更新日:2024/11/18
この記事のまとめ
30代になってから未経験業界・職種に転職するのは難しいといわれることがあります。しかし、ミスマッチなどの理由で未経験業界・職種への転職を検討している方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、30代で未経験職種への転職を実現するために押さえておきたいポイントを紹介します。企業側がどのような人材を求めているのかを理解し、自分の強みを積極的にアピールできれば、未経験職種への転職を成功させられるでしょう。
目次
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、30代で転職した方の割合は男性で全体の8.5%~10.0%、女性で全体の12.4%~14.2%にのぼります。
前職を辞めた理由を細かく見ていくと(「その他の個人的理由」を除く)、30代男性は「給与」「職場の人間関係」、30代女性は「職場の人間関係」がほかの理由に比べて多い結果となりました。将来像や今後の働き方を見つめ直した際に、転職を検討する方が多い様子がうかがえます。
また、転職先として同業種・同職種の企業を選ぶ方のほか、「やりたい仕事がしたい」「自分のペースで働きたい」などの理由から未経験の異業種・異職種へ転職する30代の方は少なくありません。実際、株式会社マイナビが実施した「転職動向調査2024年版(2023年実績)(2023年12月調査)」では、30代男性・女性ともに43.1%が異業種へ転職している結果となりました。異職種へ転職した方の割合も、30代男性で30.9%、30代女性で36.2%と、決して少なくないことが分かります。
参照:令和5年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省
参照:「転職動向調査2024年版(2023年実績)」(2023年12月調査)|株式会社マイナビ
30代での転職には、いくつかのメリット・デメリットがあります。以下で具体的なメリット・デメリットを確認し、自分にとって転職が本当に適した選択肢なのか落ち着いて判断することが大切です。30代の転職者を取り巻く環境をきちんと理解することで、現実的な戦略を立てて転職活動に取り組みやすくなります。
30代の転職は人によっては大きなメリットが得られます。30代は経験と知識を積んだ段階であり、多くの企業が即戦力としての価値を見込んで求人を出しています。多彩なキャリアチャンスがあり、得られるメリットも以下のようにさまざまです。
企業にとっても、実務経験豊富な30代を採用すると「即戦力としてビジネスの最前線で活躍してもらえる」「業務に必要なスキルを持った人材を確保できる」といったメリットがあります。
30代の転職を20代の転職と比較すると、いくつかのデメリットがあります。収入アップは転職動機のひとつですが、高い収入だけが満足度を向上させるわけではありません。新しい仕事が自身の適性や価値観と合致しない場合、収入アップも短期的な満足にとどまることがあります。ほかにも以下のようなデメリットも考慮しておく必要があるでしょう。
また、未経験分野への転職には以下のようなデメリットがあり、同業種転職に比べてハードルが高い傾向にあります。
ここからは、30代の方が未経験分野へ転職するのが厳しいといわれる理由を具体的に解説します。30代で未経験の業種・職種への転職を成功させるには、企業側の懸念点を解消することが重要です。なぜ30代では未経験の業種・職種への転職が厳しいといわれるのかを把握し、どのようにアピールすれば効果的なのかを考えましょう。
30代で異業種・異職種への転職が厳しいといわれる理由のひとつとして、30代の未経験者を募集している求人が少ないことが挙げられます。
30代前半であれば未経験者を募集する企業も少なくありませんが、30代後半になると求人数が限られてくるのが現状です。そのため、30代から未経験の業種・職種への転職を成功させたいのであれば、できる限り早めに行動することが大切といえます。
多くの企業では30代の転職者を採用するうえで、即戦力として期待できるかを考えて採用可否を判断します。転職者にとっては、一定のスキルや実績を求められる環境です。
しかし未経験の業種や職種へ挑戦する場合、十分な実績や経験がなく即戦力として活躍できることをアピールできません。そのためポテンシャルの高さが期待される20代とは異なり、スキルや経験が重視される30代の転職者が異業種・異職種へ転職するのは厳しい傾向にあります。
30代で異業種・異職種への転職を成功させるためには、これまでに培ってきたスキルや実績が、未経験の分野であっても役立つことをアピールすることが重要です。
30代になると、多くの人が特定の職種や業界での経験を積み重ねています。この期間に、ひとつの分野に深く関わることで専門性が高まり、企業や同僚からの信頼も築きやすくなります。一方で、専門性の高さが未経験分野への転職を難しくするケースもありがちです。新たな分野で活躍するには異なるスキルや知識が必要であり、短期間で獲得するのは容易ではありません。
よくも悪くも前職の癖や考え方が身についていて、新たな職場環境に順応しにくい場合もあります。そのため企業側から「自社のやり方に順応できないのではないか」と思われ、採用が遠のくこともあるでしょう。
30代で未経験の業種・職種へ転職するには、企業側が何を求めているのかを把握して効果的にアピールすることが大切です。ここでは、企業側が30代の転職者に求めることを解説します。30代前半と後半とでは企業側から求められるものが異なる点にも注意が必要です。
企業側が30代前半の転職者に求めているのは、即戦力として活躍できるかどうかです。30代前半は基本的なビジネスマナーやスキルはすでに身についていることが前提とされていて、選考では十分なレベルのテクニカルスキルを有しているか、業績向上に対する意欲があるかが重視されます。
企業側は採用した人材が早期に結果を出すことを期待しているため、前職で培ったスキルや実績を新たな職場でどのように活かせるのかを効果的にアピールする必要があります。
30代後半の転職者に対する企業の期待は、マネジメント能力です。この年代は基本的なスキルやビジネスマナーが確立されていて、実務経験も豊富です。そのため、企業側は30代後半の転職者に対し、組織やチームを指導して成果を出すスキルを求めています。
30代後半の方が転職を成功させるには、リーダーシップやプロジェクト管理力、戦略的思考力、マネジメントスキルなどの能力をアピールし、企業にとって価値のある人材であると示すことが必要です。リーダーやマネージャーとしての経験があれば、転職しやすくなります。
30代からの転職では年収が上がる可能性がある一方で、下がる恐れがある点も理解しておく必要があります。実際、厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、転職で年収が上がった方と下がった方の割合は以下の表のとおりです。
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特に未経験の業種・職種への転職では、初任給とそれほど代わらない給与水準が提示され、以前の年収水準を維持できないケースも少なくありません。
また、転職の際は経済面だけでなく、育児と仕事の両立、パートナーの仕事への影響など、家庭に与える影響も考慮する必要があります。転職に際しては家族との話し合いは不可欠であり、転職による収入変動や生活スタイルの調整について理解を得ることも大切です。
ただし40代になると転職がより難しくなる傾向にあります。やりたいことや実現したい目標がある場合は、未経験の業種・職種への転職であっても30代のうちに挑戦したほうがよいでしょう。
20代に比べて30代で未経験職種へ転職するのは難度が高いとはいえ、以下の条件に該当するのであれば早めに転職活動に取り組むのがおすすめです。自分にとって未経験職種への転職が本当に最適な選択肢なのかを判断するためにも、この機会にひととおりチェックしてみましょう。まずは時間を取って細かく振り返ってみることをおすすめします。
自分がなぜ転職したいのか、転職後に何を実現したいのかが明確になっているのであれば、転職を検討してもよいでしょう。特に、思い描いているキャリアプランを現職で実現できない場合は、できるだけ早いうちに転職するのがおすすめです。
タイミングが遅くなると未経験職種への転職がより難しくなり、新しい職場でキャリアを築く時間も少なくなります。転職で何をしなければいけないかを明確に理解しているのであれば、その熱意を失わないうちに転職活動をスタートしましょう。
将来性に期待できない業界で働いている場合も、早めの転職がおすすめです。特に業界全体の業績が下落傾向で、改善する見込みがない場合は注意しましょう。技術の発展やニーズの変化が原因で業界全体が縮小している場合、長期的に活躍し続けるのは難しいと考えられるためです。
上記に該当するのであれば、自分がこれまでに培ったスキルや経験を活かせる業界を探して転職活動に取り組みましょう。早い段階で将来有望な業界に転職することで、より成長できる環境で自分のスキルを発揮しつつ長期的に活躍できます。
現職で働き続けるのが難しいほどの問題を抱えており、改善が難しい場合も転職するのがおすすめです。業務量が多すぎてワークライフバランスが崩壊している、現職で自分のやりたいことができないなどが代表例です。
さまざまな問題を抱えながら我慢して働き続けると、場合によっては身体面・精神面のトラブルを抱える原因になりかねません。そのため、限界を迎える前に転職したほうがよいでしょう。ただし、まずは比較的転職しやすい同業種転職を検討するのがおすすめです。同業種転職で解消するのが難しいと判断したら、異業種転職に選択の幅を広げましょう。
一方で、以下で紹介する状況に該当するのであれば、急いで転職しても失敗するリスクが高くなります。そのため、本当に転職が自分にとって適した選択肢なのか、いったん立ち止まって考え直すのがおすすめです。まずは自分が転職したいと思っている理由を書き出し、以下のいずれかに該当していないか考えてみましょう。
いまの仕事を辞めたいと思っているものの、なぜ転職したいのかが明確になっていない場合は、急いで転職するのは避けたほうがよいでしょう。転職理由が明確になっていなければ、どのような方向性で転職活動に取り組めばよいのか、転職の軸を見失いやすいためです。
また、目的が明確でないまま転職しても、転職後の仕事がやりたいことでなかったことに気づいてミスマッチを感じるリスクも高まります。転職理由が明確でないなら、現職にとどまったうえでなぜ転職したいのかを考えてみるとよいでしょう。
いまの仕事に不満を感じていても、改善できる可能性があるのであれば転職を考え直したほうがよいでしょう。長時間労働が常態化している場合やハラスメントが横行している場合が代表的な例といえます。
労働環境は、団体交渉で改善できる可能性があります。ハラスメントであれば、社内の相談窓口や第三者機関への相談で解消できるケースもあるため、まずは試してみるとよいでしょう。相談・交渉などの対策を試した結果、改善が難しいと判断したのであれば転職を検討する余地があります。
30代の転職では、テクニカルスキルやポータブルスキルといった即戦力として最前線で活躍するためのスキルが求められます。そのため、スキルが不足している状態での転職はおすすめできません。転職先で即戦力として活躍できない状態では市場価値が低く、よい条件で転職するのは難しくなるでしょう。転職自体が難しくなるケースもあります。
そのため、スキルが不足していると感じるのであれば、転職後に求められるスキルを学習してから転職活動に取り組みましょう。ITエンジニアを目指す場合を例にすると、プログラミングスクールなどでプログラミングを学習してから転職活動を始めることで内定を獲得しやすくなります。
30代未経験者に人気の高い転職先の例には、営業や飲食、販売、介護といったサービス系の職種があります。特に介護・福祉業界は高齢化社会が進展する中、今後ますます需要が高くなることが予測されているのでおすすめです。ここでは、30代未経験でも採用されやすいおすすめの業界を紹介します。
介護・福祉業界は高齢化社会が進むに伴い需要が増加しており、30代未経験者も広く採用しています。未経験者の受け入れ態勢が整っている企業や施設が多く、研修や教育プログラムが充実している点もメリットです。利用者やその家族から直接感謝の言葉を受けられるやりがいのある仕事でもあります。
また仕事をしながら介護福祉士やケアマネジャーといった資格を取得でき、30代未経験からキャリアアップすることも可能です。
物流業界は現代社会において不可欠な仕事であり、需要も増加しています。未経験者にも門戸が開かれており、各企業では研修や教育プログラムが用意されているため、未経験からでも比較的スキルを習得しやすい環境です。
一口に物流業界といっても、目指せる職種はドライバーや倉庫スタッフなどさまざまです。特にドライバーは不足しているため、30代未経験であってもトラックの種類に応じた免許を取得することで採用されやすくなるでしょう。
30代未経験での転職において、IT業界も魅力的な選択肢のひとつです。若手のほうが転職に有利な点は否めませんが、IT業界は成長が著しく需要も高いため、やる気とスキルしだいで30代未経験者にもチャンスが広がっています。
IT業界で活躍している職種は、ITエンジニアやITコンサルタント、社内SE、Webデザイナーなどさまざまです。リモートワークなど柔軟な働き方が可能な企業も多く、ワークライフバランスを比較的かなえやすい点も魅力です。
飲食業界も30代未経験者の転職に適しており、求人数も比較的多い傾向にあります。飲食業界の主な仕事は、ホールでのサービス提供とキッチンでの調理業務です。ほかのスタッフとの連携力やコミュニケーションスキルが重要であり、仕事を通じてそれらのスキルを伸ばせます。
また多くの顧客とコミュニケーションが取れ、直接感謝の言葉を伝えてもらえることにやりがいを感じる方もいるでしょう。人や食に関わる仕事に就きたいと考えている方におすすめの業界です。
ここからは、30代の方が未経験の業種・職種への転職を成功させるために押さえておきたい5つのコツを解説します。事前にこれらのポイントを押さえたうえで転職活動を進めれば、より採用に至る確率を高められるでしょう。自分ひとりで転職活動を行うことに限界を感じているのであれば、転職エージェントを活用するのも選択肢のひとつです。
まずはこれまでの自身の経験を徹底的に棚卸ししましょう。過去の職歴や携わってきたプロジェクトを振り返り、アピールできるスキルや成果をリストアップします。その後キャリアプランを策定し、どの職種や業界に進むのがよいかを明確にします。キャリアプランは将来の目標を設定し、そのためのステップを計画する大事な過程です。
まずは5年後にどのようになっていたいかを考え、そのために何ができるかを考えます。そこから長期的・短期的な目標を定めると、目標を見失いにくくなるでしょう。
30代で未経験の業種・職種へ挑戦する場合は、現職を辞める前に転職活動をすることをおすすめします。一般的に転職活動には3ヵ月~6ヵ月ほどの期間がかかるといわれていますが、30代で未経験の分野へ転職する場合にはそれ以上かかるケースもあるためです。
仕事を辞めれば、収入がなくなります。「早く決めなければ」という焦りやプレッシャーから転職先を妥協して決めると転職後のミスマッチに悩まされ、再び転職する事態に陥りかねない点に注意が必要です。
それに対して、現職を続けながら転職活動を行う場合は収入が途切れないため、慎重に転職先を決められます。職歴にブランク(空白期間)が生じず、現職と条件面を比較しながら転職活動を進められる点もメリットです。
企業目線で転職活動を進めることも、スムーズに転職するコツのひとつです。まずは、求人情報や企業のWebサイトなどを通じて求められている人物像やスキルを把握します。そして、棚卸しした自分のキャリアやスキルと合致する部分があるかを確認し、転職先で活かせるものがあれば積極的にアピールしましょう。
即戦力として活躍するうえで不足しているスキルを発見したら、事前に習得するのも転職成功率を上げるポイントです。
業種や職種にこだわりすぎないことも、転職成功のポイントです。業界や職種を限定せずに視野を広げることで、新たな機会が開ける可能性が高まります。また未経験であっても、前職のスキルや経験が異業種・異職種の仕事で活かせることもあります。柔軟性を持って幅広い選択肢から検討すると、より自分の理想的な転職先を見つけやすくなるでしょう。
転職エージェントを利用するのも、効率よく転職活動を進めるコツです。転職エージェントに登録すると、転職の専門家であるキャリアアドバイザーが転職希望者の要望に応じた求人情報を紹介してくれるため、転職先の選択肢を広げられます。
さらに、応募書類の添削や面接対策などのサポートを受けられて転職活動を有利に進められるようになるのもメリットです。また、内定後の条件交渉や入社日の調整も代行してくれます。転職活動の手間を軽減できるのも大きなメリットのひとつといえます。
ひとりで転職活動を進めることを不安に感じている方や、30代からでも未経験の分野への転職を成功させたい方は一度転職エージェントに相談してみましょう。
未経験業種・職種に30代での転職を検討していて、少しでも有利に進めるために転職エージェントを利用したいと考えているのであれば、ぜひマイナビエージェントにご相談ください。
マイナビエージェントでは年代別の転職サポートを提供しています。キャリアアドバイザーと二人三脚で転職活動に取り組むことで、応募先企業が求めている人材の特徴と自分のスキル・経験がマッチしている部分を探して効果的にアピールしやすくなるでしょう。客観的な視点からアドバイスを受けられるのもポイントです。
ひとりで転職活動に取り組むよりメリットが大きいため、ぜひお早めにマイナビエージェントにご相談ください。
30代の転職は20代のときとは異なり、即戦力として活躍するためのテクニカルスキルが求められます。さらに、マネジメントスキルやリーダーシップを求められるのも一般的です。そのため、未経験業種・職種への転職が難しくなります。
しかし、転職自体が不可能というわけではありません。転職を検討しているのであれば、必要なスキルを習得しつつ時間をかけて転職活動に取り組むことが大切です。
少しでも有利に転職活動を進めたいと考えているのであれば、ぜひこの機会にマイナビエージェントにご相談ください。経験豊富なキャリアアドバイザーが、経験やスキルを活かして活躍できる企業に転職できるよう徹底的にサポートいたします。
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