更新日:2025/01/28
この記事のまとめ
近年、IT業界で活躍する女性プログラマーが増えています。実際に働く女性プログラマーたちがどのような課題に直面し、どう乗り越えているか気になる人もいるのではないでしょうか。
本記事では、女性プログラマーの増加の背景から平均年収、現場での悩みまでリアルな実態に迫ります。これから IT 業界を目指す女性にとって貴重な情報となるため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
IT業界における女性プログラマーの活躍は着実に広がりを見せており、働きやすい環境も整備されつつあります。IT人材不足による採用方針の変化も主な要因のひとつです。ここでは、女性プログラマーが増加した背景と平均年収について詳しく解説します。
近年、IT業界では女性プログラマーが着実に増加しています。総務省の労働力調査によると、2023年に情報サービス業に従事する女性の人口は49万人です。10年前の2013年は27万人で、2倍近くに伸びていることが分かるでしょう。
この背景には、以下のような複数の社会的要因が存在します。
また、プログラマーという職種は成果物の質で評価されるため、性別による不公平が生じにくい仕事です。リモートワークやフレックスタイム制といった柔軟な働き方も可能で、ライフイベントとの両立を目指す女性にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。
厚生労働省による令和5年賃金構造基本統計調査によると、プログラマー全体の平均年収は557万6,000円です。ただし、男女間で大きな差が見られ、男性は584万6,100円、女性は457万7,300円と、約127万円の開きがあります。
この差の主な要因は、勤続年数の違いにあるといえるでしょう。同調査によると、情報通信業に従事する男性の平均勤続年数が13年であるのに対し、女性は9年です。プログラミング業界では経験年数に応じて給与が上昇する傾向が強く、長期勤務により管理職への昇進機会も増えます。
ただし、近年は女性の長期就業を支援する制度が充実し、産休・育休後の復職支援も整備されつつあります。実力主義の評価体系が浸透している企業も増加しており、性別に関係なくキャリアを築ける環境です。
「女性は文系だからプログラマーになるのは難しい」という印象を持つ人もいるかもしれませんが、実際には多くの女性プログラマーが活躍しています。プログラマーは需要も将来性もある職業です。ここでは、女性がキャリアチェンジを考える際、プログラマーが選択肢のひとつになる理由を解説します。
さまざまな産業でデジタル化が進む昨今、欠かせない人材がプログラマーです。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発行する「IPA DX白書2023」によると、日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みは、まだまだ世界に遅れを取っています。その理由のひとつが人材不足です。
同調査によると、DX戦略に必要な人材について、日本企業の83.5%が「やや不足している」または「大幅に不足している」と回答しています。プログラマーに絞っても、65.1%が「やや不足している」または「大幅に不足している」という結果です。また、いずれの数値も2年前の同調査に比べて増えています。
未経験採用をはじめ、多くのプログラマー求人があるのも納得できるでしょう。この傾向は当分続く見通しで、男女を問わず、新たなプログラマーが必要とされています。
IT業界は学歴や性別よりもスキルや実績を重視する傾向があります。女性でもスキルを身につけ、実績を積み上げれば、男性と同じように評価されるでしょう。
文系・理系という枠も絶対ではありません。理系で学ぶと、プログラミングに必要な論理的思考力が鍛えられることが利点です。一方、文系ではプログラマーに欠かせない読解力やコミュニケーション能力が身につきます。「女性」で「文系」はプログラマーに向いていないという偏見は、払拭されつつあるといえるでしょう。
プログラマーの業務内容は、クライアントや取り扱うデータの種類によって異なります。業務によっては、必ずしもオフィスに出社する必要はありません。在宅ワークやフレックスタイムといった柔軟な働き方を取り入れる企業が多いのはそのためです。
フリーランスという選択肢もあります。企業に所属しなければ、仕事の時間や場所を自由にアレンジできるケースが多く、子育てや介護との両立も不可能ではありません。
女性の場合、結婚や出産のようなライフステージの変化に伴い、それまで積み上げてきたキャリアを諦めざるを得ないケースもあります。プログラマーは、スキルを磨いていれば復職しやすく、ライフスタイルに合った働き方が見つかるでしょう。
世界初のプログラマーとして知られているのは、エイダ・ラブレスという英国人女性です。史上初のアルコリズムを開発し、コンピューターの発展に大きく寄与しました。このことからも、女性でもプログラマーを目指せるといえるでしょう。
プログラマーに必要な資質は、「根気」「集中力」「体力」といわれます。根気や集中力が求められる細かな作業が得意な女性は少なくありません。プログラマーに必要な資質や興味・関心があれば、女性でもクオリティの高いプログラマーになれます。
女性でもプログラマーを目指せますが、誰でもなれるわけではありません。プログラマーの資質やスキルの習得、採用につなげる工夫が必要です。ここでは、未経験から女性プログラマーを目指す前に知っておきたい道筋について解説します。
プログラマーには向き・不向きがあります。プログラマーになるには時間も労力も必要なため、まずは自分が向いているかどうかを見極めることが重要です。向いていれば次のステップに進めますし、向いていないと感じるのであれば、ほかのキャリアを検討したほうがよいかもしれません。多くのプログラマーに共通する素養は以下のとおりです。
プログラマーの業務に必要不可欠なのが、プログラミング言語です。プログラマーを目指すことに決めたのであれば、プログラミング言語の勉強を始めましょう。プログラミング言語はそれぞれ特長や用途が異なります。関わりたい分野に必要な言語を見極め、身につけるとよいでしょう。初心者におすすめのプログラミング言語は以下のとおりです。
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資格がなくてもプログラマーにはなれます。しかし、資格があると自分のスキルレベルを証明できるため、転職では有利です。採用する企業やクライアントも、任せられる仕事の種類を判断できるでしょう。企業が重視する資格をリサーチすることで、自分自身の能力を最大限発揮できる職場を見つけやすくなります。
IT関連の資格にはさまざまなものがありますが、未経験からのキャリアチェンジを目指すなら、ITパスポート試験やC言語プログラミング能力認定試験、基本情報技術者試験がおすすめです。
プログラマーの働き方は企業によって大きく異なります。使用する言語やプロジェクトの進め方も違うため、自分に合った転職先をしっかりと吟味することが重要です。ITスキルだけでなく、前職で培った能力や経験が評価されることもあり、企業とのマッチングが転職の結果を大きく左右します。
転職先選びに悩んでいる人は、転職エージェントの利用を検討してもよいでしょう。転職エージェントは、求人サイトにある求人情報のほかに、転職エージェントのみが取り扱う非公開求人も保有しています。企業のタイプや求める人材も把握しているため、自分に合った転職先を見つける近道です。
プログラマーとして働くうえで、女性特有の課題に直面することがあります。特に、男性が多い職場環境での人間関係やハードワークが求められる業務特性は、転職の際に検討したい重要なポイントです。ここでは、IT業界における男女比率や仕事のハードさなど、女性プログラマーが実際に経験する課題を紹介します。
総務省の労働力調査によると、2023年に情報サービス業に従事する女性は49万人です。男女合わせた総数192万人の約25%で、男性が圧倒的多数を占めています。このような環境では、女性特有の悩みを相談できる同性の先輩や同僚が少なく、キャリアの相談がしづらい状況に直面することもあるでしょう。
また、女性のロールモデルが身近にいないため、結婚や出産後のキャリアプランを具体的にイメージすることが困難です。このため、女性プログラマーの中には、将来のキャリアパスに不安を感じる方も少なくありません。
ただし、2013年の同調査では女性の割合が21.6%でした。近年は女性の割合も増えており、将来的にも増加することが期待されます。
プログラマーの仕事は、急な仕様変更やタイトなスケジュールへの対応が求められ、体力的な負担が大きい職種です。実際の残業時間は企業によって異なりますが、予期せぬバグ対応や顧客からの緊急の要望により、計画的な働き方が難しい側面もあります。案件の繁忙期には残業時間が長くなるケースもあり、体力面で不安を感じる女性プログラマーも少なくありません。
ただし、グループ会社のシステム部門や自社製品開発に携わる場合、比較的残業が少なく、計画的な働き方が可能です。転職の際は、残業時間や休日出勤の頻度、フレックスタイム制度の有無など、具体的な労働条件を確認するとよいでしょう。
女性プログラマーとして気持ちよく働くには、自分に合った企業を見つける必要があります。IT業界は学歴や性別にこだわらない先進的な部分がある一方、職場環境は企業の考え方によって異なるのが現状です。ここでは、女性に対して理解がある働きやすい転職先を見分けるために、求人情報を見る際にチェックしたいポイントを紹介します。
ワークライフバランスを考えるうえで、労働時間と休日のチェックは欠かせません。プログラマーの基本的な勤務シフトは、多くの企業同様、土日祝日休みの完全週休2日が一般的です。中には、フレックス勤務や時短勤務といった制度を導入する企業も増えています。
ただし、納期前には休日出勤、部署によっては深夜シフトが発生するケースもあるため注意しましょう。残業した時間が給料に反映されないと、モチベーションが下がり、続けられなくなるかもしれません。ライフスタイルや目指すキャリアを検討したうえで、労働時間や休日が自分の希望に合っているかきちんとチェックする必要があります。
女性は結婚や出産、子育てにより働き方が大きく変わる可能性があります。女性雇用が増えているとはいえ、ライフステージが変化しても働き続けられるかどうかは、企業の体質や上司の考え方に大きく左右されるのが実状です。理解度の高い企業に転職できれば、安心してキャリアを積み上げられるでしょう。
「出産・育児に伴う育児休業や所定労働の制限といった制度が整備されているか」「その制度を利用した人が実際にいるのか」といった点を事前に調べておいたほうがよいかもしれません。
女性の管理職就任比率が高いことは、女性が働きやすい企業であるという判断の指標です。IT業界は実力主義とはいえ、いまだに男女で待遇を変える企業もあります。女性でもしっかりと評価される職場であれば、やりがいをもって働けるでしょう。
また、管理職に女性がいることで、企業全体の女性に対する理解も深まります。女性にとって居心地のよい職場環境を作るうえで、現実的な取り組みが期待できるでしょう。
未経験求人の中には、研修制度のある企業も少なくありません。プログラマーへの転職を目指す女性にとってありがたい取り組みである反面、注意も必要です。中には、ほとんど形だけの研修を1日行い、その後は実力以上の仕事を押しつけるような企業もあります。数年後に実力を発揮できるプログラマーを育てるべく、しっかりとした研修制度を取り入れている企業とは大きな違いです。
求人サイトのみで内情を把握するのは難しいケースもあるため、慎重にリサーチしなければなりません。求人企業の内情にも通じている転職エージェントを利用すれば、このような不安は解消されます。
プログラミング業界では、性別に関係なく実力で評価される環境が整いつつあります。女性プログラマーのキャリアパスは、技術力を活かしたスペシャリストやチームを率いるマネジメント職、柔軟な働き方が可能なフリーランスなど、多様な選択肢が用意されています。ここでは、女性プログラマーの長期的なキャリア展望について見てみましょう。
プログラマーのキャリアパスには大きく3つの選択肢があります。ひとつ目は、技術力を磨いてスペシャリストを目指す道です。特定の言語やフレームワークに特化したエキスパートとして、高度な開発案件を担当できます。
2つ目は、マネジメント職への昇進です。プロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーとしてチームを統括する立場を目指します。プログラミングスキルに加え、リーダーシップやコミュニケーション能力が重要です。3つ目は、フリーランスとして独立する選択肢です。時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が可能で、育児や介護との両立も視野に入れやすくなります。
どの道を選ぶにしても、IT業界では技術革新が速いため、継続的な学習が不可欠です。常に最新の知識とスキルを習得することが、長期的なキャリア形成の鍵といえるでしょう。
プログラミング技術の向上には、体系的な学習アプローチが重要です。まずは、参考書やオンライン教材で基礎知識を固め、実際にコードを書く実践的な経験を積むのが効果的です。特に、技術コミュニティへの参加は貴重な学習機会となります。勉強会やハンズオンセミナーでは実践的なスキルを習得できるだけでなく、同じ立場の仲間との情報交換も可能です。
学んだ内容は、ブログやSNSでアウトプットすることで知識の定着を図りましょう。さらに、個人開発プロジェクトに取り組むことで、設計から運用までの一連の流れを経験できます。経験豊富なメンターの指導を受けることも、効率的なスキルアップの方法です。プログラミングスクールやオンラインコミュニティを活用し、質の高いフィードバックが得られます。
未経験からプログラマーへのキャリアチェンジを考えているのであれば、正確な情報を取り入れ、現実的なステップを踏む必要があります。ポジティブな情報だけで判断すると、後悔することになりかねません。ネガティブな情報も受け止めて判断材料にしましょう。ここでは、女性がプログラマーへの転職を目指す際に疑問に感じる質問を3つ取り上げます。
A.40代、50代でプログラマーになる人はいます。ただし、簡単ではありません。事実、40歳を過ぎると、プログラマーになる人だけでなく続ける人も大きく減ります。主な理由は以下のとおりです。
スキルは習得できても転職先を見つけるのはかなり難しく、転職エージェントやコネを利用するといった工夫が必要です。
A.「プログラマー35歳定年説」とは、「プログラマーは35歳までしか働けない」という意味ではありません。「新しいことを学ばないプログラマーは、35歳になるころには仕事がなくなる」という意味です。
IT業界はスキルの移り変わりが激しいため、プログラマーになれたとしても勉強を続けなければ仕事についていけなくなるでしょう。一方、新たなスキルを身につける姿勢を貫けば、何歳になってもプログラマーとして働き続けられます。ライフステージが変わって一時的に現場を離れたとしても、腕1本で復職への道を切り開ける職種です。
A.プログラミング言語には、HTML・JavaScript・PHP・Ruby・C言語(C++)・C#・Pythonとさまざまな種類があります。すべての言語を習得するにはかなりの時間を要するため、学習する言語は絞らなければなりません。
プログラマーが携わるプロジェクトは多種多様です。Web上のホームページやスマートフォン向けのアプリケーションを構築するものもあれば、電子機器やネットワークサービスのシステムを構築するケースもあります。どのような分野のシステムやソフトウェア構築に携わりたいのかを考えたうえで、その業務に使える言語を選ぶとよいでしょう。
プログラマーのキャリアは技術力の向上とともに多様な可能性があり、将来性のある職種です。女性プログラマーは年々増加傾向で、活躍の場も拡大しています。しかし、キャリアチェンジを考える際は、キャリアパスや職場環境、待遇といったさまざまな不安要素があるのも事実です。
そのような不安を解消し、適切なキャリア選択をするには、プロフェッショナルのアドバイスを受けることが有効です。マイナビITエージェントではIT業界に精通したキャリアアドバイザーがあなたの希望や状況に合わせた転職プランを提案し、書類作成から面接対策、条件交渉まで一貫してサポートします。まずは気軽にご相談ください。
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