更新日:2024/04/24
この記事のまとめ
データを分析し、ビジネスの課題解決に貢献する役割を担うのが「データサイエンティスト」という職業です。専門性が高く魅力的な職業ではありますが、「仕事がなくなるのではないか」と懸念する声も少なからずあります。データサイエンティストへの転職を検討する際には、将来性について知っておくことが大切です。
この記事では、データサイエンティストの将来性について解説します。市場価値を高めるためのスキルや資格についても紹介しているため、転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
データサイエンティストは専門性の高い職業であり、一見すると将来性が高いように思われますが、「データサイエンティストの仕事はなくなる」と言われることは少なくありません。ここでは、一般的にデータサイエンティストの仕事がなくなると言われている理由について解説します。
AIによってデータサイエンティストの担当する作業が自動化される可能性があり、仕事がなくなることを懸念されています。データサイエンティストの仕事の一部には、データの収集や処理、分析といった作業があります。それらは、機械学習のアルゴリズムやツールを活用することで自動化が可能なのは事実です。また、大量のデータを確認・処理するのは、人力よりもコンピュータのほうが優れています。
とはいえ、データサイエンティストの仕事はデータの処理だけではありません。一部の作業がAIに代替されても、データサイエンティストのすべての業務が奪われることは考えにくいと言えるでしょう。
ビッグデータを解析し、ビジネスにおける意思決定をサポートすることがデータサイエンティストの役割として広く認知されていますが、実際のところ職業の定義や役割は不明確です。
データを扱う職業には、データの解析を専門とする「データアナリスト」や、データを扱いやすい状態に整える「データエンジニア」もあります。データサイエンティストが行う業務には、データアナリストやデータエンジニアの作業が含まれることも少なくありません。
「役割や仕事内容を明確にしたほうが戦略を立てやすい」と考える企業もあり、データサイエンティストの職種が細分化される可能性はあります。ただしデータサイエンティストという肩書きが失われるだけで、仕事がなくなるわけではないと言えます。
AIの発展や職種の細分化によって、「データサイエンティストの仕事はなくなる」という声も少なからずあります。しかしデータサイエンティストは企業の生産性アップに欠かせない職業であり、将来性が高いと言えるでしょう。ここでは、データサイエンティストの将来性が高い理由を3つ紹介します。
一般的なデータベースには収められず、人間が全体像を把握できないほどの膨大なデータをビッグデータと呼びます。自社で収集したものやWeb上に公開されているものなど、ビッグデータの種類はさまざまです。民間企業・官公庁を問わずビッグデータを活用する動きがあり、そのためにはデータサイエンティストの力が欠かせません。
今後もビッグデータを活用する流れが広まると予想されているため、高度なスキルを有するデータサイエンティストの需要は増すと考えられるでしょう。
AIや機械学習も発展が著しい分野です。さまざまな分野でAIの活用が進んでいて、AIそのものやAIを組み込んだシステムの開発が活発になっています。AIの開発では、学習用のデータを用意したり分析させたいデータをそろえたりするなど、さまざまな場面でデータサイエンティストの力が必要です。データサイエンティストとして自身の価値を高めたいのであれば、AI分野のスキルを習得するとよいでしょう。
ITエンジニアをはじめとして、IT業界で活躍する人員の絶対数が不足しているのも見逃せない要素です。データサイエンティストも同様で、増大する需要を満たすだけのスキルを有した人員を確保できない状態が続くと考えられるでしょう。
そのため、日頃からスキルアップに励めばさまざまな分野で活躍できる可能性が高いといえます。長期的にIT業界で活躍したい方にとっても、データサイエンティストは有力な選択肢のひとつです。
データ分析はさまざまな業界で必要とされているため、データサイエンティストも多分野で活躍すると考えられます。今後データサイエンティストが求められる分野の例は以下のとおりです。
民間企業だけではなく官公庁でもデータの活用が進んでおり、都市計画の策定などに活用されています。まだデータの活用が進んでいない分野でも、今後データ分析の重要性に注目される可能性もあるでしょう。社会全体としてデータの重要性が高まっており、データサイエンティストの活躍の場は今後ますます広がると考えられます。
データサイエンティストはキャリアの終着点ではなく、さらなるキャリアアップが可能です。より高い報酬を求めたい、やりがいがある仕事に携わりたい、最新技術を活用したい場合にはさらなるキャリアアップを目指すとよいでしょう。ここでは、データサイエンティストの経験を活かせる転職先を3つ紹介します。
自分が興味・関心を持っている分野でキャリアアップを実現できそうであれば、積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
AIそのものの開発やAIを搭載したICTシステムを開発する職がAIエンジニアです。AI開発では学習データの準備やデータマイニングなどの分野でデータサイエンティストのスキルが役立ちます。
AIはIT業界だけでなく製造業の予兆検知や金融機関の不正取引検知、ゲーム開発などのさまざまな分野で用いられているのが特徴です。そのためAIエンジニアの将来性も高く、キャリアアップ目的の転職に向いています。開発ではPythonやRを活用するケースが多く、データサイエンティスト在職中に習得したスキルを活用できるのもメリットです。
データ分析によって得た情報に基づいて解決策を提示したり、何らかの行動を促したりするのもデータサイエンティストの役割です。その経験を活かし、ITコンサルタントに転職するのもひとつの道といえるでしょう。
ITコンサルタントはクライアントからの依頼を受け、抱えているIT分野の課題に対して適切な解決策を提示するのが主な仕事です。データサイエンティスト在職中に、レポーティングや課題解決策の考案に携わった経験を活かせるでしょう。
企業が抱えるマーケティング面の課題をIT技術によって解決に導く職がグロースハッカーです。クライアント企業がマーケティング面でどのような課題を抱えているのかを発見し、解決方法を考案します。
解決策が見つかったら具体的な施策に落とし込み、新たな商品開発やサービス設計に活かすのが主な仕事です。どのようにしたら生産性が高い商品・サービスを開発できるか、企業が成長するかを考える仕事といえるでしょう。データ分析や解決策の立案に向き合った経験は、グロースハッカーとして働くうえで大きな力になります。
データサイエンティストとして活躍するためには、高度なスキルを習得する必要があります。ここでは、データサイエンティストに求められる知識やスキルを4つ紹介します。スキルは一朝一夕で習得できるものではないため、日頃からスキルアップを目指して学習に励みましょう。
データ分析に使用するシステムやAIの制作に携わるケースではプログラミングスキルが求められます。そのため、データ分析や機械学習の分野でよく用いられているプログラミング言語の習得に励むとよいでしょう。データサイエンティストとして働いているとデータの収集・分析がメインの仕事になるため、分析システムを構築できるだけのプログラミングスキルが求められます。
データサイエンティストはすでに構築されているデータベースから必要なデータを抽出したり、集めたデータをまとめて新たなデータベースを作成したりすることもあります。そのため、SQL関連のスキルやデータモデルに関する知識など、データベースを取り扱うときに求められる総合的なスキル・知識が不可欠です。構造や基本的な設計、セキュリティーを含め、データベースについて総合的に学ぶことをおすすめします。
データ分析に携わるには、数学・統計学の知識が必要です。データサイエンティストとして働くうえで求められる主な数学・統計学のスキルには以下のようなものがあります。
上記に掲載したもの以外にもさまざまな知識が求められるため、ひとつずつ学ぶのがおすすめです。携わるプロジェクトによって使用する手法が変わるケースもあります。
データサイエンティストは「ビジネスの課題を発見して解決策を考える」「新たなビジネスにつながる情報を発見する」などの目的を掲げてデータ分析に携わるケースが多い点が特徴です。
そのため、課題の背後に隠れている原因を追究したり、データ分析によって発見した情報に基づいて適切に提案したりする際にコンサルティングスキルが求められます。具体的なコンサルティングスキルの一例は以下のとおりです。
これらのスキルも短時間で習得するのは難しく、継続的なトレーニングが必要になるでしょう。転職前から日々の業務を通じて学ぶことをおすすめします。
データサイエンティストとして市場価値を高めるために資格を取得するのもおすすめです。データサイエンティストの職種に就くために必要な資格はありませんが、取得することで専門的な知識やスキルを客観的に証明できて選考が有利になります。ここでは、データサイエンティストにおすすめの資格を5つピックアップして紹介します。
データサイエンティスト検定 リテラシーレベルは、一般社団法人データサイエンティスト協会が主催する検定試験です。試験勉強を通じて、データサイエンティストに必要な「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」「ビジネス力」を身につけられます。
本検定はデータサイエンティストを志す未経験者や大学生などを対象としています。受験資格はなく、誰でも受験可能です。
参照:DS検定® ★とは|一般社団法人データサイエンティスト協会
統計検定は一般財団法人統計質保証推進協会が実施し、一般社団法人日本統計学会が認定している検定試験です。統計に関する知識や活用力が問われる内容となっており、統計学の知識が必要なデータサイエンティスト向けの試験といえます。
統計検定には1級・準1級・2級・3級・4級の5つの級があるほか、統計調査士・専門統計調査士の試験やデータサイエンスに関する試験もあります。受験資格はなく、1級から挑戦することも可能です。
データベーススペシャリスト試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催し、経済産業省が認定する国家試験です。試験勉強を通じて、データベースを企画、要件定義、開発、運用、保守するための知識を身につけられます。
データベーススペシャリスト試験は、ITエンジニアとしてのスキルを表すITSS(ITスキル標準)でレベル4に位置づけられている難関試験です。受験資格はないため、データベースに関するスペシャリストを目指したい方は取得するとよいでしょう。
参照:データベーススペシャリスト試験 | 試験情報|独立行政法人情報処理推進機構
G検定・E資格は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する資格試験です。データサイエンティストに必要な機械学習に関する知識を身につけられます。
G検定・E資格のどちらもディープラーニングに関する資格ですが、求められる知識と試験の対象は以下のように異なります。
G検定に受験資格はありませんが、E資格はJDLA認定プログラムの過去2年以内の修了を受験の条件としています。
参照:G検定とは|一般社団法人日本ディープラーニング協会
参照:E資格とは|一般社団法人日本ディープラーニング協会
Python 3 エンジニア認定基礎試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主催している民間資格です。試験勉強を通じて、プログラミング言語であるPythonの知識やスキルを身につけられます。
Pythonはデータの整形や分析などで用いられるため、データサイエンティストが習得したい言語のひとつです。ITSSではレベル1に位置づけられており、そこまで難度は高くありません。受験資格もないので、プログラミング未経験者におすすめの資格です。
参照:基礎試験 | |一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会
データサイエンティストへの転職を実現させるポイントを知りたい方もいるでしょう。そこでここでは、データサイエンティストへ転職するためのコツを3つ紹介します。データサイエンティストへの転職を成功させて活躍し続けるためにも、転職前から意識することをおすすめします。
データサイエンティストに求められるスキルのうち、プログラミングスキルやデータベース関連スキル、分析ソフトを扱うスキルは別分野のITエンジニアとして働いているときにも学習できます。特にプログラミングスキルはITエンジニアの必須スキルであるため、普段からスキルアップに励むとよいでしょう。
ITエンジニアとしての開発経験や実務を通じて習得したスキルは、データサイエンティストへの転職において強力な武器になります。ITエンジニア経験を積み、より高度なスキルを習得しましょう。
データ分析や機械学習の分野におけるプログラミングではPythonやRが多く用いられています。Pythonは比較的古いプログラミング言語でWeb開発や組み込みシステム開発でも用いられており、ある程度習得している方も多いでしょう。そのため、触れた経験がある方も多く比較的習得しやすいのがメリットです。
Rは統計解析に特化したプログラミング言語です。PythonとRをセットで使用するのがデータサイエンティストの基本といえます。Rに触れたことがない方も、データサイエンティストを目指すのであれば積極的に学習するのがおすすめです。
具体的に転職先を選ぶ段階になったら、自分が保有しているスキルやこれまでの経験をきちんと評価してくれる企業を選びましょう。転職によるキャリアアップや年収アップを目指している場合、この点は特に重要です。
データ分析に携わった経験がある方や高いレベルでPythonやRを使いこなせる方、データサイエンティスト経験者などの高度なスキルを有する方は高く評価されやすいでしょう。求人情報を探すときは企業がどのような人材を求めているのかをきちんと確認し、自分のスキルを発揮できそうなところかを考えることをおすすめします。
データサイエンティストはビッグデータの解析やAI開発で活躍しており、将来性が高い職種といえます。今後はAIの活用が進むと考えられており、データ分析のプロフェッショナルとしての需要はますます高まるでしょう。データサイエンティストを目指したい方は、必要なスキルを学んだうえで自分が望むキャリアパスを実現できる企業を選ぶことが大切です。
マイナビITエージェントでは、データサイエンティストを含め、IT業界に特化した転職サービスを提供しています。自分ひとりで転職活動を進めるのが難しいと感じている方や、業界事情に精通したキャリアアドバイザーのアドバイスを受けたい方はぜひマイナビITエージェントをご活用ください。
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