更新日:2024/10/08
この記事のまとめ
エンジニアにはさまざまな職種がありますが、中でも家電製品やソフトウェアなどに携わるのが「組み込みエンジニア」です。しかし、組み込みエンジニアとはいったいどのような職種なのか、どういった仕事を行うのかが分からない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、組み込みエンジニアという職種や仕事内容を解説します。平均年収や転職を成功させるポイントについても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
組み込みエンジニアへの転職を目指す際は、まず仕事内容や仕事の流れ、平均年収について事前に把握しておくことが大切です。知識を深めないまま転職してしまうと、ミスマッチによる後悔をしかねません。ここでは、組み込みエンジニアについて詳しく解説します。
組み込み系とは、家電製品や機器など「独立した機械の中に組み込まれたコンピューターを制御するためのシステム」の総称で、「組み込みシステム」と呼ばれることもあります。ソフトウェアが中心ですが、案件によってはソフトウェアとハードウェアを総合的に開発する場合もあります。
たとえば、洗濯機や炊飯器といった家電製品の中にも「マイコン」と呼ばれる小型のコンピューターが搭載されています。これらのコンピューターには、「水が一定の量に達したら30分間洗濯槽を回転させる」「このモーターは毎分800回転させる」などの手順がプログラミングされており、その手順に沿って各機械に作業を指示しています。これが組み込みシステムです。
組み込みエンジニアの仕事は扱う分野や企業によって異なりますが、基本的には以下の流れで進みます。
仕事の流れはほかのITエンジニアとほぼ同じです。基本的にはソフトウェアの設計・開発がメインですが、案件によってはハードウェアの設計も行います。テストや運用・保守は、駆け出しの組み込みエンジニアが担当するケースが多い傾向にあります。
マイナビエージェントの職種別平均年収ランキング【2020年版】によると、組み込みエンジニアの平均年収は455万円です。IT・インターネット・通信業界全体の平均年収が427万円なので、組み込みエンジニアの年収水準は比較的高いといえるでしょう。
組み込みエンジニアへの転職を目指す中で、「組み込みエンジニアになるのはやめておいたほうがよい」といった意見を目にしたことがある方もいるでしょう。その理由として、主に以下の3つが挙げられます。
組み込みエンジニアはソフトウェアの知識に加えてハードウェアの知識が必要であるため、ほかのエンジニアと比べて多くのことを覚えなければなりません。また、多くの企業で人手不足となっているのが現状であり、長時間労働を余儀なくされるケースもあります。厳しいスケジュールが課される中で、納期に間に合わせなければならないプレッシャーがかかる点も組み込みエンジニアが避けられる理由のひとつです。
組み込みエンジニアの仕事には、「自分が意図したとおりに機器が動作する」という、プログラミングの本質に通じる面白さがあります。また、自分の開発したシステムが機器に搭載され市場に出回った際などは、「エンジニアとして世の中の役に立っている」という実感が得られやすく、それをやりがいと感じているエンジニアが多いようです。
多くの組み込みシステムは、それほど複雑なプログラムを搭載しているわけではなく、コスト面からも使用されるコンピューターは処理能力・記憶容量ともに機器の制御に必要な最小限度の性能しか持たせていません。しかし、それだけに組み込み系ならではの難しさがあります。
組み込み系のプログラムは、PCなどと違ってユーザーの手によって書き換えることができません。また、情報家電やネット家電などを除き、「ファームウェアを最新版にアップデートする」といったこともありません。
しかし、単純そうだからといって「組み込み系の技術は簡単だ」というわけではありません。能力の限られたコンピューターを駆使し、機械の制御に必要なすべてのプログラムを収納するための専門知識や技術が要求されるからです。
何千、何万という数のプロダクトに搭載される組み込みシステム。いかにコンパクトにまとめるかによって、製造コストは大きく変わってきます。ここが、組み込みエンジニアの腕の見せどころなのです。
組み込み系の難しさを、ボタン操作で自動的にお湯張りや追いだきができる機能があるユニットバスを例に紹介しましょう。ボタンは数個しかありませんから、操作そのものは非常にシンプルです。プログラムもごく単純なものでよいような気がします。
しかし、実際にはそうはいきません。たとえば「お湯張り」と「追いだき」のボタンを同時に押されたらどう対処するか、お湯を張っている途中で追いだきボタンを押されたらどうするか、あるいは特定のボタンを連打されたらどうするかといったさまざまな状況があります。
人間はミスをする生き物です。ボタンの押し間違いは、しょっちゅう発生するでしょう。組み込みシステムは、このような本来の制御には不要な操作や誤った操作がなされた場合でも、システムがエラーを起こして停止しないよう、あらゆる状況を想定してプログラミングをする必要があります。
組み込みエンジニアへの転職を成功させるためには、求められる知識・スキルを身につけておくことが大切です。業界未経験でも、スキルが備わっていれば転職で有利になります。ここでは、組み込みエンジニアに求められる知識・スキルを3つ紹介します。
エンジニアである以上、プログラミング言語やOSの知識は欠かせません。組み込みエンジニアがシステムの開発でよく用いる言語は「C言語系」「アセンブリ言語」「Java」です。OSというとMicrosoft WindowsやmacOSをイメージする人も多いでしょうが、組み込みシステムの開発では「Linux」「ITRON」が多く用いられます。
組み込みエンジニアとほかのエンジニアとの大きな違いは、ハードウェアの知識が求められることです。組み込みシステムの開発ではハードウェアを直接操作するドライバの開発を行うことがあるため、回路図を理解しながらプログラムを組めるスキルが必要です。
英語スキルは必須ではありませんが、身につけておくことをおすすめします。組み込みシステムで用いる部品は海外から取り寄せていることが多く、仕様書は英語で書かれていることがほとんどです。また、組み込みエンジニアの技術書も英語で記載されていることが多くあります。
ほかにも海外拠点のメンバーとプロジェクトを進めることがあれば、海外赴任する可能性もあるでしょう。英語のスキルを習得していれば、さまざまな場面で役立ちます。
組み込みエンジニアは未経験でも転職可能です。しかし、組み込みエンジニアとして求められる知識をある程度身につけてから転職活動を進めれば、採用される確率が高まるでしょう。ここでは、未経験から組み込みエンジニアへ転職する3つのポイントを解説します。
組み込みエンジニアとしての技術・知識を評価する検定としては、一般社団法人組込みシステム技術協会が主催する「ETEC(組込み技術者試験制度)」などが知られています。ETECにはクラス1(ミドルレベル)とクラス2(エントリレベル)があり、クラス2は大学・専門学校卒業レベルの技術があれば、実務経験がなくても取得可能です。クラス1は、クラス2を500点取得していれば受けられる上位資格となっています。
効率的にプログラミングの知識・スキルを身につけたい人は、スクールで学ぶのがおすすめです。用意されたカリキュラムに沿って学べるため、無駄なく実践的なスキルを身につけられます。分からないことがあれば講師が丁寧に教えてくれるため、挫折しにくいのもメリットです。
スクールに通わず、独学で知識を習得してエンジニアになることも可能です。プログラミングに関する書籍や学習サイトは数多く存在するため、自分のペースで学習を進めたい人、お金をかけたくない人はまず独学してみるとよいでしょう。
組み込みエンジニアが活躍できるフィールドは実に広大です。家電製品をはじめ、情報・通信機器や産業機械といったコンピューターを内蔵する機械には組み込みシステムが必要であり、それらを開発するための組み込みエンジニアは欠かせません。
また現在はIoTの分野が大きな成長を遂げていて、Google GlassやApple Watchなどに代表されるように、私たちが日常で身に着けるアイテムにもセンサーやマイコンが搭載され、インターネットにつながる時代が始まりました。
こうした機器には組み込みシステムが必要で、組み込みエンジニアの需要はますます広がっていくことが予想されます。また家電製品にはこれまでも組み込みシステムが搭載されていましたが、これらの機器もインターネットにつながるようになり、さらに高度な組み込みシステムが要求されるようになるでしょう。
開発案件数が増加すればエンジニアに対する需要も増えるため、未経験者に対しても転職のチャンスが広がっていくことが予想されます。
組み込みエンジニアは家電製品やスマートフォンなどに組み込むシステムを開発・設計する仕事です。専門性の高い職種ですが、未経験者を歓迎している求人もあるため、興味のある人は思い切ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
その際は、ぜひマイナビメーカーエージェントにご相談ください。業界に詳しいキャリアアドバイザーが担当となり、キャリアやスキルに合った最適な企業をご紹介します。また、志望先企業への転職が成功するように、応募書類の添削や面接対策などのサポートもいたします。
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