更新日:2025/10/20

この記事のまとめ
システムエンジニアへの転職を考えているものの、きつい仕事と聞いてためらっている方もいるでしょう。システムエンジニアがきついといわれる背景には、どのような理由があるのでしょうか。
この記事では、システムエンジニアの仕事がきついといわれる理由と実情を紹介します。転職を考えている方は、ミスマッチによる転職後の後悔を防ぐためにも事前に確認するとよいでしょう。
仕事の様子と現状を正しく知ることで、転職しても問題ないか、自分に合った仕事か判断しやすくなります。
目次

なぜシステムエンジニアがきついといわれているのか、その理由を7つ紹介します。実際にシステム開発に携わっていると、厳しいと感じる部分があるのは事実です。そのため、事前にチェックすることで転職後に後悔するリスクを減らせるでしょう。
ただし、ここで紹介する情報はすべてのシステムエンジニアに共通するとは限りません。携わるシステムの種類や転職先企業によって状況は大きく異なる可能性があります。
システムの開発プロジェクトには納期が定められているケースが一般的で、期日までに完了させる必要があります。工数に応じた納期が確保されていて十分な人員がアサインされていれば問題ありませんが、そうでなければ激務に陥る可能性があるでしょう。
工数に比べて極端に納期が短い場合や担当するITエンジニアの数が少ない場合は、一人ひとりが担当する業務の量が増えて長時間労働に陥るリスクがあります。予期しない不具合が発生したときは、特に長時間労働のリスクが高まるでしょう。
自分で作業してシステム開発に携わるだけではなく、クライアントとのヒアリングやほかのITエンジニアとの調整を担当することもあります。状況によってはクライアントとITエンジニアの間で板挟みになって、きついと感じることもあるでしょう。
たとえば、クライアントから特定の機能を実装するように求められたものの、技術上の問題やリソースの都合で実装できない場合が該当します。開発より調整・交渉に携わる機会が多いシステムエンジニアほど、上記の悩みを抱えがちです。
開発中にイレギュラーが発生して優先的に対応しなければならなくなるケースもあります。開発中に大きな不具合が発生して修正しなければならないときや運用中のシステムをアップデートするときは、普段と違う対応が必要なこともあるでしょう。
多くのユーザーが使用するシステムのメンテナンスやアップデートを実施するときは、ユーザーにおよぼす影響を減らすために夜間や休日に作業することもあります。このようなシステムを担当するときは深夜労働や休日出勤が発生するため、きついと感じがちです。
IT業界は進歩が早く、新しい技術が開発されたりトレンドの技術が頻繁に変化したりします。システム開発の現場では、最新技術を活用してより高性能で利便性が高いシステムを開発しなければなりません。新しい技術を活用できないとクライアントの要望に応えられなくなったり、他社との競争に負けたりするためです。
急速に進歩するIT業界で活躍し続けるには、継続的な学習が必要です。どのような技術が主流になりそうかを考え、積極的に学習に取り組みましょう。
一口にシステムエンジニアといっても、具体的な仕事内容は企業によって大きく異なります。そのため、やりたいことができる企業に転職しないとミスマッチに悩みがちです。システムエンジニアはSIerで働くSEと社内SEに大きく分けられます。
SIerで働くSEは案件ベースでさまざまなシステムを開発しますが、社内SEは社内のIT環境整備や運用・保守が中心になるケースが一般的です。ただし、自社サービスを開発している企業の社内SEでは、開発業務をメインに担当することも少なくありません。
また、SIerであってもプロジェクトによって担当するシステムの種類や仕事内容に差があります。特に大手SIerでは配属先が希望と異なることもあり、自分がやりたかった技術スタックや開発工程に関われないことも考えられるでしょう。
企業によっては給与が低く、仕事に見合った報酬がもらえないと感じることもあります。特に高度なスキルが求められるにもかかわらず、給与が低いとやりがいを失うこともあるでしょう。
プロとして働く以上、報酬水準は転職先選びにおいて重要です。転職後に後悔しないためにも、転職先の報酬水準をきちんとチェックしましょう。また、報酬アップを目指すのであれば、自身の市場価値を高めるためのスキルアップも大切です。
システムエンジニアが「きつい」と感じる要因のひとつが、限られた時間で高品質なシステムを開発しなければならないプレッシャーです。プロジェクトでは「品質・コスト・納期(QCD)」のバランス調整が求められますが、実際の現場では「すべてを完璧に」という無理な要求に直面することがあります。
特に厳しいのは、成果物や作業の範囲が途中で拡大したときです。顧客から「この機能も追加してほしい」と要求されても、既存の納期は変更されないケースも少なくありません。結果として、品質を犠牲にして無理やり納期に間に合わせるか、長時間労働で両立を図るかの選択を迫られ、心身に大きな負担がかかります。

他職種からシステムエンジニアへの転職を検討している方にとって、特に気になるのは「未経験でも本当にやっていけるのか」という不安でしょう。実際の現場では、一般的に語られる「システムエンジニアはきつい」という実態に加えて、未経験者特有の困難が存在します。ここでは、未経験者が特にきついと感じることを3つ紹介します。事前に把握することで、転職後の心構えや対策が立てられるでしょう。
未経験からシステムエンジニアに転職した際、大きな壁となるのが知識と実務の深刻なギャップです。求人に「未経験可」と書かれていても、実際には基礎的なプログラミング知識を持つ人材を想定しているケースも考えられます。
たとえば、プログラミング言語の書き方や構文は理解していても、実際のシステム開発では「どのような場面でその技術を使うべきか」という判断力が求められます。また、Webシステムを構築する際はサーバーやデータベースの幅広い専門知識も必要となるでしょう。
完全未経験の場合、研修制度が整っていない企業では即戦力を期待され、想像以上の負担を感じる恐れがあります。このギャップを埋めるには、転職前の自主学習と入社後の積極的な学習姿勢が不可欠です。
未経験からシステムエンジニアになった方の多くが直面するのが、チーム内での孤立感や居場所のなさです。チーム内のメンバーが技術的な会話をしている際、自分だけが取り残される不安を感じることは珍しくありません。専門用語が飛び交う会議で理解できない内容があっても「今さら聞けない」という心理が働き、質問することさえ躊躇する方もいるでしょう。
このような状況が続くと、「自分はこのチームに必要な人材か」という自信の欠如につながります。しかし、上司や先輩は新人に完璧を求めているわけではなく、むしろ「どこでつまずくか」「どう相談してくるか」といったプロセスを重視しています。孤立感を解消するには、積極的な質問と進捗報告で存在感を示すことが重要です。
システムエンジニアが直面する深刻な問題として、職場での孤立感や過度なストレスが原因で、メンタル面に不調を来すケースもあります。特に孤立感や居場所のなさを感じている方は、職場の人間と表面的なつながりはあっても精神的なサポートを得られない状況を生み出します。
また、疲労感の持続や集中力の低下、仕事への興味・関心の喪失といったうつ病の兆候も現れやすく、パソコンに長時間向き合う作業や社会との接触不足が症状を悪化させる要因となりかねません。
とはいえ、適切なサポート体制が整った企業を選び、周囲とコミュニケーションを取ることができれば、安心して働ける環境も十分にあります。適度な運動や十分な睡眠を心がけ、専門家への相談をためらわないことが重要です。

実際にシステムエンジニアとして働くと、きつい・厳しいと感じることがあるのは事実です。しかし、その一方でやりがいを感じられる要素もあります。
ここでは、システムエンジニアとして働くときにやりがいにつながる4つの要素を見ていきましょう。下記で紹介するポイントを魅力的に感じるのであれば、システムエンジニアへの転職を検討してみることをおすすめします。
転職先にSIerを選べば、さまざまなシステム開発の経験を積めてスキルアップできます。どのようなシステムを開発するかは企業によって異なるものの、場合によっては社会インフラになっているような大規模なシステムに携わるケースもあるでしょう。
IoTやAIなど、トレンドの最新技術を活用したシステム開発を担当するケースもあります。開発経験を積むほどスキルアップできるため、技術レベルを高めたい方やスペシャリストを目指したい方には魅力的な環境です。
さらなるスキルアップを目指すのであれば、ITエンジニア向けのセミナーに参加したり技術文書を読んだりするのもおすすめです。
システムエンジニアとして働く中で得た経験・スキルを活かせば、さらなるキャリアアップも可能です。Web系システムの開発経験があればWebエンジニア、ネイティブアプリの開発経験が多ければアプリケーションエンジニアを目指すなど、別タイプのITエンジニアに転職する方法もあります。
ほかにも、企画・設計の経験を積んでマネージャーを目指すキャリアプランもあります。システムエンジニアからさらにキャリアアップしたいのであれば、方向性を定めて必要なスキルを習得するとよいでしょう。
システムの受託開発を担当するSIerでシステムエンジニアとして働くと、システム開発を通じてさまざまな業界に貢献できます。日々の業務では、金融・通信・建設・土木・官公庁など、さまざまな分野・業界で使われるシステムを開発することになるでしょう。
特に金融や通信をはじめとした社会インフラとして欠かせないシステムを担当するときは、自分の仕事が社会に役立っていることを実感できます。
開発現場の最前線でシステムエンジニアとして働いていると、さまざまな新技術に触れる機会があります。AIやIoT、クラウドサービスなどのトレンドになっている技術を活用したシステムを担当することもあるでしょう。
技術面への興味・関心が高い方にとっては、いち早く新技術に触れられる環境は魅力といえます。さまざまな新技術を活用したシステムを開発した経験は、将来キャリアアップを目指すときに大きな武器となるでしょう。
システムエンジニアにはきついと感じるポイントとやりがいを感じるポイントの両方があることを考えると、転職前に自分に適性があるか考えることが大切です。システムエンジニアに適性がある方の特徴を以下にまとめました。
上記の条件に該当していれば、システムエンジニアへの適性が高いと考えられます。企業ごとの特徴を吟味し、自分に合った転職先を選びましょう。
以下の条件に該当する場合、システムエンジニアの適性は低いといえるでしょう。転職後のミスマッチに悩むリスクを減らすためにも、本当にシステムエンジニアに転職してもよいか、もう一度考えることをおすすめします。
システムエンジニアは技術レベルだけでなく、対応力や高いコミュニケーションスキルも求められます。この点が難しいと感じる方は、システムエンジニアとして働くうえで苦労を感じやすいかもしれません。
スキルを磨いてITエンジニアのスペシャリストを目指したい方も、システムエンジニアより開発業務が占める割合が多いタイプのITエンジニアを目指すのがおすすめです。

システムエンジニアがきついと感じる理由を把握したところで、実際に現場で活用できる具体的な改善策について見てみましょう。長時間労働や技術習得の負担、コミュニケーションの課題といった問題は、適切なアプローチによって大幅に軽減が可能です。ここでは、今日から取り組める実践的な対処法を紹介します。
システムエンジニアがきついと感じる背景には、常に新しい技術を学び続ける必要性があります。体系的な知識習得には専門書籍、最新技術の情報収集にはカンファレンスや勉強会への参加が効果的です。
チュートリアル動画やオンラインコースを組み合わせることで、視覚的な理解と実践を同時に進められます。学習の優先順位は、現在のプロジェクトで必要な技術を最優先とし、将来性の高い技術を次に据えることで、無駄のない効率的なスキルアップが実現できるでしょう。
システムエンジニアとして成功するには、技術力だけでなく優れたコミュニケーション能力が不可欠です。まずは、相手の立場を意識した情報共有から始めましょう。技術的な説明をする際は、相手が非エンジニアでも理解できるよう、専門用語を避けて具体例を交えて伝えることが重要です。
プロジェクトの進捗報告では、単に「進んでいます」ではなく「予定の70%完了、残り3日で完成見込み」のように数値を使った明確な報告を心がけましょう。また、他者の話を注意深く聞いて正確に理解する技術である「アクティブリスニング(積極的傾聴)」の技法を身につけることで、認識のずれを防げます。
毎日のあいさつや感謝の言葉から実践し、徐々にチーム内で信頼関係を築くことが長期的なキャリア形成につながるでしょう。
きついと感じる状況を改善するには、業務効率の向上とプライベート時間の確保が重要です。まずは「ポモドーロテクニック」を活用し、25分間の集中作業と5分の休憩を繰り返すことで集中力を維持できます。タスク管理ツールを導入すれば、優先順位を明確にし、無駄な残業を削減できるでしょう。
プライベートの時間確保には、定時退社のルールを徹底し、リモートワークやフレックスタイム制度を積極的に活用すると効果的です。通勤時間を短縮すれば、自己研鑽や趣味に充てられる貴重な時間となるでしょう。

これからシステムエンジニアへの転職を目指しているのであれば、自分に合った企業を選ぶことが欠かせません。一口にシステムエンジニアといっても、企業によって担当する仕事や開発するシステムに違いがあるためです。
ここでは、自分に合った企業を探すために意識したい5つのポイントを紹介します。転職後のミスマッチを防ぐためにも、事前にチェックしておきましょう。
システムエンジニアはさまざまな分野で活躍しているため、自分に合った企業選びを意識しましょう。システムエンジニアが活躍する企業の特徴は以下のとおりです。
開発経験を積みたいのであれば、SIerや自社開発企業、Web系ベンチャーなど、開発体制が整っている企業を選ぶのがおすすめです。ただし、一口にSIerといってもその種類はメーカー系やユーザー系、独立系のように分けられます。転職するときは、それぞれの違いを正しく理解することが大切です。
変化が激しいIT業界で活躍し続けるためにも、学習を通じて常に最新技術を習得する意識を持ちましょう。転職前にシステムエンジニアに必要なスキルを習得することも大切ですが、転職後のスキルアップも同じくらい大切です。
学習をおろそかにすると最新技術についていけなくなり、キャリアの幅が狭まります。日々の業務で忙しくても、一定の学習時間を確保するのがおすすめです。
システムエンジニアはクライアントのヒアリングや開発プロジェクトチームのマネジメントを担当することもあるため、基本的なヒューマンスキルが欠かせません。ヒューマンスキルは円滑な対人関係を維持するのに必要なスキルの総称で、コミュニケーションスキルやヒアリングスキルが含まれます。
システムエンジニアとして上流工程に携わるようになると、下流工程を担当するITエンジニアより高いレベルのヒューマンスキルが求められます。ヒューマンスキルはすぐに高められるものではないため、普段から意識して習得に励みましょう。
SIer業界は多重下請け構造になっていることもあり、二次請けや三次請けになると一次請けと比べて報酬水準が低くなる傾向があります。そのため、報酬水準を重視するのであれば一次請けのSIerを選ぶのがおすすめです。
一次請けはマネジメント業務が増える傾向がありますが、企業によっては設計・実装まで自社で完結するケースもあります。開発業務にどの程度関われるかは、企業ごとの体制や文化によって異なります。開発経験を積みたい方にとって理想的な環境ではない可能性があるため、転職時には応募先企業でどのような仕事に携わるかをチェックすることが大切です。
転職後にやりたい仕事を担当できるかを事前にチェックすることが、ミスマッチを防ぐコツのひとつといえます。
システムエンジニアに転職するときは、自分のスキルを活かせる企業を選ぶことが大切です。扱えるプログラミング言語や使ったことがある技術・サービスを総合的に考慮し、活躍できそうな企業を選びましょう。
たとえば、Webエンジニアとして活躍していたのであれば、Webアプリケーション開発をメインとする企業に転職するとこれまでに培ったスキルを活かせます。自分のスキルや経験を高く評価してくれる企業に入社できれば、報酬アップやさらなるキャリアアップも実現しやすくなるでしょう。

システムエンジニアはSIerや自社サービスを開発している企業に在籍し、ITシステムを開発する仕事です。イレギュラーが発生して臨機応変な対応が求められたり時間外労働が発生したりするなど、きついと感じることもあります。一方、やりがいを感じる仕事でもあるため、適性があると感じるのであれば転職を目指すとよいでしょう。
転職先は自分に合った企業を選ぶことが大切です。ミスマッチを防ぎたいと考えている方は、ぜひマイナビITエージェントにご相談ください。IT業界に強いキャリアアドバイザーが全力で転職をサポートします。
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