更新日:2023/05/15
システムエンジニアの採用面接では、必ずしも「華々しい実績や資格の多さ」が評価されるわけではありません。その理由は、システムエンジニアが担当する仕事の性質にあります。
システムエンジニアが担当するのは、システム開発の上流工程と呼ばれる「要件定義~設計」の部分。そのため、基本的なITスキルはもちろんのこと、クライアントのニーズを的確につかむためのコミュニケーション能力が必要とされます。
また、仕様書を見て、実現可能なシステムか判断する能力も問われるでしょう。このように、システムエンジニアには幅広い能力が必要なため、面接時にもさまざまな資質をチェックされるのです。
システムエンジニアの採用面接では、どのような質問をされることが多く、また、どのように回答すると評価につながりやすいのでしょうか?ここでは、よくある質問への回答の仕方を、4つのポイントに分けて解説します。
目次
ITエンジニアの転職は一次面接から最終面接、または一次面接・二次面接・最終面接という流れになるのが一般的です。それぞれの面接で面接官やチェックされるポイントが異なります。まずは面接の流れを把握しましょう。
一般的にITエンジニアの面接は一次面接から最終面接へという複数回になります。一次面接は人事担当者や配属現場のマネージャーなどが面接官です。企業によっては人事担当者と現場担当者の面接を分け、人事担当者による一次面接・現場担当者による二次面接という場合もあります。最終面接は社長や役員などが面接官となることもあるでしょう。
質問はまず自己紹介・自己PRから始まります。転職理由や志望動機、キャリアパスなどの質問を経て、逆質問(求職者から面接官への質問)で終了する流れが一般的です。
人事担当者はビジネスマナーやコミュニケーション能力、論理的な受け答えができるかといった、基礎的なビジネススキルをチェックします。企業文化とマッチしているかどうかもチェックポイントです。
現場担当者はスキルセットがマッチしているか、チームに馴染めるかどうか、学習意欲があるかどうかなどをチェックします。担当者によってみているポイントが違うので、受け答えに注意しましょう。
一次面接・二次面接をクリアしたら、経営陣による最終面接です。ここまでの面接で技術的な要件は満たしているので、最終面接では主に入社意欲をチェックされます。求職者のキャリアプランが企業の用意できるキャリアパスにマッチしているかどうかや、企業への貢献度の見込み、採用の費用対効果などもチェックポイントです。
IT業界は企業の種類によってニーズが異なるため、どのタイプの企業に応募するかでチェックされるポイントや面接対策が変わります。主なタイプはWeb系企業・SIer・自社開発企業・コンサルティング企業の4種類です。それぞれの企業のチェックポイントを解説します。
Web系企業は開発のスピード感を求めることが一般的です。少人数のチームでアジャイル開発をするケースも多く、チームワークの適性がチェックされる傾向にあります。古典的なウォーターフォール型の開発現場ではないことに注意が必要です。
経験やポジションにかかわらず、日々のミーティングに対応できるコミュニケーション能力も求められます。開発現場では意思決定のプロセスも流動的なので、売り上げや効率化といったビジネスへの貢献度に対する意識もチェックポイントです。
クライアントからシステム案件を直接受注する大手SIerか、大手SIerから開発工程などを外注される下請け企業かで、チェックポイントは異なります。
大手SIerは、クライアントとの折衝能力やディレクション・マネジメントに関する能力がチェックされる傾向です。下請け企業なら開発のスピードや正確性、長時間労働にも耐えられるストレス耐性などもチェックされるでしょう。
さまざまなクライアントからプロジェクトを受注するSIerと異なり、自社開発企業は独自システムの開発や更新をします。ITエンジニアに求めるスキルセットは明確かつ専門性が高いので、スキルや知識が自社開発システムにマッチしているかどうかがチェックポイントです。
更新を前提として他者から見て分かりやすいコードが書けることなど、長期間な観点で開発できるかどうかも重要視されます。
コンサルティング企業の面接では、クライアントとの折衝能力や要件定義のスキルが問われます。コンサルティング能力があるかどうかを測るために、質問は一問一答のスタイルより、ひとつのトピックに対して質問と回答を繰り返していくスタイルが一般的です。
繰り返されるラリーの中で、論理的思考力や提案力をみられます。予想外の質問にも筋道を立てて答えられるスキルが必要となるでしょう。
<よくある質問例>
ご自身の長所や短所について教えてください
なぜ当社を志望するのですか?
採用面接の際に、上に挙げたような「抽象的な質問」をされるのは、システムエンジニアに限ったことではありません。そのため、この手の質問に対しては、面接を受ける前に回答を準備しておく方が多いでしょう。
しかし、いくら準備をしても、その内容が具体的なエピソードがなく、あなたの人柄が見えづらかったりすると、評価にはつながりません。では、どのような回答をするといいのでしょうか?
面接官が「ご自身の長所や短所について教えてください」という質問をするときに知りたいのは、あなたの「自己分析力」や「筋道立てて語ることのできる論理力」です。あなたの人柄や実績が伝わるような具体的なエピソードを盛り込みつつ、簡潔に語るようにしましょう。
また、「なぜ当社を志望するのですか?」という質問をされたときは、すべての理由をまとまりなく語らないように気を付けましょう。業務内容や待遇、環境の良さ、将来性など、転職志望先を決めた理由は複数あるのが当然です。その中でも、特に強い志望理由は何かを自己分析して伝えるのが望ましいでしょう。
たとえば、業務内容に魅力を感じたなら、これまで関わってきた仕事における課題に対して、志望先企業に行くことでその課題にどうアプローチできるかを伝えます。
「御社は○○を強みとしており、自分の課題をこのように解決していけると思ったので応募しました」など、志望先企業を分析した結果えられた知識などを盛り込むとベストです。
<よくある質問例>
面接官から上のような「具体的な質問」をされたとき、その仕事に就いている人なら誰でも経験したことがあるような失敗談を語ってしまうのはNGです。
たとえば、「これまで、一番苦労したプロジェクトについて教えてください」と質問されたときに、次のような回答をしたと想定します。
「クライアントへの確認を怠り、『たぶんこういう要望を受けるだろう』と勝手に判断して進めたことがありました。
ところが、納品後にニーズから外れた箇所があると連絡があり、改修のために時間とコストをロスしてしまいました」
このような内容を語られても、面接官は「この人じゃなくても語れる内容だな」と思うことでしょう。また、あまりに初歩的な失敗であるため、あなたを雇用することに不安を覚えるかもしれません。
「これまでで一番苦労したプロジェクトについて教えてください」と質問した面接官が知りたいことは何でしょうか?それは、あなたに困難を克服する力があるかということや、失敗から何を学んだかという成長ストーリーです。
面接を受ける前に、あなたならではの体験談や、その出来事に対してどのようにアプローチしたかを整理しておきましょう。また、数字やデータを入れて具体的な回答を返すことで、より高い評価を受けられるかもしれません。
<よくある質問例>
日進月歩のIT業界では、最新の技術を主体的に学ぶことが求められます。そのため、システムエンジニアの採用面接では、「学習意欲」や「成長意欲」を問われることも少なくありません。
面接官が上に挙げたような質問をする理由は、あなたが「どの程度のスキルを有しているか」「新しい技術を自主的に学ぶ姿勢はあるか」ということを確認したいからです。
たとえば「得意な開発言語はJavaですが、今一番興味があるのは、ビッグデータの分析などに利用できるPythonです。海外のエンジニアのブログなどを読んで、自主的に勉強しています」などと答えることで、学習意欲と自身のスキルの双方をもれなく伝えることができます。
さらに、「得意な言語や勉強していることを仕事にどう活用してきたか」「これからの仕事にどう生かしていきたいか」という内容まで語れるとベストでしょう。
<よくある質問例>
システムエンジニアの採用面接では、実際の業務を想定した質問をされることがよくあります。面接官はこのような質問をすることによって、あなたの技術レベルを見ると同時に、課題解決能力や論理的な思考力があるかどうかも判断します。
たとえば、「担当箇所で不具合が発生し、その原因がわからない場合はどのように対応しますか?」という質問をされた場合は、以下のように、課題解決までのロードマップを示すことで、論理的な思考力や責任感があることを面接官にアピールできます。
「たとえば○○のような不具合が起きた場合は~」というように、具体的な事例を挙げて、解決手段や期間についても盛り込むことで、あなたへの評価はより高まるでしょう。
ITエンジニアの面接では、職種に求められる特性を加味して回答することのほかにも、いくつかの注意点があります。たとえば、面接時の服装や転職理由・キャリアプランの答え方です。面接時に注意したいポイントを6つに分けて解説します。
IT業界は「面接時に私服可」としている企業が多いのも特徴です。どのような服装を選択するかで、企業理解の深さや正確さが判断されます。私服といっても何でも許容されるわけではなく、オフィスカジュアルが最低ラインです。スタイリングが考えにくければ、無難なのはスーツです。基本的にスーツでNGということはありません。
クライアントと対面する機会が多いポジションなら、なおさらスーツがおすすめです。客先に出ても問題ない人物かをみられるため、身だしなみには注意しましょう。Web面接の場合、家着は基本的にNGです。社会人としてのマナーを問われていることを理解しましょう。
転職の場合は、面接で転職理由を聞かれます。ここで重要なのは「自社も何かの理由で辞めてしまうのではないか」という疑念を払拭することです。なぜ転職を考えたのかについて納得できる理由を準備しましょう。
前職に不満があって転職するケースはよくありますが、転職理由を他責にしないことがポイントです。「前職では実現できないことがある」と客観的な証拠を示して納得させたうえで、課題解決のために独学しているなど、前向きに努力していることも伝えましょう。
面接時には「自社でしたいこと」や「数年後にどのようなITエンジニアになっていたいか」も問われます。ここで重要なのは、自身のキャリアプランと企業の用意できるキャリアパスが一致していることです。
求職者が「こうなっていたい」と伝えても、そのキャリアパスが選べない企業であればミスマッチと判断されます。この質問に答えるためにも企業研究は重要です。なぜそのキャリアプランを描いているのかを、前職との関連性も交えて合理的に説明しましょう。
逆質問は「面接官に聞きたいこと」を問われる質問です。これは質疑応答で伝えられなかったことをアピールできるチャンスととらえましょう。何も質問しないのはNGです。
事業内容や事業計画をあらためて質問することで、意欲の高さを伝えられたり、企業理解が深まったりします。待遇や所属チームの体制についてなど、入社してからのミスマッチを防ぐための質問も有効です。
面接会場には10分前着、面接官の呼び出しは5分前がセオリーです。早すぎる到着はマナー違反に当たります。受付に着く前に、そのまま面接会場に入れる服装・身だしなみに整えましょう。
面接前にスマホの電源は切っておくか、サイレントモードにします。質問に対しては1分~2分、長くても2分~3分で答えましょう。面接会場を出た後も、従業員に見られています。目撃談が面接官に伝わることもあるため、外に出るまで気を抜かないことが大切です。
質問に対して正確に回答するには、十分な企業理解が求められます。確信を持って回答しても「深刻な勘違い」だと思われるとマイナスです。しかし、求職者からすれば企業の内情は見えにくく、最新情報との食い違いがあることも考えられます。
そこで重要なのは転職エージェントを活用することです。IT業界の転職事情に詳しいキャリアアドバイザーのサポートを受けられれば、万全の体制で面接対策ができるでしょう。
ITエンジニアの転職で問われる質問は、ほかの職種と共通することも多い一方で、企業の種類によってニーズは異なります。面接官から「人材のミスマッチ」と思われないためにも、求職者には十分な企業理解が求められるでしょう。企業の分析や比較が困難なら、転職エージェントに相談するのがおすすめです。
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