更新日:2023/08/24
この記事のまとめ
転職活動中に複数の企業から同時期に内定が出た際には、入社を希望する企業以外の内定を辞退する必要があります。しかし、内定承諾後であっても辞退は可能なのか、どのように内定辞退の連絡を入れたらよいのかといった悩みを抱えている方は少なくないでしょう。
そこでこの記事では、内定辞退の可否や応募先企業へ内定辞退を伝える際のマナーについて詳しく解説します。本記事を読めば、スムーズに内定辞退を進められるようになるでしょう。
目次
内定辞退は、たとえ内定承諾書の提出後でも入社2週間前までであればできます。内定承諾書そのものに法的拘束力はないためです。
民法の規定により、雇用期間を定められない労働者はいつでも解約の申し入れが可能です。また、申し入れから2週間が経過すれば解約が成立します。
それでも内定先の担当者に迷惑をかけてしまうことに変わりはありません。少なくとも入社の意思が曖昧なまま内定承諾書を提出するのは避けるようにしましょう。
転職活動は、複数社の選考を同時に受けるケースが一般的です。しかし複数社から同時期に内定が出た場合、入社を希望する企業以外の内定は辞退する必要があります。また、「転職を家族から反対された」「内定通知後にけがや病気が発覚した」などの理由でやむなく内定辞退を余儀なくされることもあるでしょう。
ただし、企業から内定辞退の詳細な理由を求められない限り、細部まで伝える必要は基本的にありません。どのような理由や事情にせよ、内定辞退の意思が固いのであれば誠意をもって企業側へ伝えることが大切です。
ここでは、転職の内定辞退を伝える際の基本的なマナーを3つ紹介します。内定辞退を決めた際には、できる限り早く連絡することが大切です。内定辞退後のトラブルを避けるためにも、誰にどのような方法で伝えたらよいのかを押さえておきましょう。
「企業の採用担当者とは今後会う機会がない」という理由から、メールのみで内定辞退の連絡を済ませるのは避けましょう。内定を辞退する旨は、可能な限り企業の採用担当者に直接伝えるのが望ましいとされています。まずは電話もしくはメールで直接話すためのアポイントメントを取り、企業の採用担当者におわびの気持ちを伝えましょう。
しかし、直接伝えるのが難しい場合や企業から断られた場合には、電話やメールでも構いません。多くの時間とコストを割いて内定を出してくれた企業に対して失礼のない対応を心掛けましょう。
内定を辞退する場合は、なるべく早めに連絡しましょう。しかし先に第二志望の企業から内定通知が出てしまった場合、第一志望の結果を待ちたいと考える方もいるでしょう。
内定辞退について検討したい場合、いつまでなら大丈夫かというと通常は2日~3日、長くても1週間が上限です。それ以上になると、内定の取り消しも覚悟しなければなりません。
内定辞退の理由は誠意をもって伝えることが大切です。ただし、何でもありのままに伝えればよいわけではありません。正直さは大切ですが、伝え方によっては相手の心情を害することもあります。たとえもう二度と会うことのない相手であったとしても、社会人としての礼儀を尽くしましょう。
内定辞退の理由を伝える際は、採用担当者がどのような気持ちになるのかを推察したうえで丁寧な言葉遣いを心掛けるのがビジネスマナーです。
ここでは、応募先企業へ電話で内定辞退を伝える際のマナーと例文を紹介します。電話では表情や態度で謝罪の気持ちを伝えるのは難しいため、声の大きさやトーンに注意する必要があります。また、内定辞退の旨をスムーズに伝えるためにも、事前に話すべき内容を考えておきましょう。
電話で内定辞退の連絡を入れる際に大切なのは、伝えるべき内容と電話をする時間帯です。伝える内容はメモにまとめておき、手元に置いておくとよいでしょう。具体的には、次のような内容を伝えます。
内定辞退の理由は「検討の結果」だけで構いませんが、企業によっては「なぜ自社の内定が辞退されたのか」について聞かれる場合があります。念のため、辞退理由を詳しく話せるようにまとめておくとよいでしょう。
また電話をする際には、できるだけ企業が忙しくない時間帯を選ぶのがマナーです。就業時間が9時から17時までの企業であれば、14時から17時の時間帯が一般的には推奨されます。
【例文】
「私、御社から内定をいただきましたマイナビ太郎と申します。
恐れ入りますが、人事担当の△△様をお願いできますでしょうか?」
(担当に代わる)
「お世話になっております。マイナビ太郎です。
△△様、いまお時間よろしいでしょうか?
(承諾を得る)
このたびは内定をいただき、誠にありがとうございます。大変申し上げにくいのですが、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
御社や社会に対し、自分がどのくらい貢献できるかを熟慮した結果、ご縁を感じた他社様への入社に思いいたりました。
本来なら直接伺っておわびしなければならないところですが、取り急ぎお電話でのご連絡となり誠に申し訳ございません。
御社には多大なご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんが、何とぞよろしくお願いいたします。」
まず内定通知に対する感謝の気持ちを伝え、辞退により迷惑をかけてしまうことをおわびしましょう。辞退する理由も手短に伝えます。
前もってメモを準備するのは構いませんが、台本読みにならないように注意しましょう。相手の反応を受け止めつつ、誠実に気持ちを伝えることが大切です。
【例文】
「私、御社に内定をいただきましたマイナビ太郎と申します。
お忙しいところ恐縮ですが、人事担当の△△様はいらっしゃいますでしょうか?」
(担当に代わる)
「お世話になっております。マイナビ太郎です。
ただいまお時間よろしいでしょうか?
(承諾を得る)
先日は内定通知を頂戴し、心より感謝申し上げます。身勝手な申し出で大変心苦しいのですが、御社の内定を辞退させていただきたいと思い、本日お電話を差し上げました。
(理由を質問される)
応募していたほかの企業様に内定をいただきました。熟慮した結果、自分の適性を考えて、その企業様とのご縁を感じ、このような決断にいたりました。
本来であれば、直接おわびに伺わなければならないところ、取り急ぎお電話でのご連絡になり、申し訳ありません。
貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このようなお返事となり、大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ございません。」
いきなり話し始めるのではなく、まずは電話対応できる時間があるかを確認します。また相手に負担をかけないように前置きは短く、内定辞退の結論を手短に伝えましょう。
メールで転職の内定辞退を伝える際のマナーや例文を確認しましょう。基本的なマナーは電話と変わりませんが、よくあるミスの例として誤字や脱字があります。メールを送信する前には、内容に問題はないか、誤字・脱字はないかを確認することが大切です。
メールで内定辞退を伝える場合、「内定辞退のご連絡(マイナビ太郎)」というように分かりやすい件名をつけたうえで、以下の内容を含めた文章を作成しましょう。
文章作成のポイントは、分かりやすく簡潔にすることです。なお担当者が不在でやむなくメールを出す場合は、「先ほどお電話させていただきましたが、ご不在でしたのでメールをさせていただきました」など、ひと言断りを入れるといいでしょう。
【例文】
件名:内定辞退のご連絡(マイナビ太郎)
株式会社◎◎ 人事部
採用担当 △△様
お世話になっております。
先日、内定の通知をいただきましたマイナビ太郎です。
先程お電話させていただきましたが、ご不在でしたのでメールにて失礼いたします。
この度は内定をいただき、誠にありがとうございます。
誠に恐縮ではございますが、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡差し上げました。
社会に対して自分がどのくらい貢献できるかを熟慮した結果、ご縁をいただいた他の企業への入社を決めました。
貴重なお時間をいただき、お手数をかけたにもかかわらず、このような形になり大変申し訳ございません。
本来なら直接伺ってお詫びしなければならないところですが、メールでのご連絡となりましたこと、何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます。
△△様をはじめ、今回の採用に関わってくださった皆様には心より感謝しております。
末筆ながら、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
マイナビ太郎
〒000-0000
東京都▲▲区◯◯
TEL:090-×××-×××
メールアドレス:***@***.or.jp
メールで連絡する場合は、ビジネスで用いるフォーマルな言葉を使います。結びは定型文で構いません。電話がつながらなかった旨を記載し、メールだけの連絡ではないことを伝えましょう。
【例文】
件名:内定辞退のご連絡(マイナビ太郎)
株式会社◎◎ 人事部
採用担当 △△様
お世話になっております。
先日、内定をいただきましたマイナビ太郎です。
ご多忙ではないかと思い、取り急ぎメールにて失礼いたします。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
大変恐れ入りますが、貴社の内定を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。
就職活動を通して自分の適性を改めて見つめ直した結果、他の企業との縁を感じ、貴社の内定を辞退させていただくことにいたしました。
貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、このような返信となり、誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げる次第です。
後ほどお電話でもご連絡いたしますが、取り急ぎメールにてご連絡させていただきました。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
マイナビ太郎
〒000-0000
東京都▲▲区◯◯
TEL:090-×××-×××
メールアドレス:***@***.or.jp
電話で連絡がつかない場合、先にメールで内定辞退を伝え、後から連絡する方法もあります。その場合は後から電話することをメールで事前に伝えましょう。相手から電話の連絡は不要と返信が来た場合は、電話をする必要はありません。
誠意を示して内定辞退の意思を伝えたのであれば、基本的にトラブルは起こりにくいでしょう。ただし企業側の対応に難があるケースや、事情によってはトラブルに発展してしまうケースもあります。次のような場合は注意してください。
内定を辞退した後、引き止めるために企業から呼び出しを受けることがあります。内定辞退は原則として直接伝えるのがマナーではありますが、強引な引き止めに合うと感じた場合には対面で話すのは控えるのが賢明です。「申し訳ありませんが、内定は辞退させていただきますのでお伺いはできかねます」と丁寧に断りましょう。
また電話や直接会って内定辞退を伝えた場合でも、意思を伝えた証拠を残すためにメールで同様の内容を送信することをおすすめします。
企業から「内定辞退は認めない」「裁判に訴える」などと脅されても、従う必要はありません。対面での話し合いを求められた場合は、きっぱりと断りましょう。それでも企業からの脅しが続くようであれば、最寄りの労働基準監督署や弁護士への相談を検討します。
特にトラブルが起きやすいのは内定者研修を受けたケースです。場合によっては、内定を辞退する場合に研修費用の支払いを請求される可能性があります。
一般的には研修費用を内定辞退者が負担する必要はありません。ただし研修費用の返還義務を書面で交わしていた場合は別です。
自ら企業側に研修の費用負担を申し入れた場合は、訴訟になる恐れもあります。企業と交わした契約書をしっかり確認しておきましょう。
まだ第一希望の企業の選考が終わっていない場合や、検討したいことがある際に「内定を保留したい」と考える方もいるでしょう。結論をいうと、内定の保留は可能です。ただし内定の保留にはいくつかのリスクもあるので、慎重に検討しましょう。
内定の承諾を決めかねる事情がある場合には保留が可能です。ただし、あまり長期間の保留は望ましくありません。内定通知の到着から2日~3日以内の回答が難しい場合には、企業に連絡を入れて相談してみましょう。
内定を保留できる期間は企業によって異なります。急を要する人材募集でなければ、回答までに1週間ほどの猶予を与えてもらえるケースが多いでしょう。
企業にもう少し返事を待ってもらえるように依頼する場合、下記の3点を伝えることが重要です。
内定を保留にすると、企業側に入社の意思が低いと受け取られかねません。入社の意思があることははっきりと伝えましょう。
内定を保留にする理由は、企業が納得しやすい内容にすることをおすすめします。たとえば「家族と相談して決めたい」という理由であれば、「家庭の事情もあるだろう」と企業側も内定保留を受け入れやすくなります。
「◯月◯日までにお返事します」と期限を伝えるのもマナーです。
企業から受けた内定を保留にすることは、決してノーリスクではありません。内定保留は、「内定を辞退する可能性」を企業に伝える行為でもあります。採用担当者にマイナスの印象を与えてしまう可能性はゼロではありません。
また企業が採用を急いでいたり、長期の内定保留で採用活動に支障をきたしたりするような場合には、内定を取り消され、別の応募者が採用されることもあり得ます。内定保留は、リスクを把握したうえで慎重に検討しましょう。
転職エージェント経由で内定を獲得した企業であっても、辞退することに問題はありません。ただし転職エージェント利用時ならではのマナーやルールがあります。今後の転職活動に支障をきたさないためにも、内定辞退を伝える方法や注意点を確認しておきましょう。
内定辞退を決めたのであれば、できるだけ早い段階で伝えるのが基本です。ただし転職エージェントから紹介を受けた企業の内定辞退をする場合、連絡先は担当のキャリアアドバイザーです。電話もしくはメールで伝えるとよいでしょう。
転職エージェントから紹介してもらった企業の内定を辞退しようと考えている場合、決断の前に一度担当のキャリアアドバイザーに相談することをおすすめします。内定を受けた企業の実情や自分のスキル・実績などを熟知したキャリアアドバイザーの意見やアドバイスを聞くことで、本当に内定辞退を決断すべきかどうかを冷静に判断できるでしょう。
企業に直接、内定辞退の連絡を入れると、転職エージェントと企業の信頼関係が崩れる恐れがあります。結果として自分と転職エージェント間の信頼も失われ、今後の転職活動に悪影響をおよぼしかねません。内定通知は転職エージェントを介して伝えられるものであるため、内定辞退の連絡も転職エージェントを介して行うのがマナーです。
転職エージェント宛の内定辞退の例文を方法別(電話・メール)でそれぞれまとめました。連絡を入れる際には例文を参考とし、社会人としてのマナーを損なわないように気をつけましょう。
【転職エージェントに電話で内定辞退を伝える際の例文】
いつもお世話になっております。転職の仲介をお願いしております、マイナビ太郎です。
ご多忙のところ大変恐縮ではございますが、ご紹介を受けた✕✕株式会社からの内定を辞退させていただきたく連絡を差し上げました。
ご紹介いただきました✕✕株式会社には魅力を感じておりましたゆえ、◯◯様にご紹介いただきましたことは感謝しております。しかし条件を熟考した結果、もう少し転職活動を続けたいと感じております。
お手数をおかけいたしますが、✕✕株式会社の採用ご担当者様へ辞退したい旨をお伝えいただけますでしょうか。
◯◯様にご尽力いただいたにもかかわらず、内定を辞退する結果となり、大変申し訳ございません。
引き続き転職活動を続ける所存ですので、改めてご相談させていただくことになろうかと思います。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
【転職エージェントにメールで内定辞退を伝える際の例文】
件名:
✕✕株式会社内定辞退のご連絡とお詫び(マイナビ太郎)
本文:
◯◯株式会社
◯◯様
いつもお世話になっております。転職の仲介をお願いしております、マイナビ太郎です。
ご紹介を受けた✕✕株式会社からの内定ですが、誠に恐縮ながら、辞退いたしたくご連絡を差し上げました。
✕✕株式会社には魅力を感じたものの、条件を熟考した結果、もう少し転職活動を続けたく辞退することを決意した次第です。
お手数をおかけいたしますが、✕✕株式会社の採用ご担当者様へ辞退したい旨、ご連絡をお願いいたします。
◯◯様にご尽力いただいたにもかかわらず、内定を辞退する結果となり、大変申し訳ございません。
お伝えしましたとおり、引き続き転職活動を続ける所存ですので、改めてご相談させていただくことになろうかと思います。今後とも、よろしくお願い申し上げます。
取り急ぎメールでのご連絡、失礼いたします。
マイナビ太郎
内定辞退をした企業への再応募は可能です。ただし一度内定辞退をしている以上、初回の応募時とは異なる点に注意する必要があります。ここでは、内定辞退をした企業へ再応募する際の注意点やポイントについて解説します。再応募する場合には事前にポイントを押さえ、万全の対策を講じてから選考に臨みましょう。
内定辞退後の再応募に対して、企業側からよい印象を持たれることはあまりありません。よほど優秀な人材であれば快く受け入れられるかもしれませんが、そうでない場合にはほかの応募者よりも選考で不利となることは心得ておきましょう。
内定を辞退した際の印象に左右される部分もあります。どのような企業であっても再応募する可能性はゼロではないので、内定辞退の際にはできる限りの礼儀を払うのが無難です。
また再応募不可の期限を設けている企業も存在します。再応募の際には、事前に募集要項を確認しておきましょう。
改めて内定を獲得するためには、企業を納得させるだけの理由が必要です。「ほかの選考に落ちてしまったので」といった熱意の感じられない理由では、内定を再度勝ち取ることは難しいでしょう。
再応募という不利な状況であっても、「ぜひ採用したい」と思わせられるだけの実力が伴っていることもポイントです。初回応募時よりもさらに具体的に自分の能力をアピールし、自分を採用するメリットを示しましょう。
「複数企業に応募したいが、内定辞退の連絡をするのは気が重い」という方は、転職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。マイナビエージェントでは、企業への内定辞退の連絡はもちろん、給与交渉まで代行いたします。企業とのやりとりに不安を感じる方でも、安心して転職活動を進めていただけるでしょう。
各業界に精通したキャリアアドバイザーが、求職者の皆様の転職活動を全面的にサポートいたします。まずは一度ご相談ください。
転職活動で応募した企業の内定を辞退することは可能ですが、その際にはなるべく早めに連絡を入れ、お礼と謝罪の言葉を伝えましょう。
「どうしても内定を断るのが苦手で気が重い」方は、マイナビエージェントの利用がおすすめです。キャリアアドバイザーが内定辞退を代行するので、企業からの引き止め対策にも活用できるでしょう。転職にまつわる悩みごとや困りごとは、すべてマイナビエージェントがサポートいたします。
転職全般
転職で「とりあえず応募」は正解?メリット・デメリットと転職エージェントの活用法
転職全般
20代|やりたい仕事がないのはなぜ?原因と転職を成功させるポイントを解説
転職全般
仕事と子育ての両立は難しい?成功させるポイントやおすすめの仕事を紹介