更新日:2023/11/10
法人営業(BtoB)といえば、飛び込み営業が当たり前だったのも今は昔の話。
情報インフラの発達とともに効果的といわれる営業のスタイルも変わり、現在は顧客に求められる商品・サービスを、適切な相手に、適切なタイミングで発信することで、顧客のほうから自然に買いたくなる状況を作る「マーケティング」の重要性が注目されています。
「なぜ今、法人営業においてマーケティングが重要なのか?」「マーケティングにはどのような手法があるのか?」「マーケティングに基づく法人営業とはどういうものなのか?」。法人営業を目指す人の中では、このような疑問がわいている方もいると思います。
ここでは、見込み客に対して価値ある情報(コンテンツ)を届けることで、見込み客を顧客へと育てるマーケティング手法である「コンテンツマーケティング」を例に紹介していきます。
目次
従来の法人営業の方法は、「数多く電話をかけてアポイントを獲得する」「何度も顧客のもとに足を運ぶ」など、顧客に対して積極的な働きかけを行い、そこから契約を取っていくというものでした。ですから、販売側も既存顧客との継続取引を一番に考えていたため、「戦略的に新規顧客を獲得する」という発想はなく、「新規の契約を取るには、とにかく声かけの数をこなすしかない」という考えが一般的でした。
それに対してマーケティングは、相手のほうから自社の商品やサービスに興味を持ち行動してくれるしくみを作ろうというものですから、営業方法としては180°違うといっても過言ではありません。
現在、法人営業にマーケティングが必要とされているのは、社会の変化に伴いこれまでの営業方法ではうまくいかなくなってきたためです。
IT技術の発達で情報の検索や比較が容易になり、買い手が多くの情報を得られるようになったこと、また、グローバル化で商品・サービスの差別化が難しくなったことから、取引きを見直す企業が増加しました。これにより、「今まで買ってくれたから、これからも大丈夫」が通用しなくなり、一人ひとりの営業職に頼る従来の方法では、新規契約の獲得はもちろん、既存の取引き規模を維持できない会社が続出しました。
そんな社会の変化に対応するために、従来の営業職が売りに行く方法ではなく、顧客のほうから買いに来てくれる「売れるしくみ」を構築すること、つまり、マーケティングが必要とされるようになったのです。
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前述したとおり、マーケティングの理想は、営業しなくても顧客のほうから買いに来てくれることです。それをどのように実現するかは、さまざまな方法があり、また、その方法は日々変化しています。以下に、代表的なマーケティング手法を、いくつかご紹介します。
デジタルマーケティングは、Webサイトやメール、SNS、アプリなど、デジタル上のさまざまなチャネルを通じて、商品やサービスの情報を発信し、寄せられる反応や得られたデータを活用することで、売れるしくみを作っていく方法です。例えば、ECサイトの購入履歴を分析して、興味のありそうな商品をおすすめします。
コンテンツマーケティングは、見込み客や既存の顧客に価値ある情報(コンテンツ)の提供を続けることで、売れるしくみを作っていく方法です。コンテンツを通じて顧客の興味や関心を引き、自社のファンを増やして、問い合わせや商品・サービスの購入につなげます。
Webサイトのアクセスログや問い合わせ履歴、商品を購入した顧客データ、FacebookやX(旧Twitter)での発言などで、蓄積された膨大なデータ(ビッグデータ)を、商品が売れるしくみづくりに役立てようというのがビッグデータマーケティングです。
これまでも実際に、自動販売機につけたアイトラッキングで得られた消費者の目線データを分析し、視線が向きやすい場所に売れ筋の商品を並べることで、売上がアップした例や、顧客データを年代別、趣味別、売上貢献度別など、さまざまな角度から詳細に分類し、細かく好みに応じた商品やクーポンを発行することで、売上が向上した例などがあります。
マーケティングオートメーションとは、旧来は人の手で行っていた業務を自動化することで、効率を高める方法です。例えば、既存顧客の年代や趣味、過去の購入タイミングなどに合わせて、内容を変えたメルマガを送り分けるなど、顧客一人ひとりに合わせたアプローチが可能になります。
マーケティングに基づく法人営業のひとつとして、コンテンツマーケティングを例に、一連の営業の流れをご紹介します。
ターゲティングによる「誰に、何を、どう売るか」の決定は、どの企業にとっても戦略の基本となる事項です。その中で「何を」が明確であれば、誰にどう売るかも自ずと決まってきます。
例えば、自社の主力商品がオフィス向けのソフトウェア(何を)だとすれば、ターゲット(誰に)は「東京都内の従業員100人未満の企業の社長」という具合です。このターゲティングをもう一歩進め、自社の製品やサービスの理想の人物像(ペルソナ)を作っておくと、よりターゲットに合ったコンテンツを効果的な方法で拡散でき、理想の見込み客を集めることができます。
ペルソナ設定は、年齢や仕事の内容、企業でのポジションなどの基本的な情報はもとより、一日の過ごし方や解決したいと思っている課題、普段どのようなメディアをどのように使うのか、製品やサービスを購入する目的や理由に至るまで、細かく行うのが理想的です。
コンテンツの作成・発信を通して、「不特定多数の企業」ではなく、自社の製品やサービスに興味・関心のある企業を獲得していく段階をリードジェネレーションといいます。
例えば、ターゲットが「東京都内の従業員100人未満の企業の社長」であれば、中小企業を経営する上での悩みや問題解決に役立つコンテンツを、ブログやSNS、メルマガ、プレスリリースなど、さまざまな方法の中から、ターゲットが利用する媒体で発信・拡散していきます。
リードジェネレーションで集めた見込み客に対し、ブログやSNS、メルマガ、セミナー、Webコンテンツなどを通して有益な情報を提供し続けることで、自社の製品・サービスへの購買意欲を高めていく段階をリードナーチャリングといいます。
有益な情報を届けることで、見込み客の状況を「興味・関心がある」から次のステップである「検索エンジンで情報収集する」「さまざまな製品を比較・検討してみる」へと誘導し、最終的には「実際に営業の話を聞いてみよう」という段階まで持っていくことを目指します。ただし、積極的な売り込みは禁物です。中長期的な視点で、購買意欲が高まったタイミングで、適切なアプローチをすることが重要でしょう。
資料請求やセミナー参加の有無、メルマガ登録の有無、見込み客の役職、決裁権の範囲、見込み客の抱える課題に対してどれぐらい対応が可能かなどのデータを基に、見込み客にアプローチの優先順位をつけ、営業職につなぐ段階がリードクオリフィケーションです。この段階を踏むことで、効率の良いセールスが可能になります。
営業職が相手方を訪ね、商談が成立するセールスの段階です。
顧客が興味を持っていそうな新製品情報の配信などを通して、既存顧客へ類似の商品やサービスの購入を促していく段階です。
このように、「営業職が売りに行く」から「欲しい顧客に買いに来てもらう」へとシフトした現代の営業は、根性と人情ではなく、データで契約を勝ち取るスタイルであり、それを魅力的だと感じる人も少なくないようです。これから法人営業職を検討している人は、ぜひチェックしてみてください。
また、もっと詳しく仕事のことを聞きたいという人は、マイナビエージェントにご相談ください。専門のキャリアアドバイザーが、しっかりとお伝えいたします。
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