更新日:2022/04/12
一般的に「法人営業」とは、法人を顧客として営業を行う業務を指します。
銀行にも自治体、公共機関、団体などの大口顧客を対象とした法人営業部があり、融資業務を中心とした幅広い金融サービスを提供しています。
ここでは、銀行の法人営業という仕事について、詳しい業務内容や仕事の魅力のほか、求められるスキルについてご紹介します。
目次
銀行の法人営業の主な業務内容は、企業などの法人顧客に対して、融資や預金などの金融サービスを提供することです。顧客の中心は企業ですから、「金融を通じての経営、事業支援」が業務の目的です。
具体的な業務内容は以下のとおりです。
銀行の法人営業という職業のやりがいは、業務を通じて顧客企業の経営を支援し、企業を成長させていく喜びにあるでしょう。
企業の成長は顧客企業に喜ばれるだけでなく、雇用を生み、経済活動を活発にするなど、社会に対する貢献も大きいものです。金融を通じて経営者とともに企業を育てていく喜び。これは銀行の法人営業ならではの魅力ではないでしょうか。
法人営業は、お金を借りたい企業に対しては周到な調査を行い、貸付けが適切かどうかの評価を行います。この評価を受けて、銀行の融資部門が実際に貸付けをするかどうかを審査・決定するのです。
中でも、設備投資や新規事業などの資金の貸付けについては、投資によって十分な採算が見込めるかどうかを調べるために、業界研究や競合調査、立地、収益予測など、広範なマーケティング調査が必要になる場合もあります。
もちろん、企業のキャッシュフローや資産状況、担保などを念頭に置きながら、不測の事態に陥っても確実に貸付金を回収できるかどうかといったシビアな判断も重要です。とはいえ、「返せるか、返せないか」だけで融資の可否を判断するのではありません。そんなことなら、銀行の法人営業には存在意義がありません。
貸付金の回収は絶対的な任務ですが、原則としては顧客とともに考え、金融の専門家としての知見や銀行の組織力を活かして、顧客の課題を抽出し、問題解決と顧客企業の成長を目標に支援していくのが本来の法人営業の役割です。銀行として顧客企業に対し、できる限りのことをし、融資効果を最大限にすること。ここに銀行の法人営業の使命があります。
銀行の法人営業の難しさは、一般的な銀行業務と異なり、「ビジネス視点で金融サービスを捉える」という点にあります。前述のとおり、法人営業は顧客企業に対し、お金を「返せる、返せない」だけではなく、会社が健全な経営を行っているのか、会社が行っている事業は、今後伸びるのかどうかなどを総合的に判断し、金融サービスを提供するかどうかも含めて検討しなくてはいけません。
具体的に、銀行の法人営業の難しさにはどのような点があるのかをご紹介します。
銀行の役割はあくまで融資であり、ベンチャーキャピタルなどが行っている投資ではありません。「貸し倒れのリスクもあるが、非常に魅力的な事業計画にイチかバチかで賭けてみよう」ということは許されません。もちろん、銀行の方針によっては、ある程度のリスクを背負うこともありますが、融資である以上、100%の回収が前提にあるのです。
銀行の法人営業には、金融業務に関するスキルはもちろん、相手企業やその業界に関する知見が求められます。さらに、経営コンサルタントのような経営そのものに関するスキルも重要で、理想的なのは中小企業診断士のように経営の診断や助言ができることです。
銀行の法人営業をやっていると「運転資金が足りない。お金を貸してもらえないと会社が倒産する。必ず返すからなんとか貸してくれ」などと、経営者から情に訴えられる局面にも遭遇します。
心情的には貸してあげたいところですが、返済できるかどうかが不鮮明であれば、シビアな判断を下さなくてはならない場合もあるのです。
このような状況が銀行の法人営業にとって、最も苦しいところでしょう。
銀行の法人営業を仕事とする場合に、求められるスキルをご紹介します。
企業の経営や財務に関する分析、診断、コンサルティングを行えるレベルの経営・財務スキルが求められます。
例えば、MBA(経営学修士)や中小企業診断士のような資格を持っていれば理想的ですが、そうした資格がなくても体系的な知見を身に付けられるよう勉強しておくべきでしょう。
顧客との信頼関係は、あらゆる銀行員にとって生命線ですが、特に法人顧客と接する法人営業は、誠実で裏表のない態度、顧客を差別しない、相手の懐に飛び込んで本音の話し合いができるなどのヒューマンスキルが必要不可欠です。
また、相手の話をよく聞き、必要な情報を正しく引き出すヒアリング能力、自分の意見を的確に伝えるプレゼンテーション能力なども重要でしょう。
金融業界は競争の激しい世界です。激務に耐えて成長していくためには、体力やスタミナが要求されます。また、経営者にとって融資が受けられる・受けられないは死活問題ですから、思うような融資が受けられない場合にはきつい言葉を投げつけられたり、乱暴な態度をとられたりすることもあります。そうした局面でも的確な判断ができるよう、精神面でもタフであることが要求されます。
銀行の法人営業は、顧客との接触機会が多く、関係が長期化するうちに不正が生じてしまうというコンプライアンスリスクがあります。例えば、どうしても追加融資してほしい顧客から便宜供与を受けたり、「この企業に融資してあげたい」という気持ちから稟議書に不都合な事実を記載しなかったりといった不正です。
こういった不正を防ぐために、ゆるぎないコンプライアンス意識が必要となるでしょう。
ここでは、銀行の法人営業という職種について、業務内容や魅力、やりがい、厳しさ・難しさ、求められるスキルなどの概要を説明してきました。
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