更新日:2022/12/07
この記事のまとめ
組み込みエンジニアは家電製品やスマートフォン、自動車などに組み込まれているシステムを設計・開発するエンジニアです。専門的な知識が求められる職種であるため、はたして未経験でも転職できるのかが知りたい人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、未経験者でも組み込みエンジニアへ転職できるのかについて解説します。また求められるスキルや転職成功のコツも紹介しているため、転職を検討している人はぜひ参考にしてください。
目次
組み込みエンジニアとは家電製品やスマートフォン、自動車などに組み込まれているシステムを設計・開発するエンジニアです。専門的な仕事であることから、未経験でも転職が可能なのか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。まずは未経験者が組み込みエンジニアへ転職できるのかどうかについて見ていきましょう。
組み込みエンジニアは家電製品や業務用機器といった需要が高い製品を扱う割に人手不足です。その理由のひとつに、知識・スキルの習得が難しい点が挙げられます。組み込みエンジニアはほかのエンジニアと違い、ソフトウェアとハードウェア両方の知識が必要です。
それに加え、電子回路・電子基板に関する知識、コンピューターの仕組みに関する知識など、多様な知識・スキルが求められます。また、組み込みエンジニアはC言語やアセンブリ言語など、比較的古い言語が使われることから、エンジニア志望の人から敬遠されがちです。
組み込みエンジニアの求人の多くはプログラミングスキルや開発経験がある人を条件としています。しかし求人の中には「未経験可」「学歴不問」としているものもあり、未経験者でも転職可能です。そういった会社では社内研修を実施して、プログラミングや開発技術を1からサポートする体制が整っています。
また、経験の浅い人でも取り組みやすいテスターや品質評価といった仕事もあるため、知識・スキルに自信のない人は段階的に経験を積める求人に応募するのもよいでしょう。
組み込みエンジニアの仕事内容は製品の企画から運用・保守まで多岐にわたります。組み込みエンジニアへの転職を目指すのであれば、あらかじめ仕事内容や流れを把握しておきましょう。ここでは、組み込みエンジニアの仕事内容を6つ紹介します。
仕事を受注したら、まずシステムの開発や目的を決める「企画」および「要件定義」を行います。要件定義は今後の工程の指針となる重要な仕事です。製品市場の動向やコスト面なども加味しながらクライアントと細かく打ち合わせを行い、要件定義書にまとめます。
搭載する機能が決まったら、どのようなソフトウェアとハードウェアが必要になるのかを検討します。「スマートフォンやタブレットは無線LAN」「テレビはHDMI端子」といったように、製品の機能を果たすために必要なものを決めていきます。
ハードウェアを管理・制御するドライバの開発や、電子回路図や基板の設計などを行う作業です。組み込みシステムに用いるハードウェアの多くは、メーカーが開発したパーツを組み合わせて使います。組み込みエンジニアはハードウェアの詳しい仕様を知ったうえで設計を行うことが大切です。また、電子基板の設計においては電子製品のサイズに合わせて効率的な基板を設計する必要があります。
設計が終わったらプログラミングで実装していきます。組み込みシステムのプログラミングに多く用いられるのは、アセンブリ言語・C言語です。実装が完了したら、適切な接続がなされているかを確認して電源を入れます。
実装が終わったら、機能に不具合がないか入念にデバッグ・テストをします。テスト項目にしたがって正常に動作するかを確認し、バグがあれば都度修正していきます。デバッグ・テストの工程は駆け出しの組み込みエンジニアが担当するケースが多い傾向にあります。
リリース後は、システムのメンテナンスやバージョンアップなどの運用・保守を行います。リリース後に大きく機能が追加されるケースはほとんどありませんが、セキュリティ対策や機能改善といったアフターサポートも組み込みエンジニアの重要な仕事です。
組み込みシステムを搭載する機器は電子レンジや炊飯器といった家電製品、テレビやビデオなどのAV機器、自動車や信号機などさまざまです。そして関わる製品によって、組み込みエンジニアは大きく3つに分類できます。ここでは組み込みエンジニアの3つの分野について、それぞれ解説します。
小型家電製品やスマートフォンなどの小型機器に搭載する組み込みシステムを開発するのが「小型機器型組み込みエンジニア」です。画面の明るさや温度の制御など、ユーザーが利用しやすいようにシステムを開発します。対象となる製品が幅広いため、臨機応変に対応できる知識・スキルが求められます。
インターネットに接続する通信機器の高速化に対応するのが「通信型組み込みエンジニア」です。インターネットが普及している現代では、プライベートも仕事もインターネットの活用が欠かせません。また5Gによる高速通信やIoT機器への需要も高まっており、安定しつつスピードに特化したシステムの開発が求められます。
工場や発電所などで活用される産業機器・ロボットを制御するためのシステムを開発するのが「プラント型組み込みエンジニア」です。製品の品質を担保しつつ、エネルギーの安定化を図るために堅牢かつ汎用性が高いシステムの開発が求められます。
組み込みエンジニアには幅広い知識・スキルが求められます。専門性が高く、独学で知識・スキルを習得するのは根気が必要です。転職活動を有利に進めたい場合は、どのようなスキルが求められるのかを知り、少しでも勉強しておくとよいでしょう。
組み込みエンジニアが仕事で多く用いるプログラミング言語は「C言語系」「アセンブリ」「Java」です。特にC言語は開発言語の基礎にもなっているプログラミング言語で、使用頻度が多いため習得をおすすめします。Javaは組み込み系以外にも使用される汎用的な言語であるため、余裕があれば習得するとよいでしょう。
短時間で確実な処理が求められる組み込みシステムの開発では、「ITRON」「T-Kernel」といったリアルタイムOSの知識が求められます。「OS」というとMicrosoft WindowsやmacOSをイメージする人も多いでしょうが、組み込み機器で汎用OSが用いられることはあまりありません。未経験者は一般のOSと組み込み系OSの違いを押さえておくとよいでしょう。
組み込みシステムの開発にはハードウェアも関わっているため、ハードウェアの設計書や仕様書が読める知識が求められます。コンパクト化や低コスト化が求められる組み込みシステムの開発では、限られたリソースを有効活用して設計しなくてはなりません。基本的な電子回路の知識だけでも身につけておくとよいでしょう。
組み込みエンジニアは、ほかのエンジニア系の職種と比較しても英語スキルが求められる傾向にあります。組み込みシステムの部品は海外から取り寄せることが多く、英語スキルがなければ仕様書を理解できないでしょう。また、組み込みエンジニアに向けた技術書も英語を用いられるケースがほとんどです。
ほかにも海外拠点のメンバーとプロジェクトを進める機会があったり、海外赴任したりする可能性もあるため、英語スキルを身につけておくとよいでしょう。
未経験者を歓迎している組み込みエンジニアの求人はありますが、未経験者が転職を成功させるのは簡単ではありません。転職活動を始める前に、一定の知識を身につけておくと有利に転職を進められます。ここで紹介する3つのコツを押さえておきましょう。
未経験者は過去の実績がないため、知識・スキルをアピールできる材料を増やすことが大切です。資格を取得することで自身のスキルレベルを証明できるだけでなく、入社意欲やチャレンジ精神を評価してもらえるメリットもあります。組み込みエンジニアにおすすめの資格は以下の3つです。
プログラミングスキルは独学やスクールで身につけることが可能です。独学の場合は書籍や学習サイトを用いて自分のペースで学習を進められるほか、費用を抑えられるメリットがあります。しかし、モチベーションの維持が難しい点や挫折しやすいのがデメリットです。
プログラミングスクールに通うメリットとしては、カリキュラムに沿って効率的に知識が身につけられること、分からない部分を講師に質問できるため挫折しにくい点が挙げられます。ただし、独学と比べると費用がかかり、オンライン化に対応していない場合は通学しなくてはいけない点はデメリットといえるでしょう。
組み込みエンジニアはほかのITエンジニア職と比べて求められる知識・スキルが多く、未経験者にとってはハードルが高い職種です。そのため、まずはほかのITエンジニア職でソフトウェアやプログラミング言語の知識を身につけ、自信をつけてから組み込みエンジニアへ転職する方法も選択肢のひとつです。
組み込みエンジニアは未経験者でも転職可能です。しかし、プログラミング言語やハードウェア・ソフトウェアの知識が求められる職種であるため、転職するのは簡単ではありません。「未経験から組み込みエンジニアに転職したい」といった人は、ぜひマイナビメーカーエージェントにご相談ください。知識・スキルに応じた求人をご紹介し、転職を成功させるためのサポートをいたします。
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