更新日:2024/04/04
「ビジネスの現場では必ずスーツを着る」という考え方は、古いものとなりつつあります。スーツ以外の服装での出社を認めている企業や、クールビズなどを採用する企業も増えていく中で、面接時の服装にも少しずつ変化が見られています。
とはいえ、かしこまった席では、今でもスーツの着用が基本とされていることに変わりはありません。特に企業からの指定がないときは、従来どおりスーツを着用するようにしましょう。
ここでは、面接時における男女別・ケース別の服装マナーをまとめました。
目次
「面接時の服装はスーツ」といっても、ただスーツを着てさえいれば良いわけではありません。面接では、服装や身だしなみを含め、人となりが総合的に判断されます。
特に、次の3つの基本ルールについては、転職面接時に限らず、入社後も常に意識しておくべきポイントです。社会の一員として、恥ずかしくない身だしなみを心掛けましょう。
スーツやシャツにしわがあったり、においがついてしまっていたりすると、採用担当者は、清潔ではない印象を持ってしまいます。
きれいではない服装で人に会うことは失礼にあたりますから、面接のときも清潔感のある格好でいるようにしましょう。
いくら上等なスーツでも、自分の体のサイズに合っていないとだらしなく見えてしまいます。
肩幅やウエスト、足周りなどをすっきりスマートに見せるためにも、スーツは自分の体に合った物を選びましょう。サイズがよくわからないときは、お店のスタッフに採寸してもらってください。
面接時の服装は、業界や職種を意識して選ぶことも大切です。アパレル関係のショップの店長を目指す場合と、金融系企業の管理職を目指す場合では、選ぶべきスーツも変わってきます。「その業界・職種にふさわしい服装」を考えて選ぶようにしてください。
また、新卒や第二新卒の場合を除き、リクルートスーツを着用して面接に行くのはおすすめできません。普段、会社に行くときにスーツを着ていない方も、リクルートスーツを引っ張り出してきて着ることは避け、社会人経験のある大人としてふさわしい服装で面接に挑みます。
ここからは、男性が面接に行く際に意識しておくべき8つの服装マナーをご紹介します。一つひとつについて、問題がないかチェックしていきましょう。
スーツは、黒、グレー、紺といった落ち着いた色合いの物を選びます。無地や目立たないストライプが入ったスーツがおすすめです。
チェックなどの柄が目立つスーツは、面接にはふさわしくありません。二つボタンか三つボタンかはどちらでも構いませんが、ダブルのスーツは避けてください。
なお、スーツのポケットには何も入れないようにしましょう。ポケットが膨らんでいると見た目が悪くなってしまいますので、持ち物は全てカバンにしまいます。
シャツは、ベーシックな形の白シャツが基本です。ピンクやグレーなどの色は避けてください。薄いブルーは清潔感があるため、選んでも構いません。
襟の先にボタンがついた「ボタンダウンシャツ」や襟元の色が違うシャツ、ワイドタイプの襟のシャツなどは、カジュアルな印象となります。業種によっては、選ばないほうが無難です。
袖口や襟元のボタンはきちんととめ、だらしない印象にならないようにします。スーツの袖からわずかにシャツの袖口が見える程度が適切なサイズです。
ワイシャツの下には、アンダーシャツを着用します。白いシャツを着た場合、アンダーシャツが透けてしまうことがあるので、色が出にくい白無地の物を選びます。
夏場は汗を吸ってくれる素材のアンダーシャツを選んでおくと安心です。
ネクタイは、ストライプや小紋柄といった無難なデザインの物にします。色は、差し色を選んでも問題ありません。
ただし、あまりにもビビッドな色合いの物や、派手な光沢のある素材の物、カジュアルなニット素材の物などは避けます。
靴は、黒か焦げ茶色の紐靴を選ぶのが基本です。爪先がとがった物やデザイン性が高い物は避けてください。
底がすり減っていたり、傷がついていたりする革靴は、見栄えが良くありません。面接の前に修理に出したり、磨いたりして手入れをしておきましょう。
靴下は基本的に黒の物をはきますが、スーツの色が紺やグレーの場合は、それに靴下を合わせても問題ありません。ただし、派手な柄や色の物は面接にふさわしくありません。
椅子に座ったときに肌が見えてしまう可能性が高いため、くるぶし丈の靴下も避けます。動いたときに見苦しくない靴下を選びましょう。
カバンは、黒など地味な色かつシンプルな形で、A4サイズが入るビジネスバッグを利用しましょう。面接中は足元に置くことになりますから、ある程度マチがあって自立する形の物がおすすめです。素材は、革製でもナイロン製でも問題ありません。
なお、リュックサックやトートバッグなどは、カジュアルなカバンですから面接では避けたほうが無難です。
髪が眉毛や耳を隠していると、どことなく暗い印象になってしまいます。短く切りそろえるか、ワックスなどで自然に流すようにしましょう。
ただし、ヘアセットはやりすぎると、かえって印象が悪くなってしまうおそれもあります。人からどう見られるかを意識してナチュラルなセットをするとともに、カラーリングをしている方は黒に染め直しておきましょう。
続いて、面接のときの女性の服装マナーについてご紹介します。代表的な9項目について、それぞれ見ていきましょう。
黒、グレー、紺といった落ち着いた色合いのスーツを選びます。上下セットアップになっていて、派手な柄が入っていない物を着用してください。スーツのボタンは二つボタンなら上のボタンのみ、三つボタンなら真ん中のボタンのみをとめます。
スカートは落ち着いた印象、パンツは活発な印象を与えることができるので、職種や自分の特性に応じて選びましょう。スカートの場合はひざ丈、パンツの場合はヒールの付け根にわずかにかかる程度の長さが基本です。
シャツは、白やオフホワイトなどの明るい色のブラウス、またはカットソーを着用します。ニットやハイネック、胸元が大きく開いた物、フリルなどの過度な装飾がついた物は避け、無難なデザインを選んでください。
ただし、黒や濃いグレーのスーツに白いワイシャツのような形のブラウスを合わせてしまうと、リクルートスーツのように見えてしまうことがあります。全体のバランスを見て、社会人経験のある大人らしいコーディネートを心掛けましょう。
ブラウスの下には、白、または肌色のキャミソールなどを着用します。キャミソールは汗を吸い、下着が透けるのを防いでくれますから、必ず着るようにしてください。
ブラウスの透け具合を確認するためにも、一度、家で着る予定のインナーとブラウスを合わせてみて、問題がないか確認しておくことをおすすめします。
靴は、3~5cm程度のヒールがある黒のパンプスが一般的です。ピンヒールの靴は、歩いた際に音が気になることがありますし、安定感も良くないため、太めのヒールを選んでください。
オープントゥの靴やエナメル素材の靴、大きな飾りがついた靴などは、ビジネスシーンにふさわしくないため避けるようにしてください。もちろん、スニーカーやブーツ、ミュールなども避けます。
女性のパンプスは、足に合っていないと靴擦れを起こしてしまったり、ストッキングの伝線を引き起こしたりすることが多いものです。
傷の入った靴や汚れた靴で面接に行くのはおすすめできませんが、下ろし立ての靴も避けたほうがいいでしょう。事前に外を歩いてみて、「かかとがぱかぱかと浮いてしまわないか」「足が痛まないか」といった点を確認しておいてください。
自然な肌色のストッキングを着用します。色が濃すぎたり、白すぎたりする物はおすすめできません。また、黒のストッキングやタイツも避けます。装飾のない、シンプルなストッキングを選んでください。
ストッキングは、ちょっとしたことで伝線したり、破けたりしてしまうことがあります。いざというときに慌てないためにも、予備を持っておきましょう。
A4サイズの書類が入るシンプルなデザインのカバンを選びます。大きくブランドロゴが入ったカバンや、派手な装飾がついたカバンは、ビジネスシーンにはふさわしくありません。
面接中は床に置くことになるため、自立するカバンがおすすめです。素材はナイロン・革、どちらも使えますが、トートバッグのようなカジュアルなカバンは避けます。
シンプルで小ぶりなネックレスやピアスであれば、面接の際につけても大丈夫です。結婚指輪もつけたままで問題ありません。華美な印象にならないように気を付けます。
髪を縛れる長さの方は、ひとつにまとめておいたほうが良いでしょう。長い髪が顔にかかると表情が見えづらくなりますし、髪をかき上げる仕草は、ビジネスシーンにふさわしいものではありません。
前髪も、眉にかからないように横に流してセットしておきます。ハードスプレーやワックスを使用して、きっちりとまとめるのがおすすめです。
メイクは、ナチュラルメイクを心掛け、派手な色使いは避けてください。反対に、普段は素顔で会社に行っている方も、面接のときは化粧をしたほうが無難です。顔色を明るく見せ、健康的な印象になる色使いを意識してください。
ネイルも派手なものは避け、何も塗らないか、クリア、ベージュ、薄いピンクといった清楚な色を選びましょう。
ここからは、面接のときに起こりうる4つの服装にまつわる「困った!」パターンをご紹介します。それぞれの対処法をご紹介しますので、参考にしてください。
雨が降っているときや、雨の予報が出ているときは、折り畳み傘と傘袋を持って行きましょう。そうすれば傘をカバンの中にしまうことができるので、「傘立てはどこでしょうか」と質問をして、先方の手間をとらせる必要がなくなります。
「服装は自由」「私服で」と面接の際に指定されることもあります。このような場合でも、ジーンズやTシャツといった、過度にラフな格好は避けます。清潔感があるジャケットを合わせたコーディネートがおすすめです。
なお、「服装は自由」と言われたときにスーツを着ていくべきかどうかは、応募先の業界によって異なります。金融系や公的機関など、堅い職種の場合はスーツを着用していくのが無難ですが、アパレル業界や個性を大切にするベンチャー企業などの場合、「没個性的である」と思われる可能性があります。
面接の際は、夏場であってもジャケットとネクタイを着用するのが基本です。しかし、面接先の企業側から「クールビズで」という服装の指定があった場合は、柔軟に対応しましょう。
ただし、この場合も、丈の短いパンツやスニーカーソックス、カジュアルな素材のシャツなどは避けます。クールビズで認められるのは、ジャケットオフ、ノーネクタイ、半袖のワイシャツ着用までです。
冬は、コートを着て面接に行くこともあるかと思います。しかし、コートを着たまま企業を訪問するのは失礼です。
コートはオフィスビルの入り口で脱ぎ、手に持って受け付けをします。入室した後は、コートはたたんで椅子の背にかけて面接を受けます。
普段スーツを着て仕事をしていない場合、転職活動をしていることが服装からばれてしまうことがあります。そういうときは、次のような工夫をしましょう。
コインロッカーに面接用の服を入れておいて、着替えて面接に行く方法です。着替えた後の服はもう一度ロッカーにしまっておいて、面接が終わったら引き取ります。
ジャケットやネクタイ、カバンなどを変えるだけでも、全体の印象は大きく変わります。今勤めている会社にいるときは、ジャケットは着ずにネクタイを外しておけば、かしこまった雰囲気を消すことができます。
面接前後は、準備や振り返りで仕事に身が入らない方もいるでしょう。そういう場合は有休を取って、面接の日を丸々空けてしまうのもひとつの手です。
ビジネスシーンにおける服装の在り方は、徐々にカジュアルなものへと変化しつつあります。
とはいえ、面接のときは、ある程度きちんとした格好をしていくのが基本的なマナーです。清潔感のある、社会人としてふさわしい格好を心掛けるようにしましょう。
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