更新日:2022/07/06
食品メーカーは原材料の仕入れから食品の製造、流通までを担う企業です。食品需要はなくなることがなく、比較的安定した業界といえるでしょう。そのため、食品メーカーへの転職を希望する方も多い傾向です。
この記事では未経験から食品メーカーへ転職可能かどうかをはじめ、転職のポイントについて解説します。業界の特徴や選考に役立つ情報など、転職を目指すうえで押さえておきたい知識が得られる内容です。
目次
食品メーカーは、原材料の製造・加工を通じて商品を完成させ、流通に乗せる企業のことです。原材料は商社から仕入れて、完成した商品は小売や卸売に販売します。
職種も営業や研究・開発、企画、マーケティングなど多種多様です。数ある選択肢の中から希望する職種を選べますが、配属部署によって転職の難易度が異なります。特に開発へ携わる技術系の職種になると、未経験者ではチャレンジが難しいといった傾向があるため、注意しましょう。
食品メーカーは職種ごとに求められるスキルや経験に違いがあります。自分が希望する職種について知ることが転職の第一ステップです。
ここでは、食品メーカーの職種とそれぞれの特徴について紹介します。職種を選ぶ方の参考となるように、仕事内容と転職難易度を中心にまとめました。
営業・販売は、食品を扱う量販店や卸売店、飲食店に対して、商品の発注交渉をするのが主な仕事です。また、企業によっては商品の配達やクレーム対応までを兼任するケースもあります。
未経験でも挑戦しやすく、転職難易度は比較的低い傾向です。前職が異業種の方もチャレンジしやすいでしょう。
事務は、人事や経理といったバックオフィスの業務が中心の職種です。具体的には、一般的な事務職と同様に、書類の作成や電話対応、来客への案内などが挙げられます。
正社員求人が減っていることや、作業の自動化で人的コストを削減しているといった背景があるため、転職の難易度は高めです。また、一般的に事務は人気職であるため、求人数が少ないことも原因のひとつでしょう。経理やITスキルなどの専門知識がある場合を除いて、即採用になるケースは少ないかもしれません。
企画は、イメージやアイデアを提案し、商品作りのサポートをする職種です。開発部署や生産部署と連携をとりつつ、顧客ニーズに合った商品を形にします。顧客ニーズを掴むために、マーケティングを行うのも特徴です。
食品メーカーの中でも人気の高い企画職ですが、転職の難易度は企業によって差があります。大手企業の場合は倍率も高く経験者を採用するため高難易度が予想される一方、中小企業では低難易度で未経験可の求人もあるでしょう。
開発・生産管理は、実際に商品を作り管理していく職種です。材料の選定から生産量の確認、進捗度合いの管理など、製造に関する全般的な業務を担当します。
生産管理は特殊な資格やスキルも必要ないため挑戦しやすい傾向です。しかし、開発に関しては科学的な知見や食品業界の実務経験などが求められることもあり、未経験からの転職は難易度が高いかもしれません。
食品メーカーへの転職を検討するなら、業界の特徴や待遇に関するチェックは欠かせません。自分の適性を精査するうえでも必要な情報なため、丁寧に調べましょう。ここでは、食品メーカーのメリットやデメリット、特徴、年収について解説します。
食品メーカーは、身近にある商品を手掛ける業界のため、やりがいを感じやすいのがメリットです。自分の携わった商品が世に出て、消費者が購入する姿を直接目にできるかもしれません。また安定が見込める業界であり、福利厚生が整っている企業が多いでしょう。
現在、冷凍食品や健康志向食品の需要拡大、海外への進出など、各要素において市場の伸びが顕著です。そのため、将来性の高い業界ともいえるでしょう。新規商品の開発に携わるチャンスがあるのも、メリットのひとつです。
食品メーカーは年功序列の企業が多いことや、古い企業体質が残っていることなどデメリットもあります。企業によっては形式的な会議や人間関係のトラブルで悩むケースも珍しくありません。また、企業自体の人数が多く、個人に任される業務の幅が狭いことも考えられます。
そのほか、IT化が進んでいない点もデメリットです。他業界と比べると、データの管理やWeb技術を介したプロモーションなどの面では遅れが目立ちます。
マイナビエージェントの調査によると、食品メーカーの平均年収は439万円でした。この数値は、日本の平均年収にあたる約436万円と比較してもほとんど同じ水準です。
そして景気の影響に左右されにくいため、収入にも安定感があります。より高い収入を得たい場合は、業界トップレベルの企業に転職するといった選択肢もおすすめです。たとえばアサヒホールディングス株式会社の平均年収は約1,325万円と高い水準を誇っています。
食品メーカーでは、業界実務の経験者が優先的に採用される傾向にあります。しかし、未経験からチャレンジできる職種もあり、中でも代表的なのが営業職です。
営業に転職する場合、信頼関係の構築スキルや状況に応じた提案能力が重視されます。専門的な知識をすぐに求められない代わりとして、優れたコミュニケーションスキルが求められるでしょう。
「これから業界や商品に関する知識を吸収していきたい」といった気持ちがアピールできるように、自己PRや志望動機を考えることが重要です。
食品メーカーに転職する前に、取得しておくと有利な資格があります。選考の場で効果を発揮するのみならず、実務に入ってからも役立つ有益なものについては積極的に取得しましょう。ここでは、食品メーカーへの転職に役立つ資格についてそれぞれ解説します。
食品表示検定は、食品の製造や流通に関する専門知識を体系的に身につけられる資格です。栄養成分や原材料などの基礎知識はもちろん、食品表示のコンサルタントや責任者に向けた実用スキルまで幅広く学べます。
本資格は一般社団法人食品表示検定協会が主催をしており、2021年7月時点では145,161人の受験実績を確認しました。試験はレベル別に、初級・中級・上級とて別れており、食品製造業と食品小売業に携わる方々を中心に受験が行われています。
フードアナリストは食文化や料理の歴史、法律などを総合的に身につけるための資格です。全部で9つの分野を学習し、食の専門家を目指します。
本資格は、一般社団法人日本フードアナリスト協会が運営しており、420社を超える企業と100校を超える全国の大学・短大・専門学校で導入済みです。転職後は商品開発やマーケティング、プロモーションなどの部門において資格を生かすチャンスがあります。顧客の立場にたって商品の評価を行いたい方に向いている資格でしょう。
食品の適切な調理法や衛生面での知見など、調理に関する業務スキルを身につけられるのが調理師資格です。スキルを磨くための養成施設を卒業するか、飲食店で実務経験を積んでから試験にチャレンジすることで免許を取得できます。
こちらは、公益社団法人調理技術技能センターが運営主体となって開催されている資格です。試験は全国の指定会場にて受験できますが、受験資格を満たした方のみが受験可能となっているため、自分に受験資格があるのかを前もって確認するとよいでしょう。
QC検定(品質管理検定)は、品質管理に関する知識を測定するための資格です。4級から1級・準1級まで品質管理の種類やレベルに応じて級が分けられているため、食品業界に限らず、あらゆる業界で役立ちます。
品質管理検定運営委員会が管理運営している資格であり直近(2016年時点)では、年間受験者数約126,000人、累計合格者数は439,000人を超えています。また、受験資格に制限がないのも特徴です。
貿易実務検定は、その名のとおり貿易実務に関する実力を測るための資格です。輸出入における物流や資本の動きを理解し、各種手続きがスムーズに行われるための知識と技術を磨きます。昨今、輸入や輸出を行う食品メーカーは多く、転職活動時に有利に働くかもしれません。
本資格は日本貿易実務検定協会によって主催されており、A級・B級・C級と3つのランクに分けて試験が行われるのが特徴です。また、物流に関する知見も得られるため、小売や卸売へ商品を流す際のイメージがしやすくなるのも、メリットのひとつでしょう。
食品メーカーへの転職時に適切な志望動機を表現できれば、選考の場で高い評価にもつながるため、採用確率も高まるでしょう。ここでは、食品メーカーの職種別に志望動機を紹介します。職種ごとの参考として活用してみてください。
営業・販売を募集している企業に応募する場合、商品のよさを知っていることや、売上に貢献できることをアピールするとよいでしょう。商品にまつわる具体的なエピソードを絡めて動機を作成するのがおすすめです。
「私は、貴社の商品をより多くの方に届けられる存在になりたいと考えています。私は過去にひどい体調不良で寝込んだことがあり、その際に友人から貴社で販売されているおかゆを紹介してもらいました。ひとり暮らしの私には大変心強い存在だったのを覚えています。私以外にも、もっと多くの方にも知ってもらいたいとの想いから志望した次第です」
事務を希望して応募する場合、WordやExcelといったPCスキルは必須です。実務でどのように役立てられるかのイメージが湧くように説明しましょう。
「正確なデータ管理と書類作成スキルで貴社に貢献したいと考えています。私はこれまで、ホテル業界の接客として業務に携わってきました。顧客情報や予約管理といったデータの整理で困惑していたところ、事務職の方からアドバイスをいただき業務が効率化した経験があります。私もその方のように、個人的に学習してきたWordやExcelのスキルを活用して貢献していきたい所存です」
企画を希望する場合、過去の経験とアイデアを結びつけた説明を意識しましょう。「企画によって、自分がどのような価値を生み出せるのか」をアピールできるよう、志望動機を考えてみてください。
「私は、貴社で長く親しまれる商品の開発に携わりたいと考えています。前職ではマーケティング職として、調理家電の市場調査から販売戦略の立案までを担当していました。家電を多くの方に使ってもらえることにもやりがいを感じていましたが、今度は私たちの生活に欠かせない「食」に関する商品を企画して顧客に喜んでもらいたいと考えております」
開発・生産管理を募集している企業に応募する場合、開発力や技術力を絡めて、ビジネスに貢献できるというアピールがよいでしょう。視野の広さなども開発・生産管理部門に効果的なポイントです。
「貴社の開発・生産管理部にて、誰もが満足する商品を開発できる技術者になりたいと考えています。私は学生時代に化学を専攻しており、卒業後も医療業界にて開発職に携わっていました。営業の担当者と連携をとりつつ、消費者の意見を反映させた商品の開発を得意としています」
転職成功を目指すうえで、面接の対策は欠かせません。面接官からの質問に対して適切な回答を伝えられないと、採用が遠のいてしまうでしょう。ここでは、食品メーカーへ転職するための面接のコツについて解説します。
最初に「なぜ食品メーカーを選んだのか」について説明しましょう。食品メーカーを選んだ理由は、どの企業の面接でも問われるためです。
特に未経験から食品メーカーを志望している場合は、説得力のある理由を伝える必要があります。これまでの経験や前職で培ったスキルを絡めた回答ができれば、より効果的です。「食品を通じて自分のキャリアと企業のどちらも成長させたい」といったアピールも好印象につながるでしょう。
面接官から「別の企業でもいいのではないか」と思われないためにも、数ある食品メーカーの中から「なぜ志望先の企業に応募をしたのか」を伝えましょう。
理由を伝えるのが難しい場合は、志望先企業の特徴を踏まえて回答すると説得力が増します。たとえば、マーケティングに力を入れている企業であれば、新規顧客の開拓案や商品の改善点に触れましょう。「自分のスキルを生かして企業の課題を解決したいから」といった理由であれば、高い評価にもつながりやすくなります。
採用された後にチャレンジしたいことや、志望先企業で達成したい目標を伝えましょう。これは、志望先の企業が新規で採用する人材に、少しでも長く活躍してほしいと考えるためです。
そこで、現在の自分ができることを把握し、短期的に貢献できることと長期的に達成したい目標を分けて考えます。将来的に身につけたいスキルや何年後までに何を達成したいかをうまくまとめると、将来のビジョンを伝えやすくなるため、論理的なアピールとなるでしょう。
未経験から食品メーカーへの転職を検討しているなら、志望先の企業について入念な下調べが求められます。そこで活用したいのが、転職エージェントです。転職エージェントでは、業界に精通したキャリアアドバイザーによって、転職活動に必要な情報を得られます。
そして数ある転職エージェントの中でもおすすめしたいのが、マイナビエージェントです。マイナビエージェントは、求人の紹介だけでなく応募書類の添削から面接対策に至るまで幅広いサポートを行います。転職活動が初めての方も安心して利用できるサービスでしょう。
食品メーカーは未経験からの転職も可能です。幅広い職種があるため、それぞれの特徴を押さえて、自分に最も向いているものを探しましょう。転職成功率を上げるためには、職種に合った志望動機の作成と面接対策が欠かせません。
マイナビエージェントでは、業界専任のキャリアアドバイザーが在籍。丁寧な面接をとおして、あなたのスキルや経験に合った求人をご紹介します。初めて転職する方や、転職に不安がある方はぜひお気軽にご相談ください。
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