更新日:2025/01/27
この記事のまとめ
デジタル技術の進化とAIの台頭により、Webデザイン業界は大きな転換期を迎えています。「今後もWebデザイナーは必要とされるのか」と将来性に対する不安の声が聞かれる一方で、新たな可能性が広がっています。
ただし、従来のデザインスキルだけでは競争力を維持するのは困難です。将来性のあるWebデザイナーとして活躍するには、どのようなスキルを身につければよいのでしょうか。
本記事では、最新の市場動向を踏まえながら、これからのWebデザイナーに求められるスキルや転職のポイントを紹介します。
目次
Webデザイン業界は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、大きな転換期を迎えています。将来的にはIT人材が大幅に不足すると予測される一方、ノーコードツールやAIが登場したことで、業界の構造は急速に変化しています。ここでは、Webデザイン業界の現状と今後の展望について見てみましょう。
Webデザイン業界は着実な成長を続けているのが現状です。ECサイト市場の拡大やデジタル化の波を受け、Webデザイナーを含むIT人材の需要は年々上昇しており、将来的には大幅な人材不足が見込まれています。経済産業省の調査によると、2021年度の常時従業者数は前年度に比べて20.9%増えており、需要があることが分かるでしょう。
一方で、業界内の業務価値には大きな変化が訪れています。ノーコードツールやAIが登場したことで、簡易的なデザイン制作やCMSの更新作業といった基本的な業務は、専門知識がなくても可能になりました。
そのため、Webデザイナーには、より高度な専門性が求められています。特に、顧客との円滑なコミュニケーションや課題解決力、セキュリティ対策など、AIでは代替できない領域での価値が高まっているといえるでしょう。
近年、AIツールの進化により、Webデザイン業界は大きな転換期を迎えています。デザインの自動生成やコーディングの効率化など、AIは多くの基本的な業務を代替できるようになりました。
しかし、Webデザイナーの価値が失われるわけではありません。むしろ、AIの活用により、Webデザイナーはより創造的で戦略的な業務に注力できます。たとえば、クライアントのビジネス課題を深く理解して最適なUI/UXを設計することや、AIツールを効果的に活用してプロジェクトを効率的に進行することが新たに求められるでしょう。
特に重要なのは、AIを「優秀なアシスタント」として使いこなすスキルです。プロンプトエンジニアリングの習得やAIの出力結果を適切に評価・調整する能力は、これからのWebデザイナーには不可欠といえるでしょう。
Webデザイナーの今後の需要については、さまざまな見解があります。肯定的な意見もあれば、「Webデザイナーは不要になる」といった大胆な意見が飛び交うことも。Webデザイナーにまつわる現状を検証しながら、今後の見通しを立ててみましょう。
インターネット技術の急速な発展に伴い、あらゆる分野が電子化されるようになり、IT需要は年々増加しています。
経済産業省の「令和5年度電子商取引に関する市場調査」によると、BtoCのEC(消費者向け電子商取引)市場規模は24兆8,000億円で、過去最高の数値となりました。前年比も9.23%増と、着実に拡大しています。さらに、EC化率はBtoCで9.38%(前年比0.25ポイント増)、BtoBで40.0%(前年比2.5ポイント増)と増加傾向です。
インターネット上での取引を新たに導入する傾向はこれからも続く見通しで、IT需要は今後も伸び続ける可能性が高いでしょう。
参照:令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|経済産業省
インターネット上の取引が増えれば、必然的にWebデザインの仕事も増えます。しかし、IT技術の発展は目まぐるしく、無料で利用できるWebデザイン作成ソフトやサービスも数多くあります。低予算で簡単にWebデザインが制作できることから、Webデザイナーに依頼せず自作するケースも少なくありません。
さらに、X(旧Twitter)やFacebook、Instagramを使うことで、Webサイトなしでもインターネットを使った集客が可能になりました。こういった現状から、「Webデザインができる」だけのWebデザイナーの需要は減少することが予想されます。
2019年の「IT人材需要に関する調査報告書」によると、2015年に試算したIT人材の人数は、2018年時点で10万人以上オーバーしています。政府の予想よりも速いペースでIT人材が増えているということです。
Webデザイナーに関しても同様で、数だけ見るとかなり増加しています。無料でWebデザインを学べるインターネット講座が増えており、近年では子供向けプログラミング教育もあるほどです。結果としてITに強い若者が増え、学生のうちにフリーランスとして働き始める方もいます。
スキル習得のハードルが下がったことによりIT人材が増加し、Webデザイナー間の競争は激しさを増しているといえるでしょう。
近年、Webデザインの分野でもAIを利用した自動化が進んでいます。単純な作業はAIツールに取って代わる未来はそう遠くないでしょう。Webデザインの仕事をAIと取り合う時代になるということです。
必然的に、Webデザイナーの需要は量ではなく質にシフトしていきます。今後は、顧客のニーズに応えられる「強み」を持ったWebデザイナーが必要とされるでしょう。時代に合った強みを身につければ、うまく需要に乗り、Webデザイナーとして活躍し続けられます。
今後も需要のあるWebデザイナーを目指すには、Webデザイナーの仕事を正しく理解する必要があります。ここでは、Webデザイナーの仕事内容とともに、必要とされるスキルや平均年収、働き方について見てみましょう。
事業を始める方がインターネットを使った集客をしたい場合、多くのケースで自社のWebサイトが必要になります。そのWebサイトを作る専門家が、Webデザイナーです。
クライアントの希望をヒアリングし、コンセプト設計からワイヤーフレーム、グラフィック作成までを請け負います。マークアップ言語を使って、ブラウザ上で意図通りに見えるよう整える「コーディング」を担当することもあります。
未経験者の場合は、アシスタントとしてロゴやバナーといったパーツ作成や、コーディングの一部を任されるのが一般的です。顧客の希望や目的を把握し、結果が出るWebサイトを作ることが、Webデザイナーの評価につながります。
Webデザイナーには、以下の3つのスキルが必要です。
Webデザイナーがコーディングを行わないケースも少なくありません。しかし、コーディングスキルを持っていると、コーディングまで考えたデザインになるため、完成度の高いWebサイトを作れます。
デザイナーの平均年収は、Web系も含めて約352万円です。とはいえ、給与幅は広く、勤務先や経験、求められるスキルによっても差があります。地域差もあるため、高収入を狙うのであれば東京都など大都市での就職がおすすめです。
働き方は、Web制作会社、システム会社、デザイン事務所、企業のデザイン部、自社サービスを手がける企業の正社員・派遣・フリーランスといった形があります。
競争の激しいWebデザイン業界ですが、求められるスキルを持つWebデザイナーであれば、IT需要の高まりにうまく乗れるでしょう。需要のあるWebデザイナーになるには、スキルや仕事の品質を上げなければなりません。ここでは、ポイントを押さえたスキルアップの方法を紹介します。
Webデザインのトレンドは移り変わりが激しいことで知られています。一例が「Adobe Flash」というソフトです。一昔前はWebサイトの作成に欠かせないといわれていましたが、「iPhoneに対応していない」「スマホ向きではない」「SEO対策が不得意」といった理由で現在はほとんど使われていません。
必要とされるWebデザイナーであり続けるためには、常に最新情報を収集し、業界の変化に合わせて新しい技術やスキルを取り入れる柔軟さが必要です。
美しいだけのデザインでは、ビジネスとして成果を出せません。そこでぜひ身につけたいのが、UI/UXデザインです。
UIとはユーザーインターフェイス(User Interface)の略で、サービスのデザイン性や操作性を指します。視認性の高いレイアウトや快適な操作性、知りたい情報を素早く検索できる性能など、ユーザーが「使いやすい」と感じるサービスを構築する技術です。
UXとはユーザーエクスペリエンス(User eXperience)の略で、サービスを通じて得られる全体の体験を指します。楽しさや満足感という感情を与える技術です。
UI/UXデザインの需要は年々増加しています。マーケティングやブランディングだけでなく、データ分析や行動心理学の知識も必要になるでしょう。
需要のあるWebデザイナーになるには、写真・映像・プログラムといったスキルのほかにも、自分の価値を高める「カード」が必要です。医療や金融といった特定の分野の専門知識やSEO、マーケティングのスキルを磨き、唯一無二の強みにしましょう。
集客アップやブランドイメージの定着など、結果を出せるWebデザインのノウハウがあることをアピールできれば、需要のあるWebデザイナーになれます。SNSで普段からノウハウや作品を発信するなど、強みをアピールする努力も大切です。
デザインスキル以外にも、幅広い知識や専門性がWebデザイナーの価値を押し上げます。とはいえ、やみくもに知識の幅を広げるだけでは、時間や労力の無駄になるでしょう。
求人情報やIT業界に強い転職エージェントを賢く使い、Webデザイナー業界でどのような人材が必要とされているのかを読み解くことが重要です。必要とされるスキルや知識、仕事内容の傾向や需要の大きな分野が分かれば、仕事に結びつく知識を深められます。転職に有利な強みも増やせるでしょう。
Webデザイナーにとって、コーディングスキルの習得は今や必須となっています。スマートフォンやタブレットなど、多様なデバイスに対応したレスポンシブデザインが当たり前となり、デザインの段階からコーディングを意識する必要があるためです。HTMLやCSSの基礎知識があれば、実現可能なデザインを把握でき、フロントエンドエンジニアと円滑なコミュニケーションが取れるでしょう。
また、コーディングスキルを身につけることで、フロントエンドエンジニアやWebディレクターへのキャリアチェンジも視野に入ります。市場価値を高め、将来の選択肢を広げるためにも、HTMLやCSSの基本的な記述と表現方法の理解は欠かせません。
Webデザイナーには、優れたデザインスキルと同様に、効果的なコミュニケーション能力が不可欠です。クライアントの要望を正確に理解し、プロジェクトの目的や方向性を共有するには「聞き出す力」「理解する力」「伝える力」の3つのスキルが重要となるでしょう。
デザイナーやディレクター、エンジニアなど、チーム全体での認識のずれを防ぐためにも、専門用語を避けて相手に合わせた分かりやすい説明を心がけることが大切です。コミュニケーションスキルを磨くことで、プロジェクトを効率的に進められる人材として評価されます。
他業種からWebデザイナーを目指す方もいるでしょう。Webデザイナーは、デザインセンスと勉強を続ける意欲とがあれば、将来性のある職種です。需要のあるWebデザイナーとしてよい出発をするポイントを押さえておきましょう。
フリーランスのWebデザイナーも少なくありません。しかし、最初からフリーランスになるのではなく、まずは正社員として実務経験を積むことをおすすめします。組織の中でスキルや知識を増やしたり、業界のトレンドを吸収したりすれば、Webデザインのどこに需要があるのかを見極められるでしょう。
また、フリーランスには仕事を取るためのマーケティングスキルも必要です。数多くのWebデザイナーの中から自分に発注してもらうには、広い人脈を作らなければなりません。
初めからフリーランスになると、こういったスキルや人脈を作るのはかなり難しいでしょう。会社に所属してキャリアを積むことで、フリーランスという道筋を確かなものにできます。
よりよい条件で転職してキャリアを積み上げるには、自分の強みを深めたり広げたりしなければなりません。しかし、何を勉強すればよいか迷うこともあるでしょう。
IT業界に強い転職エージェントを使えば、より詳しい情報を得られます。自分の強みに気づかせてくれるだけでなく、強化する点やアピール方法をアドバイスしてくれるでしょう。
Webデザイナーの仕事は幅広いため、需要のある分野はどこか、自分と合致する会社はどこかを見極めることが大切です。
Web制作市場は着実な成長を続けています。AIツールの台頭は業界に変革をもたらしたものの、新たな機会も創出しています。将来性のあるWebデザイナーになるには、UI/UXデザインの専門性やコーディングスキルの習得が重要です。業界の変化に柔軟に対応しながら専門性を磨くことで、安定したキャリアパスを構築できるでしょう。
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