いた額です。所得控除の額の合計額には、社会保険料控除や生命保険料控除などが含まれます。源泉徴収税額は、1年間に納めた所得税の総額です。また、所得控除の詳細として、扶養控除や住宅ローン控除などの個別の控除項目も記載されます。
源泉徴収票をいつ受け取り、どのタイミングで新しい職場に提出するのかを事前に把握しておくことで、転職時の手続きをスムーズに進められるでしょう。ここでは、源泉徴収票の入手時期と転職先への提出タイミングについて詳しく解説します。
源泉徴収票に記載されるのは、該当年の1月1日~12月31日までに支払われた給与額と控除額です。そのため、通常は12月の給与や賞与の額が確定し、年末調整を行ったタイミングで交付されます。12月や1月に交付される企業がほとんどでしょう。
ただし、年の途中で退職した場合は、その時点で該当企業からの支給額および控除額が確定します。原則として年末調整も行われないため、最後の給与額が算出された時点での発行が可能です。多くの場合、退職者に対する源泉徴収票は最後の給与支払い日の前後で交付されます。ただし、実際の交付時期は企業によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
所得税法第226条では、中途退職者については、源泉徴収票を退職日から1ヵ月以内に交付することが定められています。
源泉徴収票を受け取ったら、できるだけ早く転職先に提出しましょう。遅くとも年末調整が始まる10月~11月までには提出することをおすすめします。提出が遅れると年末調整に間に合わなくなる可能性があります。特に年末近くに転職する場合は注意が必要です。前職の会社の担当者に、あらかじめ源泉徴収票の交付をお願いしておくとよいでしょう。
年末調整は一般的に12月に所属している会社が行います。そのため、年の途中で転職した場合は、前職での収入を含めた年末調整を転職先の会社で行う必要があります。これが、前職の源泉徴収票を転職先に提出する主な理由です。
源泉徴収票には、その年の給与総額や納付済みの所得税額が記載されています。転職先の会社はこの情報を基に、前職での収入も含めた年間の総収入を把握し、税金の精算を行います。提出しないと前職での収入が考慮されず、年末調整が正確に行われない可能性があるため注意しましょう。
転職時の源泉徴収票は、提出が必要なケースと不要なケースがあります。これは主に、前職の最後の給与支払日と転職先の入社日の関係によって決まります。年末調整の観点から、源泉徴収票の提出が求められるケースと、自身で確定申告を行うケースがあるため、状況に応じた適切な対応が必要です。ここでは、転職時の源泉徴収票の提出が必要なケースと不要なケースについて、具体的に解説します。
転職先への源泉徴収票の提出が必要なケースは、前職の最後の給与支払日が転職先の入社日と同じ年の場合です。前職の退職日と転職先の入社日が同じ年の場合は新たな勤務先で年末調整を行うことから、源泉徴収票の提出が必要です。
たとえば、2024年12月に退職して2025年1月に12月分の給与が支払われた場合であっても、2024年中に次の会社に入社したのであれば前職の源泉徴収票を転職先に提出する必要があります。
転職先への提出が不要なケースもあります。主に、前職の最後の給与支払日が転職先の入社日の前年の場合がこれに該当します。2024年に退職し、最後の給与が2024年中に支給された場合は、2025年に入社した企業に前職の源泉徴収票を提出する必要はありません。
ただし、注意が必要なのは12月に退職し、翌年1月に12月分の給与が支払われるケースです。たとえば、2024年12月に退職して2025年1月に12月分の給与が支給された場合は、転職先に2024年の源泉徴収票を提出する必要があることを覚えておきましょう。
ここからは、源泉徴収票を転職先に提出できない主な3つのケースと、それぞれの対応策を紹介します。前職から交付してもらえない場合、紛失してしまった場合、何らかの理由で提出したくない場合の対処法について確認してみましょう。
多くの企業では、10月~11月頃に年末調整業務を行います。前職の源泉徴収票をもらえないと、新しい職場で年末調整をすることができません。源泉徴収票の交付を受けられない場合は、まず前職の会社に連絡して状況を確認し、再度交付を依頼しましょう。
何度頼んでも交付してもらえない場合は、所轄の税務署(住民票がある市町村)に相談して「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。この届出書は、源泉徴収票を受け取れていない従業員が税務署に対して行う手続きです。税務署から企業に連絡が入り、源泉徴収票の交付を指導してもらえる可能性があります。
前職の企業が倒産し、連絡が取れない場合も同様の手続きを行います。支払額の証明になるため、前職の給与明細書は紛失しないように注意しましょう。なお、転職したタイミングが年末に近く、どうしても間に合わない場合は、年が明けてから自分で確定申告を行う必要があります。
源泉徴収票を紛失してしまった場合は、前職の会社に再発行を依頼できます。再発行の手続きは比較的簡単で、通常は人事部や経理部などの担当部署に連絡するだけで済みます。再発行の依頼は、電話やメールで行うことも可能です。「源泉徴収票を紛失したため、再発行をお願いします」と伝えるだけで対応してもらえるでしょう。
多くの場合、特別な書類は必要ありませんが、会社によっては社内手続きのための書類記入を求められることもあります。再発行にかかる時間は会社によって異なりますが、通常は1週間〜3週間程度です。
何かしらの理由があって、源泉徴収票を転職先に提出したくない場合は、自分で確定申告を行うことで対処できます。確定申告は、年末調整と同様に1年間の収入から所得税を精算する手続きです。転職先に源泉徴収票を提出することは法的義務ではないため、自分で確定申告を行う旨を伝えておけば問題ありません。
確定申告は、正確な税額を精算するために重要な手続きです。確定申告の期限は通常、翌年の2月16日~3月15日までです。期限内に確定申告を行えば、適切に税金を納付できます。不安な点がある場合は、税理士や専門家に相談するのもよいでしょう。
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源泉徴収票は、前年の収入に関する情報を新しい勤務先に提供するために使用される、転職時にも必要な書類です。この書類は前職の会社から受け取り、新たな勤務先に提出することが一般的です。ただし、提出が不要なケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
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