更新日:2025/10/30

この記事のまとめ
「転職するなら若いほうがよい」という言葉を耳にすることがありますが、実際のところ年齢制限はあるのでしょうか。35歳を過ぎると転職が難しくなるという「35歳転職限界説」も広く知られています。しかし、法律上は年齢による転職の制限はなく、40代・50代でも転職している方は少なくありません。
本記事では、各年代別の転職成功者数や傾向を総務省のデータを基に分析したうえで、転職を成功させるポイントを解説します。年齢に関係なく転職しやすい業種も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次

求人に応募するうえで年齢制限は原則存在しません。なぜなら、一定の条件を満たす求人を除き、選考の採否を年齢で決めることは法律で禁止されているためです。しかし、そのほかの要因から、年齢が選考に影響を与えることもあります。ここでは、年齢が転職活動におよぼす影響についてご紹介します。
転職に年齢制限はありません。労働施策総合推進法により、企業の募集・採用における年齢制限は原則として禁止されています。一方で、ほぼ同じ条件の応募者がいた場合、若い応募者ほど有利になる傾向があるともいわれています。なぜなら年齢が若いほど勤務年数が長くなり、かけた教育コスト以上の貢献が期待できると企業は考えるためです。
特に未経験職種への転職の場合、企業は教育コストに重きを置く傾向がありますが、実績を十分に積み上げた同職種への転職であれば、年齢の高さが不利にならないケースも少なくないでしょう。
こちらは2025年2月に総務省から発表された「労働力調査」における2024年度の転職成功者の人数表です。
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どの年代にも転職成功者が多いことが分かります。特に多いのは25歳~34歳の世代ですが、55歳~64歳のシニア世代でも多くの方が転職に成功しています。
参照:労働力調査(詳細集計) 2024年(令和6年)平均結果|総務省統計局
男女別の転職成功者の結果も見てみましょう。
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各年代の割合は、男女でおおむね変わりませんでした。この結果から、「転職は何歳までにしなければ難しくなる」といった傾向に、性別が影響することはあまりないと考えられます。
参照:労働力調査(詳細集計) 2024年(令和6年)平均結果|総務省統計局
法律上「〇歳になったら転職できない」といったことはありませんが、年齢が上がるほど多くの経験やスキルを求められることから、若いほうが転職しやすい傾向にあるのも事実です。特に正社員を目指すのであれば、若いうちに行動することをおすすめします。一方、非正規雇用であれば、年齢が高くてもチャンスを得やすいでしょう。
「35歳転職限界説」とは、35歳を超えると転職が難しくなるという考え方です。35歳転職限界説は、人材が豊富かつ年功序列による出世が通例だった時代にいわれるようになった考え方でした。定年まで勤続することが一般的であり、そのうえで出世を考えると若手のうちから育成したい企業が多かったことから「35歳転職限界説」がささやかれるようになったと推察されます。
しかし少子高齢化により、20代の労働力に加えて35歳以降の世代も足りていない企業が日本国内に増加しました。結果、マネジメントが可能なミドル世代の求人が転職市場では多く見られるようになり、35歳転職限界説はあくまで昔話といわれることが増えました。
なお「28歳転職限界説」や「32歳転職限界説」もありますが、こちらも同様に現在はあまり通用しない説といえるでしょう。

転職成功のポイントは年齢によって異なります。若い世代ではポテンシャルや意欲が重視される一方、経験を積んだ世代では即戦力としての能力やリーダーシップが求められるでしょう。ここでは、5つの年齢層に分けて転職成功のポイントを詳しく解説します。それぞれの年代に合わせた効果的なアピール方法や、期待されるスキルについて確認してみましょう。
24歳以下の若手転職者にとっての武器はポテンシャルです。企業は即戦力よりも、将来的な成長可能性を重視する傾向があります。そのため、自身の意欲や熱意を積極的にアピールすることが重要です。たとえば、「未経験でも新しいことに挑戦したい」という姿勢や、「自己啓発に励んでいる」といった具体的な行動を示すことで、企業の目に留まりやすくなります。
また、第二新卒枠を活用するのも効果的です。経験やスキルよりも成長意欲が重視されるため、異業種や異職種にも挑戦できます。若手の転職は、キャリアの方向性を決める重要な機会です。自分の興味や適性を見極め、将来のキャリアプランを描きながら、積極的に行動することが成功への近道となるでしょう。
25歳~29歳の転職者にとっての重要な武器は、ポータブルスキルといえます。ポータブルスキルとは、業界や職種を問わず活用できる汎用性の高い能力のことです。コミュニケーション力や問題解決能力、リーダーシップなどが挙げられます。
これらのスキルを効果的にアピールするには、具体的なエピソードを交えて説明することが大切です。たとえば、「チーム内の対立を解消し、プロジェクトを成功に導いた」といった経験を、状況・課題・行動・結果の順で説明すると説得力が増します。
また、この年代は社会人としての基礎力が身についている時期でもあります。「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」といった社会人基礎力をアピールすることで、企業側の評価も高まるでしょう。
30歳~35歳の転職者は、即戦力として期待される年齢層です。一定の社会人経験を積んでいることに加え、専門性やスキルを磨いており、企業にとって魅力的な人材となります。転職活動では、これまでに身につけたスキルや経験を具体的にアピールすることが重要です。たとえば、「前職で新規事業の立ち上げに携わり、売上を200%増加させた」など、数字を交えながら実績を説明すると効果的です。
さらに、転職先でどのように経験やスキルを活かせるかを明確に示すことで、企業側の興味を引くことができます。「御社が注力される新規顧客開拓において、前職で培った初回接触から平均2ヵ月で成約に導く提案力を活かし、売上拡大に貢献いたします。」といった具体的な提案ができれば、採用の可能性が高まるでしょう。
35歳~39歳の転職者には、リーダーシップが求められる傾向があります。この年代では、チームやプロジェクトを牽引する能力が重視されます。そのため、マネジメント経験や企業への貢献意欲を具体的にアピールすることが重要です。たとえば、「前職で10人規模のチームをまとめ、売上30%増を達成した」といった実績を示すと効果的でしょう。
また、企業の成長にどう貢献できるかを明確に説明できるよう準備しておくことも大切です。転職市場では即戦力としての期待も高まるため、自身の強みを活かせる職場を見極めることが成功への近道となるでしょう。
40歳以上の転職では、自身の強みを活かせる職場を見極め、粘り強く活動することが成功への近道となるでしょう。長年培ってきた専門知識やマネジメントスキルは、企業にとって貴重な資産です。たとえば、「20年間の営業経験を活かし、新規顧客開拓で売上を50%増加させた」といった具体的な実績をアピールすることで、即戦力としての価値を示せます。
また、この年代では、組織全体を見渡せる視点や若手の育成能力も重要視されます。一方で、柔軟性も求められるでしょう。「新しい技術やトレンドに常にアンテナを張り、自己研さんを続けている」といった姿勢をアピールすることで、年齢に関わらず成長し続ける意欲を示せます。

「同業界・同職種」「同業界・未経験職種」「未経験業界・同職種」「未経験業界・未経験職種」という4つの転職パターンごとに、異なるアプローチが必要です。年齢によって転職のハードルは変わるため、各ケースの特徴と成功するための具体的な戦略を確認してみましょう。
同業界・同職種への転職は、年齢に関わらず比較的容易に進められるケースが多い傾向にあります。既存のスキルや経験を活かせるため、企業側も即戦力として評価しやすいからです。実績で勝負できることが、同業界・同職種転職の大きな特徴といえるでしょう。
50代以上の方は、長年培った専門性の高さが強みとなるケースも少なくありません。ただし、給与面で交渉が必要になったり、折り合いをつけなければならなくなったりする場合があることを念頭に置いておくとよいでしょう。一方、20代後半~30代前半の方は、スキルアップの途上と見られることもあります。これまでの具体的な成果や学習意欲を積極的にアピールすることが重要です。
同業界・未経験職種への転職では、業界知識があることが選考において有利に働く可能性があります。企業は業界経験者なら、業務理解はすでに一定の基準を満たしているため、異業種でもキャッチアップのスピードが速いのではないかという期待を持ちます。
転職を成功させるためには、なぜ職種を変えたいのかを明確に伝えることが重要です。たとえば、「エンジニアとして働く中で、技術力のあるメンバーのスキルアップやチーム力が重要だと実感した経験をきっかけに、人事領域に興味を持った」といった説得力のある志望動機が効果的です。
また、業界知識を活用しながら、新しい職種でどのように貢献できるかを具体的に示すことで、転職年齢に関わらず選考が有利に進む可能性が高まります。
未経験の業界であっても、経験のある職種であれば比較的転職のハードルは低いといえます。面接では、その業界に興味を持った理由を伝えましょう。これまでの業務との具体的な接点や共通点を見つけることで、年齢に関わらず評価されるチャンスが広がります。
未経験業界・未経験職種への転職は、年齢が上がるにつれて難易度が上がる傾向にあります。一般的に企業は若い人材のほうが新しい環境に適応しやすいと考えるため、20代~30代前半が比較的スムーズに転職を進めやすいといえるでしょう。ただし、30代後半以降でも道が閉ざされているわけではありません。
特に過去の業務との共通点があったり、専門性を活かせたりする分野であれば可能性は高まります。ポータブルスキルである、リーダーシップや問題解決能力といったスキルもアピール材料になるでしょう。また、新しいスキルの習得への意欲と適応力を示すことで、どの年齢でも異業界・未経験職種への転職の道が開けます。
転職の適正年齢は業種や役職によっても異なります。業種や役職によって、求められる経験やスキルが異なるためです。たとえばミドル世代以降は業種によっては転職のハードルが高くなる傾向ですが、管理職から管理職への転職の場合は、難なく転職できるケースも少なくありません。
一方、エンジニアやデザイナーなど、専門知識やスキルの取得に時間がかかる職種については、年齢を重ねるほど未経験からの転職は難しくなります。
年齢に関係なく転職しやすい業種の特徴は、以下のとおりです。
これらに当てはまるのは、主に専門性が低い業種であり、一般事務や接客・販売、営業、配送といったものが挙げられます。またそのほかでは、規模の拡大に伴い、多くの人員を必要とするベンチャー企業も狙い目です。

ここでは、年齢を問わず活躍できる5つの業界を紹介します。それぞれどのような特徴を持ち、なぜ転職先におすすめなのかまとめました。キャリアチェンジを考えている方は、ぜひご一読ください。
近年、IT業界は急激に業績を伸ばしており、求人数も増加しています。日本企業のITシステムの老朽化やDX推進の遅れによる経済的損失の危機を指した「2025年の崖」問題も、求人数増加の一因です。
株式会社マイナビの「2025年8月度 正社員の求人件数・応募数推移レポート(2025年8月調査)」によると、IT・通信・インターネット業界の求人数は前年同月比で177.8%、応募数は前年同月比で139.6%と高い伸び率を示しています。IT業界は未経験者歓迎の求人も多いため、キャリアチェンジにもおすすめです。
参考:2025年8月度 正社員の求人件数・応募数推移レポート|株式会社マイナビ
医療業界はニーズがゼロになることはまずないため、安定性を求める方におすすめの転職先です。中でも医療事務や看護助手、医療機器営業といった職種であれば、無資格・未経験者向けの求人も多く見られます。無資格・未経験者向けの求人であれば、入社後に資格取得をサポートしてくれるケースも多いでしょう。結果として、転職を希望した際にスムーズに転職先が決まることが期待できます。
介護業界もまた医療業界と同様に常にニーズがあるほか、高齢社会の現代では特に需要が高まっています。その反面、人手不足が深刻であることから、未経験者であっても転職しやすいのがおすすめの理由です。
厚生労働省の試算によると、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされています。2022年度の介護職員数の約215万人と比較すると、2026年度に+約25万人、2040年度までに+約57万人の人材が追加で必要となる見込みです。
ハードワークなイメージもある介護業界ですが、その分、近年では国からの援助を受けている企業も多いのが特徴といえます。
参考:第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について|厚生労働省
製造業界といってもさまざまな業務がありますが、特に工場のライン業務は未経験からの転職におすすめです。大手企業では収入・福利厚生が充実しているほか、残業が比較的少ない傾向にあります。また製造業界では、IoTやAIなどの新技術を活用した生産革新が進んでいます。そのため、新しい技術やスキルを学ぶことに興味がある人にもおすすめです。
EC市場の拡大に伴い宅配便のニーズが急増していることに加え、トラックドライバーの高齢化や人材不足といった課題を運輸業界は抱えています。トラックドライバーの時間外労働に960時間の上限規制が適用されたことによって輸送に関わる労働力が減少することとなった「2024年問題」の影響もあり、年齢を問わず人を求めているのが運送業界の特徴です。
安全運転の実績やマネジメント経験が特に期待される傾向にあります。輸送業務の効率化や荷待ち時間削減のためのスキルがあれば、年齢に関わらず転職市場での価値が高まるでしょう。発展が著しい業界であるほか、国を挙げて労働環境の改善が進められている最中であるため、将来性にも期待できます。

転職活動において年齢は気になる要素ですが、適切な準備と戦略があれば、年代にかかわらず転職可能です。年齢を理由に転職を諦めるのではなく、自分の経験や強みを最大限に活かすコツを理解し、転職成功を目指しましょう。
転職の成功に不可欠なのが「転職の軸」を明確にすることです。「なぜ転職したいのか」「転職先に何を求めるのか」を言語化することで、自分にとって譲れない条件や優先したい要素が見えてくるでしょう。
転職の軸を定めておくと、膨大な求人情報の中から自分に合った企業を効率的に選べるようになる点もメリットです。また、転職理由を整理することで、同じ原因での転職を繰り返す事態も避けられます。
自身のスキル・経験がどの程度評価されるのかを客観的に理解することで、転職活動をより効率的に進められるでしょう。アピールしたほうが良い点や改善が必要な点が見え、面接の精度が高まるでしょう。社内での評価だけでなく、市場全体での評価を把握することが重要です。
将来のキャリアビジョンを明確に描くことは、年齢に関係なく転職を成功させる重要な要素です。5年後、10年後の自分の姿を具体的にイメージすることで、転職先選びの判断基準が明確になり、面接でも説得力のある志望動機を伝えられます。
キャリアビジョンがあれば、短期的な給与や待遇に左右されずに転職先選びができるため、入社後のミスマッチも防げます。また、転職活動中のモチベーションを維持することにもつながります。
履歴書や職務経歴書は企業ごとに丁寧に作成しましょう。別の企業に提出した書類を使い回すと、「志望度が低い」と判断される恐れがあります。採用担当者は多くの応募書類に目を通すため、その企業に合わせたアピールポイントを簡潔に、かつ具体的にまとめることが大切です。
誤字脱字などの不備は「業務を任せられない」という印象を与えてしまうため、提出前にきちんと見直しましょう。特に事務職や書類作成が中心の職種では、応募書類の完成度が直接的に評価につながります。
面接対策にも力を入れましょう。どれほど優れた経験やスキルを持っていても、それを伝えられなければ、選考通過率は上がりません。特に年齢が上がるほど、即戦力としての期待値も高まるため、面接での自己アピールがいっそう重要になります。
面接準備では、企業研究を徹底し、自分の経験をどのように活かせるかを具体的に説明できるようにしましょう。また、志望動機や転職理由などのよく聞かれる質問への回答を事前に用意しておくことで、本番で言葉に詰まるリスクを減らせます。模擬面接を行うことも効果的です。
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転職に年齢制限はありませんが、年代によって求められる経験やスキルは異なります。20代は成長性と可能性、30代は即戦力としての実績、40代以降はマネジメント能力や専門知識が評価される傾向です。 年齢が上がるほど転職のハードルは高くなる可能性が高まりますが、専門性や経験を適切にアピールできれば、いつからでも新たなキャリアを築くチャンスはあります。
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