更新日:2022/05/13
この記事のまとめ
総合商社は身近な食料品から石油や天然ガスといった資源、代金決済やファイナンスまで商品を限定することなく取り扱う商社です。売上高の巨大な大企業が多く、営業で取り扱う商材の数やスケールも大きいといった特徴があります。
そのため、「総合商社の営業はハード」「ノルマがきつい」といったイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。一方、海外企業との取引からグローバルな経験が積めたり商談のスキルがアップしたりすることから人気のある転職先のひとつです。
この記事では、総合商社の営業の仕事内容や転職に役立つ知識を紹介します。転職を考えている方は参考にしてみてください。
目次
営業の仕事といえば、顧客訪問をして契約を取るのが一般的です。しかし、取り扱う商品が多い総合商社の営業は、ほかの業種の営業と比べてさまざまな業務があります。新規顧客の開拓だけでなく、マーケットの分析や仕入先の確保も欠かせない業務です。ここでは、総合商社営業の仕事内容を詳しく紹介します。
新規顧客開拓は企業の成長に関わる大切な業務です。企業が売り上げを伸ばすには新規顧客も獲得する必要があるため、既存の顧客への営業に加えて新規顧客に対する営業活動もしなければなりません。
基本的に営業はノルマが課せられることが多く、総合商社の営業も同様です。新たな企業や個人に関する情報を収集するのも仕事のひとつといえるでしょう。
総合商社の営業は、スムーズな流通のために仕入先の確保や商品の調達も担当します。取り扱う商品は多岐にわたるため、さまざまな業者との交渉や輸送の手配も必要です。また、商品やサービスの質を落とさないように、信頼できる業者やメーカーを選定しなければなりません。
このような業務を通してコスト管理や情報整理、交渉力が身につくのも、総合商社の営業ならではの特徴といえるでしょう。
流通・金融・情報といったさまざまな事業に携わる総合商社では、市場を分析してトレンドを把握することが大切です。営業でもマーケティング部と連携を取り、市場調査をするケースがあります。
「どの産業が伸びているのか」「次のトレンドはなんだろう」と分析すれば、営業活動がスムーズになるでしょう。マーケット分析をすることで、顧客に商品を提案しやすくなるというメリットもあります。
総合商社営業とメーカー営業の違いは、自社の製品を取り扱うかどうかです。新規顧客の開拓やマーケット分析といった業務内容に大きな違いはありません。
メーカー営業は自社が開発・製造した商品を販売するのに対して、総合商社は自社で製造することはなく、他社の商品を販売するために営業します。商品を客観視し、メリット・デメリットを説明できるのが総合商社営業の利点です。
マイナビエージェントのデータによると、総合商社営業の平均年収は425万円です。平均すると一般的な水準で、不動産や百貨店といったほかの業界と比べて大差ありませんが、売上規模の大きい大手企業は給与水準が高い傾向があります。
また、20代の平均年収は387万円とそれほど高くないものの、30代は538万円と大きく伸びています。キャリアを積むことで、大幅に年収アップが期待できるでしょう。
総合商社の営業は「ノルマが厳しい」「ハードルが高い」といったイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。しかし、取り扱う商品が多岐にわたるため幅広い知識を身につけられたり商談のスキルがアップしたりと、さまざまなメリットがあります。ここでは、総合商社の営業に転職するメリットを4つ紹介します。
総合商社ではさまざまな商品を取り扱うため、メーカー営業とは異なり、営業スタイルは比較的自由です。顧客のニーズに合わない商品を無理に売りつけるといった営業もしなくて構いません。
ただし、顧客の課題やニーズに沿った商品を提案するには、マーケットを分析してトレンドを把握することが重要です。あらゆる情報と商品を駆使し、自分なりの営業スタイルで活躍できます。
総合商社は「カップラーメンからロケットまで」といわれるほど、さまざまな商品を取り扱います。多種多様なマーケットや商品の情報に触れる機会があり、幅広い知識を身につけられるのがメリットです。
メーカー営業は自社製品を深く知る必要がありますが、総合商社はあらゆる商品に詳しくなれるため、やりがいや面白みを感じる方も多いでしょう。身につけた知識や情報力は、自身のキャリアアップにもつながります。
総合商社の営業は、多種多様なメーカーや顧客との商談機会があります。さまざまなシチュエーションの商談を経験することで、商談のスキルやコミュニケーションスキルが身につくのがメリットです。
また、ほかの業種とは異なり、マニュアルよりも自分で考えて行動できる力を求められる傾向があります。顧客の課題やニーズを捉え、臨機応変に商品を提案する対応力も必要となるでしょう。数多くの商談を経験し、商談スキルをアップしたい方にはおすすめの職業です。
総合商社は日本にはない商品を取り扱ったり海外に支店を持っていたりと、幅広く事業を展開しています。外国企業との商談や海外転勤によって、グローバルな経験が積めるのもメリットです。
語学力やコミュニケーションスキルが必要ですが、自身のキャリアアップにもつながります。大企業は世界各地に支店があるため、世界各地を飛び回り、さまざまな国や地域の文化に触れる機会があるかもしれません。
総合商社は「さまざまな経験が積める」「商談のスキルがアップする」といった魅力的なメリットがある一方、デメリットもあります。勤務時間が不規則だったり、転勤や異動が多かったりと、プライベートを充実させたい方にとってはつらいと感じることもあるでしょう。ここでは、総合商社の営業に転職するデメリットを3つ紹介します。
総合商社は商談の機会が多く、業務も多岐にわたります。マーケット分析や営業先の情報収集、仕入先の確保と、さまざまな準備や情報整理もしなければなりません。仕事量が多いことから、残業や休日出勤で勤務時間が不規則になる場合があります。
「規則的な生活を送りたい」「プライベートを充実させたい」という方は大変かもしれませんが、仕事量が多い分、やりがいやスキルアップが期待できるでしょう。
大手の総合商社は国内外に支店がある企業が多いため、転勤や異動が多いのが特徴です。転勤や異動には、語学力や体力、精神力が必要です。国内で安定した生活を送りたい方や結婚して家庭を持っている方にとっては、大きなデメリットになるでしょう。一方、働き盛りの若い方やグローバルな経験を積みたい方であれば、貴重な経験となります。
総合商社の営業は「買い手」と「売り手」をつなぐ架け橋でもあるため、取引先のメーカーと顧客の双方に配慮が必要です。取引先と顧客の希望が食い違い、バランスを取るのが難しいこともあるでしょう。
また、得意先の飲み会やゴルフコンペといった接待に誘われることもあります。「プライベートの時間に接待したくない」「得意先だから断りづらい」といった方は、得意先との付き合いが苦痛に感じる場合もあるでしょう。
総合商社の営業へ転職を考えている方は、企業がどのようなスキルのある人材を求めているか知っておくことが大切です。基本的に営業は体力や精神力が必要といわれています。また、総合商社は海外転勤もあるため、語学力やコミュニケーションスキルも大切です。ここでは、総合商社営業に求められるスキルを3つ紹介します。
営業に求められるのは体力や精神力です。多くの企業を訪問し、断られたりクレームをつけられたりすることもあるでしょう。それでも営業しなければノルマを達成できません。うまくいかなくても、営業先に足を運ぶ体力や落ち込まない精神力が必要です。
また、総合商社は国内外に支店を持っている企業も多いため、転勤や異動によって慣れない環境で仕事をする機会もあります。友人や家族と離れても仕事ができるストレス耐性が求められます。
総合商社の営業は、顧客・取引先・輸送業者といったさまざまな人と関わります。また、社内でもマーケティング部や経理部の方と関わることもあるでしょう。多くの人と関わりながら営業活動をスムーズに進めるには、コミュニケーションスキルが必須です。
特に取り扱う商品が多い総合商社では、原則、営業スタイルにマニュアルはありません。営業スタイルが自由だからこそ、臨機応変に対応できる力やコミュニケーションスキルは大切です。
総合商社では海外企業との取引や海外転勤があるため、語学力や海外文化への理解が大切です。特に、世界共通語とされる英語力は鍛えておいたほうがよいでしょう。
英語力を証明するためにTOEICや日商ビジネス英語検定の資格を取るのもおすすめです。多くの企業が採用基準として取り入れているため、転職でも有利になるでしょう。また、海外の人と会話する際には、その国の文化をリスペクトすることも大切です。
総合商社への転職を有利にするには、営業に生かせる資格を取得するとよいでしょう。海外転勤も考えられるため、語学力を証明できる資格がおすすめです。また、数字の強さをアピールできる会計に関する資格も役立つでしょう。ここでは、総合商社に転職する際に取得したい資格を5つ紹介します。
英語力を証明できる資格といえば、TOEICが有名です。多くの日本企業が採用基準としているため、語学力が必要な総合商社への転職で有利になるでしょう。
国際ビジネスコミュニケーション協会が主催する試験で、テスト結果は合否判定ではなくスコアで表示されるのが特徴です。英語でコミュニケーションを取るために必要な「話す・聞く・書く・読む」といった総合的な能力を試されます。転職で語学力をアピールするには、少なくとも700点以上はあるとよいでしょう。
日商簿記検定は日本商工会議所が主催する検定試験です。総合商社では主に流通・情報・金融の3つの事業を展開しています。中でも、事業投資に関わる企業は多く、取引先企業の財務諸表を読むといった会計知識が必要な場面で簿記検定の知識は役立つでしょう。
初級・3級・2級・1級と分かれていますが、実務に生かすには2級以上が必要です。2級から合格率が格段に下がるため、しっかりと計画を立てて勉強してから試験に臨むことをおすすめします。
貿易実務検定は日本貿易実務検定協会が主催する検定試験です。貿易に関する実務知識や英語の知識を測ります。総合商社では海外から商品の仕入れる業務もあり、貿易に関する専門的な知識は持っていて損はありません。
試験はA級・B級・C級の3段階で、転職でアピールするにはB級以上が必要です。B級以上は英語力も必要なため、語学力をアピールする材料にもなります。
総合商社は海外との取引が多く輸出入が頻繁です。税関に提出する輸出入の申告は、法律を踏まえた複雑で専門的な知識が必要です。通関業者に依頼するのが一般的ですが、貿易に関する知識があれば、通関業者に適切な指示を出せるでしょう。
通関士の資格があれば、「通関業者に正確に依頼できる」「書類の準備がスムーズ」といったメリットがあります。また、財務省が主管する国家資格試験であるため、転職でアピールできます。
近年、総合商社に限らずITを取り入れている企業は数多く存在します。生産管理や事務といったさまざまな業務でIT化が進んでおり、ITの知識や仕組みはビジネスマンにとって欠かせない知識といえるでしょう。
ITパスポート試験は経済産業省が認定する国家資格で、基本的なITの知識や仕組みを理解していることを証明できます。また、法律や財務に関わる内容も出題されるため、幅広い知識を身につけられるでしょう。
総合商社は身近な商品から金融や情報まで、さまざまな商品を取り扱っています。売上高が巨大な大企業が多く、国内外に支店を持つ場合がほとんどです。営業として転職したいのであれば、語学力やコミュニケーションスキルを身につけておくとよいでしょう。
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