更新日:2023/05/10
この記事のまとめ
ITエンジニアとして働く中でクラウドの有用性に気づき、クラウドエンジニアを目指そうと考えている方もいるでしょう。しかし、実際にクラウドエンジニアを目指すにはどのようにスキルアップすればよいのかが分からないと感じている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ITエンジニアの経験を活かしてクラウドエンジニアに転職する際のロードマップを紹介します。スキルや経験を活かしてキャリアアップするためにも、転職活動を始める前にチェックしておきましょう。
目次
なぜクラウドエンジニアの将来性が高いといわれているのか、その理由を詳しく解説します。本当にクラウドエンジニアを目指してもよいのか迷っている方は、ここで紹介する3つの情報を踏まえて総合的に判断することをおすすめします。全体的な傾向として、多くの分野でクラウドの活用が進んでいることを覚えておきましょう。
かつては、業務用のシステムを構築するときには自社内にサーバーを設置して運用する形が一般的でした。しかし、近年はサーバーやデータベースといった必要なリソースを提供するクラウドサービスを活用するケースが増えています。
新たにクラウド上にシステムを構築するだけではなく、オンプレミスで稼働していたシステムをクラウド化する流れもあるのが特徴です。今後もクラウドが広く普及していくと予想されており、クラウドに関する専門的なスキルや知識を有しているクラウドエンジニアの需要はますます高まるでしょう。
すでに市場に出回っているクラウドツールを業務に活用するケースもあります。自社で独自のシステムを構築する方法に比べて時間やコストを削減できるメリットがあり、多くの企業で用いられている方法です。具体的なシステムには以下のようなものがあります。
クラウドを活用したシステムを開発する企業にとって、クラウドエンジニアの存在は欠かせません。クラウド関連のスキルを高めれば、さまざまなシステムの開発に携われます。
日本は、政府機関におけるシステム運用の基本方針として「クラウド・バイ・デフォルト原則」を掲げています。これはICTシステムの整備において、クラウドを最優先で利用するという方針です。基本的にクラウドを活用し、足りない部分をオンプレミスで補うといった考え方をイメージすると分かりやすいでしょう。
クラウド・バイ・デフォルト原則を掲げてデジタル化を進めるには、クラウドに関する十分なスキルを有したクラウドエンジニアが不可欠です。
ここからは、現在さまざまな分野でITエンジニアとして活躍している方がクラウドエンジニアへ転職するときのロードマップを詳しく解説します。それぞれの段階で何を考え、どのように行動すればよいのかを見ていきましょう。クラウドエンジニアへの転職を成功させるには、計画を立ててスキルアップに励みつつ自分に合った転職先を探すことが大切です。
職種を問わず転職を検討するときには、早めにキャリアの方向性を定めることが大切です。クラウドエンジニアのキャリアパスを大きく分けると、以下の3種類があります。
常に最新技術を活用して開発に携わりたいのであれば、エンジニア職を目指すとよいでしょう。要件定義や設計をはじめとした上流工程に携わりたい方にはマネジメント職がおすすめです。自分がどの分野で活躍したいのかを考えることで、どのようなスキルを優先的に学べばよいのかが明らかとなります。
現職を含めて、ITエンジニア職の経験を積むことも大切です。ITエンジニアとしての経験や習得したスキルは、クラウドエンジニアへの転職でも高く評価されます。企画や設計をはじめとした上流工程を担当した経験があれば、さらに好印象を与えられるでしょう。
多くの経験を積むためにも、積極的にさまざまなプロジェクトへ参加することをおすすめします。クラウドサービスを活用するプロジェクトの経験があれば、転職後の大きな武器となるでしょう。
クラウドエンジニアとして活躍するには、専門的なスキルが求められます。これまでのITエンジニア経験を通じて培ったスキルだけでは不十分な可能性があるため、より高度なスキルや新たなスキルを習得するように努力するとよいでしょう。
クラウドエンジニアには、プログラミングをはじめとした基本的なスキルに加えてクラウドサービスを使用するスキルが求められます。
ITエンジニアとしての経験を積んで必要なスキルを習得したら、実際に転職する段階に進みます。転職では自分の経験やスキルを効果的にアピールするため、スキルマップやポートフォリオを制作する形が一般的です。
スキルマップは、習得したスキルや経験、具体的に担当したプロジェクトと自分が携わった部分などを明記した資料です。選考時にスキルマップを提出することで、企業側の採用担当者が自社で求めているスキルを保有した人材かどうかを判断しやすくなります。
ポートフォリオは、実際の成果物をまとめた資料です。制作物を示すことでスキルレベルをより明確にアピールできます。スキルマップと併せて提示すれば、さらに効果的です。
転職先は、自分が有しているスキルを存分に発揮できるところを探しましょう。自分が望むキャリアプランを実現できるかを確認することも大切です。企業側が求めているスキルと自分が有しているスキル、用意されているキャリアパスと自分が望むキャリアプランにミスマッチがあると、転職失敗につながりかねません。
自分だけで転職先を探すのが難しいと感じているのであれば、IT業界に特化した転職サービスを活用するとよいでしょう。転職のプロに相談することで、自分に合った企業を探しやすくなります。
転職を目的としてスキルを習得するときは、目指している分野でどのようなスキルが求められているのかを正しく理解してから学習することが大切です。ここからは、クラウドエンジニアとして活躍するうえで求められる4つのスキルを解説します。すでに習得しているスキルを伸ばしつつ、不足している部分の強化を意識しましょう。
クラウドエンジニアはITエンジニアに含まれる職種であるため、ITに関する多分野の知識が求められます。具体的な分野は以下のとおりです。
クラウド上のハードウェアはベンダーが用意するため、ハードウェアの知識・スキルはあまり関係ないと思う方もいるでしょう。しかし、必要なリソースを見積もったりスペックを考えたりするときにはハードウェア関連の知識が求められます。オンプレミスとクラウドを併用するケースもあるため、そのようなプロジェクトに携わるときにも必要といえるでしょう。
上記の分野はいずれも重要なため、継続的に学習して最新の技術や開発トレンドを逃さないようにすることが大切です。
開発に使用するクラウドサービスに関する知識も欠かせません。2023年時点において、主流のクラウドサービスは以下の3つです。
それぞれに強みや得意な分野があり、携わるプロジェクトによってどれを使用するかは異なります。いずれも有名なクラウドサービスであるため、よく使用されるプラットフォームから優先的に学ぶのがおすすめです。
システム開発にはプログラミングが欠かせません。ITエンジニアとして基本的なスキルのひとつであるため、クラウドを使用した開発で頻繁に使用するプログラミング言語をマスターしましょう。クラウド業界で一般的に使われているプログラミング言語には以下のものがあります。
言語ごとに学習用の書籍やWebサイトがあるため、それらを活用して学ぶのがおすすめです。すでに習得している言語と近いものから学べば、より効率的に学習できるでしょう。
クラウドエンジニアは技術職ですが、業務をスムーズに進めるためにはポータブルスキルを身につける必要があります。ポータブルスキルは職種を問わず必要とされるスキルの総称で、含まれる具体的なスキルは以下のとおりです。
プロジェクトはほかのエンジニアやディレクターと協力して業務に取り組む機会が多いため、ポータブルスキルが欠かせません。
世の中には、クラウドエンジニアと混同しやすい職種がいくつかあります。自分が目指す職種が何かを正しく理解するためにも、それぞれのエンジニアがどのような仕事に携わるのかをチェックしておきましょう。
今回はクラウドエンジニアと混同されやすい職種として、「サーバーエンジニア」「ネットワークエンジニア」「セキュリティエンジニア」の3職種を紹介します。基本的には、いずれもオンプレミスシステムに携わる職種です。
ICTシステムを動かすのに欠かせないサーバーに関する全般的な業務に携わるのがサーバーエンジニアです。主に以下の業務を担当します。
サーバーの構築から運用までの全体に携わる職といえるでしょう。上記の経験は、クラウドエンジニアとしてクラウドサーバーの構築に携わるときにも役立ちます。
スタンドアローンのシステムを除き、ほとんどのICTシステムはネットワークがなければ動作しません。そのため、システムの設計・開発ではネットワークエンジニアが以下の分野を担当します。
クラウドエンジニアが担当する業務の中には、ネットワークの設計業務も含まれます。ハードウェアの調達などは必要ありませんが、基本的なネットワーク設計を考えたりロードバランサを運用したりするときに経験を活かせるでしょう。
サイバー攻撃をはじめとした脅威からシステムを守る役割を担うのが、セキュリティエンジニアの役割です。システムにはDDoS攻撃や不正アクセス、SQLインジェクションをはじめとしたさまざまな攻撃を受けるリスクがあり、適切な対策を講じなければなりません。セキュリティエンジニアは、主に以下の業務に携わります。
クラウドを活用したシステムの場合、ハードウェアやクラウドサービスそのもののセキュリティ施策を講じるのはベンダーです。一方、クラウド上に構築するシステムのセキュリティに対しては、ユーザー側が責任を持ちます。セキュリティエンジニアとしての経験は、クラウドシステムの開発でも活かせるでしょう。
クラウドエンジニアへの転職を検討している方が抱きがちな質問とその答えを紹介します。クラウドエンジニアが自分にとって本当に向いている職なのかが判断できずに困っている方や、より有利に転職活動を進めたいと考えている方は必見です。これからスキルを習得して転職したいと考えている方は、あらかじめチェックしておくことをおすすめします。
転職後にクラウドエンジニアとしての経験を積み、十分なスキルを習得した先には以下のようなキャリアが開かれています。
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自分が技術系とマネジメント系のどちらを目指したいのかを考え、具体的な職種を絞り込みましょう。職種ごとに求められるスキルが異なるため、早めにキャリアプランを考えることでスキルアップの方向性が定まります。
学習目標のひとつとして資格取得を掲げようと考えているのであれば、ベンダー系資格を取得するとよいでしょう。ベンダー系資格とはクラウドベンダーが運営している資格制度で、具体的なものには以下があります。
自分が学習しているプラットフォームに合わせて取得する資格を選びましょう。
2023年時点で、世界シェア上位のクラウドサービスは以下の5つです。いずれもさまざまなプロジェクトで活用されています。
上記5つのクラウドサービスは世界中で展開されており、幅広く活用できるのが特徴です。特にAWS・Microsoft Azure・Google Cloudの3つは、多くのプロジェクトで用いられています。優先的に学ぶとよいでしょう。
さまざまなICTシステムでクラウドサービスが活用されており、クラウドエンジニアの需要が高まっています。AWSやMicrosoft Azure・Google Cloudをはじめとした主流のクラウドサービスを活用するスキルを習得すれば、さまざまなプロジェクトで活躍できるでしょう。
これからクラウドエンジニアを目指す方は、必要なスキルを習得したうえで自分のスキルを認めてくれる企業に転職することをおすすめします。
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