更新日:2025/12/09

この記事のまとめ
ITシステムの設計や開発などに携わるITエンジニアは、将来性に期待できる職業です。しかしその一方で、「ITエンジニアはきつい」「激務が多い」といった声を耳にすることも少なくなりません。これから転職を考えており、「本当に自分に務まるのだろうか」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ITエンジニアが「きつい」といわれる理由やITエンジニアに向いている人の特徴、働くうえでのメリット・対処法について解説します。仕事の実態を正しく理解することで、自分がITエンジニアに向いているかどうかを見極めやすくなるでしょう。
目次

新技術の登場やDXなどによってIT需要は大きく拡大しており、その傾向は今後も続くと予測されています。それに対して、開発を担うIT人材の数は不足傾向です。
やる気さえあれば誰でもITエンジニアになれると考える人がいる一方で、「ITエンジニアはきついため、やめたほうがいい」という意見も見受けられます。ここでは、なぜITエンジニアはきついといわれるのか、その現状を解説します。
ITエンジニアとして活躍するには、高い専門知識やスキルが欠かせません。転職後に「想定よりも求められるレベルが高い」と感じ、思うように業務を任せてもらえずに厳しいと感じるケースもあります。
また、入社当初は十分なスキルを持っていても、技術の進化スピードが速いため、日々の変化についていけずに苦労する人も少なくなりません。ITエンジニアとして長く活躍するには、常に最新の技術を学び続け、自身のスキルをアップデートしていく姿勢が大切です。
ITエンジニアの業務がきついといわれる理由のひとつは、労働時間が長いことです。しかし実際には、労働時間は企業の体質や業務内容に大きく依存しています。すべての企業で長時間労働が常態化しているわけではありません。
たとえばスケジュールの見積もりの甘さや採算を度外視した格安の受注などのしわ寄せで長時間労働を強いられるケース、企業側が必要なスキルアップや社員教育を怠った結果として引き起こされる作業効率の低下、最下層の下請けであるために丸投げされる膨大な量の業務などが要因として考えられます。長時間労働により健康を損なうケースも珍しくありません。
ほかの職業と同様に、ITエンジニアも向き・不向きがある仕事です。スキルさえあればITエンジニアになれます。しかし、自分に向いていなければ大きなストレスを感じ、働き続けられなくなりがちです。
たとえば、ITエンジニアとして働いていると、仕様や納期の急な変更に対処しなければならないシーンがあります。その都度、スケジュールを調整したり仕様について再説明したりとさまざまな対応が求められるため、切り替えが早くて柔軟であることが必要です。常に同じリズム、決まったスケジュールどおりに仕事を進めたいという人は、大きなストレスを感じるかもしれません。
そのほか、細かな作業や継続的な学習も、ストレスにつながる要素のひとつです。知識やスキルがあっても、性格や考え方が原因で仕事がきついと感じることもあります。
ITエンジニアの業務は専門性が高いものの、基本的なスキルがあれば転職すること自体は可能です。しかし、基本的なスキルさえあれば十分というわけではありません。
スキルの低いITエンジニアがこなせる仕事には限界があります。スキルアップしなければ、より難易度が高い業務や複雑な業務を担当するのは難しいでしょう。評価とスキルを向上させていかなければ仕事にならないという側面が、ITエンジニアはきついといわれる大きな理由のひとつです。
IT分野で活躍するエンジニアは、さまざまなプログラミング言語やハードウェアの知識、セキュリティや個人情報の取り扱い、開発・設計、品質管理、ネットワークやデータベースの専門知識などが求められます。これらのスキルを習得するには、継続的な学習が欠かせません。
ひと口に学習といっても学ばなければならないことは多く、キャリアアップを見越したスキルの習得も必要です。技術の進化や変化も速いため、最新の技術や情報についていくことも求められます。一人前になったとしても学ぶことが多い点にきつさを感じるITエンジニアも多くいます。
ITの需要は年々拡大しており、今後もさらなる拡大が見込まれています。一方で、ITエンジニアの数は足りていません。人材が不足している分、ITエンジニア一人ひとりの業務量は増加傾向にあり、その負担からきつさを感じることもあります。
また、イレギュラー対応や突発的なトラブル、多重下請け構造による業務の集中化などにより、残業や休日出勤が常態化している企業も見受けられます。業務の量や時間が限界を超えてしまうような環境が原因で、きつさを感じるケースもあるのが現状です。
IT業界にはSES(システムエンジニアリングサービス)を提供する企業もあります。これは自社のエンジニアの技術力と労働力をクライアント企業へ提供するサービスのことです。
常駐先では、その企業の正社員とは異なる立場のスタッフとして扱われることもあります。重要な部分を担当できず、サポートや派生的な作業ばかりを任せられるかもしれません。短い期間で頻繁に常駐先が変わるケースもあります。このような業務環境ではスキルや知識が身につきにくく、経験も活かせないためにきついという意見も聞こえてきます。
ITエンジニアの労働環境に関する評価は両極端です。残業や休日出勤など過重労働を強いる企業がある一方で、働き方改革を推進している企業もあります。
メンタルヘルスやスキルアップに関する教育に力を入れている企業とまったく取り組みのない企業とでは、社員の離職率や健康リスクだけでなく、業務効率にも大きな差が出ます。転職先を間違えると、体力的にも精神的にもきつくなる恐れがあるため、企業は慎重に選びましょう。
開発プロジェクトに携わるITエンジニアは、自分が手掛けたシステムの品質や納期の進捗などに大きな責任を負います。もし不具合が発生した場合は、その原因を特定し、修正や仕様変更といった対応を迅速に行わなければなりません。
万が一完成したシステムが正しく動作しないまま納品すれば、クライアントからの信頼を失う恐れもあります。そのため、常に高い品質を維持するプレッシャーの中で業務を進める必要があり、人によってはこの責任の重さを「きつい」と感じることもあるでしょう。
システム開発では、予期せぬトラブルが発生することが少なくありません。プログラムが正しく動作しなかったり、思いもよらない不具合が起きたりすることもあります。
こうしたトラブルが起こった場合、その原因を突き止めて解決するのはITエンジニアの役割です。また、技術的な制約や新たな要件の発生により、開発途中で仕様変更を求められるケースもあります。
限られた納期の中で仕様変更に対応することになれば、作業量の負担はどうしても増えてしまいます。いつトラブルが発生するかわからない緊張感のある環境は、人によっては「きつい」と感じる要因となるでしょう。

ITエンジニアの仕事にはきつさがある一方で、多くの魅力もあります。ITエンジニアへの転職を検討する際は、仕事の厳しさだけではなく働くメリットもしっかりと押さえたうえで判断しましょう。ここからは、ITエンジニアの魅力と将来性を解説します。
マイナビエージェントの調査によると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ITエンジニアはスキルレベルが年収に反映されやすいため、キャリアを積めばさらなる高収入も目指せます。同調査によると、ITエンジニアの平均年収ランキングの上位職種は以下のとおりです。
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スキルや知識・経験を磨いてキャリアアップしたり転職したりすることで、高収入を目指せます。将来性が高いことをモチベーションアップの動機として業務に励み、キャリアアップを図れる点はITエンジニアならではの強みです。
IT業界は十分なスキルを有している人材が不足している傾向にあり、転職市場において経験者は優遇される傾向です。ITエンジニアとしての経験を積んでスキルアップすれば、キャリアパスも広がります。よりやりがいのある職場、働きやすい職場へと転職しやすい職種であるともいえるでしょう。
キャリアアップやキャリアチェンジのための勉強は必要です。そのうえで経験を積めば、自分に合った分野や働き方もより鮮明にイメージできるでしょう。そこに的を絞って勉強するのがおすすめです。
システム開発の経験があるのであればITコンサルタント、英語力を習得しているのであればブリッジSE、複数社でさまざまな業務を経験してきたのであれば社内SEといった具合に、さまざまな可能性に挑戦できるのもITエンジニアの魅力といえます。
ITエンジニアは実力がものをいう職業であるため、自分しだいでいつまでも働けます。継続的なスキルアップに励みつつ経験を積めば、結婚や出産、介護といったライフステージの変化に合わせた働き方へのシフトチェンジも可能です。
フレックスタイムやリモートワークを導入している企業もあり、多様な働き方ができる企業は多く存在します。そのため、状況に応じて働き方を調整しやすい代表的な職種のひとつといえるでしょう。
ITエンジニアは「きつい」といわれることもありますが、適性のある人にとってはやりがいが大きく、働きやすい環境です。ITエンジニアとして活躍しやすい人には、次のような特徴があります。
ITエンジニアへの転職を検討している方は、まず自分がこれらの特徴にどの程度当てはまるかを考えてみましょう。多くに該当する場合は、ITエンジニアへの適性が高いといえます。適性があれば、困難な状況にも前向きに取り組め、成長のチャンスへと変えていけるでしょう。

転職を検討する際には、長く安定して働けるかどうか、職業の将来性を確認しておくことが重要です。ITエンジニアは「きつい」といわれることもありますが、実際には今後も高い需要が続くと予想されており、将来性のある職種として注目されています。
ここでは、ITエンジニアの将来性が高いといえる理由を3つの観点から解説します。
社会のあらゆる分野でITの重要性は年々高まっており、この流れは今後も続くと見られています。
近年では生成AIをはじめ、量子暗号や空間コンピューティングなど、次世代技術の開発・実用化が進んでいます。こうした最先端技術を生み出し、社会で活用していくためには、ITエンジニアの存在が欠かせません。現場で経験を積みながら新しい技術を学ぶことで、ITエンジニアとしての活躍の幅はさらに広がります。結果として、自身の市場価値が高まり、将来にわたって安定したキャリアを築けるでしょう。
社会のあらゆるITシステムを支えるうえで、ITインフラは欠かせない基盤です。サーバーやネットワーク、データベース、ルーター、ストレージなどがその代表的な構成要素です。
近年、多くの企業がDXを推進しており、さらに生成AIの普及によって大量のデータ処理や通信環境の整備が求められています。その結果、ITインフラの重要性はこれまで以上に高まっています。
こうしたITインフラを設計・構築・運用するためにも、ITエンジニアの存在は欠かせません。そのため、インフラ分野のスキルを磨くことで、安定した需要の中で長期的なキャリアを築けるでしょう。
AIの急速な進展は、IT業界全体の成長を後押しすると同時に、ITエンジニアの需要をさらに高めています。その一方で、生成AIのようにコーディングを自動化できる技術の登場により、一部の業務はAIに代替される可能性が出てきました。単純なコーディングやデバッグ、コードの最適化といった定型作業は、今後AIが担う割合が増えると考えられます。
そのため、ITエンジニアとして活躍し続けるには、AIでは代替できない領域にスキルを広げることが重要です。具体的には、要件定義や設計、プロジェクトマネジメント、インフラ構築・運用など、より高度な判断力やコミュニケーション力が求められる分野です。また、AI戦略を立案・実行するITエンジニアとしてのキャリアも、今後ますます価値が高まるでしょう。

これからITエンジニアへの転職を考えているのであれば、長く安定して働き続けるために、事前にいくつか確認しておきたいポイントがあります。転職してからの後悔を防ぐためにも、ここで紹介する4つのポイントをチェックしておきましょう。
転職先を選ぶ前にひととおり確認しておくことで、自分がどのようなキャリアを描きたいのか、どの方向性で転職活動を進めたらよいのかが明確になります。
まずは、自分がどのような技術に興味を持っているのか、どの分野でスキルを発揮したいのかを整理してみましょう。扱いたいプログラミング言語、開発してみたいシステムの種類、活躍したい業界・領域などを具体的に言語化しておくことが大切です。
また、求人を探す際には、自分が興味・関心を持つ技術や、これまでに習得したスキルを活かせる職場を選ぶようにしましょう。そうすることで、転職後に「思っていた仕事と違った」というミスマッチを防げるようになり、モチベーションを維持しやすくなります。
扱いたい技術だけでなく、「どの分野で活躍したいのか」を明確にしておくことも大切です。早い段階で目指す方向性を決めておくと、転職活動の軸がぶれにくくなります。
たとえば、「Javaを使って大規模な業務システムを開発したい」「AI技術を活用したサービスを作りたい」「データセンターでITインフラの構築・運用に携わりたい」など、できるだけ具体的に言語化してみましょう。
興味や関心、目指したい分野によって最適な転職先は変わります。求人を選ぶ際には、自分が本当にやりたい仕事に関われるかを確認することで、ミスマッチを防止でき、自分に合ったキャリアを築きやすくなるでしょう。
転職活動を成功させるためには、将来のキャリアプランをしっかり考えておくことが欠かせません。自分がどのようなキャリアを歩みたいのか、その目標を達成するために何を学び、どのような経験を積む必要があるのかを明確にしましょう。
たとえば、「要件定義や設計を担う上級エンジニアを目指したい」「サイバーセキュリティ分野の専門家として活躍したい」など、できるだけ具体的に描くことが大切です。明確なキャリアプランがあれば転職活動の軸が定まり、自分に合った企業や職種を選びやすくなります。
転職後のミスマッチを防ぐためには、企業を選ぶ際に何を重視するのかを明確にしておくことが大切です。まずは、自分が企業に求める条件をリストアップしてみましょう。
ただし、すべての条件を満たす企業を見つけるのは難しいのが現実です。そのため、リスト化した内容を「譲れない条件」と「場合によっては妥協できる条件」に分けて整理しておくとよいでしょう。
転職先を検討する際は、重視する条件を満たす企業を中心に比較・検討し、仕事内容やキャリアパス、社風なども総合的に考慮して判断します。自分の価値観や目標に合わない条件を妥協しすぎると、入社してから後悔するリスクが高まるため、慎重に見極めることが大切です。

ITエンジニアのきつさには、職種そのものの特徴に伴うきつさと職場環境が引き起こすきつさの2つがあります。ストレスが少なく働きやすい環境であれば、ITエンジニアのきつさは大幅に軽減されます。職場環境が引き起こすきつさを回避するうえで有効な方法は転職です。
職場環境に厳しさを感じているのであれば、転職を成功させて仕事のきつさから脱却しましょう。ここでは、転職を考えている方がチェックしておきたいポイントを紹介します。
ITエンジニアの仕事がきついといわれる大きな要因のひとつは、体力的な負担が大きいことです。しかし、これは企業の考え方や担当する業務によって大きく異なるため、いわば「職場しだい」といえます。
人を大切にする企業であれば、限界を超える受注や非効率的な業務プログラムといった問題は起こりにくいでしょう。未経験からであったとしても、スキルアップできるよう教育しながら育ててくれるため、努力しただけ実力をつけられます。キャリアアップも目指しやすい環境です。
収入や労働環境、業務内容などをしっかりと確認したうえで自分に合った企業に転職すれば、やりがいを感じながらITエンジニアを続けられます。
ITエンジニアは、転職を繰り返しながらキャリアを積み上げていける職種です。とはいえ、漫然と業務をこなしているだけでは、キャリアアップするのは難しいでしょう。
ITエンジニアとして経験を積みながら、自分に合った分野や働き方を探すことが大切です。同じ職種の中でスペシャリストやマネジメント職を目指すのか、スキルの幅を広げてキャリアチェンジに挑戦するのか、キャリアパスしだいで努力の方向性も変わってきます。
転職するときに気をつけたいのが、企業とのミスマッチです。ミスマッチを防ぐためにも、転職先は吟味する必要があります。とはいえ、求人情報から企業の体質や実際に求めているものを判断するのには限界があります。そこで活用したいのが転職エージェントです。
転職エージェントは取り扱い企業の内情に通じているため、マッチング率が高いメリットがあります。自分の強みや要望を考慮した企業を紹介してくれるため、自分に合った転職先を見つけられます。

ITエンジニアは、システム開発やインフラ構築などを通じて社会のデジタル化を支える重要な職種です。需要が高く将来性のある仕事ですが、一方で長時間労働になりやすかったり、常に新しい技術を学び続ける努力が求められたりと、厳しさを感じる場面もあります。
これからITエンジニアを目指す方は、自分がどの分野で活躍したいのか、どのようなキャリアを描きたいのかを明確にし、そのうえで自分に合った企業を選ぶことが大切です。
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