更新日:2024/12/23
この記事のまとめ
転職活動中、複数の企業から内定をもらうことは珍しくありません。しかし、「第一志望の企業の選考がまだ終わっていない」「入社を決めかねている」など、すぐに内定を承諾できないケースもあるでしょう。
そこでこの記事では、転職時に内定保留はできるのかについて詳しく解説します。伝え方のポイントや具体的な例文も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
内定保留は企業側の理解があれば可能です。特に他社の選考結果待ちや入社後の待遇確認が必要な場合は認められやすい傾向にあります。以下では、内定保留の可能性や具体的な対応方法について、実務的な観点から詳しく説明します。
転職活動における内定保留は、企業側の理解を得られれば可能です。多くの企業は、応募者が慎重に検討したうえで入社を決断することを望んでいるため、一定期間の保留を認めています。ただし、内定保留を申し出る際は、企業側への配慮が重要です。漠然とした理由ではなく、具体的な保留理由と回答期限を明確に伝えることで、誠実な姿勢を示せるでしょう。
なお、内定保留の申し出は、企業側の採用計画に影響を与える可能性があるため、できるだけ早めの判断が求められます。保留期間中も企業との連絡を密にし、状況報告を欠かさないことが、良好な関係を維持するポイントといえるでしょう。
内定通知を受け取った際、多くの場合は返答期限が記載されています。この期限内に結論を出せる場合は、特別な連絡をする必要はありません。まずは内定に対するお礼のメールを返信し、期限までに回答する旨を伝えておくことをおすすめします。企業によって返答期限は異なりますが、数日~1週間程度の設定が一般的です。
この期間内であれば、じっくりと検討する時間を確保できます。家族との相談や、現在の職場での退職時期の調整など、必要な準備を進められるでしょう。また、他社の選考結果を待つ場合でも、この返答期限内であれば余裕を持って判断できます。期限内に結論を出すことが難しい場合は、早めに保留の相談をすることが望ましいでしょう。
内定保留の期間は、企業によって対応が異なりますが、一般的に1週間程度が目安です。数日~1週間程度の保留期間であれば、多くの企業は柔軟に対応してくれる可能性が高いでしょう。しかし、1ヵ月以上などの長期間の保留は、企業の採用計画に大きな影響を与えるため、認められにくい傾向にあります。
なお、保留期間を延長する必要が生じた場合は、期限が切れる前に企業側に相談しましょう。状況によっては、さらなる期間の延長に応じてもらえる可能性があります。
転職時の内定保留は、企業の方針や採用の緊急度によって断られるケースがあります。特に、欠員補充のための採用や、即戦力として早期の入社を期待されている場合は、保留の要望に応じてもらえない可能性が高まります。また、ほかの有力候補者が同時に選考を進めている状況でも、申し出を断られることがあるでしょう。企業側は、入社意欲の高い応募者を優先的に採用したいと考えるためです。
内定保留を断られた場合、その場で承諾するか辞退するかの判断を迫られることもあります。このような事態を避けるためにも、内定保留を申し出る前に、他社の選考状況や自身の志望度を十分に確認しておくことが重要です。
転職活動中であれば、内定の獲得は本来なら望ましいことでしょう。それにもかかわらず「保留にしたい」と考えるのには、何らかの理由があるのが一般的です。ここでは、実際に内定を保留した方のよくある理由を紹介します。
複数社の選考が並行していた場合、志望順位の高い順から選考結果が出るとは限りません。内定獲得時、より志望順位が高い企業の選考結果が出ていない場合には、「ひとまず結果を待ちたい」と考えるのはよくあることでしょう。
スピーディーな転職を最優先する場合を除き、このようなケースでは志望順位の高い企業の選考結果が出るまで内定を保留するのが一般的です。
内定を得た企業に対し何らかの不安を抱えている場合にも、回答を保留することがあります。「企業から提示された雇用条件に不明瞭な点がある」などが不安の理由であれば、個人で調べるのには限界があるでしょう。そうした場合にはただ回答を保留するのではなく、改めて面談の機会を設けてもらうことを検討しましょう。
転職に際して、家族や親族の反対を受けることもあります。このような場合には、説得の時間を設けるために内定を保留するケースがあるでしょう。家族の同意が得られないまま無理に転職しては、大きな問題に発展する恐れがあるためです。
転職する際には現職での退職手続きが必要ですが、それらがスムーズに進まないと退職日および入社日が定められません。たとえば強い引き留めに合うケースや、想定よりも引き継ぎに時間がかかっているケースなどが挙げられます。
ある程度のめどがつけば入社日の交渉も可能ですが、退職手続きが順調にいっていない場合には内定をひとまず保留するしかないでしょう。内定承諾後の辞退は、企業に迷惑をかけてしまうためです。入社準備にかかる手間やコストが無駄になることから、場合によっては損害賠償を請求される恐れもあります。
ここでは、内定保留によって得られる2つのメリットについて詳しく解説します。他社の選考結果を待つことで、よりよい条件の比較検討が可能になることや、転職という重要な決断をじっくり考えられる時間が確保できることなど、具体的なメリットを確認してみましょう。
転職活動中に複数の企業を並行して受けている場合、他社の選考結果を待つことで、よりよい条件や自分に合った職場環境を選択できる可能性が広がります。特に第一志望企業の結果を確認してから判断したい場合は、内定保留が有効な選択肢となるでしょう。
また、複数の内定を比較検討することで、給与や福利厚生、キャリアパスなど、さまざまな観点から転職先を吟味できます。これにより、入社後のミスマッチを防ぎ、長期的なキャリア形成につながる選択が可能になるでしょう。
内定保留のもうひとつの大きなメリットは、転職という重要な決断をじっくりと検討できる時間を確保できることです。転職は人生の大きな転機であり、慎重に判断する必要があります。内定保留により、企業の将来性や職場環境、給与条件などを冷静に見直す機会が得られるでしょう。家族や信頼できる知人に相談し、客観的な意見を聞くことで、自分では気づかなかった視点を得られる可能性もあります。
転職時の内定保留にはメリットがある一方で、いくつかのリスクも存在します。ここでは、内定保留を申し出た際に直面する可能性のある2つの主要なリスクについて詳しく解説します。これらのリスクを理解し、適切に対処することで、内定保留による不利益を最小限に抑えることができるでしょう。
内定保留を申し出ることは、企業側に「入社意欲が低い応募者」という印象を与えるリスクがあります。特に、面接時に「御社が第一志望です」と伝えていた場合、他社の選考結果待ちを理由に保留を申し出ると、発言に矛盾が生じてしまいます。
また、回答期限を長く設定しすぎたり、設定した期限を守れなかったりすると、社会人としてのマナー違反とも捉えられかねません。企業側は内定を出した時点で採用活動を終了し、新たな社員の受け入れ準備を進めるため、慎重な対応が求められます。
内定保留を申し出た場合、最悪のケースとして内定取り消しとなる可能性があります。これは、企業側が採用枠を確保しておく余裕がない場合や、同時期に選考が進んでいるほかの応募者がいる状況で起こりやすいものです。
特に採用枠が限られている中小企業などでは、内定者の入社意欲が低いと判断された場合、次点の候補者への内定に切り替えるケースがあります。また、業務の引き継ぎや受け入れ準備のスケジュールが既に組まれている場合も、保留による計画の遅延を避けるため、内定取り消しの判断に至ることもあるでしょう。
応募先企業へ内定保留の連絡を入れるときには、電話とメールのいずれの手段においても明瞭な内容を心掛けることが大切です。ここでは、内定保留の連絡時に含めたい3つの内容と伝え方のコツを解説します。これらのポイントを押さえたうえで内定保留の連絡を入れれば、ビジネスマナーが身についている応募者と捉えられて悪い印象を持たれにくくなるでしょう。
応募先企業へ連絡する際は、あくまでも内定の「保留」であることを印象づけましょう。辞退と勘違いされたり、入社意欲が低い応募者だと思われたりしては内定を取り消される恐れがあります。誤解を招かないためには、要件をはっきりと伝えることが大切です。また、全体を通して前向きに考えての判断であることが伝わる内容となるように意識しましょう。
内定を保留したい旨を伝えたら、次は理由を簡潔に添えます。うそをつく必要はありませんが、企業にとっても納得しやすい理由にするのがおすすめです。たとえば、他社の選考結果を待ちたい場合には、そのことを伝えつつも「後悔なく、すがすがしい気持ちで入社したい」というように入社意欲を示すとよいでしょう。
保留の理由が雇用条件に関する疑問である場合は、保留の連絡とともに質問をしても構いません。話が混み入るようであれば、面談の機会を設けてもらうのもひとつの方法です。
保留期間は自ら提示しましょう。提示しなかった場合、企業に「いつごろになるか」と確認させる手間を取らせてしまいます。多忙な企業であれば、その時点で内定取り消しとなる恐れがあるでしょう。
ただし、保留を受け入れてもらいやすい期間は、内定通知メールに記載された返答期日から1週間ほどです。企業が人材の確保を急いでいない場合には2週間以上待ってもらえるケースもありますが、1ヵ月以上の保留期間を提示するのは、よほどの理由がない限り避けたほうが無難です。
ここでは、内定保留を伝える際に、企業との信頼関係を損なわないためのポイントを解説します。内定保留を申し出る際の具体的な注意点や、企業からの理解を得やすい伝え方を知っておくことで、保留交渉の決裂や内定取り消しなどのリスクを最小限に抑えられるでしょう。
内定保留の相談をする際は、内定通知を受けた際と同じ方法で連絡するのが基本的なマナーです。ただし、電話でのやりとりは記録が残らないため、後々トラブルになるリスクがあります。そのため、内定保留を申し出る際は、メールでの連絡がおすすめです。メールであれば、保留の申し出日時や、企業からの回答内容、保留期間などの重要な情報が記録として残ります。
保留期間や回答期限について認識の違いが生じた場合、メールの履歴があれば、双方の主張の根拠として活用可能です。また、企業側も内部での検討や承認手続きのために、書面での記録を必要とするケースが多いため、メールでの連絡は円滑なコミュニケーションにつながります。
内定保留を交渉する際には、礼節をわきまえた伝え方を心掛けましょう。失礼な態度や強引な印象を与えると、企業からの信頼を損ね、内定取り消しという最悪の事態を招く可能性があるため注意が必要です。理由が同じでも言葉選びや応対次第で、相手の抱く印象は異なります。電話やメールにおけるビジネスマナーをきちんと守るほか、なるべく早めに連絡することが大切です。
なお、内定保留にはいくらかのリスクがあるとはいえ、理由があれば遠慮する必要はないでしょう。むしろ状況を省みずに承諾しては、後悔やトラブルの原因につながりかねません。
内定を保留したい理由と選考時に企業へ伝えた内容に矛盾が生じないように気をつけましょう。たとえば、以下のような回答はNGです。
このように一貫性がない回答をすると企業に不信感を与えてしまい、内定を取り消される可能性があります。
内定保留を申し出る際は単に「他社の選考結果を待ちたい」と伝えるのではなく、「御社の業界に大変魅力を感じており、ぜひ入社させていただきたいと考えております」など、企業への関心を具体的に示しましょう。
「御社の事業内容や将来性に強くひかれているものの、転職という人生の重要な決断であるため、他社の選考も含めて慎重に検討させていただきたい」というように、入社への前向きな姿勢と保留の理由を丁寧に説明することが大切です。
さらに、内定保留後の連絡時も入社意欲の表明を忘れないようにします。承諾の場合は「御社の一員として貢献できることを大変うれしく思います」、辞退の場合でも「魅力的なお話をいただき、真摯にご検討させていただきました」など、企業への敬意と感謝の気持ちを示しましょう。
提示した保留期間を含め、応募先企業へ約束したことは守りましょう。ビジネスでは信頼関係の構築が重要です。自ら約束したことを破る応募者は、ビジネスパートナーとしてふさわしくないと判断されてしまいかねません。
約束をしっかりと守るためにも、「何日間の内定保留期間が妥当か」はよく検討しましょう。また、有言実行が難しい内容は、たとえ企業からの心証を悪くする可能性があっても正直にできないと伝えることがポイントです。
応募先企業から得た内定を保留したいと考えても、どのように伝えたらよいのかが分からない方もいるでしょう。ここからは、応募先企業へ内定保留を伝える際のメール例文をケース別に2つ紹介します。これらの例文を参考とし、自身の状況に合わせた内容の文面に作り替えることで内定保留の連絡がスムーズにできるでしょう。
志望順位が高い企業の選考結果を待つために内定を保留にしたいのであれば、「他社の優先順位が高い」のではなく、「真剣に検討したい」からこその保留であることが伝わる内容にします。
【例文】
お世話になっております。(名前)と申します。
この度は内定のご連絡をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は返答期限について、ご相談したくご連絡いたしました。
内定のお返事を○月○日までお待ちいただくことは可能でしょうか。
現在、他社の選考を受けており、○月○日に結果が出る予定です。
今回の転職は自身が目指すキャリアプランの中でも特に重要であるため、悔いのないようにすべての選考を終えたうえで改めて回答させていただきたいと考えております。
こちらの都合で誠に恐縮ではございますが、ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
他社の選考を待ちたいという事実を隠す必要はありませんが、同時に「今回の内定や企業について軽く考えているわけではない」ことを示しましょう。
求人内容や雇用条件に不明瞭な点があり、入社を決めかねているときにはその旨を簡潔かつ具体的に伝えましょう。
【例文】
お世話になっております。(名前)と申します。
この度は内定のご連絡をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日はお尋ねしたいことがあり、ご連絡いたしました。
「独自の評価制度が充実している」と面接の際に伺いましたが、具体的な評価方法や基準を教えていただくことは可能でしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、お手隙の際で構いませんのでご回答いただけますと幸いです。
ご回答をいただいたのち、内定へのご返答をさせていただきたいと考えております。
何卒よろしくお願い申し上げます。
質問内容によっては、仕事に対する意欲や誠意性も伝えられます。ただし、企業のホームページや内定通知書などに記載されている内容を質問すると研究不足を感じさせてしまうので注意しましょう。
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転職における内定保留は、他社の選考結果待ちや現職との迷いなど、さまざまな理由で検討される選択肢です。しかし、長期間の内定保留を希望する場合は慎重な判断が必要といえるでしょう。保留を申し出る際は、誠実な態度で理由を説明し、具体的な返答期限を提示することが重要です。ただし、入社意欲を疑われたり、内定取り消しになったりするリスクも存在することを忘れてはいけません。
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