更新日:2023/10/18
この記事のまとめ
クラウドエンジニアは年収が高い職種といわれています。年収アップを目指して、未経験からクラウドエンジニアへのキャリアチェンジを考えている人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、クラウドエンジニアの年収事情と転職を成功させるコツを解説します。クラウドエンジニアの実情と転職を成功させるためのステップを理解することで、年収アップへの道筋を確実に組み立てていけるでしょう。
目次
クラウドエンジニアへの転職を考えるうえで気になるのは、やはり年収事情ではないでしょうか。そこでまずは、クラウドエンジニアの平均年収について解説します。自分の現状と比較し、クラウドエンジニアの年収に魅力を感じるのであれば前向きに転職準備を進めましょう。
クラウドエンジニアはインフラエンジニアの一種です。厚生労働省による職業分類ではITシステム設計技術者とされ、システムエンジニア(基盤システム)に含まれます。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、システムエンジニア(基盤システム)の平均年収は660万4,000円です。2022年における全産業平均年収が496万5,700円(厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」による)であるのと比較すると、高い年収を誇っていることが分かります。
クラウドエンジニアの求人情報を見てみても、下は320万円から上は1,000万円以上と幅はあるものの、全般的に高い年収傾向にあります。
クラウドエンジニアの年代別平均年収は以下の表のとおりです。
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出典:job tag(厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET))
クラウドエンジニアとしてのキャリアを積み重ねていくことで、着実に年収を上げられる様子がうかがえます。年収のピークは45歳~49歳の759万8,900円ですが、60歳を超えても高い年収を維持できる点が特徴です。クラウドエンジニアはまさに一生ものの仕事といえるでしょう。
クラウドエンジニアの年収は全産業平均よりも高い傾向にありますが、地域によって多少の差異が生じる点は押さえておく必要があります。
一例として、東北地方の各県におけるクラウドエンジニアの平均年収を比較してみましょう。最も平均年収の高い青森県では759万円なのに対し、最も低い岩手県は471万円と、その差は288万円にもおよびます。クラウドエンジニアへ転職して年収アップを実現するためには、県をまたぐことも選択肢のひとつとして検討する余地はあるでしょう。
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出典:job tag(厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET))
クラウドエンジニアの年収は比較的高い傾向にありますが、それには確固たる理由が存在します。これから年収アップのためにクラウドエンジニアを目指すのであれば、なぜ年収が高いのかをしっかりと把握しておきましょう。ここでは、クラウドエンジニアの年収が高い理由を3つ解説します。
クラウドエンジニアはインフラエンジニアの一職種として分類されます。インフラエンジニアはネットワークやサーバーといったIT基盤を設計・構築し、安定稼働を続けられるようにサポートする専門職です。民間企業から官公庁にいたるまで、幅広くITが導入されている現代社会においてなくてはならない職種といえるでしょう。
ITインフラの安定稼働に欠かせない職種であるため、高い給与を支払ってでも雇いたいと考える企業は少なくありません。これがクラウドエンジニアの年収が高い理由のひとつです。
クラウドエンジニアはインフラエンジニアではあるものの、クラウドサービスに関する専門知識やプログラミングスキルなど他のインフラエンジニア職種よりもさらに幅広い知識が必要とされます。クラウドのことだけ分かっていればよいわけではありません。インフラエンジニアとしての経験も必要です。業務に従事する際に求められる知識やスキルの幅が広い分、年収も高くなる傾向にあります。
インフラエンジニアの一職種であるサーバーエンジニアやネットワークエンジニアから、さらなる年収アップを目指してクラウドエンジニアへキャリアチェンジする人も少なくありません。
IT基盤の運用には、オンプレミスとクラウドという2つの方法があります。サーバー機器をはじめとするハードウェア、業務用アプリケーションなどのソフトウェアを自社施設内に設置・運用するオンプレミスは、初期費用や運用費が高いというネックがありました。
その点、インターネット経由でサーバーやストレージ、アプリケーションソフトウェアを利用できるクラウドは初期費用がほとんどかからず、かつ導入までのスピードも早いため、新たなITシステムはクラウドで構築する企業が増えています。
実際、総務省が行った「令和4年通信利用動向調査」によると、クラウドを利用する企業は全体の70%を超えています。いまや企業にとって、クラウドエンジニアの存在は欠かせません。需要の高さが、高年収につながっています。
クラウドエンジニアを目指すにあたり、需要がどの程度あるのか、今後どうなっていくのかといった点は気になるところでしょう。ここでは、クラウドエンジニアの現状や将来性について考察します。
オンプレミスからクラウドへのIT移行が進む中、クラウドエンジニアの求人も増えています。求人は、コンピューターメーカーやシステム開発会社といったITインフラを提供する企業にとどまりません。ユーザー企業においても、クラウド利用を最優先に考える「クラウドファースト」やクラウドの利点を最大限活用する「クラウドネイティブ」の浸透に伴い、クラウドエンジニアを自社で雇用するケースも少なくありません。
クラウドエンジニアは、現状において需要の高い職種といえるでしょう。
IT技術の進展が目覚ましいこと、DX推進に取り組む企業が多いことなどから、IT人材は長く不足の状態が続いています。2030年までIT人材の不足は拡大し続け、最大で約79万人のIT人材が不足するという試算もあります。
ITインフラに関連するクラウド技術はますます進歩しています。ITシステムの基幹部分はもとより、「コンテナ」「マイクロサービス」「宣言型API」といった先進技術が、アプリケーションソフトのクラウド化も可能にしました。
クラウドとオンプレミスを併用する「ハイブリッドクラウド」、新たなシステムをクラウドで構築する「クラウドファースト」、すでにあるオンプレミスのシステムをクラウドに変える「オールインクラウド」など、導入スタイルも多岐にわたります。
クラウドを取り巻く環境の変化は将来的にも続いていくと考えられるため、新しい技術や知識の習得に余念のないクラウドエンジニアの市場価値はさらに高まるでしょう。
未経験からクラウドエンジニアへ転職するのは簡単ではありません。転職を成功させるためにも、事前にポイントを押さえたうえで効率よく転職活動を進めましょう。ここでは、未経験からクラウドエンジニアを目指す方が押さえておきたいポイントを3つ解説します。
クラウドエンジニアは、インフラエンジニアとしての知識やスキルが身についていることを前提とした職種です。クラウド関連の知識やスキルだけでは業務をこなせません。たとえば、クラウドエンジニアの仕事の中にオンプレミスで使っていたデータをクラウド環境に移す業務があります。この業務を進めるには、オンプレミスの知識とクラウドの知識の両方が必要です。
ITエンジニア未経験者の場合は、まずサーバーエンジニアやネットワークエンジニアなどほかのインフラエンジニア職を目指しましょう。インフラエンジニアとしての実務経験を積みながら知識やスキルを習得することで、クラウドエンジニアを目指せるようになります。
ITインフラの基本が分かってきたら、クラウドエンジニアに必要不可欠なクラウド関連のスキルを磨いていきましょう。クラウドエンジニアには、「AWS(Amazon Web Services)」「Microsoft Azure」「GCP(Google Cloud Platform)」といった各クラウドサービスに関する知識と、それぞれの特徴を理解したうえで選定して使いこなすスキルが必要です。
各ベンダーが提供している学習情報や無料の試用版を使って独学するのもよいでしょう。プログラミングスクールやオンラインの学習サイトなどを利用する方法もあります。
クラウドエンジニアにはプログラミングスキルも必要です。そのため、プログラマーからクラウドエンジニアにキャリアチェンジする人もいます。学習しておきたいプログラミング言語には、Python、Ruby、Javaなどがあります。プログラミングスキルを習得しておけば業務を効率化できるほか、クラウドアプリケーションの開発に参加するなど幅広く活躍できるようになるでしょう。
クラウドエンジニアのキャリアパスには以下のようなものがあります。
プロジェクトマネージャーとクラウドコンサルタントはマネジメント分野でのキャリアパスです。技術職であるクラウドエンジニアのスペシャリストとしては以下のようなキャリアパスが考えられます。
インフラ全般の開発に参加するインフラエンジニアには、クラウドエンジニア、サーバーエンジニア、ネットワークエンジニアなど広義なITエンジニア職が含まれます。フルスタックエンジニアとは、設計・開発・運用などすべての作業を担当でき、参加可能な開発分野も多い万能なITエンジニアのことです。クラウドエンジニアのスキルだけでなく、プログラミングスキルなども必要になってくるでしょう。
クラウドエンジニアへの転職で年収アップを実現するには、選考対策が欠かせません。転職を成功に導くためにも、スキルアップに励んだり、自分のキャリアを効果的にアピールできるポートフォリオを作成したりなどの準備を徹底しましょう。ここでは、クラウドエンジニアへの転職を目指す際に押さえておきたい3つのコツを紹介します。
クラウドエンジニアになるうえで必要な資格はありません。しかし、関連資格を取得してスキルレベルをアピールできれば、評価が上がり年収アップにつながります。より高年収を提示する企業への転職を目指す際のアピール材料にもなるでしょう。おすすめは以下のような資格です。
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すでにクラウドエンジニアとして経験を積んだ人が年収アップを目指して転職する場合には、実績や自分の持つスキルを証明するためにポートフォリオを作成しましょう。これまでに関わったプロジェクトや開発したインフラをまとめると自分のスキルレベルを示せるだけでなく、企業側に採用後のイメージを与えられて高評価につながりやすくなります。
ポートフォリオの作成を通じて、自分の強みをいま一度見直せる点もメリットです。ポートフォリオを作成する際は、具体的な数字を用いて実績を示すと説得力が増します。
クラウドエンジニアへの転職に際して転職エージェントを活用するのも有効です。転職エージェントに登録すると、担当のキャリアアドバイザーがこれまでに培ってきた経験やスキルを活かせる企業を紹介してくれるため、転職後のミスマッチを防げます。また、自身に代わって年収交渉も行ってくれるので、年収アップを実現しやすい点もポイントです。
クラウドエンジニアは専門性の高い職種であるため、転職エージェントを選ぶ際にはIT業界に特化しているかどうかに着目しましょう。マイナビITエージェントには、IT業界に精通しているキャリアアドバイザーが在籍しています。クラウドエンジニアへ転職して年収アップを実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
クラウドエンジニアは年収が高めの職種ですが、その分、インフラエンジニア関連の幅広い知識やクラウドに特化した専門スキルなどが求められます。未経験からクラウドエンジニアを目指す場合には、インフラエンジニアの他職種で実務経験を積みながら、クラウドエンジニアに必要な知識やスキルを学習していくとよいでしょう。
クラウドエンジニアへの転職を考えている方は、マイナビITエージェントをぜひご利用ください。IT・Web業界に詳しいキャリアアドバイザーが、あなたの強みを活かせる転職先をご紹介します。マイナビITエージェントを活用し、年収アップを実現させましょう。
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