更新日:2025/06/30
この記事のまとめ
「退職したい」と思い始めたとき、会社に何ヵ月前に伝えるか悩まれる方も多いのではないでしょうか。法律上は退職の2週間前までに伝えればよいとされていますが、円満に退職するためには実際にはもっと早めの準備が必要です。では具体的に、退職の意思はいつ伝えるのが適切なのでしょうか。
本記事では、退職の意思を伝える時期の目安やスムーズな引き継ぎと円満な退職を実現するためのコツを紹介します。転職活動を始めるタイミングも併せて確認し、気持ちよく次のステップに進む準備をしましょう。
目次
退職を考える際、多くの方が「何ヵ月前に会社に伝えればよいか」と悩むのではないでしょうか。法律で定められた最低期間から実際の企業慣行、円満退職のための理想的な期間まで、状況によって適切なタイミングは異なります。ここでは、退職を何ヵ月前に伝えればよいか、法律上の規定と企業の一般的な就業規則について解説します。退職の意思表示に関する基本的な知識を押さえておきましょう。
退職を考えた際に、まず知っておきたいのが法律上の規定です。日本では民法第627条により、「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定められています。つまり、退職を希望する場合、法律上は退職希望日の2週間前までに申し出れば、会社を辞めることが可能です。これは主に無期雇用契約(正社員など)の場合に適用される規定です。
一方、契約社員や派遣社員など期間の定めがある有期雇用契約の場合は、原則として契約期間中の途中退職はできません。しかし、やむを得ない理由がある場合は、正社員と同様に2週間前の申し出が一般的とされています。
多くの企業では就業規則に退職の申し出時期が明記されています。一般的には退職希望日の1ヵ月~3ヵ月前に伝えるよう定められていることが多いでしょう。法律では2週間前の通知で十分ですが、実際に退職をスムーズに進めるためには就業規則にしたがうことが望ましいといえます。
就業規則にしたがわないと、社会保険の切り替えなどの事務手続きが遅れたり、引き継ぎ期間が十分に確保できなかったりする可能性があります。また、引き留めにあって話し合いが必要になることも考慮すると、余裕を持った申し出が円満退職への近道です。退職を決めたら、まずは就業規則を確認し、定められたルールに沿って進めましょう。
退職が決まったら、スムーズな引き継ぎと円満な退社のために具体的なアクションプランが必要です。ここでは、退職の意思表示から最終出社日までに必要なステップと、それぞれの段階で確保したい期間の目安を解説します。社内での承認プロセスから始まり、業務の引き継ぎ、そして有給休暇の消化に至るまで、円満退職に必要な時間の捉え方を具体的に見ていきましょう。
退職の意思を伝える際は、まず直属の上司に対面で伝えるのが一般的です。リモートワークの場合はオンライン会議ツールを使用し、顔を見ながら感謝の気持ちとともに具体的な退職希望日を伝えましょう。「退職したいと考えています」といった曖昧な表現は避け、明確に意思を伝えることが重要です。
上司からの承認はすぐに得られる場合もありますが、引き止められるケースも少なくありません。そのため、社内での承認を得るまでの期間として1週間〜2週間程度の余裕を持っておくと安心です。具体的な退職日が決まったら、退職届などの必要書類を提出しましょう。
退職が決まったら、引き継ぎ期間を確保します。後任者がすでに決まっている場合、一般的な引き継ぎには2週間~1ヵ月程度の期間が必要です。業務内容の複雑さや量によって必要期間は変わるため、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
他部署からの異動や新規採用が必要な場合は、人材確保に時間がかかります。この場合、人材が見つかってからの引き継ぎとなるため、さらに長い期間を見込む必要があります。退職を何ヵ月前に伝えるかは、このような引き継ぎ期間も考慮して決めることが円満退職への近道です。
退職前に有給休暇の残日数を確認しておくことも重要といえます。一般的に有給休暇の消化期間は1週間~2週間、長くても1ヵ月程度が一般的です。最終出勤日を設定したら、その後の期間を有給休暇消化に充てることができます。ただし、有給休暇の消化を優先するあまり、引継ぎが不十分になると、休暇中や退職後に問い合わせを受ける可能性があるため注意が必要です。
また、有給消化のために転職先への入社日を遅らせると、新しい職場での印象が悪くなる恐れもあります。有給休暇の消化期間も考慮に入れ、引継ぎと有給消化のバランスを取りつつ、可能な限り余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
退職を申し出る時期は役職や雇用形態によって大きく異なります。部下を束ねる管理職やプロジェクトリーダーの場合、後任者の選定や育成、複雑な引き継ぎが発生するため、一般社員より早めの申し出が必要です。
一方、パート・アルバイト・派遣社員など有期雇用の場合、1年未満の雇用契約を結んでいる場合はやむを得ない理由がない限り契約期間満了まで勤務する必要があります。これは民法第627条・第628条、労働基準法第137条に基づくものです。自分の役職や責任範囲、プロジェクトの状況を冷静に判断し、会社に不利益が生じないタイミングで退職を伝えることがポイントといえるでしょう。
参照:民法 |e-Gov 法令検索
参照:労働基準法|e-Gov 法令検索
円満退職するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここではスムーズな退職に向けた具体的な留意点を解説します。退職の意思表示のタイミングや伝え方、退職理由の伝え方、適切な退職時期の選び方など、会社との良好な関係を維持しながら次のキャリアへ進むためのポイントを確認しておきましょう。
退職を決意したら、できるだけ早めに直属の上司に相談することが重要です。実際の退職までには想定以上に時間を要するケースもあります。上司から引き止めを受ける可能性があり、その際の話し合いや条件交渉に時間がかかることも考えられます。
また、担当業務の引き継ぎは思っている以上に複雑で、後任者への詳細な説明や引き継ぎ資料の作成に想定を上回る期間が必要になることも少なくありません。早期の相談により、これらの予期しない事態にも余裕を持って対応でき、最終的にスムーズな退職が実現できます。
上司が納得できる明確な退職理由を用意することも、円満退職の鍵といえます。退職理由を伝える際は、会社への不満が本当の理由であっても、「新しい環境でスキルを伸ばしたい」といった前向きな表現に言い換えることがポイントです。
ネガティブな理由や愚痴を伝えると、トラブルに発展したり、待遇改善を提示されて引き止められたりする可能性があります。退職の意思が固まっているなら理由は冷静かつポジティブに伝え、感謝の気持ちも添えることで今後のキャリアにおいても良好な人間関係を維持できるでしょう。
繁忙期やプロジェクトの途中での退職は、会社側に大きな負担をかける恐れがあります。特に繁忙期は人手不足に拍車をかけることになり、上司が退職を承認するハードルも高くなるでしょう。「業務が落ち着くまで待ってほしい」と退職日の延期を求められるケースも少なくありません。また、プロジェクト進行中の退職は、チーム全体のスケジュールに影響を与え、後任者への引き継ぎも複雑になりがちです。
円満な退職を目指すなら、業務が比較的落ち着いている時期や、プロジェクトの区切りのよいタイミングを選ぶことが重要です。特別な事情がない限り、会社やチームの状況に配慮した退職タイミングを見極めましょう。
退職が決まったら、引き継ぎのスケジュールを立てることも大切です。まず退職日から逆算して、最終出社日の1週間前には引き継ぎを完了させるのが理想的といえるでしょう。引き継ぎ終了後も、後任者が疑問点を質問できる時間を確保できるからです。
スケジュール表や業務リストを作成し、抜け漏れがないよう計画的に進めましょう。有給休暇を消化する予定がある場合は、引き継ぎに必要な日数を考慮して計画を立てることも忘れてはいけません。
退職後に転職を考えているなら、在職中に転職活動を始めるのがベストな選択です。転職活動には平均して約3ヵ月程度の期間が必要となります。そのため、余裕を持って退職の3ヵ月~6ヵ月前には転職準備を開始することをおすすめします。
まずは自己分析から始め、「なぜ転職したいのか」といった根本的な問いに向き合いましょう。この期間に業界研究や企業研究も並行して行うことで、転職活動の軸が明確になります。転職先が決まってから退職を申し出れば、無職期間のリスクを避けられるメリットもあります。ただし、働きながらの転職活動は時間的制約があるため、オンライン面談や有給休暇を効果的に活用するなど工夫が必要です。
退職に関して悩みはつきないものです。ここでは、よくある質問とその対応策をご紹介します。引き継ぎが間に合わない、退職を引き止められる、上司に承諾してもらえないといった状況は誰にでも起こり得ます。また、転職先から早めの入社を求められるケースも少なくありません。具体的な場面別の対処法を知っておくことで、スムーズな退職プロセスを実現できるでしょう。
引き継ぎが期限内に完了しないと判断した場合は、早急に上司へ相談しましょう。後任者の決定に手間取ることで引き継ぎスケジュールが圧迫されるケースもあります。この場合、上司との相談のうえ、引き継ぎ業務を「リスクが高い重要業務」と「リスクが低い業務」に分類することが効果的です。
重要度の高い業務については、チームメンバーや上司など暫定的な担当者を決め、詳細なマニュアルを作成して引き継ぎを行います。リスクの低い業務は、継続して担当者を置くかどうかを上司に判断してもらうとよいでしょう。優先順位を見直し、限られた時間内で最も重要な業務から引き継ぎを進めることで、退職時の混乱を最小限に抑えられます。
退職の引き止めに遭遇した場は、まず自分の気持ちを整理することが重要です。もし退職について迷いがあるなら、会社から提示された条件を検討する時間を取ることも選択肢のひとつです。昇給や部署異動など、改善提案に魅力を感じるなら、熟考する価値があります。
しかし、すでに退職を固く決意している場合は、毅然とした態度で意思を貫くことが大切です。引き止められても「退職の決断は変わらない」と明確に伝えましょう。
直属の上司に退職を申し出ても承諾してもらえない場合、まずは上司よりも上の役職者や人事部門に相談することを検討しましょう。日本の法律では「退職の自由」が保障されています。それでも会社が退職を認めない場合は、内容証明郵便で退職届を送付する方法があります。これは退職の意思表示の証拠を残す効果的な手段です。
また、状況が深刻な場合は労働基準監督署に相談したり、弁護士に退職代行を依頼したりという選択肢もあります。弁護士であれば会社との有給消化や退職日の交渉も代行できるため、強い拒否にあっている場合に有効です。
転職先から早めの入社を希望された場合は、可能な限りその要望に応えるよう努力しましょう。ただし、現職での引き継ぎが不十分なまま退職すると、円満退職という観点からは問題が生じる可能性があります。まずは現職の状況を考慮し、引き継ぎなどに必要な期間を算出したうえで、最短でいつから入社可能か具体的な日程を提示するとよいでしょう。
その際、なぜその日程が最短なのか理由も添えると説得力が増します。転職先には「○月○日であれば入社可能」と明確に伝え、現職には退職の意思を早めに伝えて調整を進めることで、双方にとって最適な解決策を見つけられるでしょう。
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退職の意思を伝える時期は法律上2週間前までですが、一般的な企業の就業規則では1ヵ月~3ヵ月前とされています。役職や雇用形態によって申し出時期は異なり、管理職などは早めの申し出が望ましいでしょう。円満退職のためには早めの意思表示、明確な退職理由の説明、繁忙期を避けることが重要です。
退職の意思表示から転職活動まで、一人で進めるには多くの不安がつきまといます。退職時期の見極めや転職先選びに迷った際には、退職計画から転職活動まで一貫してサポート可能なマイナビエージェントにご相談ください。
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