更新日:2021/12/28
「退職証明書」とは、その会社に在籍し、すでに会社を退職していることを証明する書類です。事業者は従業員から請求があれば発行する義務があると労働基準法によって定められていますが、一定期間が経過するとその義務は消失してしまいます。転職した際に転職先に提出が必要な場合もありますので、必要な場合は迅速に発行を依頼する必要があります。
本記事では、退職証明書が必要になるケースや発行方法、書式について詳しく解説します。
目次
「退職証明書」とは、その会社に在籍し、すでに会社を退職していることを証明する書類ですが、公的書類ではありません。
ここでは退職証明書が必要になるケースと発行方法、離職票との違いについて解説します。
退職証明書が必要となるケースは主に以下の3つの場面です。
国民健康保険・国民年金の加入や失業給付の場合、通常は離職票で手続きをおこないます。しかし離職票を入手するには早くても退職日から10日間程度を要することから、代替書類として退職証明書を利用する場合があります。
転職先の会社が提出を求める場合は、新しく働く会社が退職の事実などを確認するケースなどが当てはまります。
退職証明書は勤め先の会社に申請して発行してもらいましょう。
「会社を退職した事実」を証明するもので失業を表す公的な文書ではありませんが、社員から申請があった場合、会社は労働基準法に基づき発行する義務があります。もし会社側にフォーマットがないと言われたら、厚生労働省が提供するフォーマットなどを活用するよう伝えましょう。書式については後述します。
退社する際の帳票の中に「離職票」という書類があります。
退職証明書は企業が発行する私的文書であるのに対し、離職票は公的文書です。在籍企業から「離職証明書」を管轄のハローワークに提出することで交付されます。在籍企業が退職日から10日以内に管轄のハローワークに申請するため、発行には早くても退社後12~13日の時間を要します。公的文書ですので発行が法律で義務付けられている点も退職証明書との違いです。
退職証明書は公的文書ではないためフォーマットがなく、勤め先企業によって記載内容が異なります。
また、以下の5つの記載項目のうち労働者が記載してほしい内容を決定することができ、企業側は指定項目以外の項目については証明してはいけないことになっています。
厚生労働省が提供しているフォーマットでは、必要最低限の項目を網羅しております。
下記の項目で十分な場合は厚生労働省のフォーマットを活用するとよいでしょう。解雇の場合はその理由を請求しないことも可能です。
ここでは退職証明書を発行するための方法を解説します。
退職証明書を発行してもらいたい場合は退職した企業に申請をします。労働基準法 の第二十二条において、申請を受けた企業は退職証明書を発行することが義務付けられています。
(退職時等の証明)
第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金または退職の理由(退職の理由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
前述のとおり退職証明書は各企業によって記載内容やフォーマットが異なりますので、記載してほしい項目は必ず退職した企業へ伝えましょう。
以下5項目は退職証明書で企業が記載することになっておりますが、記載項目は自分で決定することができます。
指定以外の項目について企業側は証明してはいけませんが、転職先が退職の理由を求めているのに開示しないのは心象が下がるため、正直に開示することをおすすめします。もちろん転職先から記載項目が指定されている場合は、指定項目以外を開示する必要はありません。
退職証明書の発行は労働基準法によって企業に義務付けられていますが、義務付けられているのは退職から2年間です。それ以上の時間経過してしまうと退職証明書を発行してもらえない可能性があります。
必要な場合は速やかに申請をおこないましょう。
退職後2年間を過ぎてしまい退職証明書が発行されなくなってしまった場合の対処法を解説します。
退職証明書の利用目的にもよりますが、離職票を提出することで代替できる場合があります。
また、退職日を証明することが目的であれば、離職票の代わりに「資格喪失証明書」を利用することも有効です。ただし、資格喪失証明書は企業が社会保険の資格喪失届を提出してからでないと入手できないため、離職票と同様取得までに日程を要す場合があります。
退職から2年が過ぎてしまい退職証明書を発行してもらえない場合には、率直にその旨を伝えましょう。2年間が発行義務のある期間であることについては転職先企業も理解があるはずです。
国民健康保険や国民年金の加入手続き、また失業給付の手続きを行う場合は、退職証明書で代用することも可能です。
労働基準法第22条では、退職証明書を請求された場合、会社は「遅滞なく交付」しなければならないと定めています。急ぎで必要な場合はその旨を伝えましょう。ただし、労働基準法で定められているとはいえ、会社の都合も考えて発行を依頼する配慮は忘れてはいけません。
本記事では、退職証明書の提出が求められる場面や発行方法、書式について解説しました。
退職証明書が必要になるケースは限られていますが、離職票の代わりに利用する場合もあります。退職した企業との関係性などによっては申請がしづらいケースもあるかもしれませんが、発行は企業に義務付けられたものですので、自分のその後の生活のためにも、必要な際は忘れず申請しましょう。
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