更新日:2024/01/25
この記事のまとめ
IT系職種の中でも、将来性を見込んでデータサイエンティストへの転職を検討している方もいるでしょう。しかし、比較的新しい職種であるため、具体的なキャリアパスをイメージしづらいかもしれません。
そこでこの記事では、データサイエンティストのキャリアパスを解説します。おすすめの転職先も紹介するため、これからキャリア形成を考える方に参考となる内容です。
目次
データサイエンティストは、データを専門的に扱う仕事です。IT業界の中でも比較的新しい職種であるため、業務内容や業務に必要なスキルまではイメージしにくい方もいるでしょう。ここでは、データサイエンティストの概要を解説します。
データサイエンティストは、企業が抱える膨大なデータを分析・解析する仕事です。必要なデータを抽出し、ビジネスで利用可能な状態に加工します。
データの分析・解析能力はもとより、ビジネススキルやマーケティングスキルも必要です。プロジェクトによっては、クライアントの課題解決に向けたプレゼンテーションをするケースもあります。
企業のデータを活用して課題解決を目指すには、クライアントへの入念なヒアリングが欠かせません。企業が抱える問題点やビジネス上の改善点を洗い出し、作業の優先順位を決定する必要があるためです。
たとえば人材管理部門に携わる場合、データサイエンティストは企業が持つデータから社員の精神状態や退職率などを予測します。社内リソースの最適化に向けてやるべきことは何か、データを基に提案します。
データサイエンティストは、メーカーやEC、金融などさまざま業界で注目が集まっている職種です。事実、世界規模でビジネス展開しているアパレルグループや、国内最大級の精密機器メーカーなどで活躍の場があります。
政府もデータサイエンティストへの注目を高めています。ビッグデータや公共データを活用した新規ビジネスの創出に向けて、AI人材育成への取り組みにも注力し始めました。
データサイエンティストは、膨大なデータの中から必要な情報を絞って分析・解析します。そこまでは知っていても、どのような手順でデータを扱うのか、把握している方は少ないかもしれません。ここでは、データサイエンティストの仕事内容を解説します。
まずはビッグデータの収集や蓄積が求められます。膨大なデータを利用可能な形に整えるまでに、サンプルとして大量のデータを集める必要があるためです。この時点では目的に応じたデータを集めることに専念し、最新データを参考に多種多様なデータを収集・蓄積します。
データ収集が完了したら、データの構築・処理の段階に移ります。分析基盤を整備するうえで必要となるのがデータベースです。NoSQLやHadoop、MongoDBなどのインフラ技術を活用します。どのようなデータベースが分析に適しているかも、この段階でチェックが必要です。
次は分析段階に移行します。データサイエンティストが行うデータ分析は機械学習を活用するのが特徴です。一般的な統計学にとどまらず、将来の売上や社内リソースの変化を予測し、ビジネスに利用しやすい形で可視化しなければなりません。
最後は、分析結果のレポート作成と評価の段階です。分析したデータをどのようにビジネスへ活かすのかを検討し、課題解決につながったのかを評価します。また、レポート作成では改善点を洗い出し、次回以降の修正・対策案の提示までを記載するのが特徴です。
データサイエンティストは将来性が高く、専門性も身につく職種のひとつです。しかし専門職ゆえに、「転職やキャリアアップのハードルは相当高い」と考えている方もいるでしょう。データサイエンティストになるにはどうすればよいのか、転職までの道のりの一例を紹介します。
データサイエンスのスキルを磨くには「Kaggle」を利用するのがおすすめです。Kaggleとは機械学習者のプラットフォームのことで、投稿されたデータに対して最適モデルの提案を競い合います。
特徴的なのは、Kaggleの中でコンペティションが開かれていることです。世界中の分析家や専門家と競う可能性もあるため、実績を残せれば評価につながる可能性が高まります。
データサイエンティストと関連性のある職種を経験してから、ステップアップを狙うのも有効でしょう。具体的にはIT系で、プログラミング言語やデータベース、販促ツールなどを扱う職種であれば、必要な経験を積みやすくなります。
実際に、SEやマーケティングといった仕事からキャリアをスタートさせたデータサイエンティストはたくさんいます。特にマーケティング職は、市場で役立つデータを豊富に扱うほか、未経験でもチャレンジ可能なケースがあります。
日頃から社内の問題や改善点に注目し、自主的にデータ分析による課題解決を提案すれば、データサイエンティストに転身できる可能性があります。容易な道ではありませんが、スキルをアピールし、実績を作れば同僚や上司も応援してくれるかもしれません。社内にキャリアチェンジプログラムなどがあれば、ぜひ利用しましょう。
データサイエンティストを目指す際、スキルの証明として資格の取得を検討している方もいるでしょう。実務経験がない方でも、資格があれば転職市場で評価されるケースがあります。ここでは、データサイエンティストで役立つ資格を紹介します。
データサイエンティスト検定は、一般社団法人データサイエンティスト協会が主催する資格です。2021年から実施され始めた試験で、データサイエンスのスキルやビジネススキルの証明につながります。
実際に試験範囲は多岐にわたり、統計基礎や自然言語処理、クラウド、分析アプローチなど幅広い分野の学習が求められます。データサイエンススキルを身につけるきっかけとして利用するのがおすすめです。
情報処理技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構が主催する国家資格のひとつです。資格を取得することで、ITに関する基礎的な知見を証明するほか、開発現場でも役立つスキルを学べます。
試験は4月と10月の年2回実施されており、過去問題や対策教材も豊富にそろっているため、学習しやすいのが特徴です。ただし、合格率は20〜25%ほどで、難易度が低いとは言えません。
統計検定は、一般社団法人日本統計学会が認定する資格試験です。統計学に関する知見や運用能力を評価します。
資格は4級から1級までレベル別に分けられており、統計の基本レベルからステップアップして専門性を高められます。初めて統計に触れる方でもチャレンジしやすいでしょう。なお、最高難度の1級は理論分野・応用分野の二つに合格しなければなりません。
オラクルマスターは、日本オラクル社が主催するデータベース認定試験を指します。オラクルデータベースに関する総合的な管理スキルを証明する資格で、IT技術者としての評価にも直結する資格のひとつです。開発現場で必要なデータベーススキルが身につくほか、データ構築で必要とされるインフラ環境の知見も身につきます。
試験は随時受験が可能で、ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナと段階別に分かれています。自身の習熟度合いに応じて試験レベルを選べるのが特徴です。
G検定・E資格は、一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する資格試験です。いずれもディープラーニングに関する知識やスキルを問う資格で、G検定は基礎知識やビジネスにおける運用能力を測定します。試験は3月・7月・11月の年3回実施されます。
一方E検定は、ディープラーニングの理論を押さえたうえで、実装スキルや現場で求められる知識を問う問題が中心です。試験は2月と8月の年2回実施されます。
データサイエンティストという職業に将来性はあるのか、転職後のキャリアパスはどのようになっているのか、不安に思っている方もいるでしょう。ここでは、データサイエンティストの将来性とキャリアに焦点を当てて解説します。
AIの情報分析能力が高まるにつれ、「データサイエンティストの仕事が奪われる」といった懸念の声が上がっています。しかし、分析課題を設定し、業界の動向を見極め、分析結果を絡めて解決策を導くという業務は非常に複雑です。AIが担うには負担が重く、データサイエンティストに優位性があると言えるでしょう。
AIが代替可能と考えられる仕事も一部あります。データの加工や分析の自動化はその代表です。ただし、それだけで職種としての価値がなくなるとは考えにくく、将来的なニーズを見込める職種でしょう。
データサイエンティストは米国発祥の職種です。日本では依然として人材育成の段階にあり、データサイエンスを学べる大学・学部も発展途上です。2013年に日本データサイエンティスト協会が設立されたものの、まだまだ歴史は浅いと言えます。こうした背景からデータサイエンティストの人材は不足しており、優秀な人材の育成が急務となっています。
データサイエンティストのキャリアを活かし、ほかの職種に転身したいと考えている方もいるでしょう。データサイエンティストは求められるスキルや専門性が高いことから、転職先でも重宝される可能性が高いです。ここでは、データサイエンティストが歓迎される転職先を紹介します。
データサイエンティストとなり一定の経験を積んだ後は、シニアデータサイエンティストやプロジェクトマネージャーになるキャリアパスが考えられます。機械学習や分析モデル提案に関するスキルを社内で共有し、プロジェクトの管理まで任されるでしょう。
一級クラスのデータサイエンティストは、大学や企業から講演を依頼されることもあります。データ分析の専門家として業界をリードしたい方にはやりがいのある道でしょう。
AIエンジニアは、AIに対象データを覚えさせ、処理の精度をあげることでビジネスの課題解決につなげる仕事です。業務上、膨大なデータを扱わなければならず、機械学習へも精通している必要があります。
アルゴリズムやデータベースの運用方法などを熟知した人材が求められるため、データサイエンティストとは相性が良い職種と言えます。データ解析に加え、開発系の業務にも携わりたい方に適しています。
市場のニーズをリサーチしたり、新製品の開発に携わったりする研究開発職もデータサイエンティストと親和性が高いです。
研究開発は、企業によっては「R&D」と呼ぶこともあります。求められるのは業界の知識やニーズを捉えるマーケティングスキル、計画的に開発を進められる管理能力などです。英語の論文や文献を理解できる力もあれば、さらに歓迎されるでしょう。
データサイエンティストは、データ分析・解析を専門とする職種です。将来性が高く、大手企業や政府も大注目しています。国内の人材育成は発展途上と言え、キャリアのロードマップも確立していません。周辺職種でキャリアを積んでから転職するのが効率的でしょう。
マイナビITエージェントでは、最短でデータサイエンティストになるためのサポートを実施しています。選考対策や求人選びに不安がある方にも、役立つアドバイスの提供が可能です。
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