更新日:2024/04/17
この記事のまとめ
近年はさまざまなクラウドサービスが登場し、多くの企業や組織が自社にサーバーを持たずに新しいサービスを利用するようになってきました。そんなクラウド基盤を支えているのが、社内外のクラウドに関するインフラを担う「クラウドエンジニア」です。
この記事では、クラウドエンジニアの仕事内容や今後の展望、必要なスキルとおすすめの資格についてご紹介します。
目次
そもそもクラウドエンジニアとはどのような仕事を指すのでしょうか。まずはクラウドエンジニアの主な仕事内容について解説します。
クラウドエンジニアの主な仕事は、業務を円滑に行うためのインフラ設計です。クラウド環境上のサーバー設計・構築、ネットワークの整備など、インフラを担うことで現場をサポートするという意味では裏方に近い仕事といえますが、現場が滞りなく業務を続けるためには必要不可欠な仕事です。
クラウドエンジニアの仕事には、インフラ設計だけでなくクラウド環境そのものの構築も含まれます。近年では自社でサーバーを持ち運用するオンプレミスよりも仮想環境上に必要なリソースを割り当てクラウド環境を構築し運用するケースが増えているため、クラウドエンジニアの活躍の場はより増えてきているといえます。
設計・構築だけでなく、構築後の保守・運用もクラウドエンジニアの役割の一つです。クラウドエンジニアは「設計・構築・保守・運用など、クラウドに関する一連の業務を一手に引き受ける仕事」であるといえるでしょう。
サーバーやネットワークを構築するインフラ系のエンジニアとクラウドエンジニアは同じもののように捉えられることもありますが、厳密には少し違いがあります。サーバーエンジニアとネットワークエンジニアとの違いを見てみましょう。
サーバーエンジニアはオンプレミス環境で構築するサーバーのインフラ整備を担うため、サーバーそのものの配線や接続なども業務に含まれます。
一方のクラウドエンジニアは、クラウド環境上で動作するサーバーの設計・構築・運用・保守を担当するという違いがあります。
ネットワークエンジニアもサーバーエンジニアと同様、オンプレミス環境で構築するネットワークのインフラ整備を担います。
クラウドエンジニアはクラウド上のネットワークを設計・構築・運用・保守しますが、ネットワークエンジニアはサーバー同士を配線して接続するなどの業務も行います。また、ルーティングと呼ばれるネットワークの経路を設定する業務もネットワークエンジニアの仕事です。
クラウドエンジニアの年収は400万円〜800万円程度の水準に収まることが多いようです。ただし、年齢や能力、スキルによっても大きく変動するため、一概に「○○○万円」と言い切ることはできません。
なお、2019年に政府が発表した「賃金構造基本統計調査」によれば、システムエンジニアの月額平均賃金は38万円であり、単純に年額で計算すると456万円となります。年間賞与の112.9万円を加えると568.9万円となります。このことから、システムエンジニアよりもクラウドエンジニアのほうがやや年収が高いと推測されます。
クラウドエンジニアとして働くためにはどのようなスキルや知識が求められるのでしょうか。ここでは、特に重要な6つの要素をご紹介します。
クラウドエンジニアとして働くにあたっては、プロジェクト内で円滑に業務を進めるためのコミュニケーションスキルが必要になります。エンジニアは一人で成果物を完成させるのではなく、プロジェクト全体で協力し合って業務を行うため、メンバーと協働できることが必要不可欠です。
クラウドエンジニアは、さまざまな事態やシチュエーションを想定して多角的・論理的思考を繰り返しながら開発することが求められる仕事です。あらゆる可能性を否定することなく、「このような仕組みを作ったらどうなるだろう?」「このような操作が行われたらどのように動くだろう?」と疑問を持ちながら、実行・検証していく能力が必要です。
クラウドエンジニアはクラウドを扱う職種であることから、クラウドに関する知識を身につけることは避けられません。クラウド技術は年々発展し続けているため、常に学び続ける姿勢も重要です。
クラウド上で動作するサーバーやネットワークを扱うケースが多いため、サーバーやネットワークに関する詳しい知識も求められます。サーバーを専門とする場合やネットワークを専門とする場合、両方を扱う場合など、現場によって活用する知識はさまざまですが、自分に合ったスキルを身につけることが大切です。
ハードウェアとソフトウェアを仲介しプログラムを円滑に動作させるミドルウェアに関する知識や、サーバーなどの実機を指すオンプレミスに関する知識も必要です。「クラウドエンジニアなのだからクラウドに関する知識だけを学べば良い」というものではなく、幅広い知識を学ぶことが求められます。
現場によっては、AWSやAzure、GCPなどのクラウド基盤に関する知識も身につけておかなければなりません。使用している基盤は現場によって異なるため、必ずしもこれらすべての知識を習得しなければならないわけではありませんが、必要に応じて柔軟に学び取る姿勢が重要です。
クラウドエンジニアとして働くためには次のような資格を取得しておくことをおすすめします。
AWS認定ソリューションアーキテクトとは、Amazonが提供しているクラウド基盤「AWS」の知識やスキルを認定するための資格です。
全部で11の種目があり、それぞれ基礎レベル、アソシエイトレベル、プロフェッショナルレベルに分かれています。AWSを使った開発に携わりたいと考えている場合は取得しておくとよいでしょう。
Google Cloud認定資格は、Google社が提供しているクラウド基盤である「Google Cloud」のスキルや資格を認定するための資格です。
取得するとデジタルバッジと証明書が発行され、Google Cloudに関して十分な知識が身についていることを証明できます。Google Cloudを活用した開発現場で働きたい人におすすめの資格の一つです。
Microsoft Azure認定資格は、Microsoft社が提供しているクラウド基盤「Microsoft Azure」のスキルや資格を認定するための資格です。
全部で9種類の種目に分かれており、任意の種目を受験できます。Microsoft Azureを使った開発に携わりたいと考えている場合は、あらかじめ取得しておくと自身のスキルをアピールしやすくなります。
未経験からクラウドエンジニアとして働くことは不可能ではありませんが、専門学校に通って専門知識を身につけたり、企業が求めるスキルや知識を取得したりする必要があります。
クラウドエンジニアとして十分に活躍できるだけのスキルをもっていることを証明できる経歴や資格があれば、実務経験がなくても採用されることは可能です。
クラウドサービスを活用する企業は年々増加傾向にあり、今後も増えていくことが予想されています。総務省が取りまとめた「令和2年版情報通信白書」によれば、クラウドサービスを一部でも利用している企業は2015年には44.5%でしたが、2019年には64.7%にまで上昇しています。
クラウドの活用が増えるにしたがってクラウドエンジニアの需要も高まっていくと想定されるため、クラウドエンジニアはこれからも求められ続ける職種であるといえるでしょう。
サーバーやネットワークをはじめとしたインフラに携わるクラウドエンジニアは、これからの時代にさらに必要性が高まっていく職種です。
設計・構築・運用・保守と幅広い業務を行うクラウドエンジニアに未経験からチャレンジするためには、資格を取得するなどの方法で専門知識を身につけて、求職活動の際のアピール力を高めることが大切です。
ぜひこの記事を参考に、クラウドエンジニアとして何を身につけるべきかを知り、今後のチャレンジに活かしてください。
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