更新日:2022/07/08
この記事のまとめ
「ものづくり」を支える機械メーカーは、専門的な知識や技術が必要にはなるものの、転職先として人気の高い業界です。世の中のニーズに合う製品を自らの手で企画・開発して作り出す、やりがいのある仕事でもあります。しかし、未経験だからと転職をためらう方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、機械メーカーに未経験で転職するための基礎的な知識や必要となるスキルを紹介します。
目次
機械メーカーとは「機械を作る会社」です。自動車や医療機器、食品生産機械、空調機器など、さまざまな企業があります。機械メーカーの仕事内容を把握し、自分にどの職種が合うのかを考えましょう。
機械メーカーの代表的な仕事として挙げられるのが「エンジニア」です。エンジニアは研究や技術開発から生産、加工、品質管理までさまざまな部門で活躍する職種です。
企業によって部門や仕事の分け方が異なりますが、大企業であるほど細かい部門に分かれて連携体制を取ります。
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機械メーカーの労働環境は、企業の経営方針によって異なるケースが多いです。大手かベンチャーかなど企業規模によっても変わり、たとえば大手は承認を要するフローが多いのに対し、ベンチャーは全体の流れがスピーディーです。
また、作るものによっても差が出やすいといえます。自動車メーカーのエンジニアは、エクステリア関連やエンジンなど大きく5つの部門に分けられ、それぞれが各部品を開発しながら蜜に連携を取ります。そのため、部門内外でのチームワークやコミュニケーションが欠かせない環境です。
機械メーカーのエンジニアの需要は増加傾向にあります。特に医療業界や自動車産業は将来性があるといえるでしょう。
医療の分野では、日本の最新医療機器の海外人気が高まっているほか、病院で使う機器だけではなく個人が使う医療機器の開発にも積極的です。
自動車産業の分野では、環境に配慮したハイブリッド車やEV車の開発、安全性能が高い車など、次世代自動車の開発が活発です。
マイナビエージェントの調査では、機械メーカーの平均年収は450万円程度となっています。機械メーカーの年収から読み取れる特徴としては、20代から30代の金額の伸び幅です。20代の年収は400万円程度ですが、30代になると500万円以上となり、100万円以上の年収アップが期待できます。
これは、実務経験を積むことによる知識の習得や、技術力の向上が要因と考えられます。
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機械メーカーに正社員として所属している場合、管理職へのキャリアアップが可能です。エンジニアとしての実務経験を積むことで、設計担当者から技術リーダーや管理マネージャーなどへのキャリアパスがあります。また、他部署へ移動したり、大企業へ転職したりする方もいます。
機械メーカーへの転職は、実務経験がなくとも採用される可能性は十分あります。専門性の高い仕事ですが、知識や技術は実際に経験を積むことで向上できるため、基礎知識さえ身につけていれば未経験でも転職可能でしょう。下記でもう少し詳しく解説します。
数年前まではメーカーの海外移転が激増していましたが、2021年半ばころからは技術流出の懸念や開発スピード・生産技術の向上などから国内回帰の傾向にあります。結果、国内の技術者の数が足りず、採用熱が高まっているのが現状です。
企業は未経験であっても多くの人材を採用し、教育することで技術の向上を目指しています。現在は転職に最適なチャンスの時期といえるでしょう。
機械メーカーは常に即戦力を求めています。そのため、特にエンジニアは実務経験のある人材を採用する傾向が高く、未経験者にはハードルが高い一面もあります。
しかし、エンジニアとしての経験がなくとも、電気・機械系企業での職務経験がある方や、学生時代に機械工学を学んだ方は未経験でも採用されやすい傾向です。
未経験者を積極的に採用し、一から丁寧に教育している企業もあります。
機械メーカーで働くには、エンジニアはもちろんほかの職種であっても基礎知識を身につけましょう。特に理系の四力学(機械力学・熱力学・材料力学・流体力学)は必須です。
四力学を理解すれば、材料の選択から研究、開発、設計、製造に至るまでの機械の仕組みを把握できます。大学や専門学校で学ぶ科目ですが、職業訓練所やオンライン講習、参考書での独学も可能です。
ほかにも、図面を書くために必要なCADの基本操作は、スクールやオンライン研修で学ぶこともできます。
「ものづくりが好き」であることが、機械メーカーに転職する大前提です。専門性が高く、転職後も知識・スキルの向上が必要なため。機械に関する興味がないとついて行くのが厳しいでしょう。ここでは、未経験でも機械メーカーに転職できる人の傾向を紹介します。
機械メーカーのエンジニアは、ものの研究から設計、製造、管理まですべての工程を行います。そのため、ひとつの製品を一から作り出すことに関心が高い人材が望まれます。機械の構造について興味がある方も同様です。さらに、設計図やロボット工学などが好きな方にも向いています。
機械に対する情熱や探求心があれば、技術習得やスキル向上につながると見なされ、未経験でも転職しやすいでしょう。
機械メーカーは、最新の技術や研究、業界の動向を広く知る人材を求めています。そのため、新しい情報を得ることへの知的探求心や知識欲が強い方が適しています。
また、自らが求めたものを具現化できる行動力、仕事に対する意義や価値を見つける主体性も重要です。さらに、目的を達成するための意欲や集中力も、転職できる方の傾向として挙げられます。
エンジニアの仕事は、数ミリ単位での調整や同じようなテストを何度も繰り返します。こつこつと地味な作業を継続できる忍耐力と粘り強さは必要で、細かな作業でも苦にならない方が向いています。
これらは特に開発や設計に就きたい場合に必須となる資質で、チャレンジ精神やあきらめない心を持つ方が求められています。
機械メーカーではチームで動く仕事が多くあります。他部署や部門との連携でより良い製品を作り出す必要があるため、コミュニケーション力が高く、チームワークや協調性を大切にする人材が評価されます。こうした対面スキルは、情報の行き違いを防ぐことにもつながるでしょう。
なお、管理職へのキャリアアップを目指す方は、リーダーシップをはじめとする管理能力も必要です。
未経験でも知識を身につけておけば転職が可能ですが、はじめから詰め込みすぎる必要はありません。まずは、自分ができそうな勉強から始めましょう。ここでは、未経験の方が機械メーカーへ転職する際に有利になり得るスキルと資格を紹介します。
大学や専門学校で四力学を学んだ方は、機械メーカーへの転職に有利です。エンジニアリングの基礎知識がない場合は、参考書などで積極的に学習しましょう
また、電気や機械系の職務経験がある方も有利といえます。設計や生産技術の経験があれば、採用される可能性があります。
機械メーカーのエンジニアには設計ツールを使えるスキルも必要です。設計や作図で使うソフトはCADが大半で、CAD利用技術者の資格を取得するためには事前のスキル習得は欠かせません。設計スキルはスクールのほか、インターネットでの学習もが可能です。
大手の機械メーカーは、グローバル展開をしている企業が多くあります。顧客メーカーが海外にシフトするため、語学力の高さは重宝されるでしょう。主に営業職で役立つスキルです。
英語は基本ですが、中国語やスペイン語、タイ語など、機械メーカーが海外進出している国の言語を学ぶのもよいでしょう。また、海外勤務にも積極的なバイタリティーがある方も評価される傾向があります。
CAD利用者技術試験は、CADシステムの知識、CADを利用した作図の技能を証明する資格です。IoTやAIの時代により生きるスキルで、面接時のアピールポイントとなります。
試験には2次元試験と3次元試験があり、2次元は基礎、2級、1級の階級があります。図面を正しく理解した作図を効率的に行うスキルが求められます。
3次元は、新時代のものづくりの担い手として重要な技術者を認定する試験です。2級、準1級、1級の階級があり、未経験者でも受験できますが、準1級・1級は2級を合格してからでないと受けられません。
参考:『CAD利用者技術試験|一般社団法人コンピュータ教育振興協会』
技術士の資格は、科学技術に関する高度な知識と応用能力を認めるための国家試験です。エンジニアとしての能力を証明できる資格として役立ちます。
試験には第一次と第二次があり、全21ある専門の技術部門に分かれています。機械メーカーに転職するなら機械工学系の資格を取得しましょう。
第一次試験合格者は技術士補(修習技術者)と呼ばれ、技術士は口頭試験がある第二次試験に合格して始めて名乗ることができます。ただし、第二次試験を受けるには実務経験を積む必要があるため、転職後にキャリアアップしたい方向けです。
機械メーカーは未経験でも転職可能です。メーカーのエンジニアが不足している現在は、未経験者が転職するチャンスの時期でもあります。高い専門知識が求められるため、少なくとも基礎的な知識は転職活動時に見つけておきたいものです。
マイナビメーカーエージェントでは、メーカーの転職事情に精通したキャリアアドバイザーと各企業と太いパイプを持つリクルーティングアドバイザーがチームとなり、一人ひとりに合ったサポートをしています。転職先の紹介はもとより、面接対策、条件交渉までお力になれます。メーカーへの転職を検討している方はご相談ください。
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