更新日:2024/06/24
この記事のまとめ
膨大なデータが溢れる情報化社会の中で、ビッグデータを分析し、企業のビジネス戦略をサポートする「データサイエンティスト」が注目されています。データサイエンティスト自体新しい職業のため、具体的な仕事内容や目指し方を知らない方も多いのではないでしょうか。
データサイエンティストを目指すのであれば、どのような知識やスキルが必要か、把握しておくことが大切です。そこでこの記事では、データサイエンティストの仕事内容や必要なスキル、目指し方について解説します。
目次
インターネットやAIが発展する中、データを分析して価値を引き出す「データサイエンス」が注目されています。データサイエンスを取り扱うのがデータサイエンティストです。ここでは、データサイエンティストがどのような職業なのか、将来性も併せて解説します。
データサイエンティストは、統計学・情報処理技術といったさまざまな知識やスキルを駆使し、ビッグデータを分析します。データに基づいた解析結果からビジネスで活用できる情報を引き出して、重要なビジネスの意思決定をサポートする仕事です。大まかな仕事の流れは以下のとおりです。
このように、最終的にビジネスへつなげるのがデータサイエンティストの役割です。ほかにも、不適切な情報(ノイズ)を処理し、データ収集環境を整える業務もあります。
インターネットやAIの発展により膨大なデータが溢れる情報化社会では、ビッグデータやAIを取り扱えるデータサイエンティストの将来性は高いといえるでしょう。もともとはコンサルタントや企画部門が担当する分野でしたが、いまはデータに基づいた経営戦略を取り入れる企業が増え、データサイエンティストを必要としています。
IT業界だけでなく金融業界やメーカーといったさまざまな職場で活躍できる汎用性の高い職業ですが、AIによる高度なデータ処理が可能になれば、AIに一部の仕事を奪われる恐れもあります。
データサイエンティストになるには、情報工学や統計学を学べる大学や専門学校で知識や資格を身につけてから就職するのが一般的です。また、データサイエンティストに近い職種で経験を積み、キャリアチェンジする方法もあります。ここでは、データサイエンティストになる方法について詳しく見ていきましょう。
データサイエンティストを目指すのであれば、データサイエンスを学べる学校を卒業する方法が一般的です。専門学部がある大学や短期大学、専門学校も増えています。知識がないと就職は難しいため、学校で専門的な知識を身につけることが大切です。
データサイエンスが学べるのは、情報工学科・情報システム工学科・情報理学科といった学科があります。また、情報学や統計学だけでなく、プログラミング言語の知識やビジネスに応用するスキルも必要です。
エンジニアはデータを取り扱う機会が多く、データサイエンティストに近い職種です。データ処理や情報技術のスキルがあれば、転職も有利になります。実際にシステムエンジニアから転職するケースも多く、プログラミング言語のPythonやR言語を用いた経験があれば、実務でもすぐに生かせるでしょう。
ただし、ビジネスのスキルやプログラミングスキルは必須であるため、別途学んでおく必要があります。
データサイエンティストと近い職種には、マーケターやアナリストもあります。どちらもデータを扱い、ビジネスに生かす専門家です。
現代のマーケティング業務ではビッグデータを分析してビジネス戦略を立てるのが一般的ですが、データサイエンティストがいない場合、企画部やマーケターがその職務領域を担当しているケースがほとんどです。アナリストは証券会社や銀行といた金融系の企業で、企業の収益や経営状態、市場の分析といったさまざまな情報を収集して分析します。
このようにマーケターやアナリストの経験を積むことで、データをビジネスで活用するためのスキルが向上し、実務で生かせるでしょう。ただし、プログラミング言語やエンジニア知識も学んでおく必要があります。
キャリアチェンジプログラムのような社内制度を利用し、データサイエンティストになる方法もあります。ただし、社内制度を取り入れている企業でなければできない方法です。
そのため、社内制度目当てで転職するのはあまり効果的な方法とはいえません。また、社内制度を利用してデータサイエンティストを目指すとしても、即戦力となる知識や経験、実力がないと厳しいでしょう。
データサイエンティストは、膨大なデータや数字と向き合う職業です。そのため、数学や統計が好きな人は向いています。データ処理や分析といった地道な作業も多いため、忍耐力や根気強さも大切です。ここでは、データサイエンティストに向いている人の特徴を紹介します。
データサイエンティストは数学や統計処理、プログラミング言語を扱うため、数学や統計が好きな人に向いている職業です。数学や統計学の深い知識を持っていれば、ビジネスとして活用できる価値あるデータを引き出せます。
また、ビジネス上の課題を論理的思考で導くことも大切です。データサイエンティストの業務は、データや数字とひたすら向き合わなければならないため、数字が苦手な人には厳しい仕事でしょう。
データサイエンティストの業務は、膨大なデータを処理する作業が多いため、地道な作業をコツコツと続けることが苦ではない人に向いています。ビッグデータにはノイズも多数あり、正しい分析結果を得るには、ノイズ処理もしなくてはいけません。
さらに、分析したデータは資料にまとめ、データサイエンスに詳しくない人にも分かるよう可視化します。このような地道な作業の連続であるため、根気強さや忍耐力も大切です。
課題解決に向けてさまざまな仮説を立てて検証し、データの分析や評価するのがデータサイエンティストです。「膨大なデータの中でも必要な情報はどれだろう」「データを有効活用するにはどうしたらよいだろう」と、常に考えながら仕事をしなくてはなりません。そのため、試行錯誤して改善に努めるのが好きな人に向いています。
最終的にはビジネスで利益につなげるため、多角的に捉える思考力や試行錯誤する能力を生かして、データに基づいた最善手を打つことが必要です。
データサイエンティストを目指す方は、必要なスキルや知識を把握したほうがよいでしょう。データサイエンティストに求められるのは、データを分析してビジネスの戦略をサポートすることです。そのために身につけておきたいスキルや知識を4つ紹介します。
データサイエンティストはビジネス価値のあるデータを収集し、分析する仕事です。したがって、ビジネスに関連性のあるデータや課題解決につながるデータを見つけ出すにはビジネスに関する知識が求められます。
また、ビジネスの知識がないと企業が抱えている課題抽出もできません。マーケティングや企画部出身者であれば、ビジネススキルは高いでしょう。ビジネススキルに自信がなければ、スクールや書籍で学ぶとよいでしょう。
データサイエンティストはデータの収集や分析が主な業務で、分析や統計学に関する専門的な知識が必要です。特に、ビジネスで活用できるデータの収集や不適切な情報の処理に関しては、知識が必須といえるでしょう。
また、数理モデルや統計モデルを扱うため、数学や統計学の知識が深ければ、さまざまな検証モデルの長所や短所も知れます。分析に必要なデータ収集ツールや分析ツールを扱えるスキルも必要です。
データサイエンティストはプログラミング言語である「Python」や「R言語」を扱うのが主流であるため、プログラミングの知識が必要です。高いプログラミング能力があれば、データの集計や解析作業がスムーズになります。
R言語は専門性が高く優秀な言語で、Pythonはプログラミング初心者でも扱いやすいのが特徴です。特にシェア率の高い2つの言語のうち、プログラミング初心者はPythonから学ぶとよいでしょう。
データ分析に関する課題や要望を他部門やクライアントからヒアリングする機会が多く、データサイエンスに詳しくない人にも、分析結果や調査プロセスを分かりやすく説明しなければなりません。そのため、コミュニケーション能力が大切です。
コミュニケーション能力が高ければ、スムーズに話が進みます。結果だけでなく、メリットや情報を伝えるのも、データサイエンティストの業務です。
データサイエンティストへの転職を成功させるには、仕事に関連のある資格を取得するとよいでしょう。特に、機械学習やAI、プログラミング言語に関する資格がおすすめです。ここでは、データサイエンティストへの転職に役立つ資格を紹介します。
一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する検定試験です。G検定を取得することで、ディープラーニングの知識をビジネスで活用する能力が身につけられます。
ディープラーニングとは深層学習のことで、自動運転や医療研究で活用される機械学習のひとつです。E資格も同様に、ディープラーニングの知識を有するものに与えられます。E資格は、実装スキルを求めるエンジニア向けの資格です。
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主催する試験です。2020年に設立された比較的新しい資格で、プログラミング言語であるPythonの専門知識を有することを証明できます。Pythonの扱い方だけでなく、数学や統計も学べるのがメリットです。
ただし、Pythonの扱いに慣れていない方や勉強し始めたばかりの人にとってはハードルが高い試験です。まずは、Python3エンジニア認定基礎試験から挑戦するとよいでしょう。
一般財団法人統計質保証推進協会が主催する検定試験です。統計に関する基礎的な知識から実際に活用する能力まで幅広く学べます。統計学はデータ分析結果をビジネスで活用する際に重要な知識であるため、理解を深めたい方におすすめの資格です。
統計検定は1級から4級まであり、それぞれ難易度や学べる内容が異なります。また、統計調査士・専門統計調査士・データサイエンス基礎など、ほかにもさまざまな統計検定があります。自分の目的や知識レベルに応じて選ぶとよいでしょう。
IPA独立行政法人情報処理推進機構が主催する国家試験です。情報システムを構築・運用する技術者や利用する人といったITに関わる人材向けの試験で、目的や難易度によって12の試験に分かれています。IT系の資格で唯一の国家資格であるため、取得すると評価も高いでしょう。
資格を取得することで、情報技術や情報システムの知識、データベースの設計・開発・運用が学べます。経営戦略やプロジェクトマネジメントといった業務で生かせるビジネススキルを習得できるのもポイントです。
公益社団法人日本アクチュアリー会が主催する試験です。保険業界や金融業界で人気のある資格ですが、第1次試験で出題される統計や確率といった数学は、データサイエンティストにも求められます。
また、アクチュアリーの専門領域は保険ですが、保険数理や確率統計といった数学的なベースはデータサイエンティストと共通点があります。試験には第1次試験と第2次試験があり、非常に難易度の高い試験です。受験資格として一定の学歴が必要である点にも注意しましょう。
膨大なデータが溢れる情報化社会において、データサイエンティストの需要は高まっています。学校で学んだり経験を積んだりすることで、プログラミング言語や統計学の知識を身につけて、しっかりと準備しましょう。
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