更新日:2023/12/28
有機化合物で作られている溶剤、つまり他の物質を溶かすときに使う液体を有機溶剤といいます。
アルコールやベンゼン、ガソリンなど、有機溶剤は誤った使い方をすると、有毒ガスが出て中毒を起こしたりしかねません。そのため、工場などで大量に有機溶剤を取り扱う場合には、有機溶剤についての資格である「有機溶剤作業主任者」が必要になります。
有機溶剤作業責任者の資格は、他に勉強する時間を取らなくても2日間の講習を受けて修了試験に合格すれば取得できます。そのため、比較的取得しやすい資格といえるでしょう。
目次
有機溶剤作業主任者は、有機溶剤を取り扱う仕事をするとき、現場で作業方法を決めたり、作業の指揮をしたりする責任者です。また、機器類の点検、保護具が使用されているかどうかの確認、有機溶剤中毒防止措置が適切であるかの確認なども、有機溶剤作業主任者の仕事です。
有機溶剤は、取扱方法を誤ると大きな事故につながる可能性があります。有機溶剤作業主任者は、有機溶剤を取り扱う従業員の安全を守るために、なくてはならない存在だといえるでしょう。
そのため、有機溶剤を取り扱っている会社では、有機溶剤作業主任者を必ず設置しなければならないと労働安全衛生法で定められています。
有機溶剤作業主任者の資格は、「有機溶剤作業主任者技能講習」を受講して修了試験に合格すれば取得できますが、有機溶剤作業主任者として働くには、事業者に選任される必要があります。
有機溶剤を扱う仕事を目指すのであれば、まずは有機溶剤作業主任者技能講習を受講しておきましょう。
有機溶剤作業主任者技能講習について、受講場所や日程など、知っておきたいポイントをまとめました。
受講を検討している人は、参考にしてください。
有機溶剤作業主任者技能講習は、それぞれの地域にある労働基準協会連合会などで受けることができます。
たとえば、東京都の場合、公益社団法人東京労働基準協会連合会の本部や安全衛生研修センターで定期的に講習が開催されています。この他、一般社団法人労働技能講習協会でも同様の講習が行われています。
どちらで講習を受けた場合も、同じ有機溶剤作業主任者の資格を取ることができます。
有機溶剤作業主任者技能講習が行われる具体的な日程は、地域によって異なります。
どの地域で受講した場合も、講習は連続した2日間で行われます。平日に行われることも多いため、あらかじめスケジュール調整をしておきましょう。
講習の受講にかかる費用は、地域や開催元で異なるものの、2日間でおよそ10,000~14,000円前後です。
東京都の場合、公益社団法人東京労働基準協会連合会は受講料が12,600円(税込)、テキスト代が1,980円(税込)で、一般社団法人労働技能講習協会は受講料が11,510円(税込)、テキスト代が1,980円(税込)です。
カリキュラム名(講習科目名)は主催元により多少異なりますが、どこの地域で受講した場合でも内容は同じです。
下記のように4種類の有機溶剤に関する知識の勉強を行い、最後に試験が行われます。
修了試験を含め、全部で13時間の講習になりますから、2日間どちらも丸1日講習を受けることになります。
具体的な受講時間は、各地域や開催元によって異なります。公益社団法人東京労働基準協会連合会の場合は、1日目が9時から16時40分、2日目が9時から18時というスケジュールが組まれています。
有機溶剤作業主任者の修了試験は、真面目に講習を受けていれば合格できる難度に設定されています。基本的に、事前の準備や勉強は必要ないといわれています。
講習を受けるために必要な資格などもなく、満18歳以上であれば誰でも受講できます。
有機溶剤作業主任者資格を活かせる仕事には、自動車整備士や塗装工、化学工場の作業員などが挙げられます。また、印刷会社やクリーニング店、医薬品・香料の製造などの現場でも、有機溶剤を扱うことがあります。
有機溶剤作業主任者講習を受けておくと、有機溶剤を取り扱う現場で働く際に大きなメリットがあります。
事業者に選任されれば主任者になることができますし、そうでない場合も、有機溶剤に対する正しい知識を保有していることは、仕事をする上での強みになるでしょう。
有機溶剤作業主任者の資格は、関連業界に就職するための必須条件ではありません。
有機溶剤を取り扱う化学工場や自動車整備工場での勤務は、未経験・資格なしでも転職が狙える業種です。経験を問わずに応募ができる求人も多いため、やる気次第で異業種からの転職も十分可能だといえるでしょう。
たとえ資格を取得していなくても、面接の際に「就職後は資格を取得して活躍したい」とアピールすれば、やる気を評価してもらえる可能性は高まります。有機溶剤作業主任者の資格取得のサポート体制を整えている会社もあるため、このような会社に就職してから資格取得を目指しても遅くはありません。
しかし、事前に資格を取得していれば、転職の際に優遇してもらえたり、より良い条件の求人に応募できたりする可能性もあります。有機溶剤を扱う業界で長く活躍したいと考えているのであれば、資格を取得しておくと何かと有利でしょう。
有機溶剤を取り扱う業界では、有機溶剤作業主任者以外に下記のような関連資格を取得しておくことで、より有利に転職活動を進められることがあります。
危険物取扱者は、危険物に指定されている有機溶剤の保管業務を行える資格です。取り扱える危険物の種類に応じて8種類の資格があります。
高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガスの製造事業所や化学薬品の工場などで働く際に求められる資格です。難度や取り扱うものによって9種類の資格があります。
塗装技能士は、塗装工として働く際、自分の塗装技術をアピールするのに役立つ資格です。1級と2級があります。
自動車のメンテナンスなどを行えるようになる資格が自動車整備士で、難度に応じて1級から3級までがあります。
有機溶剤作業主任者資格は、有機溶剤を扱う仕事を目指す人にとっては、取得しておいて損のない資格です。また、希望する業種や業界によっては、その他の資格も併せて取っておくと有利になります。
自分がどのような道に進みたいかを考えて、併せて取得する資格を検討してみましょう。
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