クロスセルとは?アップセルとの違いと成功させるポイント|求人・転職エージェント

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更新日:2022/04/11

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クロスセルとは?アップセルとの違いと成功させるポイント

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この記事のまとめ

  • クロスセルは、関連する商品の追加購入を勧める営業手法。
  • クロスセルが注目される理由は、既存顧客のリピート需要が重要視されているため。
  • クロスセルを成功させるためには、顧客視点で考え、顧客の信頼を得ることが大切。

企業が事業を拡大するために、新規顧客の開拓は欠かせません。しかし、新規顧客の開拓は容易ではなく、企業によっては顧客開拓以外の方法で売上アップを狙う必要があります。そのために考えられる営業手法が、「クロスセル」や「アップセル」です。

ここでは、クロスセルとアップセルとの違いや、クロスセルを成功させるためのポイントを解説します。

目次

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クロスセルとアップセルは顧客単価をアップさせる営業手法

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売上をアップさせるには、顧客が一度の購入で支払う金額である「顧客単価」をアップさせるという方法があります。クロスセルやアップセルとは、この顧客単価をアップさせることを目的とした営業手法です。

まずはクロスセルとアップセル、それぞれの特徴と違いを整理しておきましょう。なお、クロスセルの詳しい事例は次の項目で紹介します。

クロスセル

クロスセルは、顧客が継続的に購入したり購入を検討したりしている商品に、関連する商品の追加購入をすすめることで、売上をアップさせる営業手法です。

具体的にクロスセルには、下記のような例があります。

<クロスセルの具体例>

・飲食店で料理の注文時に、飲み物の注文もすすめる

・革製品の購入時に、クリーナーやブラシなどのお手入れグッズの同時購入をすすめる

・スマートフォンの購入時に、Wi-Fiのセット契約をすすめる

・ECサイトで、過去の購入履歴や閲覧履歴に基づいておすすめ商品を表示する

・ECサイトで、送料無料になる金額を表示して追加購入を促す

・アパレルショップでTシャツの購入時に、Tシャツに合うアウターの同時購入をすすめる

・美容院で髪をセットした顧客に、トリートメント剤の購入をすすめる

アップセル

アップセルとは、顧客がこれまでに購入したことがある商品や、購入を検討している商品よりも、上位価格帯にある商品の購入を促すことで、顧客単価をアップさせる手法です。

アップセルの具体例としては、下記のような例が挙げられます。

<アップセルの具体例>

・年会費無料のクレジットカード利用者に、年会費のかかるクレジットカードへの切り替えをすすめる

・パソコンの購入を検討する顧客に、より高機能で高額な商品への変更をすすめる

・スマートフォンの購入時に、Wi-Fiのセット契約をすすめる

・5,000円の化粧品の購入を検討する顧客に、同じ化粧品が3つで12,000円になるセット購入をすすめる

・ハンバーガーショップでセットメニューを購入しようとする顧客に、ワンサイズ上のドリンクをすすめる

クロスセルの施策事例

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クロスセルのやり方はいくつかあります。ここで取り上げるのは、典型的な成功パターンである「レコメンドの活用」「複数購入のすすめ」「セット商品のメリット提示」3つです。具体的な事例に基づき、分かりやすく解説します。

【事例1】興味を持ちそうな商品や関連商品のレコメンド

大手ECサイトでは、商品の購入画面で過去の購入データに基づいて「よく一緒に購入されている商品」を表示しています。同一画面内でクロスセルの提案をしていますが、商品の配置や数に気を配り、押し売りの印象を与えないようしている点がポイントです。

また、画面下部では「類似商品との比較」を提示しています。購入を検討している商品と同系列で価格帯の違う商品を紹介しているため、アップセルやダウンセルにも対応可能です。

【事例2】複数購入されている商品をおすすめとして提示

複数商品の同時購入を促すのは、商品をまとめて陳列できる実店舗で特に有効な方法です。たとえば、スーパーの肉・魚売り場では、その具材を使って作る鍋料理用のスープと必要な野菜を一緒に並べています。

ストレートに同時購入を働きかけるのではなく、鍋料理の魅力を伝えるPOPを用意するといったやり方で、顧客が自然と食材をそろえたくなるようなアピールをすることがポイントです。

【事例3】セット商品の購入によるメリットの提示

最も分かりやすいクロスセルの例といえるのが、ファストフードのセットメニューです。単品商品を組み合わせているため、購入する方は「いくらお得か」が簡単に計算できます。

ポイントは、単品で注文する方には簡単に確認する程度にとどめることです。セット商品のお得感を理解したうえで単品購入する方に無理に勧めるのは、反発を招く恐れがあるため注意しましょう。なお、50円や100円のプラスでドリンクのサイズアップを勧めるのは、アップセルです。

クロスセルを実施するメリット

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クロスセルを実施することによって、企業はさまざまなメリットが得られます。ここでは、クロスセルの基本的な目的である「顧客単価の上昇」のほか、「会社の印象・認知度の向上」「リピート需要」を取り上げ、詳しく解説します。

顧客契約単価の上昇で経営が安定する

クロスセルの最大のメリットは、購入点数が増えることによる顧客単価の上昇です。獲得にコストがかかる新規顧客で同じだけの売上アップを図る場合に比べて利益率が高いため、経営の安定化にも寄与します。

また、クロスセルのメリットを感じた顧客が新規顧客を紹介してくれるケースも考えられるでしょう。紹介顧客は購入率が高いとされるうえ、獲得コストを削減できることも経営の安定化につながる要素です。

自社の印象や認知度が向上する

クロスセルは、一方的に企業がメリットを得る形では長続きしません。顧客にも「関連する複数の商品をお得に買える」「必要な商品をそろえるために複数の店舗を回る手間が省ける」といったメリットを感じてもらうことが重要です。

確かなメリットが得られると実感することで、顧客の会社に対する好感度は上がります。顧客が口コミやSNSで会社のよいイメージを拡散してくれれば、認知度の向上にもつながるでしょう。

リピートにつながりやすい

前回の購入で好印象を持った顧客は、次回も同じ店舗やECサイトで購入する可能性が高くなります。したがって、クロスセルはリピート購入や契約につながりやすいといえます。

また、顧客が自社に対して高い信頼感を持つようになれば、新商品や違うところで購入していた商品も、自社の店舗やECサイトでの購入を検討するようになるでしょう。これもリピートが増える一因です。

クロスセルが注目される理由は?

近年、クロスセルが注目されるのは、既存顧客のリピート需要が重要視されているためです。新規顧客の獲得は、既存顧客を維持するのに比べてコストも手間もかかります。特に、少子高齢化による人口減少やECサイトといった販売チャネルの多様化が進む中で、新規顧客の獲得はこれまで以上に難しくなっています。

クロスセルの強みは、単にリピート需要を維持するだけでなく、顧客の購入単価を引き上げられることです。顧客に十分なメリットを提供できれば、自社に対するロイヤルティが向上し、リピート回数が増えたり新規顧客を紹介したりしてくれる可能性も高まるでしょう。

クロスセルを成功させるためのポイント

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クロスセルは、強引な押し売りでマイナスの印象を顧客に与えないよう、注意する必要があります。「欲しくない商品を無理に勧めてくる」「ニーズに合わない提案をされる」と顧客が感じれば、売上アップどころか顧客離れにつながりかねません。ここでは、クロスセルを成功させるためのポイントを紹介します。

アフターフォローをしっかり行う

クロスセルを行う際には、「売って終わり」にならないように、丁寧なアフターフォローを心掛けることが大切です。しっかりとアフターフォローを行うことで顧客の満足度が高まり、次に商品を購入するときもクロスセルにつながりやすくなります。

たとえば、商品・サービスの利用者から質問があったらすぐに対応したり、顧客に電話して商品・サービスに不具合がないかヒアリングしたりと、定期的にコンタクトを取るのもおすすめです。

ナーチャリングを実施する

クロスセルの効果をアップさせるには、ナーチャリングが有効です。ナーチャリングとは「育成する」という意味で、見込み客の購買意欲を高める手法です。具体的には、セミナーやウェビナーを実施したり、ホワイトペーパーを配信したりすることで、自社の商品・サービスに対する興味を持ってもらいます。

顧客情報の蓄積・分析を行い営業部門内で共有する

適切なクロスセルを行うためには、購買履歴や問い合わせ履歴といった顧客情報を蓄積してニーズを分析し、どのような商品をレコメンドすべきか判断することが大切です。

また、顧客情報を管理して営業部門全体で共有することで、担当者が不在のときでもほかの方が対応できます。顧客とのよりよい関係を構築してLTVLife Time Value:顧客生涯価値)を高めれば、利益を継続的に向上させられるでしょう。

なお、顧客情報の蓄積や分析には、CRMCustomer Relationship Management:顧客関係管理)やSFASales Force Automation:営業支援システム)といったマーケティングツールの活用がおすすめです。

顧客の購買意欲を見極める

クロスセルを成功させるには、顧客の購買意欲を見極めて、効果的なタイミングで追加購入を勧めることが大切です。顧客が迷っているような早い段階でクロスセルを仕掛けると、不信感や不満を感じさせてしまうリスクがあります。

押し付けずに慎重に提案する

クロスセルは、短期的な売上アップではなく、顧客が長期的に商品・サービスを購入してくれることを目的に行うことが大切です。売上アップを優先させて強引にクロスセルを仕掛けると、顧客に「いらないものまで強引に売ろうとしてくる」「こちらの気持ちを考えていない」と思われるリスクがあります。

商品・サービスの購入に関する提案は、顧客のメリットを考えたうえで慎重に行う必要があります。

クロスセルを行う際の注意点

クロスセルの目的である顧客単価のアップと継続的なリピートを実現するには、顧客の信頼を得なければなりません。そのためには企画・実施・検証すべての段階において「顧客視点」で考えることが大切です。

たとえば、会社の都合で大幅な割引セット商品を提供しても、顧客が魅力やメリットを感じなければ顧客満足度は低下します。また、過度な営業によって「押し売りされている」というイメージを与えても同様の結果を招きます。最悪の場合、顧客離れにつながるため、顧客の信頼を得ることを第一に考えましょう。

まとめ

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クロスセルが成功すれば、顧客単価を引き上げて売上アップや企業の成長につなげられます。そのためには、顧客分析に基づき、適切なタイミングでニーズに合った商品・サービスを提案することが大切です。このような営業手法のノウハウは、転職においても有利な材料となるため、身につけておくことをおすすめします。

マイナビ営業エージェントは営業職の専任チームを編成しています。業界に精通したキャリアアドバイザーが一人ひとりのキャリアやスキルに応じたアドバイスで転職を徹底的にサポートします。営業職に転職をお考えの方は、気軽にご相談ください。

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