更新日:2022/01/05
転職活動中の人にとって、内定通知は何よりうれしい連絡です。しかし、複数社から内定が出た場合や、第一志望の企業の合否が出る前に、他社の内定の回答期限が迫っている場合など、困ったシチュエーションになる場合があるでしょう。
ここでは、内定を辞退する際のマナーや電話・メールでの伝え方、企業への伝え方のポイントを例文とともにご紹介します。
目次
企業から内定を得た場合、一般的には内定承諾の意思を確認するため、入社の誓約書となる内定承諾書の提出を求められます。ただ、内定承諾書そのものに法的拘束力はなく、内定承諾書を提出しても、内定を辞退することは法的に可能です。
民法の規定により雇用の期間を定められない労働者は、いつでも解約の申し入れができることが認められています。また、申し入れから2週間経過すれば、解約が成立します。
つまり、内定を承諾したとしても、入社2週間前までなら、内定を辞退できます。
それでも内定先の担当者に迷惑をかけてしまうことに違いはありません。少なくとも入社の意思が曖昧なまま内定承諾書を提出するのは避けるようにしましょう。
企業からの内定の連絡を受け取ったら、雇用契約書などで労働条件の内容を確認して、内定の承諾または辞退の旨を担当者に連絡するのがマナーです。しかし、本命の企業より先に他の企業から内定が出た場合や、複数の企業から内定が出ているために決断がつかない場合など、2〜3日で決めるということが難しいケースもあるでしょう。
このように、内定承諾を決意できないときは、保留にすることも可能です。企業や担当者によりますが、相談することで、最大1週間程度保留にしてもらえる場合があります。
続いては、内定を保留にする場合の企業への伝え方や、保留にした場合のリスクについてご紹介します。
企業にもう少し返事を待ってもらえるようお願いする場合、下記の3点を伝えることが重要です。
内定を保留にすると、企業側に入社の意思が低いと受け取られかねません。ですから、入社の意思があることを示すことが大切です。
内定を保留にする理由としては「家族と相談してから決めたい」など、企業が納得できる内容の理由を伝えてください。家族と相談して決めたいという理由であれば、「家庭の事情もあるだろう」と、企業側も内定保留を受け入れやすくなります。
他社の選考が残っていることなどを正直に伝えてもいいのですが、「第一志望の選考結果を待ちたいので」と、あからさまに言ってしまっては身も蓋もありません。他社より志望度が低いことがわかってしまうと、企業としてもおもしろくないでしょう。
また、内定保留の返事があまりにも遅くなると、企業側では他の応募者に内定を出してしまう可能性もあります。内定保留の連絡をする際には、「◯月◯日までにお返事します」と期限を伝えるようしましょう。基本的には3日以内、遅くとも1週間以内を目安として回答してください。
企業から受けた内定を保留にすることは、決してノーリスクではありません。
内定を保留するということは、「内定を辞退する可能性がある」ことでもあります。「当社が第一志望ではなかったのか」といったように、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。
また、企業が採用を急いでいたり、長期の保留で採用活動に支障をきたしたりするような場合には、内定を取り消されて、別の応募者が採用されることもありえます。
内定の保留は、リスクを把握した上で慎重に行うべきといえるでしょう。
複数社から内定をもらった場合や提示された労働条件が希望に合わない場合など、内定の辞退を決めた際は、できる限り早く連絡することが大切です。
連絡方法として企業の担当者に電話をするのがベストですが、担当者の不在など事情がある場合は、メールでも構いません。
続いては、電話またはメールで内定辞退の意を伝える際に、気を付けるべきポイントをご紹介します。
内定辞退を連絡する際、原則は直接伝えるのがマナーです。
まず、電話もしくはメールにて直接話すための約束を取り付け、採用担当者にお詫びの気持ちを伝えるようにしましょう。担当者と会うこともないからと、メールのみで内定辞退の連絡を済ませるのはマナー違反です。多くの時間とコストを割いて内定を出してくれた企業に、失礼のない対応を心がけましょう。
内定を辞退する場合、なるべく早めに連絡するのが原則です。
ただ、先に第二志望の企業から内定通知が出てしまった場合、第一志望の結果を待って連絡したくなるものです。多くの企業は、入社意思の確認を待ってくれますが、期限は区切りましょう。通常は2~3日間で、長くても1週間が上限です。それ以上になると、最悪の場合、内定を取り消されることも覚悟しなければなりません。特に中途採用の方の辞退連絡は早いほどよいです。
内定辞退を伝える電話をする際に大切なのは、伝えるべき内容と電話をする時間帯です。伝える内容はメモにまとめておき、手元に置いておくといいでしょう。
具体的には、次のような内容を伝えます。
ポイントとして、メモをただ読み上げるのではなく、相手の反応を気にしながら受け答えをすることが大切です。
内定辞退の理由は、「検討の結果」だけでも構いませんが、企業によっては「なぜ自社の内定が辞退されたのか」について聞かれる場合があります。ですから、電話で辞退の理由を詳しく話せるよう、「自分の適性をあらためて見つめ直してみたところ、別企業との縁を感じ、そちらの会社に入社することを決めた」など、まとめておくといいでしょう。
また、電話をする際には、できるだけ企業が忙しくない時間帯を選ぶのがマナーです。就業時間が9時から17時までの企業であれば、14時から17時のあいだが適切なタイミングであるといえます。
メールで内定辞退を伝える場合も、伝えるべき内容については電話の場合と変わりません。
しかし、担当者が不在でやむなくメールを出す場合は、「先程お電話させていただきましたが、ご不在でしたのでメールをさせていただきました」など、一言断りを入れるといいでしょう。
件名は、「内定辞退のご連絡(田中太郎)」などとして、内容が一目でわかるようにしましょう。
文面のポイントとしては、わかりやすく簡潔にすることです。結びの文は、「末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます」といった定型文で構いません。
続いて、電話で内定辞退を伝えるときの内容について、例文とともに解説します。
「私、御社に内定いただきました鈴木太郎と申します。
恐れ入りますが、人事担当の△△様をお願いできますでしょうか?」
(担当に代わる)
「お世話になっております。鈴木太郎です。
△△様、今お時間よろしいでしょうか?
(承諾を得る)
このたびは内定をいただき、誠にありがとうございます。大変申し上げにくいのですが、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
御社や社会に対し、自分がどれぐらい貢献できるかを熟慮した結果、ご縁を感じた他社様への入社に思いいたりました。
本来なら直接伺ってお詫びしなければならないところですが、取り急ぎお電話でのご連絡となり誠に申し訳ございません。
御社には多大なご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。」
まず、内定をいただいたことに対する感謝の気持ちを伝え、辞退により迷惑をかけてしまうことをお詫びします。辞退する理由も手短に伝えましょう。前もってメモを準備するのは構いませんが、台本読みにならないように注意してください。相手の反応を受け止めつつ、誠実に気持ちを伝えることが大切です。
「私、御社に内定をいただきました鈴木太郎と申します。
お忙しいところ恐縮ですが、人事担当の△△様はいらっしゃいますでしょうか?」
(担当に代わる)
「お世話になっております。鈴木太郎です。
ただいまお時間よろしいでしょうか?
(承諾を得る)
先日は内定通知を頂戴し、心より感謝申し上げます。身勝手な申し出で大変心苦しいのですが、御社の内定を辞退させていただきたいと思い、本日お電話を差し上げました。
(理由を質問される)
応募していた他の企業様に内定をいただきました。熟慮した結果、自分の適性を考えて、その企業様とのご縁を感じ、このような決断にいたりました。
本来であれば、直接お詫びに伺わなければならないところ、取り急ぎお電話でのご連絡になり、申し訳ありません。
貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このようなお返事となり、大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ございません。」
担当者にいきなり話し始めず、相手が電話に対応できる時間があるか確認してください。また、内定辞退の理由など言いにくい話は前置きが長くなりがちですが、相手に負担をかけないように、内定辞退の結論を手短に伝えましょう。
企業にメールで内定辞退の意思を伝えるときの内容についても、例文とともに解説します。
件名:内定辞退のご連絡(鈴木太郎)
株式会社◎◎ 人事部
採用担当 △△様
先日、内定の通知をいただきました鈴木太郎です。
先ほどお電話させていただきましたが、ご不在でしたのでメールにて失礼いたします。
このたびは内定をいただき、誠にありがとうございます。
誠に恐縮ではございますが、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡させていただきました。
社会に対して自分がどれぐらい貢献できるかを熟慮した結果、ご縁をいただいた他の企業様への入社を決めました。
貴重なお時間をいただき、お手数をかけたにもかかわらず、このような形になり、大変申し訳ございません。
本来なら直接伺ってお詫びしなければならないところですが、メールでのご連絡となりましたこと、何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます。
△△様をはじめ、今回の採用に関わってくださった皆様には心より感謝しております。
末筆ながら、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
鈴木太郎
〒000-0000
東京都▲▲区◯◯
TEL:090-×××-×××
メールアドレス:***@***.or.jp
メールで連絡する場合は、ビジネスで用いるフォーマルな言葉を使います。結びは定型文で構いません。電話がつながらなかったなどの旨を記載し、メールだけの連絡ではないことを伝えましょう。
件名:内定辞退のご連絡(鈴木太郎)
株式会社◎◎ 人事部
採用担当 △△様
お世話になっております。
先日、内定をいただきました鈴木太郎です。
ご多忙ではないかと思い、取り急ぎメールにて失礼いたします。
このたびは内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
大変恐れ入りますが、貴社の内定を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。
就職活動を通して自分の適性を改めて見つめ直した結果、他の企業様とのご縁を感じ、貴社の内定を辞退させていただくことにいたしました。
貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、このような返信となり、誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げる次第です。
後ほどお電話でもご連絡いたしますが、取り急ぎメールにてご連絡させていただきました。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
鈴木太郎
〒000-0000
東京都▲▲区◯◯
TEL:090-×××-×××
メールアドレス:***@***.or.jp
電話で連絡がつかない場合、取りあえずメールで内定辞退を伝え、後から連絡する方法もあります。その場合は後から電話することを伝えましょう。相手から電話の連絡は不要と返信が来た場合は、電話をする必要はありません。
電話でもメールでも、内定辞退の理由は誠意を持って伝えることが大切です。
ただし、何でもありのままに伝えれば良いというものでもありません。正直さは大切ですが、伝え方によっては相手の心情を害することもあります。たとえ、もう二度と会うことのない相手であったとしても、一介の社会人としての礼儀は尽くすべきです。
内定を辞退した理由は採用担当者がどのような気持ちになるのか推察した上で、丁寧な言葉を選ぶのがビジネスマナーです。
基本的に誠意を示し、内定辞退の意思を伝えれば、トラブルは起こりにくいです。
ただ、企業側の対応によってはトラブルに発展してしまうケースも珍しくないため、次のような場合は注意してください。
内定を辞退したら、引き留めるために企業から呼び出しを受けることがあります。辞退したい理由を伝えても、相手の反論により、辞退しづらくなります。原則として直接会って内定辞退を伝えるのがマナーですが、企業から強引に引き留められそうな場合は、対面で話すのは控えた方が賢明です。
その場合は「申し訳ありませんが、内定は辞退させていただきますので、お伺いはできかねます」と丁寧にお断りしても問題ありません。また、電話や直接会って内定辞退を伝えた場合でも、意思を伝えた証拠を残すためにメールで同様の内容を送信しておきましょう。
丁寧に内定を辞退していたにもかかわらず、企業から「内定辞退は認めない」「裁判に訴える」などと脅されても、従う必要はありません。万が一会社に出向く場合は、後から「言った言わない」になる事態を避けるため、スマホやICレコーダーによる録音をおすすめします。
トラブルが起きやすいのは内定者研修を受けたケースです。
一般的には研修費用を内定辞退者が負担する必要はありませんが、研修費用の返還義務を書面で交わしていた場合は別です。自ら企業側に研修の費用負担を申し入れた場合は、訴訟になる恐れもあります。企業と交わした契約書をしっかり確認しておきましょう。
転職エージェントから紹介してもらった企業から内定を受けた場合でも、内定を辞退することに問題はありません。
最後に、転職エージェントを利用している場合の内定辞退の方法や注意点を見ていきましょう。
転職エージェントに紹介してもらった企業の内定を辞退することはルール違反ではありませんが、辞退の連絡をするにあたって守るべきマナーはあります。
転職エージェントに内定辞退の連絡をする際の注意点は、下記のとおりです。
内定を辞退しようと決めたなら、できるだけ早い段階で担当のキャリアアドバイザーに電話もしくはメールで伝えるようにしましょう。
転職エージェントから紹介してもらった企業の内定を辞退しようと考えている場合、決断する前に一度担当のキャリアアドバイザーに相談することをおすすめします。
内定を受けた企業の実情や自分のスキル・実績などを熟知したキャリアアドバイザーの意見やアドバイスを聞くことで、本当に内定辞退を決断すべきかどうかを冷静に判断することができるはずです。
内定辞退の連絡は、必ず転職エージェントを介して行う必要があります。内定通知は転職エージェントを介して伝えられるものですから、内定辞退の連絡も転職エージェントを介して行うのがルールです。
このルールを無視すると、あなたと転職エージェント、そして企業と転職エージェントとの関係が悪くなってしまう可能性があります。決して企業に直接連絡しないようにしましょう。
転職エージェントに内定辞退を伝える場合も、企業に伝えるときと同じく、社会人としての礼儀を大切にしてください。
転職エージェントに内定辞退を伝える電話やメールの例文は下記のとおりです。
<転職エージェントに電話で内定辞退を伝える際の例文>
いつもお世話になっております。転職の仲介をお願いしております、田中太郎です。
ご多忙のところ大変恐縮ではございますが、ご紹介を受けた✕✕株式会社からの内定を辞退させていただきたく連絡を差し上げました。
ご紹介いただきました✕✕株式会社には魅力を感じておりましたゆえ、◯◯様にご紹介いただきましたことは感謝しております。しかし、条件を熟考した結果、もう少し転職活動を続けたいと感じております。
お手数をおかけいたしますが、✕✕株式会社の採用ご担当者様へ辞退したい旨をお伝え願いできますでしょうか。
◯◯様にご尽力いただいたにもかかわらず、内定を辞退する結果となり、大変申し訳ございません。
引き続き転職活動を続ける所存ですので、あらためてご相談させていただくことになろうかと思います。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
<転職エージェントにメールで内定辞退を伝える際の例文>
件名:
✕✕株式会社内定辞退のご連絡とおわび(田中太郎)
本文:
◯◯株式会社
◯◯様
いつもお世話になっております。転職の仲介をお願いしております、田中太郎です。
さて、ご紹介を受けた✕✕株式会社からの内定ですが、誠に恐縮ながら、辞退いたしたくご連絡を差し上げました。
✕✕株式会社には魅力を感じ大変ありがたく感じたものの、条件を熟考した結果、もう少し転職活動を続けたく、辞退することを決意した次第です。
お手数をおかけいたしますが、✕✕株式会社の採用ご担当者様へ辞退したい旨、ご連絡をお願いいたします。
◯◯様にご尽力いただいたにもかかわらず、内定を辞退する結果となり、大変申し訳ございません。
お伝えしましたとおり、引き続き転職活動を続ける所存ですので、あらためてご相談させていただくことになろうかと思います。今後とも、よろしくお願い申し上げます。
取り急ぎメールでのご連絡、失礼いたします。
田中太郎
内定承諾をした場合でも、入社2週間前までなら辞退ができます。内定辞退の意思が固まっている場合は電話や対面で、なるべく早く伝えるのがマナーです。一方でやむを得ず電話やメールで連絡する場合でも、誠意をもって伝えましょう。
「複数の企業に挑戦したいが、内定辞退の連絡をするのは気が重い」という方は、転職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。
マイナビエージェントは、企業とのやりとりに不安を感じる方でも安心して転職活動を進めていただけるように、企業への内定辞退の連絡や面接日のスケジュール調整などを代行させていただきます。
各業界に精通したキャリアアドバイザーが、求職者の皆様の転職活動を全面的にサポートいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。
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