更新日:2022/05/27
この記事のまとめ
日本の食品メーカーは、安全でクオリティーの高い商品を生み出しています。その商品を普及させる重要な役割を担っているのが営業職です。
食品メーカーは比較的安定しており、営業職の中でも人気があります。食品メーカーの営業は具体的にどのような仕事をし、どのくらいの年収を得ているのでしょうか。
この記事では、食品メーカー営業の年収や仕事内容を解説します。「食品メーカー営業の仕事は過酷なのか」または「将来も踏まえ、食品メーカー営業で安定した収入を得られるのか」といった疑問も解決するでしょう。
目次
転職する際に、年収を重視する方は多いのではないでしょうか。営業職はインセンティブを設けている企業もあることから、年収に個人差があります。まずは、食品メーカーの年代・性別ごとの年収と、他業種との比較を見ていきましょう。
年収は年代や性別のほか、メーカーによっても異なります。以下は、食品メーカーにおける20代・30代、性別ごとの平均年収です。男性の20代から30代にかけて伸び幅が大きくなっています。
|
国税庁による令和2年度の民間給与実態統計調査では、全体の平均年収は433万円という結果が出ています。食品メーカーの年収は全体平均を下回る場合もありますが、他業種と比較した場合はどうでしょうか。
|
食品メーカーの年収はトップと比べると高くはありません。しかし、20代から30代にかけて伸び幅はほかと比べても大きい傾向があります。
食品メーカーの営業は自社の商品を売り込み、企業の利益を出す重要な仕事です。具体的に、どのような顧客にどのような業務を行っているのでしょうか。営業の代表的な仕事内容を紹介します。
食品メーカーの商品は最終的に消費者の手に渡りますが、食品業界にはさまざまな流通経路が存在します。どの流通経路で販売するかによって、食品メーカーが直接的に販売する顧客もさまざまです。
まずは、最も基本的な流通経路である「メーカー→問屋→スーパー・小売店→消費者」について。問屋は売買仲介を担う仕事です。食品メーカーから仕入れた商品をスーパー・小売店に販売することで流通していきます。
問屋はスーパー・小売店に販売しやすい商品を求めているため、問屋の要望を聞きながら自社商品を提案することが重要です。
問屋を介すと中間マージンが発生するため、メーカーによっては問屋を利用せず、直接スーパー・小売店に商品を販売します。これは直接販売しても十分な販売数を達成できると判断するためです。
このケースでは「メーカー→スーパー・小売店→消費者」という流通経路で商品が渡っていきます。
スーパー・小売店にとっては、売りやすい商品が理想です。そのため、営業は新商品の魅力などを積極的にアピールします。新規営業であれば、まずは実績をつくるために特値で販売することもあるでしょう。
一般的に、商品には一般過程に向けた「家庭用品」と、法人が扱うことを前提とした「業務用品」の2種類が存在します。食品メーカーにおける業務用品は、主に飲食店が顧客です。
家庭用品では扱っていないオリジナル商品や、家庭用品よりも数量が多い商品を販売します。この場合は直接、飲食店に販売することが一般的です。
飲食店には大規模なチェーン店から個人営業まで、さまざまな店舗が存在します。大規模の飲食店なら企業間でやり取りを行いますが、個人店であれば店主と直接交渉する場合もあるでしょう。深い信頼関係を築く必要があるため、コミュニケーション能力を含むビジネススキルが必要です。
食品メーカーには、営業職とは別に営業事務が存在します。食品メーカーの取引相手は基本的に法人です。B to B営業は在庫の確認や請求書の発送といった業務も必要です。このような事務作業を担い、営業職をサポートすることが営業事務の仕事です。
営業のように外回りをすることは基本的にありません。しかし、伝票処理などの裏方業務が進まなければ利益につながらないため、営業事務は重要な役割を担っています。
食品メーカー営業の主な仕事は外回りの営業と内勤の営業事務ですが、実際は企業の事業規模などによってさまざまです。
年間売上1兆円を超える大手メーカーもあれば、数人の従業員で成り立つ小さな工場もあるでしょう。また、全国的に営業する場合もあれば、地域密着型で小規模に営業する場合もあります。企業によって営業先や仕事内容が異なることを覚えておきましょう。
食品メーカー全体を見れば、営業職以外にもさまざまな仕事が存在します。たとえば、新しい技術と商品を生み出す「開発研究」「商品開発」や、工場で正しく商品を生産する環境を整える「製造」「生産管理」などです。
そのほかにも、商品を各地に配達する「物流」、商品価値を広める「広報」、バックオフィスでのマネジメントを担う「総務」「人事」なども存在します。海外に事業を広げる企業であれば「海外部門」もあるでしょう。
食品メーカーは衣食住の「食」に関する仕事のため、比較的安定しています。食に興味のある人には魅力的な仕事でしょう。しかし、転職を検討する際は年収のほか、仕事の労力に値するかという点も重要です。食品メーカー営業はどれほど大変な仕事なのでしょうか。
食品メーカーは、新規営業だけでなくルート営業も多い業種です。新規営業では、自社の商品を扱ってくれる新たな顧客獲得を目指します。一方のルート営業は、すでに取引を行っている顧客とのやり取りです。
信頼関係を構築し辛抱強く売り込む新規営業に比べると、ルート営業はそこまできついということはありません。
ルート営業が多いとはいえ、食品メーカーでは営業が物流業務も兼ねている場合があります。この場合、商品の積み込みや配達を行いながら、既存顧客の要望に答えなければなりません。配達にあたって移動時間もかかるため、ルート営業でも辛いと感じる方はいます。
日持ちしない商品を取り扱っている場合は、細かい対応が必要となります。消費期限の関係で一度に発注される量が限られるため、毎日のように配送するケースもあるでしょう。
また、期限内であっても保存状態が悪ければ品質や見た目が劣化してしまいます。消費者からクレームが来る可能性も高いため、大変な場面も想定できます。
企業によりますが、食品メーカーの営業は基本的に土日休みです。また、残業や休日出勤は他業種の営業職に比べ多くはありません。他業種よりもマイペースに働ける業界といえるでしょう。
また、一般的に大変とされる新規営業でも、食品メーカーは試食という営業手段があります。医療や精密機械のような繊細な分野と比べると、魅力を伝えやすい面が多いでしょう。提案から契約までの手間も少なく、スムーズに営業活動ができます。
高い世代のほうが平均年収も高い傾向にあります。キャリアを積むことで年収アップが期待できるでしょう。
営業職は成績で評価されるため、スキルも重要となります。しかし、食品メーカーは年功序列型の企業がまだ多い業界です。スキルアップのために転職を繰り返すことが一概に適切とはいえません。さまざまな経験を経てスキルを磨きたいという方は、総合職という形で入社する選択肢もあります。
安定という点では、食品メーカーは優れた業界のひとつです。しかし、年収の安定度は市場動向が大きく影響します。ここで、食品メーカー業界の現状、そして今後について考察していきましょう。
食品メーカーは、高度経済成長期から安定している企業が多く、年収も安定している傾向があります。高度成長期とは1950年代から70年代のことで、当時の経営スタンダードである年功序列型の企業が多いことが特徴です。そのため、長く働くことで徐々に年収がアップします。ひとつの企業で定年まで働く方も多い業界です。
日本食に注目している海外企業は多数存在します。日本の人口が減っている中で、海外に事業を広げている食品メーカーは将来性も期待できるでしょう。実際に、すでに参入している企業もあり、今後も参入は増えていく可能性があります。
食品メーカーが「安定している」のは、言い方を変えれば「横ばい状態」とも捉えられます。年功序列でインセンティブが期待できないため、長く働かなければ年収も上がりにくいのが現状です。
また、日本の高齢化社会による人口減少が進めば、食品の消費率も減っていく運命にあります。長い目で将来を考えると、不安を感じることもあるでしょう。
食品メーカーの営業の年収は全体的に安定しています。営業職にありがちな「攻め」の営業をあまりせず、順当に年収を上げていくことも可能です。しかし、業界全体では将来的に不安な部分もあります。仕事内容もさまざまであるため、転職する際には企業選びが重要です。
マイナビ営業エージェントでは、個人に合わせて最適な求⼈を紹介しています。営業職の転職市場に精通した「キャリアアドバイザー」と、企業への営業担当として各企業と太いパイプを持つ「リクルーティングアドバイザー」までご相談ください。安心して転職活動に挑めるよう、応募書類の添削や面接対策までサポートします。
営業職
第二新卒には営業がおすすめ?向いている理由や成功に導くコツを紹介
営業職
メーカー営業の将来性を徹底解説!市場価値を高める方法やキャリアパスも紹介
営業職
IT営業を辞めたいと感じたら?仕事がきつい理由とおすすめの転職先を紹介