更新日:2023/06/15
この記事のまとめ
転職時には、退職後の住民税の納付方法を検討する必要があります。退職時期によっては一括で数ヵ月分の住民税を納めなくてはならなかったり、納税方法の切り替え手続きを退職先に申請しなければならなかったりするため気をつけましょう。
この記事では、住民税の仕組みや転職後の納税方法を紹介します。転職の際に未納扱いになってしまったり、一括の支払いで生活費が足りなくなってしまったりといった事態にならないよう、住民税の仕組みを理解しましょう。
目次
住民税とは、個人や法人が1月1日時点での住所地の自治体に納付する税金のことです。住民税は、道路整備やゴミ収集、警察・消防など、市区町村が行う住民に対する行政サービスの経費となります。ここでは、住民税の種類や特徴について詳しく解説します。
住民税には、都道府県に納付する道府県民税(東京都では都民税)と、市町村に納付する市町村民税(東京23区では特別区民税)の2種類があります。実際に納付する住民税の納付額は、道府県民税と市町村民税を合わせた額です。
住民税額は、所得割額と均等割額との合計です。所得割額とは、前年の所得金額を基に算出される住民税額であり、所得が大きいほど高額になります。所得税と同じく、扶養控除や配偶者控除などを差し引いたうえで、最終的な課税額が算出されます。
均等割額は固定金額となっており、所得によって変動することはありません。均等割額は、県や市区町村の裁量で増減することが可能です。そのため、地域によって住民税の額に差が生じる場合があります。ただし、その差は年間1,000円~2,000円程度であるため、「特定の地域だけ負担が大きすぎる」ことにはなりません。
住民税を納めるのは国民の義務であり、納税しないと延滞金やペナルティが発生する場合があります。住民税を確実に納付するためにも、納税方法の種類や違いについて知っておきましょう。ここでは、住民税の納付方法を2つ紹介します。
特別徴収は勤めている会社が働いている人の代わりに住民税を納めてくれる制度です。事業主(給与支払者)が従業員(給与所得者)に支払う給与から、住民税を毎月天引きします。
普通徴収は市区町村から送付される納付書を使用して個人で納税する方法です。合計4回(6月末、8月末、10月末、翌年の1月末)に分けて納めるか、一括で納付するかを選べます。また、クレジットカードやインターネットバンキングなどを使って納付することも可能です。
転職後も特別徴収を継続したい場合は、退職前に所定の手続きをする必要があります。以下が必要となる手続きです。
退職してから入社まで期間が空く場合は、一度普通徴収に切り替わります。特別徴収に切り替えたい場合は、新しい雇用先に相談する必要があります。
退職時の住民税の納付方法は退職の時期によって変わります。ここでは、退職時期による納税方法を紹介します。退職月によっては、数ヵ月分の住民税を一括で納付する必要があったり、納付方法の変更に関して退職先に申請する必要があったりするため、事前にしっかりと押さえておきましょう。
1月1日〜4月30日の期間に退職した場合は、原則として退職月の給与からその年の5月分までの住民税を一括で徴収されます。退職した月の給与と退職金の金額を併せた金額が、徴収される住民税額よりも少ないときは、退職する会社に依頼することで普通徴収に変更してもらい、自治体から送付されてくる納付書を使って自分で支払うことも可能です。
5月中に退職する場合の住民税は5月分のみであるため、通常どおり給与から差し引かれます。なお、住民税の切り替えのタイミング(徴収額の変更)は6月です。6月からは、前年度の所得や状況に基づいた新たな住民税を支払うこととなります。
6月1日~12月31日に退職した場合、退職月の住民税は特別徴収か普通徴収のどちらかを選択できます。また、退職する会社に依頼すれば、退職月から翌年の5月分までの住民税を退職月の給与または退職金から一括で徴収してもらうことも可能です。
ここからは、転職時の住民税の納付に関してよくある質問を5つ紹介します。住民税は期限までに納めなければ延滞金が科されるしまうため、注意が必要です。期限内に確実に納められるよう、疑問点や不安点は事前に解消しておきましょう。
住民税は、1月1日時点で住民票を登録している市区町村で課税されます。つまり年の途中で引っ越した場合は、旧住所を管轄する自治体へ納めるということです。なお、引っ越しに伴う住民税の切り替えの手続きなどは特に必要ありません。
引っ越しのタイミングや住所異動の手続きの遅延などによって、「住民税が二重で引かれるのでは」と心配する方もいるでしょう。しかし、原則として住民税が二重で引かれることはありません。何かの手違いによって二重で引かれた場合は、返金申請が可能です。
住民税の納付期限をすぎると延滞金が発生する場合があります。延滞金は、未納期間や未納額に応じて発生し、滞納した金額に一定の割合を乗じた金額が加算されます。未納期間が長引くほど、納めなければならない延滞金が増えていくため注意が必要です。
住民税の納付が遅れると、自治体から催告通知や督促状が送付されることがあります。受け取ったら早めに対応しましょう。
転職先で給与から住民税が引かれていない場合は、以下の理由が考えられます。
たとえば、3月に退職した場合は5月分までの住民税が給与から差し引かれます。そのため、転職先で4月の給与を受け取った際には住民税は引かれません。天引きされない条件としては、「給与の支払いが毎月ではない」「普通徴収に切り替わっている」などが考えられます。
転職後に特別徴収に切り替わっていない場合は、市区町村から納付書が届きます。転職後も特別徴収を継続するために手続きをしていた場合は、転職後の勤務先に確認してみましょう。切り替えができていない場合は、納付書を用いて自分で納税する必要があります。
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住民税は前年度の所得に応じて課税額が決定します。転職のタイミングによっては、住民税を数ヵ月分まとめて納税する場合もあるため注意しましょう。
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