更新日:2022/04/20
この記事のまとめ
現職を退職する際、上司にどのように退職理由を伝えればよいのかが分からず、困っている方も多いのではないでしょうか。退職理由は正直に話しても構いませんが、ストレートに伝えたことで、トラブルが起こるケースがあるのも事実です。
そこでこの記事では、退職理由の伝え方と、円満退社のコツについて解説します。退職理由に使える例文や、退職までにすべきことについてもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
会社を円満に辞めるためには、退職理由の伝え方を意識する必要があります。伝える相手を間違えたり、マナーに反した伝え方をしたりすると、退職時にトラブルが起こるかもしれません。事前にポイントを押さえておくことが、スムーズな退職につながりますから、まずは注意点をチェックしましょう。
円満退社を望むのであれば、閑散期に退職を申し出るとよいでしょう。仕事が忙しい時期に退職意思を伝えても、ゆっくり話を聞いてもらえないことがあります。
プロジェクトの進行中や、責任のある職務に就いた後なども、ベストなタイミングとはいえません。引き継ぎがうまくいかなかったり、現場の混乱を招いたりといった事態に発展すれば、スムーズな退職が難しくなるかもしれません。
退職を決めたら、まずは直属の上司に伝えます。その際、突然退職を切り出すのは避けましょう。「お話があるので、お時間をいただけますか」など、口頭でアポを取り、退職したい旨を伝えてください。
退職の申し出は直属の上司に伝えるのがマナーですから、ほかの上司や同僚、先輩や取引先などに先に伝えないようにします。なお、退職の2ヵ月~3ヵ月前を目安に退職意思を伝えるのがベストですが、会社に規則がある場合にはそれにしたがってください。
メールなどのメッセージで退職意思を伝えたり、電話一本で話を済ませたりするのは、社会人のマナーとして適切ではありません。非常識だと思われてしまうこともあります。「直接話をするのが気まずい」「顔を合わせたくない」などの理由があったとしても、円満退社を望むのであれば、口頭で伝えるようにしましょう。
ほかの社員がいる空間は、退職の意向を伝える場所としてふさわしくありません。また、昼食時や酒席といった場で話を切り出すのも、適切なタイミングとはいえないでしょう。退職理由を伝える場は、悩み相談をする時間ではありません。「意思報告の場」であり、「交渉の場」でもありますから、落ち着いて話ができる空間を選びましょう。
退職を伝える場で、愚痴や不満をダイレクトに述べるのは避けてください。たとえ会社を批判したくなるような出来事があったとしても、そのまま伝えるのは得策ではないでしょう。
不平不満は人間関係のトラブルに発展しかねないほか、引き留めの交渉材料にもなってしまいます。「お世話になりましたが......」など、敬いの気持ちを表現するのが、円満に話し合いを終えるコツです。実際の理由がどのようなものであれ、「個人的な事情で辞めたい」と伝えると、スムーズな退職につながります。
「退職届」は退職を通告する書類ですから、話し合いの場で提出するものではありません。退職を願い出た後で、内諾を得てから提出します。
自己都合で退職を願い出る際に提出する「退職願」に関しても同様に、上司に意思を伝えてから手渡しましょう。会社側が退職願の形式を設けているときは、それにしたがいます。形式に決まりがない場合は、白無地の紙に「退職理由」「退職日」「日付」「署名(捺印)」を縦書きで記載します。
正式に退職日が決まったら、退職の旨を周囲に公言して構いません。ただし、職場の混乱を招いたり、取引先との関係に影響を与えたりする恐れもあるので、上司と相談してから周りに報告します。
先に同僚や後輩に話してしまうと、退職のうわさが広まり、周囲から上司に伝わってしまうかもしれません。トラブルを避けるためにも、周りに退職を伝えるタイミングには注意しましょう。
退職の理由を伝える際、「どのように話せばよいのだろう......」と悩む方は多いでしょう。円満退社を望むのであれば、ネガティブな発言は避け、ポジティブな理由を伝えることをおすすめします。ここでは、会社の理解を得られやすい退職理由と、その例文をご紹介します。
一身上の都合には、多くのケースが当てはまります。たとえば留学や資格取得、異業種への挑戦といった前向きな理由はもちろん、自身のライフイベントや人間関係のトラブル、会社への不満で退職するケースも一身上の都合です。
〈例文〉
かねてから関心があった〇〇の分野に挑戦したい気持ちが強く、そのためには一から学び直す必要があると考え、資格取得のための退職を決意しました。
〈例文〉
海外の〇〇について深く学ぶために、留学が最もよい手段だと考え、退職の意を固めました。
退職理由が体調不良の場合には、症状や現状、業務に支障があることなどを記載するとよいでしょう。医師の診断書があれば、理解を得やすくなります。
〈例文〉
ここ半年ほど体調を崩しており、病院に行くと〇〇(病名)と診断されました。通院しながら仕事を続けたいと試みてきましたが、なかなか症状が改善しないことから、一度仕事を離れて療養に専念したいと思っております。
〈例文〉
ここ1ヵ月で持病の〇〇(病名)が悪化してしまい、体調の悪い日が続いています。このままでは業務に支障があると考えられるため、療養を優先すべく、退職という形をとらせていただきたいと思います。
結婚や出産などのライフイベントや、配偶者の転勤、親の介護や家業を継ぐなどの理由で退職を決めた場合には、家庭の事情による退職に当てはまります。家庭の事情は、具体的に以下のように伝えられます。
〈例文〉
夫が〇〇地方に転勤することになり、ついて行く決断をしました。大変申し訳ありませんが、●月までに退職させていただければと思います。
〈例文〉
母が高齢になり、身の回りの世話が必要になりました。介護に専念する必要があるため、残念ですが、退職させていただきたいと思います。
円満退社を望んでいたとしても、実際にはスムーズな退職が難しい場合もあります。また、新しい転職先を聞かれて、答え方に困るケースもあるでしょう。ここでは、そのような事例と、対処法を解説します。これから退職を願い出る方は、解決方法を把握しておくとよいでしょう。
退職を申し出た際、上司の引き留めに合うケースも珍しくはありません。自身が企業の重要なポジションを務めているケースや、人材不足が深刻な企業では、期日までにスムーズに退職できないことがあるのも実情です。
引き留めに合うと意思が揺らいでしまうかもしれませんが、一度退職の意思を伝えると、会社に居づらくなるケースもあります。そのため、退職を取り消す際は慎重に考えなければなりません。
強引な引き留めに困っている場合には、「労働基準監督署」に相談できます。民法では退職の自由が保障されていますから、法律全般について弁護士を頼ることもできるでしょう。
退職を願い出たときに、「次の職場はどこなの?」と聞かれるケースもあります。その際、新しい転職先を伝えても、伝えなくても問題はありません。ただし、転職先が競合の関係にある企業の場合、情報流失などを危惧されるかもしれません。そのような心配をなくすのであれば、はっきりと伝えないほうがよいといえます。
退職の旨を伝えたから一安心と思いたいところですが、退職までにはやるべきことがたくさんあります。退職届けの提出や担当業務の引き継ぎをはじめ、あいさつ回りや有給消化などは、退職までに済ませておく項目のひとつです。ここでは、退職が内諾された後に、取りかかることについて解説します。
退職にあたって、退職届の提出が必要となる企業もありますから、規定の形式があるのかを確認しておきましょう。届けが必要な場合には直属の上司に手渡し、その後で退職に関わる手続きを行います。
健康保険証の返却などの保険関連の手続きは、退職に伴って必要となるため、事前に確認しておいてください。また、「ロッカーのカギを持って帰ってしまった」「大切な書類が家にあった」ということがないよう、返却するものをチェックしておきましょう。
退職日、または最後に出社する日にちが決定したら、それまでに問題なく引き継ぎができるように、上司や後任者とスケジュールを調整します。後任者が決定しているときには、後任者の予定も考慮したうえで、引き継ぎを進めてください。
まだ後任者がいない場合、誰が作業を引き継いでも問題が起こらないように、マニュアルを作成しておきましょう。
取引先などへのあいさつ回りが必要な場合には、自分ひとりで進めるのではなく、会社の慣習や方針に沿って行います。あいさつは「メール」「挨拶状」「訪問」のどれがよいのか、「引き継ぎ」や「顔合わせ」はどうするべきか、などは取引先によっても適切な対応が異なるでしょう。
取引先に迷惑をかけないためにも、あいさつの方法を事前に把握したうえで、上司や後任者と調整することが重要です。
退職が決まったら、有給休暇についても確認する必要があります。有給消化が可能な日数を把握し、退職日までの予定を立てましょう。有給休暇の買い取りが可能なケースもありますから、休暇日と併せて確認します。
有給休暇を消化することに気を遣ってしまう方もいますが、休暇を取ることは労働者の権利ですので、会社や周囲に遠慮する必要はありません。
転職する際に、前職の退職理由を聞かれるケースは珍しくはありません。退職理由は、正直に話すのが基本です。
しかし、ネガティブな理由で退職を決意した方は、マイナスの評価につながる恐れがあるのも実情です。そのため、ネガティブな理由で退職を決めた場合には、ポジティブなものに言い換えるとよいでしょう。ここでは、面接で使える例文をご紹介します。
前職では、個人での成績を重視する傾向があり、周囲と協力して目標に向かうことがありませんでした。個人としてのスキルを上げるよい機会にはなりましたが、チームで協力しながら業務に取り組むことも大切だと考えています。個々の売り上げを競うだけでなく、知識や技術を共有しながら目標を達成したいと思い、退職を決意しました。
前職の勤務先では、残業をしてノルマをこなすのが当然という習慣がありました。そのため、新たな知識を身につける時間が取れず、スキルアップが難しい環境でした。
仕事の効率化についても提案しましたが、自分ひとりの力では解決できない問題も多く、状況改善が困難でした。メリハリを持って働くことでインプットの時間を増やし、高い成果を上げられる人材になりたいと考え、退職を決意しました。
前職の営業職では、お客さまの問題解決よりも、商品を売ることが重視されていました。営業職として、売上目標達成に向かって努力することは当然ですが、お客さまに喜ばれる商品を提案することも大切だと考えています。
お客さまの悩みに寄り添って最良の解決策を提案できるよう、信頼関係を築きながら目標に向かって努力したいと思い、退職を決意しました。
前職では女性社員の人数が少なく、産休や育休といった社内制度が充実していませんでした。「女性社員は結婚すると退職する」という風土もあり、女性のキャリアアップが難しい環境でした。
しばらくは予定していませんが、結婚や出産などのライフイベントがあっても、変わらず仕事を続けたいと思っているため、女性の活躍を推進している企業への転職を決意しました。
前職は年功序列の賃金制度であったため、成果に対する評価を実感しにくい環境でした。営業職として2年連続で社内成績1位を取りましたが、給与額に反映されることはありませんでした。周りの支えがあってこそ目標を達成できたことは理解していますが、成果が正当に評価される企業で力を発揮したいと思い、退職を決意しました。
円満に退社することは、退職日までの人間関係を良好に保つことでもあります。円満に話が進むと、退職に際して必要な手続きもスムーズに行えますから、退職日まで落ち着いた気持ちで従事できるでしょう。転職先で現在の会社と関わることになった場合にも、お互いに嫌な思いをせずに済むなど、円満退社には多くのメリットがあります。
退職後は転職活動を行う方も多いかと思いますが、円満退社していれば、転職先への説明に困るケースも少ないでしょう。こういった利点から、退職を考えている方は、できる限り円満に退職することをおすすめします。
もしも退職に不安がある方は、転職エージェントを利用するのもひとつの方法です。マイナビエージェントでは、退職に関するアドバイスを行っています。退職までのスケジュール調整のサポートもできますので、お気軽にご相談ください。
退職を決意したのであれば、まずは直属の上司のアポを取って、退職の意向を伝えましょう。その際はメールや電話ではなく、口頭で伝えるのがポイントです。繁忙期を避ける、余裕を持って伝える、などの配慮があると円満退社しやすくなります。
退職を内諾された後も、退職するまでにはすべきことがたくさんあります。特に、あいさつや引き継ぎは円満退社をするうえで大切なポイントとなりますから、事前に計画を立てておきましょう。
退職に関して不安がある場合には、転職エージェントを頼るのも手です。マイナビエージェントでは退職のアドバイスを行っていますので、円満退社を望む方はぜひご活用ください。
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