更新日:2022/07/01
仕事を成功に導くためには、「能力」と「やり方」が大切になります。この2つをうまく使えるかどうかで、成功への道のりが長くなったり短くなったりするでしょう。ここでいう能力とやり方は、職種ごとに違います。例えば、法人営業であれば、重要になるのは「コミュニケーション能力」です。これは単に、意思疎通のためというよりも、購入にあたり必要な情報を相手に確実に伝え、決断を促す能力です。
次にやり方ですが、実は法人営業には、仕事を成功に導く「BANT」という方法論があります。
ここでは、法人営業に必要な「能力」と「やり方」について詳しくご紹介します。
目次
あなたが扱う商材を購入するかどうか。個人営業の場合、それを決めるのは、見込み顧客である個人です。あなたのセールストークで目の前の相手が納得すれば、それでいいということになります。
ところが法人営業の場合、決裁者は一人かもしれませんが、そこには複数の人々の意見が反映されてしまいます。「購入することでどんな成果が期待できるのか」「リスクやデメリットはないのか」「投資対効果はどうか」など、さまざまな面から冷静に判断されるのが法人営業なのです。
そのため、法人営業を成功させるには、複数の人が冷静に検討した上で納得できる、論理的な「購入の理由」が必要となります。しかもそれは、クライアントの売上に貢献したり、問題・課題を解決したりできるものでなくてはなりません。「これを買えば、売上を向上させられる」「社の問題点を解決できる」。そう思わせられるかどうかが、法人営業に必要不可欠な能力であり、そこを外さないのが法人営業の基本といえます。
法人営業を成功に導く方法論の「BANT」は、次の4項目の頭文字をつなげた言葉となっています。それぞれについて、詳しくご紹介します。
相手企業はあなたの商材で、自社が抱える課題を解決しようとしています。そこにどれほどの予算を投下するか、それによってあなたの提案内容も変わってくるはずです。
なかなか聞きづらい質問ではありますが、これは商談の初期段階で、単刀直入に聞いてみるべきです。例えば、「ご予算に応じたご提案ができます。目安だけでも、お教えいただけますか?」というような質問でも良いでしょう。
予算規模によって決裁者が異なるのが一般的ですが、これも企業の中の誰なのかを押さえておきましょう。また、決裁に至るまでのフローを知っておけば、「土壇場でひっくり返る」ということを避けられるかもしれません。
クライアントは、あなたが扱う商材を「ほしい」と思っているわけではありません。その商材を採り入れることで、自社の課題をクリアしたいと思っているのです。これは、WantsとNeedsの関係ですが、クライアントはしばしばWantsにフォーカスした話をしがちです。その奥にあるNeedsを探り出し、「この製品なら御社のこうした課題を解決できます」という点をアピールできるように商談を進めてください。
商談においてスケジュール感を意識することは必要ですし、さらに、それを営業側から設定していくことで、テンポ良く話が進みます。相手任せにしては、いつになったらクローズするのか予見できません。また、そのために、相手先企業の課題解決が先延ばしされてしまうことにもなります。
「上期中に導入されれば、年度末にはその結果が表れるはずです」「となると、○月頃には稟議にかけることになりますか?」など、スケジュール感の設定を主導する営業を心掛けましょう。
さて、BANTの各項目をしっかり認識できたら、それを踏まえてどのように商談を進めていくのかを考えます。まず、相手の課題や問題を知り、それに対して自社の商材がどのように役立つのかを説明していくのが正当な手順です。しかし、初めての訪問であればそこまでは難しいですし、せっかくの訪問が製品の紹介だけで終わってしまうのも良くありません。そんなことにならないよう、次のような準備をしておきましょう。
まずは、相手のニーズを予測して仮説を立て、自社製品によってそのニーズをどのように満たすことができるか、理路整然と説明できるように準備をしておきましょう。相手に確認すべきことがあれば、事前にチェックしておいてください。競合する他社製品との比較や、予想される質問なども予めシミュレーションしておき、回答を用意しておきます。
商談の場では、相手からいかに必要な情報を引き出すかが重要です。こうしたヒアリングの技術は経験によって磨かれるものですが、常に「何を聞けばいいか」を考え、相手に話させるように会話を進めましょう。単純に「はい」「いいえ」だけで答えられない質問を織り交ぜるのも効果的です。
時には、相手がニーズに気付いていない、あるいは気付いているがあまり重要視していないということもあります。そうした部分を刺激することで、「確かにそうだね」と相手がニーズの重要性に気付けば、あなたへの信頼感は高まり、信頼感が高まれば、より重要な情報を教えてもらえることにもつながります。
どんなにすばらしいプレゼンができても、最後のクロージングが中途半端では意味がありません。営業プロセスのゴールですから、購入・契約に至るまで、万全を期しておきましょう。
相手にクロージングを求める方法はいくつかありますが、「契約・導入の時期をスケジュールとして決め、相手とのコンセンサスをとっておく」というやり方があります。「○月までに成果を出すためには○月までの導入が必要と思われます」という、時系列に沿って理論的に要望することができますから、相手も納得しやすいでしょう。
商談がまとまったあとのフォローも大切な仕事です。これは、アフターケアの意味もありますし、それ以上に「自社製品がどのように使われ、どんな効果を上げているのか」というデータが取れるところにも意味があります。そして、そうした実例は、今後のプレゼンの場面で非常に役に立ちます。
営業は、極めて属人性の高い職種です。そのやり方に「基本」はありますが、唯一の正解というものはありません。営業マン一人ひとりによってスタイルが異なり、押し引きのタイミングなども違います。
こうしたスタイルは経験の中で培われていくものですが、ただ漫然とプレゼンからクロージングを繰り返していくだけでは不十分です。クライアントと会うとき、プレゼンするとき、さらにそれ以前の準備の段階から、常に「今、何をすればいいか」「何を話し、何を聞くか」を考え、行動していくことです。
さまざまなやり方を試していく中で、あなた自身に適したスタイルが出来上がっていくでしょう。
すべての取引きは、売り手と買い手の双方に利益をもたらすWin-Winの関係が理想です。法人営業であれば、あなたは自社製品を売って利益を上げ、相手はそれによって社内の課題を解決し、業績を伸ばすというものになります。
ところが、「安売り競争」に巻き込まれてしまうと、見積金額ばかりが一人歩きしてしまい、利益が出せなくなってしまいます。法人営業は「いかにクライアントの利益に結び付けるか」を第一に考えなくてはなりませんが、それは自社の利益を削ってでも確保しなくてはならないものではありません。
仕事でもプライベートでも、どちらか一方が常に無理をしいられる関係は健全とはいえませんし、長続きもしません。
営業としてクライアントに提案するときには、Win-Winの理想的な取引きを目指し、そこに着地できるよう、常に心掛けておきましょう。
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