更新日:2023/05/11
この記事のまとめ
華やかな印象が強い広告業界ですが、将来性を不安視する声も聞かれます。広告業界への転職を考えており、今後の展望について詳しく知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、広告業界の先行きを左右する4つの要素や今後必要とされる人材、転職のポイントについて解説します。転職を成功させるためにも、広告業界の今後の展望をしっかりと押さえておきましょう。
目次
広告業界の今後は明るいといわれることがあれば、期待できないという意見もあります。広告業界への転職を考えており、将来性について不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
実際、昨今の不景気による影響、3rd party Cookie の規制に伴うリターゲティング広告の仕組みの崩壊などを受け、広告業界には将来性が期待できないといわれることも少なくありません。ただし、インターネット広告をはじめとする広告全体の売り上げは継続的に伸びており、また、新たな技術を用いた広告の需要拡大が見込まれていることから、今後も広告業界の将来性は明るいともいえます。
広告業界の将来を左右する要素には、ポジティブなものもあればネガティブなものもあります。広告業界の今後は、これらの要素をきちんと見極め、時代に合った変革を遂げていけるかどうかにかかっているといえるでしょう。ここでは、広告業界が直面している4つの実情を紹介します。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2022年における広告業界全体の売上高は5兆6,687億1,200万円です。そのうち、テレビ広告の売上高は1兆3,190億6,500万円で全体の23.3%であったのに対し、インターネット広告の売上高は1兆4,369億8,800万円で全体の25.3%にのぼりました。
インターネット広告の売上高がテレビ広告を上回っており、広告業界におけるデジタル化の波は顕著であるといえるでしょう。スマートフォンやタブレットなどデジタル機器の普及を背景に、今後もデジタル広告の需要拡大が見込まれています。
広告費は国民の消費額に連動しているといわれています。しかし、少子高齢化が進む日本にあって人口の減少は避けられません。消費額の減少が広告業界の今後に暗い影を落とすものとなっているのが現状です。変動する物価や将来への不安を背景に広がる買い控えなど、消費の落ち込みを誘発する理由はほかにもあります。
広告業界の中には、広告だけにこだわらない多角的なビジネスにすでに取り組み始めている企業も存在します。将来を見据えた事業の拡大・変革が、広告業界の今後を左右するといっても過言ではありません。
これまで広告業界の主流だったのは、「テレビ・新聞・雑誌・ラジオ」のマスメディア4媒体の広告枠を売る仕事でした。
一方、近年伸長傾向にあるインターネット広告事業は、広告枠ではなく広告の効果を売るビジネスです。広告業界全体は、この広告の効果を売るビジネスへの変化を求められています。広告枠を売って終わりではなく、広告を出稿した効果を検証してさらなるビジネス拡大へとつなげるサポートまでできる企業が、今後の広告業界をけん引することになるでしょう。
日本では長らく国内需要をターゲットとした広告事業が営まれてきました。しかし、国内消費の減少が見込まれる昨今にあって、海外進出は必須の選択肢といえるでしょう。
大手広告代理店各社は、すでに米国、欧州、アジア、中東、アフリカなどさまざまな国で事業に乗り出しています。デジタル需要の拡大にあぐらをかき、国内市場にとどまっていては将来性に期待できません。海外には今後も人口増加が見込まれる多くの市場が広がっています。海外進出に成功すれば、継続的で安定したビジネスへとつなげていけるでしょう。
広告業界では、広告代理店や広告制作会社などさまざまな企業が活躍しています。広告業界への転職を考えているのであれば、それぞれの企業がどのような役割を担っているのかを理解しておきましょう。ここでは、広告業界で活躍する企業の特徴について解説します。
広告代理店とは、クライアント企業の広告活動を代理で行う企業のことです。広告媒体には、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマス広告、WebサイトやSNSを利用するインターネット広告、看板広告やデジタルサイネージ、ポスティング、フリーペーパーなどを利用するSP(セールスプロモーション)広告などがあります。なお、広告代理店は広告媒体やクライアントの違いにより以下の3つに分けられます。
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広告制作会社とは、広告の提案や企画デザイン、印刷物の手配など広告そのものを作る企業のことです。主に広告代理店やクライアントから依頼を受けて広告を制作します。
新聞の折り込みチラシや雑誌広告、フライヤーなどの紙媒体が得意な制作会社、動画などの映像制作やSNS上の広告制作が得意な制作会社、レシピや調理動画といった食品業界に特化した制作会社など特徴はさまざまです。
イベント会社とは、クライアントや広告代理店の依頼を受け、イベントの企画から運営までを請け負う企業のことです。展示会やセミナー、カンファレンス、コンサート・ライブ、物産展、フードイベント、スポーツイベントなどイベントのスタイルは実にさまざまで、開催目的もクライアントによって異なります。クライアントの要望をしっかりと理解し、目的を達成できる企画にすることが重要なミッションです。
アドネットワークとは、Advertisement Networkの略で、「広告のネットワーク・通信網」を意味します。多数のWebメディアやアプリを束ね、広告を配信するネットワークのことです。
アドネットワークを管理するのがアドネットワーク事業者です。広告主からの依頼に基づき、提携しているWebメディアやアプリの中から親和性の高いメディアやアプリを選定して広告を配信します。アドネットワークを利用すると、一度に多くの提携メディアに広告を掲載でき、インプレッション、クリック、CTR、CV、CVRといった効果測定を今後のビジネスに利用できるメリットがあります。
メディアレップはMedia Representationの略で、直訳すると「メディアの代理」となります。インターネット広告専門の代理店で、インターネット広告媒体社と広告主・広告代理店とを仲介する企業です。インターネット広告に関する専門知識を武器に、広告の制作からWebメディアへの入稿、効果の測定までを担います。
インターネット広告を取り扱う広告代理店もありますが、メディアレップはインターネット広告の管理や専門的な知見、業務の効率化に長けているのが特徴といえるでしょう。
大きな変革の時を迎えている広告業界では、求められる人材が従来とは変わりつつあります。ここでは、広告業界が今後必要とする人材のタイプを4種類紹介します。広告業界への転職を見据えるうえで、自分のキャリアやスキルが広告業界にマッチするかどうかを確認しておきましょう。
インターネット広告の拡大に伴い、IT人材の需要はますます増大しています。実際、広告代理店をはじめとする広告業界の各企業は、IT人材の採用件数を増やしたり、Web関連スキルを採用条件に含めたりするようになってきました。
AIや5Gなどのテクノロジーを使い、ユーザー一人ひとりに合わせた広告の自動作成が期待される中、高度なテクノロジーを使いこなすITエンジニアや新たなプラットフォームを作り出す技術を持つ人材、広告のセオリーにデジタルマーケティングの理論を取り入れられる人材が求められています。
変化の早い広告業界では、新たなアイデアやインパクトのある提案が求められています。しかし、それらのアイデアや提案には、クライアントを納得させるだけの根拠と成果を期待できる合理的な理由が必要です。ここで活用されるのがビッグデータで、綿密な情報分析を実行力のある提案へとつなげていきます。
これまでも企業や商品の認知度、ユーザー数、PV数、コンバージョン率、フォロワー数、リアクション数などを利用する広告手法が展開されてきました。しかし、近年はこういったデータをクライアント自身も収集し、プロモーションに活用するようになっています。
広告代理店をはじめとする広告のプロには、クライアントにはできないデータの収集・分析を根拠とする独自の提案が求められているといえるでしょう。そこで必要とされるのが、ビッグデータに関する知識やノウハウを持った人材というわけです。
マス広告からインターネット広告へと主軸が移る中、従来のビジネスモデルだけでは今後の広告業界を生き抜いていけません。
そうした状況下、単に広告枠を売るのではなく、検証した広告効果をクライアントのビジネス戦略につなげるコンサルティング事業、クライアントのブランドビジネスの運営事業など、さまざまな取り組みを始めている企業も存在します。広告業界には、新たな切り口でビジネスを創造できる柔軟な人材が求められているのです。
広告業界では、クリエイター採用においても柔軟で幅広い対応ができる人材のニーズが高まっています。与えられた仕事をきちんとこなすだけでなく、自ら提案したり、クライアント対応やプランニングを行ったりといった業務領域の広い人材のことです。業務の枠にこだわらず新しいことを吸収する意欲がある人材、提案力や解決力がある人材は、変化の激しい広告業界において今後ますます求められていくでしょう。
未経験から広告業界を目指したいと考えている人もいるでしょう。人気の高い広告業界への転職で採用を勝ち取るには、事前に転職活動のコツを押さえておくことが大切です。ここでは、広告業界への転職を成功させるために知っておきたい4つのポイントを紹介します。
インターネット広告をはじめとするデジタル技術への投資を積極的に行っている企業であれば、ITスキルは大きな強みになります。コンサルティング事業に取り組んでいる企業は、マーケティングの知識のある人材を必要としているでしょう。海外進出を目指している企業であれば、語学力が高く評価されます。
広告業界の今後を見越したビジネスを展開している企業であっても、求める人物像はそれぞれ異なります。自分の強みを活かせる企業を見つけられれば、転職に成功する確率を高められるでしょう。
広告業界は未経験からでも挑戦できる転職先ではあるものの、人気が高く、転職難易度は高いといわざるを得ません。選考では、なぜ広告業界なのか、なぜその企業で働きたいのか、なぜその職種なのかなど、志望動機が明確でなければ採用担当者に興味を持ってもらえないでしょう。やる気やポテンシャルを印象づけるためにも、採用担当者を納得させられる志望動機を考えることが重要です。
やる気やポテンシャルがあることを証明するのは簡単ではありませんが、資格という目に見える判断材料を提示できれば、転職への本気度とスキルを証明できます。転職活動に役立つ資格には、主に以下のものがあります。
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広告業界への転職を成功させるうえでおすすめなのが、転職エージェントの利用です。広告業界では特にIT人材が必要とされているため、自分のスキルや経験にマッチする企業がうまく見つかれば、スキルを活かした転職を成功させられるでしょう。
ただし、企業がどのようなビジネス展開を念頭に置いているのか、どのような人材を探しているのかを求人情報から読み解くのは至難の業です。その点、転職エージェントは企業の内情に通じており、応募者に最適な転職先を探してくれます。志望動機の添削や面接対策もサポートしてくれるため、転職活動で自分の強みを十分にアピールできるでしょう。
デジタル広告の拡大や少子化など、広告業界の今後を左右する要素にはさまざまなものがあります。時代の変化を見越したビジネスを展開できる企業であれば、今後の将来性に期待できるでしょう。
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