更新日:2025/04/10
この記事のまとめ
自分に合った雇用形態を選択することは、仕事と人生の充実度を高めるうえで重要な要素です。しかし、実際には正社員とパートの違いを詳細に把握している方は少数派かもしれません。
正社員とパート社員には、雇用契約の期間、勤務時間や日数、給与形態、社会保険・雇用保険への加入条件など、さまざまな点で違いがあります。それぞれの働き方にはメリットとデメリットがあるため、自分のライフスタイルや将来のキャリアプランに合わせて、最適な選択をすることが重要です。
この記事では、正社員とパート社員の違いを具体的に解説し、それぞれの働き方のメリットとデメリットを例示します。自分らしい働き方を実現するために、ぜひ参考にしてみてください。
目次
パート社員とは、正社員と比較して勤務時間や労働日数が短い労働者のことです。具体的には、同じ事業所で働く正社員の1週間の所定労働時間よりも短い時間で働く社員が該当します。
「パート」や「アルバイト」、「嘱託」、「準社員」など呼び方は企業によって異なりますが、労働時間の短さが共通の特徴です。パート社員は正社員とは異なる労働条件で働くことになるため、双方の違いを理解しておくことが転職後のミスマッチを防ぐための第一歩です。
正社員とパート社員では、雇用の期間や労働時間、給与体系が異なるほか、社会保険の適用条件や福利厚生の手厚さにも違いがみられます。仕事の責任範囲やスキルアップの機会にも違いがあるケースが一般的です。ライフスタイルや志向に合わせた働き方を実現するために、まずは一般的な傾向を押さえておきましょう。
雇用契約期間の違いは、正社員とパート社員の働き方や待遇に大きな影響を与えています。正社員は契約期間の定めがない無期雇用契約を結ぶのに対し、パート社員は有期雇用契約が一般的であることが大きな違いといえるでしょう。
パート社員の場合、契約期間は3ヵ月、半年、1年など企業によってさまざまですが、労働基準法第14条により、1回の契約期間は原則として最長3年です。ただし、労働契約法第18条が示す要件を満たした労働者の申し込みにより、有期雇用から無期雇用への転換を可能にする「無期転換ルール」もあります。
参照:労働基準法|e-GOV法令検索
参照:労働契約法|e-GOV法令検索
正社員は所定労働時間にしたがってフルタイムで働きますが、パート社員の場合、1日8時間未満、1週間で30時間未満など、正社員よりも短い時間で働くのが一般的です。
また、パート社員はシフト制で働くことが多い傾向にあり、労働時間や曜日が不規則なことも少なくありません。正社員と比べ、残業や休日出勤の機会が少ない傾向にあるのも特徴です。
正社員とパート社員とでは、給与形態に大きな違いがみられます。正社員は月給制や年俸制などの固定給が一般的ですが、パート社員は働いた時間に応じて給与が支払われる時給制が主流です。
正社員には支給されることが多い賞与も、パート社員へ支給されるケースは一般的ではありません。金額も正社員に比べて少ないことが多いでしょう。
正社員は社会保険と雇用保険への加入が義務付けられていますが、パート社員の場合、労働時間や雇用期間になどの要件によって加入の有無が決まります。パート社員が社会保険に加入するには、以下のすべての要件を満たす必要があります。
雇用保険は週20時間以上の労働と31日以上の雇用見込みがあれば加入できます。このように、パート社員は働き方次第で社会保険や雇用保険の適用から外れるケースもあるため、入社前に確認しておくことが大切です。
参照:政府広報|パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。
福利厚生には、法律で定められた「法定福利厚生」と、企業が独自に設ける「法定外福利厚生」があります。法定福利厚生には、健康保険や厚生年金保険などが挙げられ、法定外福利厚生には、社宅や家賃補助、社員旅行、慶弔見舞金、社員割引などが一例です。
パート社員は法定福利厚生の適用範囲が限定的で、法定外福利厚生を受けられないケースも少なくないでしょう。なお、年次有給休暇(年休)など一定の法定休暇は、基準を満たせばパート社員も取得可能です。
正社員とパート社員では、仕事内容と責任の範囲に違いがあることが一般的です。正社員は経験を積むことで、管理職など責任ある立場に就く可能性があります。幅広い業務を担当し、部下のマネジメントや意思決定に関わることもあるでしょう。
一方、パート社員の責任範囲は限定的な傾向にあります。ただし、意欲次第では、パート社員から正社員への登用の道も開かれているため、キャリアアップのチャンスが閉ざされているわけではありません。
一般的な傾向として、正社員には計画的な教育研修の機会が豊富にあり、幅広い業務を通して専門性を高めやすいのが大きな特徴です。
一方、パート社員のスキル向上の機会は比較的限られているものの、正社員への登用制度を設けている企業で勤務している場合、意欲次第ではスキルアップのチャンスはあるでしょう。
正社員、パート社員のいずれにしても企業の教育研修制度を確認しておき、自己啓発にも積極的に取り組みながらキャリア形成を図っていくことが肝要です。
2021年4月より、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」、いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」が全面的に施行されました。 この法律は、同じ企業で働く正社員(正規雇用労働者)とパート・有期雇用労働者(非正規雇用労働者)の間にある不合理な待遇差を解消し、雇用形態に関わらず公正な待遇の実現を目指すものです。
具体的には、基本給や賞与、手当、福利厚生、教育訓練の機会など、労働条件に関するあらゆる待遇など、正社員と非正規社員の間で不合理な差別的取り扱いをしてはならないと定められています。事業主には、待遇差の内容や理由について、パート・有期雇用労働者から求められた場合に説明責任も課せられました。
参照:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律|e-GOV法令検索
正社員とパート社員には複数の点で違いがありますが、仕事や働き方に求める条件は人それぞれのため、簡単に優劣が決まるわけではありません。ここでは、正社員で働くことのメリットとデメリットを解説します。自身の価値観に照らし合わせ、最良の選択をする参考にしてください。
正社員の大きなメリットは、雇用の安定性の高さです。無期雇用契約を結ぶ正社員は、会社から一方的に解雇されるリスクは低いです。
安定した雇用は、収入面での安心にもつながるでしょう。毎月決まった給与が得られるため、計画的な生活設計が立てやすくなることも特徴です。また、 安定した収入は金融機関からの信頼にもつながり、住宅ローンの審査やクレジットカードの作成など、社会的な信用を得るうえでも有利に働くことが予想されます。
一般的に正社員は長期雇用を前提としています。そのため仕事の裁量が大きくなり、キャリア形成がしやすいことも正社員として働くメリットのひとつといえるでしょう。
企業は正社員の育成に力を入れる傾向にあり、OJTや研修を通じて多様なスキルを身につける機会が豊富です。また、人事評価制度が整備されている企業が多く、成果を上げれば、昇給・昇格につなげやすくなります。
正社員は安定した環境の中で、スキルアップとキャリアアップを同時に目指せるのが大きな魅力です。意欲的に取り組めば、責任あるポジションに就き、会社の中核を担う人材としてのキャリアを築くことも可能でしょう。
正社員は、業務上の必要性に応じて転勤や異動を命じられることがあります。全国に支社や営業所を持つ企業では、数年ごとの人事ローテーションにより、勤務地が変更になるケースが少なくありません。
キャリア形成の一環とはいえ、慣れ親しんだ土地を離れるのは容易ではなく、家族を伴う場合は特に負担が大きくなります。会社の業務命令である以上、社員の個人的な事情を理由に転勤を拒否することは難しいのが実情です。一方で、突然の転勤は社員の生活を大きく変えてしまうため、会社側には一定の配慮が求められます。
パートとして働くメリットとデメリットを把握しておくことは、自分にフィットする働き方を見つけるうえで欠かせません。正社員と比べて柔軟な働き方ができる、未経験でも仕事に就きやすいなどのメリットがある一方、雇用や収入面での不安定さはデメリットといえます。メリットを重視する選び方も、デメリットを避ける選び方も、どちらも正解です。自分にとっての最適解を導き出しましょう。
パートで働くメリットとして、柔軟な働き方ができることが挙げられます。自分のライフスタイルに合わせて勤務時間や日数を調整できるケースが多く、家事や育児、介護などとの両立がしやすくなります。自分の体力や健康状態に応じて、無理のない範囲で働くことも可能です。
パートという働き方は、自分のペースで心身の負担を軽減しながら、社会とのつながりを維持することができる雇用形態であるといえるでしょう。
パートで働くメリットとして、未経験者でも就業可能な求人が多いことが挙げられます。パートの仕事内容は比較的シンプルなものも多く、特別なスキルや経験がない場合もチャレンジしやすいのが特徴です。
また、求人数自体が正社員と比べて多いため、自分の希望する働き方や条件に合った仕事が見つかりやすいメリットもあります。未経験からスタートできるパート求人は、これまでとは違う業界や職種にチャレンジしたい、と考える方にも魅力的です。
パートで働く場合、雇用と収入が不安定になりやすいというデメリットがあります。多くのパート求人は有期雇用契約で、契約更新がされない可能性もあるため、長期的な雇用が約束されているわけではありません。
また、シフト制での勤務が一般的なパートは、労働時間の減少が収入の減少に直結することが多く、将来の収入の見通しを立てづらいのもデメリットのひとつです。このように、雇用と収入の不安定さは、パートで働くうえで考慮しておきたい、大きな課題といえます。
パートから正社員へ、または正社員から正社員への転職を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、ポイントを3つピックアップしました。自身のライフステージやキャリアビジョンを見据えて、最適なタイミングで、自分に合った仕事に巡り合いましょう。
転職を希望する際は、タイミングを見極めることが重要です。たとえばパートから正社員への転職の場合、子育てが落ち着いた時期や、パートでスキルと経験を十分に積んだ後が狙い目です。自分のライフステージや仕事の経験値などを考慮し、周囲の環境が安定している時期を選ぶことがスムーズな転職につながります。
一方、正社員から正社員への転職では、自分のキャリアビジョンとのマッチングを重視することが肝要です。現在の仕事で一定の経験とスキルを積んだタイミングが転職に適しています。いずれにしても、自分にとってベストなタイミングを見極めることが、転職成功のカギを握っています。周囲の変化にもアンテナを張り、チャンスを逃さないよう備えておきましょう。
転職の軸とは、転職によってかなえたい事柄の優先順位を明確にすることです。自分の価値観やライフスタイル、目指すキャリアビジョンをもとに、仕事内容や働き方、待遇面など、転職先に求める条件の優先順位を定めましょう。
転職の軸を見定め、その軸に合う企業を選ぶことで、迷いの少ない転職活動につながります。ブレない判断基準を持つことは、満足度の高い転職への近道といえるでしょう。
自己分析と企業研究を十分に行い、ミスマッチを防ぐことも転職成功に欠かせない要素です。自分の強み、弱み、価値観、スキルなどを把握し、自己理解を深めることで、自分に合う企業や仕事を見極められます。
企業研究では志望先の事業内容や経営理念、社風などを入念にチェックしましょう。企業側のアピールだけでなく、第三者の情報や口コミサイトなども参考に多面的に分析することが重要です。自分と企業の相性を慎重に見極め、後悔のない転職を目指しましょう。
思い描くキャリアを実現するためには、転職のプロによるサポートを受けることがおすすめです。マイナビエージェントでは、豊富な求人情報と転職市場を知り尽くしているキャリアアドバイザーが、ご希望に合った転職先を見つけるお手伝いをします。
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正社員とパート社員では、契約期間や労働時間、仕事内容、給与体系、福利厚生など、さまざまな点が異なります。それぞれの特徴を理解し、自分にとって最良の働き方を選択しましょう。転職成功には、転職に踏み切るタイミングを見極めることや転職の軸を持つことなど、ミスマッチを防ぐ対策が必要です。
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